一行の皆さんに休暇をあげたくなりました。
「いいのかなレオナ、今日お城に帰らなくて。」
「そうだぜ姫さん、昨日夜遊びして今日も帰らなかったら不味いんじゃね?」
「・・うちの父さんなら雷落ちて、向こう一年は外出禁止出しそう・・」
昨日のどんちゃんの後に帰れなかったのは仕方がないにしても、王族のそれも唯一の跡取り王女がこのご時世にホイホイと表にいるは問題がある気がすると、レオナ大好きダイも一言もうした。
庶民育ち二人も少々顔を青くしている。何かあったら斬首をされても文句は言えない!
「あら良いのよダイ君。もうお父様の許可は貰ったし、ここが今一番安全なはずなのよ。」
塔のじゃじゃ馬姫はけらりと笑って意に介さない。
「ここって、師匠のところって意味か?」
「そうよポップ君、なんせ当代きっての大魔導士・マトリフ老師の洞穴が安全じゃなかったらどこにいても同じでしょ?」だから大丈夫とゆったりと笑っているレオナは、やはりいささか姫君っぽくはない。
昨日も酔っ払ったその勢いで、ヒュンケルの肩をがっしとしがみつき「罪を償いきるまで生きるのよ!!」とか感動的な事を言いつつ、なんとほっぺにチュウという大暴挙に打って出た!!した本人よりも、周りのバダック達が大騒ぎ。
特にされた当の本人ヒュンケルは、何が起きたのか分からないという態で唖然茫然とフリーズを起こした。
姫君とはおしとやかで麗しいもの、そう父バルトスが言っていたのに!姫君像が粉々に砕け散った瞬間だった。
(ティファの方が姫君の様な気がする。)
優しく、罪にまみれた自分達二人を優しく包み込んでくれる素晴らしい太陽のような人。
彼女も単身で捕まっていたのに、魔王に宣戦布告をするというとんだ無謀な事をしているが、少なくとも酔った勢いで暴挙には出まい!
ティファ大好きっ子がさらに熱を加速させながらクロコダインとべほと共に偵察に勤しむなか、子供達はマトリフの許可を得て海岸でのんびりとする。
このご時世とレオナが言った。確かに子供だからとのびのびとは出来ない時代に入ってしまった。
ならばせめて自分の下で位は子供らしくしてほしいとマトリフは願いつつ、「ほれどしたポップ、
もうへたばったか?」
弟子の方はきっちし修行を付ける。自分の手の届かない範囲で死なない様に強くするために。
「・・うっせえ・・まだまだ!!」今ポップは魔法使いの戦い方を伝授してもらっている。
かつてティファが言っていたような、動きながら敵を翻弄する魔法使いになる為に。
仲間に庇われなければ魔法を使えない奴は二流だとマトリフは考えている。この弟子は自ら高みを目指すべく、魔法力が尽きかけてぼろっちくなってもくらいついて来てくれる!
「ほれ足が止まったぞ!イオ!!」どのような敵相手であっても死なない様に鬼になりポップを鍛える。
「ポップ君ってストイックなのね~ダイ君。」「ストイック?」
「・・う~んと、まあ自分を成長させるのに余念がないって事かしら?」
「そうだね~、普段は調子のいい奴だけど優しくて温かいいい奴なんだよ。」
「私もポップが好きなんですよレオナひ・・」「あ!また言おうとした!!いい事マァム!貴方達は私の命の恩人、ひいてはこのパプニカの次期女王を救った英雄なのよ。
私の事はレオナって呼んで頂戴!!」ビシッと指を指して宣言する。
「分かりま・・」「敬語も禁止!!」
「分かったわよレオナ、でもほかの人の前ではね?」「・・マァムって大人よね・・」
レオナも分かっている、それこそマァム以上に自分が無理を言って通してもらっているのを。
本来ならば王族が、元勇者一行の身内とはいえこんなに気軽に話せるはずがない。いかに庶民の味方を装っているレオナにも出来ない。
パプニカは現七王家の中でも栄えている上位に位置する。
その国の唯一の跡取り娘ともなれば、庶民に生まれた方がいっそ楽だと思うほど過酷だ。
王族の勉強・帝王学・行儀・外交の仕方から、幼少期より暗殺者の数はもう覚えていない程に来る。
そんな中で出会ったのがダイであり、今度はポップとマァムに出会えた。友人が欲しいとそう言えば貴族の子弟がわんさか来よう、おこぼれに預かるべく。
この二人もダイに似ている。権力とは縁遠く、姫と分かっていても無茶を聞いてくれて屈託なく笑っているところが。
「明日の昼頃来て頂戴ね、お父様たちに調整してもらうように頼むから絶対よ!」
お昼ご飯を食べて、日が沈む前にレオナ達はキメラの翼で素早く帰る。
王への謁見は明日に決まり、三人はドキドキしながらマトリフの洞穴で眠りについた。
短めでしたが、レオナの為人を書けていれば幸いです。
筆者の王族に対しての感想。の、一般庶民の方が楽ではないかを投影しました。
ヒュンケルはすっかりと主人公大好きっ子に変貌を遂げます。
次回からバラン編の本編に突入です。