勇者一行の料理人   作:ドゥナシオン

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ここは原作とあまり・・多分変わりはないのでサクッと終わらせます。
前半はレオナ姫視点で動きます。




ー幕間・勇者一行サイドー

たったの十五でいきなり戦乱の渦中に巻き込まれて、助かったと思ったら次は人様の人生の裁きをお願いしますって、私の人生どんだけハードモードよ!

 

マトリフの海岸での宴の最中で起こった事案に、レオナは冷静を装いながら内心で絶叫をする。

さっきまでは、これぞ幸せ絶頂だったのに―――!

 

 

目が覚めたらパプニカの城の自室にいた。「ダイ君達が助けてくださったのです!」

三賢者の一人のエイミが泣きながら起きた私に説明をしてくれた。

そうか、ダイ君が約束守ってくれたんだ。-いつか勇者になって、レオナが危なくなったらまた助けてあげる!-

デルムリン島でテムジン達に殺されかけて、落ち込んでいた帰りがけにそう言われて、頬にキスをされたオマケ付き。

夢みたいなこと言ってと強がっても、心の中では彼の言葉に救われた。

王女様に近づく人間なんて、皆下心あるか、私の後ろにいるお父様か国に忠誠を誓う者ばかり。その中で、彼と祖父だというブラス老だけは違ってて、男の子が力強い瞳で守ってくれるって約束をくれた事は私の宝物になった。

強がりを言っても怒りもせず、-レオナ、約束を守るよ-指切りもしてくれた。

他愛のない子供の約束、それ故に彼の純粋性の現われで、私は年下の彼に心を奪われた。

その約束は果たされ、死にかけた私は無事に帰ってきた。

 

「彼等にきちんとお礼をしたいのです。」

 

父王に無茶な頼みを承知で言ってみた。

「場所は-マトリフの様のいる洞窟の海岸です」

それを出せば案の定お父様は許可を出してくれて、反対をした重臣たちを説得してくれた。

彼の方の力と名声は、今をもってパプニカ城内では鳴り響いているのを承知で出して正解だった。

 

エイミとバダック、アポロも付いて行きたいと志願をしてきて、夜の空を気球で出かけた。

ドキドキする、ダイ君はどんな風に成長を「レオナ~元気になったんだね!!」

してなかった、良くも悪くも純粋な-子供-のままだった!

「ねえレオナどうしたの?俺の事忘れちゃったの?」

私のスカートくいくいしてうる眼で見てくる勇者って!

「あのねダイ君!!」

 

ここはビシッと言って!大人の男性の階段を上ってもらわないといけなな・・

「良かった、レオナ元気になって。真っ白な顔して-雪-みたいだから心配だったんだ。」

へ⁉雪って

「雪みたいに消えてなくならなくてよかった。ごめんねレオナ、助けに来るの遅くなって。」

「・・ダイ君・・」

 

にっこりと、温かく笑う彼はとても素敵で、このままの彼が愛おしくて、気が付いたら膝をついて抱きしめたら、力強く抱きかえされた。

そうだ、自分はこの純粋なダイ君が好きなんだ、気障な言葉なんて言ったらそれは彼じゃない、嘘を吐く大人・媚びへつらう貴族の子弟達と彼は違う。

彼は、私が大好きな私だけの勇者のダイ君だ。

 

 

 

勇者とお姫様の感動の再会に、兄弟子のポップは半べそをかく。

「へ、ダイの奴・・良かったじゃねえかよ。」

本当に姫君を愛している弟弟子の喜びを祝福しての涙だ。

姫が助からないかもしれないとなった時、ダイの取り乱しようは酷くて、ヒュンケルが出してくれたティファ手製の回復薬をひったくり、迷わず自分の口に入れて姫の口へと流し込み、鼓動が強まった時には生涯放すまいというように自分の胸に抱きしめていた。

それ程愛している女性がいるのはうらやましく、応援したくなる。

「良かったわねダイ・・本当に・・」

マァムも涙を浮かべ、ヒュンケル達も優しい眼差しで二人を見守っている。

 

 

気球から続々と食べ物と飲み物が出され、マトリフは食べるよりもバダックとクロコダインと飲み、ヒュンケルはアポロに終始お礼を言われ、エイミにも言われて困った顔で受ける。

自分こそがパプニカ王国を攻めた者だというのに。お礼を言われれば言われるほど苦しくなる。

 

 

「ねえダイ君、アポロと話しているあの銀の髪の男の人誰?」

「アポロ?」

「ああっと、紹介していなかったわね。エイミは知っているでしょう?」

「うん知ってる。」

「彼女と、今銀の髪の人と話している彼がアポロで、今回大怪我をしてこれなかったけれど、エイミの姉でマリンっていう人と三人で-パプニカの三賢者-って呼ばれているの。」

「へ~、あの人って賢者様なんだ!凄いな~。」

「彼って正義の心が強すぎて、滅多に初対面の人と打ち解けないのよ。」

特にデルムリン島騒動の後は、自分に近づくものを徹底的に警戒しまくってたっけ。

「・・・その割にはヒュンケルと仲がいいような?」

「彼はヒュンケルっていうのね。」

「うん、あの人は・・」 

「ダイ、そこから先は自分で言う。」

 

 

 

「おい、ヒュンケル!」ポップは慌てて止めに入ろうとした。

今日くらいは言わなくともいいではないか、もっと一行と共に世界を助け、誰が見ても正義の者になったと言われるほどになってから罪の告白をすべきだと。

「ポップ、お前の考えている事は分かっている。お前の考えは正しい、俺達の身を案じてくれてありがとうな。」

心配をしてくれる弟弟子の癖ッ毛の髪をクシャリと撫でてお礼を言う。

「・・勝手な奴・・馬鹿野郎・・」

小声でも悪態をつくポップは本当に可愛い弟だ。

こちらを涙目で見るマァムも、本当に言うのと悲しそうな顔を向けてくれるダイも。

 

「クロコダイン。」

「分かっている。」

 

どんなに手柄を立てても、自分達の罪は自分達が一番知っている。逃げるわけにはいかない!

「俺は元・魔王軍!パプニカを攻めた不死騎団の団長のヒュンケルだ!!

 この度は英明と名高いパプニカ王女のレオナ姫に、俺の罪を裁いてほしくまかり越した。」

「同じく元・魔王軍!ロモス王国を攻めた百獣軍団の長のクロコダイン!

 ヒュンケルと同じ理由でまかり越した。姫君、我等両名は如何なる罰とてもうけさせていただく。」

 

たとえそれが極刑だとしても文句はない。

 

 

二人の静かな告解に、宴の楽しい雰囲気は霧散をする。

エイミとバダックは信じられない者を見る目でヒュンケル達を、ダイ達は苦しそうな顔で自分を見つめている。

ダイ達の表情で分かってしまった、彼等の言っている事に偽りは無いのだと。本当に元魔王軍なのだと。

半月前に起きた大戦。神のお告げの夢があったとて、民達は傷つき、田畑を焼かれ、兵士にも数十人の死者が出た。

先のハドラー大戦よりも酷くはないと父王達が言っていても、自分達若い者にとっては十分に酷いものだと思っていた。

その元凶の尖兵の隊長格が自分を助けた立役者の一人だなんて!理不尽で!!でも滑稽で、現実感が湧かずにうまく思考が纏まらない。

誰も助けてくれない、だって裁きを下す王女は自分しか・・

 

「恐れながら姫君に言上奉る!」

 

くらくらとした頭に、凛とした声が靄を払っていく。

声の主を見てみれば、三賢者筆頭にアポロだった。

その瞳は何かを決意した強さがある。彼は正義の人、罪は罪だと言うのだろうか?

ダイ君達をどう説得しなければならないか、罪の重さはどのくらいをと算段し始めれぱ意外な言葉が飛び出した。

 

「彼等に温情を掛けてほしく。」

 

アポロだとて、己の国を攻めた彼ともう一人のクロコダインを許せない気持ちで、心がどうにかなりそうだった。

如何に勇者の助けをして、姫君を救ったとて処刑もやむなし。

そう思うのだが、姫を命を賭して助けると言ったあの瞳が忘れられない。

命を懸けた者だけが見せる本物の決意の瞳だった。あれはきっと罪を償うためにはどのような厳しき道を進む事も厭わないという、不退転の表れだったのか。

この先彼等が真の意味で許される日は来ないのかもしれない、処刑された方がいっそ楽なのかもしれない、それでも!自分は彼等を信じる!!姫を助けると言ったあの瞳を!覚悟を!!

 

 

「レオナ!ヒュンケルもクロコダインも俺達を助けてくれたんだ!!」

「二人とも命を懸けて守ってくれたんだよ姫さん!この先もずっと俺達と共に世界を救うって言ってるんだ!!」

「お願いです姫様!彼等を一度だけ信じてあげてください!!」

アポロに押されるようにダイ達も彼等の助命を願う。

「姫様、そこな獣王クロコダイン殿の人柄を、儂は見せていただきましたぞ。」

ダイと自分を助け、敵の大将首の一人を逃がしたと大層悔しがっていた。

「姫君は俺達が助ける、爺さんは回復薬を飲んで待っていてくれ。」

優しく自分を労わってくれた本物の武人だと。

 

そうか、そうなんだ。世界を混乱に陥れる大罪を犯して、その過ちに気が付いて罪を償おうとしている二人。

王族は公平であれ・厳しくあれ、そしてもう一つ大切な教えがある。

 

「裁可を下します。元・魔王軍の二人には-罪を償うために一行の助けをし、世界を救う手助けをする-のならば、パプニカ王女レオナ姫の名において、二人の罪を許します!」

慈悲深くあれと父王に教わった。

本来ならば、父王に裁可を委ねるべきだろうが・・今の父には負担になろう。

何かあれば責は己がとらねばなるまいが、ダイ達とバダック達の信頼を自分も信じてみよう。

甘い戯言かもしれないが、殺伐とした大戦の中で信を置いてもよいではないか。

 

星明りの下での裁可が下り、ダイ達は泣きながらクロコダインとヒュンケルにむしゃぶりつきながら、擁護してくれたアポロとバダックにお礼を言い、宴は深夜まで続くのであった。

 

 

 

「もう行くのかよお二人さん。」

 

月が沈むほどの時刻になってようやく全員寝たかと思ったが、一人だけ起きていたか。

姫君達は洞窟のベッドと長椅子に寝かせ、ダイ達もティファの持たせてくれたリングの中にあった寝袋に入れて、バダック達は気球の中に毛布ごと突っ込んだ。

「別れはいいのか?」

 

おそらく二人はこれから偵察に行くのだろう。

 

「先ほど沢山言ってきた、行ってくる。」

「我等がいなくともあいつ等は大丈夫だ。もうじきティファも来るだろう。」

あの嬢ちゃんがか

「分かった、気を付けて行ってこい。」

せめてこの老体にできる事は見送る事だけだ。

「ああ、行ってくる。」

「また必ず会おう、マトリフ殿。」

二人は心からの笑顔でマトリフの見送りに応え、べほもヒュンケルの肩に乗って触手を振る。

あれだけ自分達を案じてくれた者たちの為にも、必ず生きて帰ると約束をして。

またもや別行動だが、勇者一行の者達として心は確実に一つのところに集まっているのを感じながら。




原作よりも、レオナ姫を普通の恋する女の子として書いてみました。
彼女も悩み葛藤をしながら成長をしていきます。
アポロは激熱な男として登場してもらいました。
筆者としては、ちょこちょこ彼を出していきます。

アバンの弟子達としても、勇者ダイ一行としても、団結力は最初からマックスです。


追記、アポロをアポロンと間違えました。
ご指摘ありがとうございました。ななみん様。
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