勇者一行の料理人   作:ドゥナシオン

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色々とやらかす主人公です。




それぞれの決意

「・・・父親・・ですか・・」

 

一旦場所を移動して、メルルさん達と挨拶を交わして早々にされた説明に頭痛くなる。

いや知ってるけど、それでも我が子と初対面で死闘するって本当にどうしようもない父さんだ・・お髭のおじさんは優しくて、父としては駄目ってどうなんだろう?

 

「初めてお目にかかります。勇者ダイの妹で料理人をしているティファと申します。

兄達がお世話になっています。」

気持ち落ち着けてきちんとレオナ姫にも挨拶をする。

いや~原作よりも美人さん!ダイ兄頑張ってレオナ姫お嫁さんにして頂戴!そしたら私の義理姉さんだ!

テンションマックスで見てしまう程の美人さんだ。

メルルさんも綺麗な人だし、若い子がいるっていいな~。

ティファは自分の-今の年齢-を好かんと忘れて、頭の中がちょい親父化してしまっている。

さらに言えば、思考がバランに寄っていると知ったら「ダメ父と一緒⁉」ともだえ苦しみそうだが、知らぬがなんとやらだ。

 

「それで、ダイ兄はどうしたい?」ここはきちんと意思確認だ。

「・・ティファは・・どうしてそんなに落ち着いていられるの?父さんだっていう人が!いきなり敵なんだよ!!」なのに驚いていないだなんて!!

「兄・・驚こうにも、驚いている暇がないからそっちは一旦考えないようにしているんだよ。

状況はかなりまずい、クロコダインの話が本当なら魔王軍の最強戦士が相手なんだから。

それでも・・そうだね、現実感がまだ湧かないのが本当かな。」

声を荒げるダイに、ティファは困った顔をしている。

本当は知っていましたとは口が裂けても言えないが、それでも驚いているのは本当だ。

五年前から人間に対する評価を変えていなかった父に対して。

竜騎衆とテランの子供達との交流を見ていたはずなのにだ。

それでも変えなかったことに驚きよりも悲しみが先立つ。これであの三人とも戦わねばならないのか。

-伝言-を託されたというのに、どうしたものだろうか。

 

 

「・・・ごめんティファ・・俺分かんないよ!竜の騎士だっていきなり言われて!!分かりそうなところに行ったら・・」

「そしたら原点に帰ろうか。ダイ兄はどうして勇者ダイになったの?」迷ったら原点回帰が一番だ。

「俺・・ロモスの王様と、レオナを助けたくて・・」皆を助けたい!!

「そうか、そしたら-ヒュンケル案件-で行こうか!」

「・・なにそれ?」ヒュンケル案件て。

「ヒュンケルの時も、先生の同門でも敵だったでしょう?」「あ!!そうだ・・そうだよ!」

「ダイ・・バランって奴も助けるのか?」クロコダインの話では、カールを実際に占領したとあった。

ヒュンケルは一国と戦ったがさして被害が少なかったからまだ何とかなったが。

「・・その事なんだけどねポップ君、皆も聞いて頂戴。私がここに来たのはカールの女王フローラ様から親書が届いたからなのよ。」成り行きを見守っていたレオナが口を開く。

親書の内容は、大戦の始まる少し前に-竜の軍団が攻めてくる夢を見た事-

俄かには信じられなかったが、その数日後に大戦が始まり、竜の軍団は来なかった。

それでも毎日国境よりも数十キロ先まで見張りを置いて、国民にもいざとなったら素早く逃げられるように告知をして四日後に異変が起きた。

見張りより竜の軍が集結をしているとの報に、フローラは迷いなく国民から逃がして、首都が空になったのを見届けてから脱出をした。

「今は潜って散り散りになった騎士団達をまとめて機を窺うって。それは各王家に親書で渡されているって書いてあったけど、お父様とテラン王が旧知の仲で、フォルケン様の状態を心配されているの。」今大戦が体に響いていないかを心配し、その様子がはたで見ていても痛々しく、娘の自分が様子伺いに来たのだが、重大ごとの渦中に巻き込まれてしまったと苦笑する。

「彼の所業は人として許せないけれども-罪状-はヒュンケル達と同等と考えてくれればいいわ。」だから助けたいと思っていいのだと、レオナが許しを出してくれる。

 

 

 

よっしゃー!ここでも夢機能がきちんとお仕事してくれた!!後は父さんと三人ボコってとっ捕まえて説得三昧しましょう!!!

「・・・・・ティファ?」いきなり妹がガッツポーズしてる・・

「あ!ゲフンゲフン・・とにもかくにも、私がした事であちらは烈火のごとくお怒りの筈ですから、すぐにとって帰ってくるはずです。」

「そうね、私の護衛の・・」 「姫、僭越ながらそちらはテラン城の守りでお願いできませんか?」ティファがレオナに待ったをかける。

「理由は一つです。即席の集団は、時に危険です。

きちんと機能しない集団はたんなる的にしかなりません。少数であっても連携をきちんと組めた方が戦いやすいでしょう。」特に父さん相手だったら、護衛程度じゃ一般人と変わらない。

数が多ければいいというもんでもなし、守ろうとして兄達の力をそっちに削減されても割に合わないしね。

「・・足手まといって事?」「・・・正直に言ってしまえば実力が不足しているかと。魔法使いの一団のようですが、お一人ずつがポップ兄並ならば話は別ですが。」

「・・無理ね、分かりました。貴方の発言を入れましょうティファ。」

「ありがたく。」話の分かるお姫様だ、増々ダイ兄のお嫁さんになって欲しいよ~。

 

「あの・・私の顔に何かついているかしら?」

「あっと!・・いえ失礼しました!聡明な姫君が兄の想い人だと思うとつい・・」

「へ⁉」レオナは素でティファの言葉に驚いて、口をおの字にして手を当ててダイを見れば、グミの実のように赤くなっている!

「・・・レオナは俺の事・・」しかも真っ赤になっても真剣な目で!!

「ダイ君・・私はパプニカの跡取りで、色々と重責がついて来るの・・」

「そんな事は分かってる!ティファが教えてくれた!!」事件の後、一生近くでレオナを守りたいと妹に言った。

「その時にね、近くで守るっていうのはどんな事だと思うっていうのも。」騎士として側近くに使えるのか、-結婚-をして夫としてか。

無論結婚をしたい。島の中には番が沢山いて、家族になっているのをよく見ている。

家族なりたい、そういう意味でレオナが好きなのだと。

その時にレオナの今の状況を教えてくれた。

「俺絶対にレオナの-夫-に相応しくなる!待っててねレオナ!!」 「ダイ君・・待ってるね、くしゃくしゃのおばあちゃんになる前に!絶対に私をお嫁さんにして頂戴。」「しわだらけになっても、レオナならいつでも綺麗だよ。」 「ダイ君。」「レオナ」

「ゲフンゲフン!!・・二人共、こっちの世界に戻って来てくんねえか?」

「・・若いというのはいい事だ。」

「おっさんもしみじみ言ってねえで、とにかく!メルルとナバラさんはテランの王様と一緒に居てくれ。」

魔法使いの集団が城を警備してくれるなば、後顧の憂いなく戦える!

「ナバラさん、ここから少し離れたところに開けた場所はありませんか?」平原の見通しの良いところで決戦だ!

 

 

一方のアルゴ岬

 

「空戦騎・ガルダンディーまかり越しました。」

「陸戦騎・ラ―ハルト御前にまかり越しました。」

「海戦騎・ボラホーン推参しました。」

水で目を洗い流し、回復をしたバランはすぐさま竜騎衆三人を呼び寄せ、我が子が見つかり、妨害にあった事を伝える。

「かしこまりました、ディーノ様を迎えに上がるのですね。」

「それにしてもクロコダインがな~・・」武人の鑑だと思っていたのにとガッカリとする。

「こらガルダンディー!」 「だってよ、ラ―ハルト。」

「二人共、バラン様の御前だぞ。して、ご息女のティファ様の方は?」

「うむ、それが会えなかった。ディーノたちが島に帰したのかもしれん。それよりもお前達に尋ねるが。」 「「「は、何なりと」」」

 

       「五年前に会った少女に近頃会うか話は聞いていないか?」

 

 

「「「・・・は⁉」」」」「ルードはどうだ?」「-えっと・・-」

「何故ですかバラン様!!」ラ―ハルトは決死の思いで主に尋ねる。それほどまでにあの小娘は尋常一様では無かった!今思い出すだけでもすぐさま頭痛がしてる!!それ程の娘の事をなぜ今更と。

「いや・・やはり人の中にいさせるのは惜しい娘だ。ディーノたち共々保護をしたい。

それに年の近い者がいた方が二人も喜ぶであろう?」今度は有無を言わさずに連れて行くつもりだ。

「その様子で知らぬか。私は回復の泉で回復を図ってくる。各自も備えるように。」

 

 

「・・・バラン様、まだあのガキンチョの事を。」

「まあ、様々な意味で凄い娘ではあったな。」

「-僕もおねいちゃん大好きだよ、会いたいな~-」

「しかし、あの小娘は今の我等を許すまい。」人間全滅させるとか馬鹿言ってるな!!

かつてガルダンディーを烈火のごとく叱り上げたように。

バラン様は素晴らしい御方だが、人間憎さで見誤る時がある。あの少女が、今のバラン様を知って、果たして昔のように笑いかけてくれるかも分からない。

種族を全く見ていなかった優しい少女だった。

その少女と、似たような子供達に会ってしまったせいか、今はもう昔ほど人間を憎くは感じられない。少なくとも全滅を、ましてテランのあの村が襲われたらと思うとたまらなくなる時がある。

自分達だとて、他国を攻めているというのに何と都合のいい事をと思いつつもだ。

それはガルダンディーとボラホーンもそうだろう。ルードなぞは、兵士相手でも止めを刺そうとしない。

自分達を変えたあの少女は、今どこでどうしているのだろう?

 

 

「待たせたな、行くぞ。」亡き妻に子等を迎えに行くと誓い、アルゴ岬を後にする。

ラ―ハルト達は己の心を押し殺して従う。誰に誹られようとも、自分達はバラン様に付いて行く-最後-までだ。




主人公とお父さんの考えはほぼ一致しています。
ダイも情操教育が主人公のお陰で上手くいき、レオナとどうなりたいのか明確な答えが出ています。

竜騎衆とルードがようやく書けました。
次はいよいよ再会です。


この場をお借りして、いつも誤字脱字をお知らせしてくださるぞろぞろ様・釜玉うどん大盛り様ありがとうございます。

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