鋼鉄の魂   作:雑草弁士

103 / 108
『エピソード-089 戦いの影』

 色とりどりの料理がテーブル上に並び、給仕の青年や女性が談笑する人々の間を歩き回る。絵に描いたようなパーティー会場の様子だ。いや、実際にパーティー会場なのだが。パーティー会場は、以前もキース、ヒューバート少佐、アーリン少佐の授爵パーティーを開いた事もある、惑星首都ワロキエ市屈指の有名ホテルだ。

 このパーティーはキースが主催した物で、サオルジャン大陸の前代官アーヴィング・オールドフィールド氏と、ラウルト大陸の前代官エミリア・ロレンツォーニ女史の送別パーティーである。2名の前代官は、明後日の3028年05月13日に惑星タワスⅣを離れて、恒星連邦首都惑星ニューアヴァロンへと向かう予定になっていた。

 

「アーヴィング殿、ミズ・エミリア、これまでありがとう。貴方がたが任期が終わってもタワスⅣに残って色々と教えてくれたおかげで、我々が領地を拝領した後の、本当なら色々と混乱が起こってもおかしくない時期を、何事もなく乗り越えられた。」

「いや、これまで本当に助かりましたよ。貴方がたには、いくら感謝しても足りないぐらいだ。」

「お二人には、本当にお世話になりました。貴方がたの教えてくれた事は、忘れません。」

 

 キース、ヒューバート少佐、アーリン少佐が口々に礼を言う。アーヴィング氏とエミリア女史は、笑顔で応じた。

 

「そう言っていただけると、こちらとしても嬉しく思いますな。」

「どうか今後とも、領民のための政を心がけてくださいましね?もっとも、ウォーターハウス殿がいらっしゃるのです。余計な心配でしたかしら。」

 

 まあ、エミリア女史の言う通りだろう。有能で実直なクリスティアン・ウォーターハウス氏が、キースたちが出征している間は代官として、キースたちが領地にいる間は相談役として、タワスⅣのサオルジャン大陸とラウルト大陸の統治に責任を持ってくれるのだ。彼がいるかぎりは、大きな問題は起きる事は無いだろう。少なくとも他の継承国家からの侵略などと言う、外圧がかからない限りは。

 ちなみにそのクリスティアン氏は、このパーティーには出席していない。本当は出席予定だったのだが、急な仕事が入ってしまったために、ヘルツォーク城の司令執務室でキースの代理として政務を執っている。そのため彼はこのパーティーに先立って時間を作り、アーヴィング氏とエミリア女史に既に別れの挨拶を済ませていた。

 なお軍務の方は、ジーン大尉が司令官代理として受け持っていたりする。ジーン大尉は近いうちに少佐に昇進予定であり、キースの中隊を連隊指揮中隊として分離した後のA大隊を任せる事になっていた。閑話休題。

 

「アーヴィング殿、ミズ・エミリア……。改めてこれまでの事、礼を言わせてもらいたい。本当に、ありがとう……。今後、貴君らの将来に、その能力と為人に相応しい成功と栄光が待っている事を、切に願う。」

 

 キースはアーヴィング氏とエミリア女史に向かい、見事な敬礼を送る。ヒューバート少佐とアーリン少佐も、それに倣った。アーヴィング氏とエミリア女史は居住まいを正すと、会釈をもって礼に代える。パーティー会場には楽団の奏でるクラシック音楽が流れていたが、その音楽は何の偶然か、少々物悲しく聞こえるパートに入っていた。

 

 

 

 パーティーから8日後の、05月19日。既にアーヴィング氏とエミリア女史は惑星タワスⅣを離れており、キース達はなんとは無しに何かが足りない様な気分を味わいつつ日々を過ごしていた。やはりおそらく、そのうちに慣れてしまうのだろうが、いましばらく彼らはこの感覚と付き合わなくてはならない様だ。

 そんな中、キースはヘルツォーク城の司令執務室で、星系のゼニス点へ到着した航宙艦インベーダー級イントレピッド号からの通信文を受け取っていた。これは惑星タワスⅣの深宇宙通信施設を介して送られてきた物である。キースの本音を言えば、キース直卒小隊のマテュー大尉が駆るバトルメック、100tアトラスには深宇宙通信アンテナが搭載されているのだから、それを使ってメッセージを受信したかった。

 しかし、そう言うわけにもいかない。ここはキースの領地がある惑星なのだ。そしてキースの領地は、この惑星で最も広い。事実上、キースはこの惑星の支配者に準ずる立場を持っている。その様な者が、ちょっとばかり高く付くからと言って、妙なところでけちる姿を領民に見せるわけにはいかないのだ。面子にも関わる。まあ、支払った金はこの惑星内の経済活動に回る事だし、無駄にはならない。

 それはともかくとして、イントレピッド号から届いた通信文は、商用航宙に出していたユニオン級降下船エンデバー号、同級レパルス号、同級ミンドロ号が帰って来たとの知らせであった。実際にそれらがヘルツォーク城の付属宇宙港まで無事に戻って来るまでは安心はできないが、儲けはかなり出た事が文中に記されていた。

 

「ふむ……。ゼニス点のジャンプポイントから事故を起こさないでこちらまで到着してくれれば、部隊の運転資金はかなり余裕を持てるな。また隊員たちにボーナスも出してやれそうだ。」

「それはいいですね。皆喜びますよ。コーヒーのお替りは?」

「ありがとう、貰おうか。」

 

 連隊副官ジャスティン大尉が差し出すコーヒーを受け取り、キースはそれを一口飲む。

 

「ふむ、相変わらず美味いな。さて……。エンデバー号、レパルス号、ミンドロ号が帰って来る頃合いだと言う事は……。予定ではほぼ同時期に、マーチャント級のネビュラ号にパーシュアー号、インベーダー級のズーコフ号が商用降下船を運ぶ仕事から帰って来る頃合いだったな。

 更にそれと前後して、ユニオン級降下船ゾディアック号を載せたマーチャント級航宙艦クレメント号がタワスのジャンプポイントに帰って来る……。ゾディアック号の兵員スカウト旅行は、結果がどうなっているか早く知りたい物だが……。」

 

 04月下旬に傭兵たちの星ガラテアへ、新たな兵員のスカウト旅行に出たゾディアック号からは、惑星ガラテアから大昔の電報の様なHPGメッセージが届いただけである。内容は、スカウト旅行の目的はなんとか達した、との事であったが、詳細はわからない。HPG通信で大量の情報を送るのは、大金がかかるのである。

 片方では金を惜しまず使わねばならないし、片方では倹約しなければやっていけない。新興貴族の中途半端な権力者は、大変なのであった。まあそれはともかくとして、ゾディアック号の帰還と、06月に入ってからにはなるが惑星ロビンソンからロビンソン戦闘士官学校の卒業生がやって来れば、部隊の拡張と再編は一段落つく事になる。

 

(今のうちに、新しい部隊編制の骨子を決めておかねばならないな……。)

 

 キースは内心で呟くと、部隊の編制表を取り出し、幹部会議に賭けるためのたたき台の書類を作るために、色々と考え始めた。

 

 

 

 そして今、キースと『SOTS』幹部士官たちは、正直なところ驚いていた。昨日05月24日にユニオン級エンデバー号、同級レパルス号、同級ミンドロ号がヘルツォーク城付属宇宙港に帰還したのと時を同じくして、ユニオン級ゾディアック号を搭載したマーチャント級クレメント号がタワスのジャンプポイント、ゼニス点に到着したのである。そしてゾディアック号がスカウトに成功した新規の人員についての詳細情報を、惑星タワスⅣの深宇宙通信施設を介し送って来たのだ。

 ヒューバート少佐が、溜息を吐いて言う。

 

「メック戦士や航空兵が、失機者や元から機体を持っていない者も多いですが、それでも28名ですか……。しかも機体を持っている者を、8名も含んでいる。」

「まあ、その内3機は損傷機ですけどね。けれど驚きなのは、LAM乗りが4名も、機体ごと加わってくれた事よね。」

 

 アーリン少佐も、この大成功過ぎるスカウト結果に唖然とした様子を隠せない。そこへジーン大尉が、厳しい視線を投げかける。

 

「ですが大佐。これだけの大量の人員確保……。もしや……。」

「ああ。やはり応募者に毒水は多少混じっていたそうだ。スパイの疑いがある者は不採用に。疑いレベルではなしに確証を掴めた者は……。まあ、例のごとく「処理」したとの事だな。」

 

 司令執務室に集まった『SOTS』幹部士官たちの一部は酢を飲んだような顔になり、そして一部は重々しく頷く。やはり部隊規模が大きくなった事もあり、『SOTS』は敵対陣営から注目されているらしい。キースは苦笑いを浮かべつつ、言葉を紡ぐ。

 

「採用者はきちんと身元も洗ってあるし、思想的にも調査済みだそうだ。まあ、Cビルはかなり使ってしまったらしいがね。まあ必要な経費だ。このままジャンプポイントからタワスⅣまで、無事に降下してきてくれる事を祈ろう。」

「アリー船長もガス副長も、歴戦の船乗りです。アデル機関長もグレン副機関長も、同じく熟練の技術者です。安心して良いでしょう。」

 

 ケネス大尉の言葉に、機甲部隊のイスマエル少佐たちや整備中隊のサイモン老らが頷きを返す。キースもまた同様に頷いて、その意見に同意を示した。そしてその言葉通り、5日後の05月30日早朝まだ暗い内に、ゾディアック号は新規参入した隊員たちを乗せて、ヘルツォーク城付属宇宙港の離着床へ無事に着陸したのだった。

 

 

 

「ほう、ヒューバート少佐とアーリン少佐の邸宅は、設計が完了したのか。」

「ええ。先ほどクリスティアンから聞かされました。」

「わたしも同じくですね。さっそく工事に入ったそうです。まあ、まだ基礎工事が始まったばかりですけど。」

 

 司令執務室での書類仕事中、キース、ヒューバート少佐、アーリン少佐の3人はひと息ついて休憩を取っていた。気晴らしの無駄話として掛けられたキースの問いに、ヒューバート少佐とアーリン少佐は、笑いながら答えた。キースは朗らかに笑う。ようやくの事で、ヒューバート少佐の領地であるヴィオネ市や、アーリン少佐の領地であるジロ市に建てる、彼らの邸宅の設計が完了したのだ。アーリン少佐の言葉通りに、既に彼女らの領地では基礎工事が始まっている。

 アーリン少佐が、キースに訊ね返す。

 

「そう言えば、キース大佐の邸宅は、まだ設計は出来上がらないんですか?」

「む、ああ……。流石にな。規模が大きいので、な……。あんなに大きくなくてもいいと思うんだが……。」

「そうもいきませんよ。星系外からのお客をお泊めする場所でもあるんですし。くくく、往生際が悪いですね。」

「む……。」

 

 ヒューバート少佐にばっさりと真正面から叩き斬られ、キースはぐうの音も出ない。と言うか、それはクリスティアン氏からも言われていた事と同じであった。何度も同じ事を言われるのは、中々来る物がある。キースは連隊副官ジャスティン大尉が差し出したコーヒーのマグカップを受け取って、一口飲み込む。

 

「さ、て。演習場の手配をしなくてはな。再編制した部隊の訓練を、今のうちにしっかりやっておかねばならん。ジャスティン大尉、書類を用意してくれるか?」

「了解です、キース大佐。」

「そうですね。仕事再開するとしますか、キース大佐。」

「あら?こっちにジーン大尉から上がって来た、A大隊の再編制書類が来てるわ?」

「あ、失礼しましたアーリン少佐!」

 

 慌ててアーリン少佐の机へ向かったジャスティン大尉が、書類一式を受け取ってキースのところへ戻って来る。キースは失笑してそれを受け取った。

 

 

 

 数日後の06月03日、実機演習から司令執務室へ戻ったキースは連隊副官ジャスティン大尉より、1通のHPG通信文を受け取った。

 

「これは?」

「はっ。差出人は、バレロン伯にしてダルデスパン伯、ジョナス閣下です。内容は私信との事で、チェックしておりません。」

「私信か。しかし普通に私信なら、手紙でも送ってよこすのが普通だ。わざわざ高価なHPG通信で知らせてよこしたのは、何か理由……。」

 

 キースはそこまで言って、口を閉ざした。そして少々考えにふける。だがすぐに彼は気を取り直すと、ジャスティン大尉に向かい命令を発した。

 

「ジャスティン大尉。今から中会議室を1つ押さえてくれ。緊急の幹部会議を行う。」

「はっ!了解しました!」

 

 ジャスティン大尉は卓上の端末に飛びつき、指令室へと電話を掛ける。そしてすぐにキースに向き直ると、結果を報告した。

 

「第2中会議室が取れました!今から連盟標準時で18:00時まで押さえてあります!『SOTS』幹部士官にも召集を掛けました!」

「ご苦労。すまんが連盟標準時で06月後半以降の予定は、全てパスになる。たいした予定は入っていなかったと思うが……?」

「はっ。大きな予定は、今のところ入っておりません。」

「ならいい。第2中会議室へ向かうぞ。」

「了解です。」

 

 2人はそのまま司令執務室を出、第2中会議室へと向かう。廊下に出るとヘルツォーク城全館放送で、小隊長以上の士官および連隊副官、大隊副官、各船長、惑星学者や自由執事他の文官組など、『SOTS』の全幹部士官に対し第2中会議室へ集合する様に指示が流れていた。

 キースとジャスティン大尉が第2中会議室へ入ると、そこにはハオサン博士や自由執事ライナー、偵察兵小隊暫定隊長エルンスト少尉待遇曹長他数名が既にやって来ており、文官組は会釈を、武官は敬礼を送って来る。キースとジャスティン大尉はそれに答礼を返すと、定位置へ着座した。その後も次々に『SOTS』の幹部士官が集まり、全員が集まるとキースが会議の開始を宣言した。

 

「皆、忙しいところご苦労。これより緊急の扱いで、『SOTS』幹部会議を開く。」

「隊長、議題はいったい?」

 

 そう言ったのは、連隊指揮中隊指揮小隊の副長である『SOTS』最古参士官、マテュー・ドゥンケル大尉である。頷いたキースは、語り出す。

 

「つい先ほど、恒星連邦首都惑星ニューアヴァロンにいらっしゃる、バレロン伯にしてダルデスパン伯、『第9ダヴィオン近衛隊』連隊長ジョナス閣下からHPG通信でメッセージが届いた。恒星連邦の傭兵関係局より緊急の任務依頼があり、連絡将校リアム・オールドリッチ大尉が契約書を持ってこの惑星タワスⅣに向かっているとの事だ。メッセージには任務内容について、ざっとであるが説明があった。その内容は……。」

 

 キースの説明に、一同は真摯に聞き入る。そして彼の話が終わるや、次々に挙手が為され、質問や意見が飛び交う。そして『SOTS』は今この時より、出征の準備を整えるべく動き出した。長き休息の時は、終わろうとしていたのである。

 

 

 

 その後も、キースの持っている伝手の1人であるダヴィオン家情報工作員イサーク・テラダスより『ウルフ竜機兵団がダヴィオン家と再度契約し、恒星連邦に仕える』との情報が届いたり、キースの邸宅の設計図が完成し即時着工されたりと言った事件とも言えない事件が起きた。しかしそれらの出来事は『SOTS』自体に特に影響を与える事はなかった。

 今現在『SOTS』は、メック部隊を連隊指揮中隊+A、B、Cの各大隊+歩兵随伴支援独立小隊+降下猟兵隊+訓練中隊という構造に再編制しており、また気圏戦闘機隊もA(アロー)、B(ビートル)、C(カバラ)、D(ダート)、E(エッジ)の各中隊と、F(フィアー)の1個小隊という編制に変えていた。無論、支援をする機甲部隊や歩兵部隊、偵察兵や整備兵の隊も、当然ながらそれらに対応して、編制が変わっている。若干の欠員はあれど基本的な構成は固まっており、今のところこれ以上編制が変更される事は無いはずである。

 この新たな部隊構成に慣れるため、『SOTS』全部隊はここしばらく実機、図上、シミュレーターを問わず、必死で演習に取り組んでいた。ちなみにキース中隊を連隊指揮中隊として切り離したA大隊は、元第3中隊を第1中隊に異動し、ほぼ新人で構成された1個中隊を新たな第3中隊として加えて再出発を図っていた。A大隊の暫定指揮官は第1中隊中隊長のジーン・ファーニバル大尉が少佐待遇になって任に就いており、新たな第3中隊の中隊長はC大隊第7中隊火力小隊である対空小隊の小隊長であった、ジェラルド・ハルフォード中尉が異動して大尉待遇で暫定的に就任している。

 そして06月14日、ミュール級商用降下船に乗って、惑星ロビンソンのロビンソン戦闘士官学校より、メックを所有していない卒業生が4名やって来る。彼らはレオ・ファーニバル教官及び、ロビンソン戦闘士官学校司令官ディビット・サンドヴァル大佐の礼状を携えていた。キースは早速彼らを部隊に組み込む。と同時に彼は、ジーン・ファーニバル少佐待遇大尉と、ジェラルド・ハルフォード大尉待遇中尉を正式な少佐と大尉に昇進させた。

 

「ジーン・ファーニバル大尉。本日ただ今をもって、貴官を少佐に任ずる。この辞令と新しい階級章を受け取れ。また同時に貴官を正式に、『SOTS』メック部隊A大隊の指揮官に任命する。今後とも、より一層の努力を期待する。」

「はっ!必ずやご期待に沿ってみせます!」

「うむ……。では、ジェラルド・ハルフォード中尉。今この時をもって、貴官を大尉に任じ、正式に『SOTS』メック部隊第3中隊の指揮官に任命する。これが辞令と階級章だ。中隊指揮官の重責は、小隊指揮官とは比べ物にならない事を、これまでで充分理解していると思う。だが、貴官ならば必ずやできる。頼むぞ。」

「はっ!了解いたしました大佐!」

 

 昇進した2人は、見事な敬礼をキースに送る。キースと彼に付き従うジャスティン大尉は、答礼を返した。キースは2人に語り掛ける。

 

「たしか明日は、すぐにA大隊の実機演習だったな?来たばかりの新人どもは今日1日は休ませてやったが……。恒星連邦の連絡将校、リアム大尉が来るのは明後日の16日の予定だ。降下船の事故でも無ければな。既にリアム大尉とは、深宇宙通信施設を介して任務内容に関する情報を貰っている。今、その情報を分析させているところだ。

 リアム大尉が来たら、すぐにでもこの惑星を出立するつもりなのは、以前の会議で言った通りだ。現地ワクチンの確保などは医療チームと惑星学者チームがやっている。貴官らは、新人どもが少しでも動ける様に、僅かでも鍛えてやってくれ。何もしないよりはマシと言うものだ。」

「「了解しました!」」

「では退室を許可する。」

 

 再び敬礼と答礼を交わし、ジーン少佐とジェラルド大尉は司令執務室を退室して行く。それを見送って、キースはジャスティン大尉にぽつりと漏らした。

 

「ドラコ領域内の惑星に向かい、そこで立ち往生している味方の撤退支援、か……。」

「たしか惑星パリスⅡ、でしたね。」

「ああ。ジャンプポイントのナディール点から惑星軌道上までの時間は2日程度。強襲するに易く、護るに難い星系だな。だから、我々の任務も比較的やり易い。しかし……。そんなに簡単には行かないのだろう、な。」

 

 キースは眉を顰め、溜息を吐く。だがすぐに頭を切り替え、新たな任務に対し闘志を燃やした。前回の戦闘任務は、3024年02月04日に恒星連邦ドラコ境界域の惑星シメロンで行った戦いが最後である。それから優に4ヶ月半、『SOTS』にとって久しぶりの戦闘任務が近づきつつあった。

 




ようやくの事で、続編を投稿できました。プロット自体は前からできていたのですが、少々鬱状態に陥って、それが解消された後もなんとなくモチベーションが湧かずに書けないでいました。待っていてくださった方々、申し訳ありませんでした。
さて、今回は部隊のきっちりとした再編制と再度の新人加入、そして次の戦いが近づいてきている、と言うところまででした。部隊の最新の編制表は、ちょっと清書してからUPするので、また少し待っていただきたいです。さて、次回はリアム大尉の再登場なるか?そして撤退支援という一見地味でめんどくさくて難易度が高い任務、主人公たちはきちんと遂行できるのでしょうか!?亀更新になるとは思いますが、次回も待っていていただけると幸いです。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。