よろしくお願いします。
「ヒュンケル下がってって!」
「しかしダイ!!」
「大丈夫!今ならデイン系も防げそうな気がする!!・・俺庇ってくれたんだから・・」
ダイとティファに腹部の致命傷を受け、更にダイの猛連打を喰らったバランは事態の打開の為にライデインをダイに落としたが、瞬時にヒュンケルが庇いダイは事なきを得た。
「ヒュンケル!!」
いつまでたっても回復に来ないヒュンケルをティファがさっさと回収をする。
元々ラ―ハルトとの戦いのダメージをそのままにしておいてその上ライデインを喰らったのだから、ヒュンケルが動けないのはやむをえない事である。
しかしヒュンケルがそれを良しとはせずに、忸怩たる顔で俯く。
弟弟子達が命を懸けている時に、自分は動けずに何と不甲斐ないのだと。
「ヒュンケル。」
俯くヒュンケルに優しい声が降ってきた。
「ヒュンケル、自分にできる事を精一杯やって今に繋がっているんです。
今ダイ兄が思い切り戦えているのもヒュンケルがライデインをその身で受けてくれたからです。
痛かったでしょう、姫この飲み薬は体内の火傷を治す効果があります。
ベホイミと合わされば回復が早いのでお願いをします。
ヒュンケル、きちんと治してくださいね!」ここはがっつりと釘を刺そう!!
傷だらけで再起不能のフラグはバキッと折りますとも!
「分かった、姫君お手を煩わせるが・・」
「いいのよ!ティファの言う通り、名誉の負傷です!!きちんと治しましょう。
ダイ君を守ってくれてありがとうヒュンケル。」
レオナは王女としてヒュンケルに訓戒を垂れたが、後半は恋人を守ってくれて感謝をしている女の子としてお礼を言った。
「姫・・勿体ない・・」
少々じゃじゃ馬のようだが、素晴らしき姫だと改めて思うヒュンケルであった。
「メルルさん、クロコダイン!お待たせをしました!!」
背の傷にホイミをあてているメルルの下に駆けより、傷全般に効く万能薬をクロコダインの背中に直接流し込む。
「ぐう!!!」
それはさしもの獣王をして呻き声を漏らさすほどの激痛を奔らせるものであった。
「すみません、効きがいい分沁みます。メルルさん、しばらくホイミを充ててもらいますがご無理はなされずに。」
「承知しています・・ティファさん、ポップさんは・・」
「助けます!」
メルルの憂いの質問を、ティファは迷いなくきっぱりと答える。
「死神如きにポップ兄はくれてやりません!蹴とばして泣きながらお一人で冥界に戻っていただきます!!」ポップ兄を死なせない!!
その断固とした・・少し風変りな返答は、初めての戦場でもあるにもかかわらずメルルをクスクスと笑わせる。
変わった、でもとても暖かくて優しい少女だ。
メルルはすぐにティファを好きになった。この一行の人達は皆いい人達ばかりだ、自分も何か役に立ちたい。
その為にもクロコダインの傷をきちんと癒そう!
「ディーノよ!!」-バキン!!-
「俺はダイだ!!ブラスじいちゃんが付けてくれたんだ!!」-ドカン!!-
下と違い、上空ではバランとダイが殴り合いの戦いを繰り広げている。
双方相手にダメージを喰らわせるの決定的なものがなく、乱打戦にもつれ込んだのだ。
ううん・・拮抗した状態・・不味い!体力は父さんの方が上だ!!このままずるずると戦っていたら・・「-ティファ!!!-」
不味い状況だとティファが考え始めた時、ベほの呼ぶ声がしたのですっ飛んで行った。
「べほちゃん!どうし・・ポップ兄!!」
駆けつけてすぐに分かった、ポップの心音が弱まっている!!
しまった!姫に使った精霊樹の入りの原液を薄め過ぎた!!
薬も強すぎれば毒となる!だからこそ効能を消さない同じ効能の薄い物を混ぜ合わせて薬となるが、ポップ程の瀕死の者には薄すぎたのだ。
薬は今手元にはあと一本しかない、飲ませようとしたがわずかに開いている口からこぼれてしまう。
先程よりも命の火が消えかけている証だった。
・・・・こうなったら!!緊急事態!!!
バランはダイと乱打戦をしながらも時折ティファの様子を目の端でとらえている。
仲間を必死に助ける行動は尊いが、人間を助けてほしくはない!むっ!!ティファそれは
!!!
-ズドン!!!!-
ダイの拳をまたもやもろに腹部に喰らったが、全く気にならない程の事をティファがしてしまっている!!!!
あれ?‥今物凄く痛いはずだよね?
腹部の鳩尾は激痛を超すと先生に教わったのに無反応で、しかも反撃が来ない事にダイが訝しげにする。
見上げればバランは目を見開いて自分以外をガン見している・・気になってしまって自分も首をそちらに向ければ・・
「エエ―――――――!!ティファ!!何でポップと口づけしてるの⁉」
なに⁉実はポップの事を好きなのティファは⁉俺応援した方がいいのかな?
-ぶうぅう―――!!-・・・・・・・何考えてるのよこの非常時にあの馬鹿兄は!!!!!
薬を自力で飲めないポップの為と飲ませていれば、ダイのとっても勘違い発言に三分の一に吹いてしまったではないか!!
鬼の形相で下らない事言ってないでそっち集中をしようとすれば・・「あの・・・何か・・」
バランが思いっきりティファを見てブルブルと震えて、なんと優しい手つきでダイをそっと横にどかした。
あまりにも自然な動作に、ダイもうっかりと退いてしまった。
「ティファよ,そこを退きなさい。」
そしてまたもや優しい声ではあるが、目が据わってポップに向かってドルオーラの構えをした!!
「ちょっと待ってください!!今のは口づけでは無くて緊急事態の口移しをですね!!」
「問答無用!!!」愛娘にたかる害虫は灰と言えども残してなるものか!!
ああもう!!
「ダイ兄!!!」「ティファ――!!」
ティファは飛べないが、近頃は常に空飛ぶ靴を履いておりそれが功を奏してダイと上空でドルオーラを受けることにして竜闘気を極限まで高め合い受け止めた!!!!
何て馬鹿馬鹿しい理由で最大奥義を撃ってくるのよ父さん!!!誤解なのに―――!!
バランの超が付く親馬鹿満載のドルオーラは凄まじく、ポップを背に庇い二人の全開の紋章でかろうじて防げた程だった。
「兄・・もう少し一人でお願い・・」
「何言ってるのさ!ティファは・・・」
「ダイ兄、私弱くはないんだよ。」もう隠すのは止めにしよう、兄達はもう強いんだから私に縋りつくことはしない。
「・・分かった・・でも大丈夫だからね!」
いくら言ってもダイにとってはティファはレオナ同様に守る対象なのだから、戦わせたくはない。
頑固だなダイ兄もって!!
「お前の負けだ!!」
あれは不味い!「ストップダイ兄!!」
「え?った!!!」
ああ~父さんに蹴り落とされた・・
「いきなり何さティファ!!」-ゴン!-
「痛い!!」文句言ったら拳骨落とされた!!
「当たり前でしょう!パプニカの使ったら、今のダイ兄の力で壊れるでしょうか!!」
「あ・・」
ドルオーラを完全に防がれたことでバランが焦ったところをアバンストラッシュをしようとしたのを止められたのに腹が立ったが・・よく考えれば今の自分のパワーにこのナイフが来られるかと言われれば無理だろう。
「その通りだ!!」
バランも地上に降りてきて真魔剛竜剣を手にする。
「我らの全開に耐えうる剣はこの真魔剛竜剣のみ!!大人しくするがいいディーノよ!!」
「・・・そんな・・」
剣が使えなければバランに勝つ見込みがない!どうすれば・・
「甘いのです!!!」
ダイの焦りを吹き飛ばすが如く、ティファはバランに向かって否定をする。
ここで出すかどうか、ダイ兄の-ダイの剣-まで待つつもりであったが、事ここに至ってはやむおえない!
ティファは首から下げていた-銀のマジックリング-を鎖から引きちぎる。
「アクセス!雪白!!!」
-ヒィーンー -カァ―――ァ-
ティファの求めに応じるようにリングは輝き、光が収束をした時にティファの手には細身で柄も鞘も全てが白く、見たことも無い形状の鍔もまた白い武器を手に携えていた。
ようやく主人公の愛用武器を出せました。
今回はとにかくポップ君は親子の間の被害者です。
次回は主人公が三人組にテランの伝言を伝える回想っぽくなります。