勇者一行の料理人   作:ドゥナシオン

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主人公の命運が風前の灯火かしそううなフラグ話です。




ー幕間ー魔王軍サイド

その話は滑稽であった、荒唐無稽と言えなくもない。

報告をしている最中の自分だとて、言っていてどこの冒険譚の三文小説を読み上げているのかと馬鹿馬鹿しくすらなる。

だがしかし、残念ながら全てまごうことなき事実だ!

 

「成る程。現時点では勇者よりも妹の方が、我等の作戦の阻害要因になりうるものと判断をする・・そう言いたいのかミストよ。」

「御意にございます-バーン様-、今作戦を立案をした身ではありますが、-あれ-が我が軍に来なかったことを安堵しております。」

「なんと、そなたがそのような事を余に言ったのは初めてと記憶するが、それほどの者がいたとはな。」

 

鬼岩城ではなく、バーンがいる死の大地の奥深くにてミストはバラン戦で見聞きしたことをすべてバーンに報告をした。

勇者ダイ達の成長度合いは自分たちの予想を遥かに上回っているのも。

 

よもやたった十二の少年が紋章を使いこなし、バランと渡り合う力を手にしたのは脅威とみなしていい範囲だ。

 

それだけに早々にダウンをした弟子ともいえるヒュンケルに腹が立ったのは内緒だ。

お前はその程度の器ではない。やはり憎しみの原動力を消されたが為に腑抜けたかと苛立って見ていたのはキルにはばれただろうが、あれは自分の事を告げ口しないのは知っているので大いに荒れた。

さっさと捕えて、バーン様の役に立つ道具に-再教育-しなおしたい。

 

それは置いといても、やはり脅威なのはティファだ!

その実力・知識・判断力・所持をしている武器などでは断じてない!!

それらは全て自分の主が上回り、最終までたどり着けたとしてもこちらが勝つのは目に見える。

では何が危険かと言えば-ティファ本人-が危険なのだ!!

 

竜騎衆達とのやり取りを見ていてから嫌な予感はしていた。

氷の如くと言われていた超竜軍団の心を揺り動かし、遂にはあの憎しみに凝り固まったバランをして-もはや人間と敵対はしない-と言わしめて、長年抱き続けていたバランの憎しみを捨てさせた言動が脅威だ!

 

愛した者が魔王・大魔王であってもよいなぞという、子供の戯言を本気で言って押し通そうとしたものが自軍にいられたと思うとぞっとする!!

 

それこそ地上界を滅ぼそうとしている自軍を崩壊させかねない要因にしかならない。

人とは記憶が消されても本質までは変えられない。

記憶が消されたダイは弱々しかったが、それでもバランに逆らったことからそれは見て取れる。

ならば記憶が消されてもティファならば、種族全てを滅ぼすのは間違っていると逆らい続け、精神の弱い者から取り込まれてやがては大混乱の種にしかならない。

地上を消すまでもう僅かな時間だとしても、このタイミングで-五年前-のような事は二度と御免だ!

バランが破れて軍に反旗を翻す事になろうとも、ティファが来なくて良かったというのが最大の本音であり、余すことなく主に報告をした。

 

 

「ふむ、キルよそなたはどう見る。」

「僕に聞きますか?残念ながら僕は面白い事が大好きなので、真面目一途なミストが怒りそうな事しか言えませんのでご遠慮させていただきます。

今度-二人きり-の時にいかがですか?」

 

キルは-名目上-はヴェルザー配下であり、バーン暗殺の刺客なのだがさぼっている。

もっと言えば命令履行をしようとはてんで思ってもいない。

だってバーン様とミストが大好きになったからと、およそオート・ドールが考えそうにない事を-考える-ものになっている。

キルの主はヴェルザーであり、その意を汲んで動く―人形―ではあるが、一から十まで命じなければ動けないものは役には立たないと、-疑似人格-を植えたのが、作り手の予想の範囲を超えて本物と言っても差し支えない人格が出来たのが原因である。

 

いざとなればヴェルザーなんて袖にする予定ではあるが、それはまだ周りには内緒であり、親友のミストにも言っていない。

よって現時点で自分とバーンが二人きりになる事は金輪際ない。

すぐにミストがすっ飛んできて、主を守ろうとするからだ。

つまるところ自分のティファに対する感想等をバーンに言う事は無いという遠回しのお断りである。

 

「そなたは変わらず仕方のない奴だ。」

自分の拒否すらも、その仕方に面白みを感じて笑ってくれる主なんてそうそういまい。

普通ならば馬鹿にしているのかと激昂しそうなものだが、この主の度量のなんと大きな事か。

 

その度量が大きく、かつ-面白い事-を何よりも愛するバーンには-ティファは面白い-と映ってしまったのは自明の理であったのかもしれない。




ちらほらとフラグを詰め込んだ短文でした。

そして主人公の死亡率が格段に跳ね上がった、主人公にははた迷惑な話でもあります。
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