勇者一行の料理人   作:ドゥナシオン

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よろしくお願いします


そして交流が始まるのだ

皆に泣かれてじいちゃんが困ってしまった。

別に泣かすつもりで話したのではなく、なぜここに私達兄妹が住んでいるのかを説明し、ついでに日頃から考えている事を言ったに過ぎないからだ。

私からすれば泣くか泣かないかは相手の受け取り方次第・・・って・・格好つけたいけど!!

うっかりと私もぼろ泣きしそう・・気を付けよう・・じいちゃん話し・・。

 

「それでブラス殿。」

 

おっ、ウォーリアさんじいちゃんにもう-殿-って付けてる。

何聞くつもりかな?顔がすんごく真剣だ。

 

「この子供達の両親が迎えに来たら本当に二人を返すのですか?」

 

・・核心に迫る事ズバッと来たな・・あり得ないけどね。

 

「むろんそうしますじゃ。子は親といるべきかと・・」

「ではダイ君達はどうおもうでしょう?」

 

ウォーリアさん痛い所突いてくるな~。

じいちゃんの考えは正しい。でもウォーリアさんの言わんとしている事も分かる。

生みの親か、育ての親か。これが人間同士ならまたいつでも会いましょうが出来ても、ここはデルムリン島でモンスターだらけだで絶対とは言わないけど往来するなんてほぼ不可能だ。

そもそもモンスターが人を助けるだなんて夢にも思っていなだろうし、仮に人助けの事知られても、黙って連れて帰ってそれで終わりだろうし、子供が助けてくれたモンスターに懐いてまた会いたいって言った日には大問題だろうしな。

 

それでも私とダイ兄はじいちゃんも皆も大好きで、二度と会えなくなるの辛くて嫌だ。

その時は引き離した親を恨んでしまうかもしれない。

そんな親子関係が果たして私達兄妹にとって本当の幸せかどうかを、ウォーリアさんは瞬時に考えてくれたのかな?

 

「どうしたのじいちゃん?」

 

急に名前を呼ばれたダイ兄が怪訝そうな顔でこちらを向いた。

 

「ん・・まだ分からん事じゃ、何でもない・・。」

 

じいちゃんナイスフォロー!!

今のダイ兄に本当の親だのなんだの言っても分かる訳もなく、ただ不安にしてしまうだけだ。・・一応私も分からない振りして、二人の事をきょろきょろ見ている。

 

「あっと・・申し訳ない‼見ず知らずの私が立ち入った事を聞いてしまって・・。」

「いやいや、ウォーリア殿もこの二人を案じてくだされたのでしょう?

その時が来れば、自然となんとかなると儂は思っておりますじゃ。

今はこの子達が健やかに育ってくれれば、儂は幸せですのじゃ。」

 

己の意図を正確にくみ取ってくれるブラスの言葉に、ウォーリアーは益々ブラスに惚れ込んだ。

 

こんなに素晴らしい方が・・鬼面導士・・モンスターとは・・ひょっとして、俺達が知っているのとは全く違うのか?

しかしハドラーが攻めてきた時のモンスター達は凶暴だった・・一体どうなっているんだ?

さっぱり分からん。

 

ウォーリアは本気で悩み始めた。先の大戦時、実際に自分も凶暴化したモンスターの群れに襲われて死にかけもした。

しかし目の前のブラスには全くそれが無い。島のモンスター達からもだ。

皆穏やかな顔つきをして・・挨拶する素振りさえ見せてきたのだ・・どうしてこうも違う

の分からず・・首を捻るしかない。

 

その様子にティファはすぐさまピンときた。

 

はっは~ん、ウォーリアさん悩んでるわね?昔と今のモンスター達の違いについて。

種を明かせば全部邪悪な意思をまき散らしたハドラーが悪い。

今からその対策をしたいけど・・早く大きくなりたいな~。

 

「ウォーリア殿。儂等モンスター達も、平和に暮らすのを望むものが多いのですじゃよ。」

 

ブラスもウォーリアの悩みを察し、きちんと説明を始めた。

魔王の邪悪な意思に逆らえず、自我が乗っ取られていたことを。

 

「じゃからと言うて・・儂等が人にした事は簡単に許されるとは思っておりませぬ。

今はひっそりとこの子達と暮らしてゆくのがこの島全てのモンスター達の望みですじゃ。」

 

うう~っ・・じいちゃん・・それ以上は私が泣いちゃうよ~。

気が付いたらダイ兄じいちゃんに甘えてる・・私もひっつく!!・・すりすり・・。

 

「こりゃ~!二人共‼お客様方の前での失礼じゃぞ‼」

「ブラス殿!!!」

 

二人を叱りつけている時、突如ウォーリアはブラスの手をがっちりと掴んだ当然ブラスは何事かと慌てふためく。

 

「なな・・急にどうしたのですじゃ、ウォーリア殿・・」

「よろしければ我等と交流をしませんか?」

「はあ⁉」

 

だが次の言葉のほうにこそ更に驚いた。人間とモンスターが交流とは聞いたことも無い。

 

「驚かれるのは無理もありません。私自身こんな考えが浮んだこと自体驚いています。

しかし私はティファ嬢を助け、貴方とダイ君を知り、この島のモンスター達が世間で言われているような魔物の住まう地ではないと知ったのです!

それを知り貴方達の力になりたいと思ったのです‼そうだろお前達!!」

「船長の言う通りっす!こんないい人達放っておくのはいけませんっす!」

「そんな事したら海の男の意地が廃ります。」

 

海の男三人の魂が燃えた‼

 

「いやしかし・・。」

 

急に言われたブラスがついていけなかったが、ウォーリアーはブラスを逃がすかとブラスの小さな手をがっちりと握りしめ直して自分の提案を断られないように、怒涛の勢いでプレゼンを始め出した。

 

「良いですかなブラス殿、我らが海の男一致団結をせねば大海原は渡っていけません。誰かが少しでも困っていれば助けるのが当然な事なのです。」

 

ブラスの手を握りしめたまま、ウォーリアは熱く語る。手助けをしたいと。

 

「今の所困っては・・」

 

手助けを心苦しく思いウォーリアに断ろうとしたが押しの一手を言われた。

 

「ではティファ嬢は何故着替えをしていないのですか?服はあの一着だけなのではありませんか?子供はあっという間に大きくなります。

衣服も食料も、子育てにはなにかと入用のものが多いのですぞ。」

 

断ろうとするブラスをウォーリアは子育ての大変さを使って説得をする。

やはり人間とモンスターの子とは違うの事を説明して。

 

「ブラス殿私達にもお手伝いをさせてください。

この素晴らしい子供達がこのまま健やかに育つように。」

 

その熱い熱意に、ブラスの心は決まった。

 

「分かりましたじゃ・・よろしくお願いしますじゃ。」

 

確かにウォーリアの言う通り・・大きくなっていく二人には足りない物が増えてこよう。

服もその一つ。幸いウォーリアの船員達は幾人か家庭持ちがいるという。

ダイとティファの為にも交流を受けることにし頭を下げる。

 

「交流をお願いしますじゃ。」

 

ウォーリア達は必要物資を、こちらは海のモンスター達の住処といざこざをしなくていい方法と島に自生している薬草や食料等を交換のものとして。

 

 

・・じいちゃんと船長さん達が話し合っている間ダイ兄飽きて私のお膝で寝ちゃってる。

まぁいいや。計画コンプリートだ。そして交流が始まった。




ようやく交流出来ました。
この場を借りて前回の誤字をお知らせくれたクマ吉様、ありがとうございました。
次回はいよいよダイの親友が出てきます。

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