ここは惑星タワスⅣの惑星首都ワロキエ、それに隣接して造られている大規模宇宙港ワロキエポートの宙港ロビー。キース、ヒューバート少佐、アーリン少佐、連隊副官ジャスティン大尉、自由執事ライナーの5名は、いましがた離着床に到着したミュール級商用降下船から降りてくる人物を待っていた。
「……あのミュール級、ギリランド号にリアム大尉が乗船しているのだったな?」
「はい、大佐。深宇宙通信施設で受け取った航宙艦からのメッセージには、そのように」
ジャスティン大尉の返答に、キースは頷く。そう、今キース達は恒星連邦傭兵関係局の連絡士官である、リアム・オールドリッチ大尉を出迎えに来ていたのだ。そこへヒューバート少佐が、つぶやく様に言う。
「ドラコ領内で立ち往生している味方部隊の撤退支援、か……」
「詳しいことはリアム大尉から話を聞かねばならんがな。だが、この依頼を断ることはできん。リアム大尉が商用降下船に乗ってまで、我々に同行するためにわざわざ来るんだ。恒星連邦内での調整は、既に済んでいるんだろう。
……それに、ジョナスが私信という形でわざわざ知らせてくれたんだしな」
言葉を交わしながらしばし待っていると、入国審査を終えた乗客たちの姿が見えた。その中の見覚えのある1人に、キース達は歩み寄る。当然ながらその人物は、リアム大尉であった。
「リアム大尉! よく来たな、歓迎する」
「キース大佐! ああいえ、失礼しましたな、伯爵閣下」
「ははは、気にするな。それと今、惑星タワスⅣ上では伯爵と呼んでもらわねば困るが、任務中は大佐で頼む」
「了解いたしました、伯爵閣下。イーガン男爵閣下も、レイディ・アーリンも、コールマン大尉もファーベルクさんも、お久しぶりです」
歩きながらにこやかに会話していたキース達であったが、送迎のフェレット偵察ヘリコプターに乗り込むと、皆の顔が引き締まる。
そしてまず、リアム大尉が口を開いた。
「先ほどは『任務中は』というお言葉を用いられておりましたが、それでは今回の依頼はお受けいただけるという事で?」
「ああ。というか、わざわざジョナスに前もって連絡させた上で、面識のあるリアム大尉を送り込んでくるぐらいだ。断れる状況では無いんだろう?」
「それは、まあ……」
「詳細を教えてくれるかね?」
「は。それはこちらの書類に」
リアム大尉が差し出した書類を、キースは精読する。
「ヒューバート少佐、アーリン少佐も読んでくれ。終わったら、ジャスティン大尉に渡してくれ。
……ドラコ連合の惑星パリスⅡに向かい、オーガスト・マンスフィールド大佐率いる友軍傭兵連隊『マンスフィールド劫火連隊』の撤退支援を行え、か」
その『マンスフィールド劫火連隊』なのだが、彼らはドラコ連合の軍事技術研究所を破壊する奇襲/破壊作戦を請け負って惑星パリスⅡを攻撃した。任務自体は成功したのだが、元から惑星上にいた敵1個連隊と、増援の1個連隊の挟撃に遭って、降下船まで帰還できなくなったとの事。
元々2個大隊規模で連隊を名乗っていた『マンスフィールド劫火連隊』は、現在1個大隊強にまで撃ち減らされつつ、降下船の隠れ場所まで帰れずに惑星内を逃亡しているらしい。この情報を届けたのは、同部隊所属のマーチャント級航宙艦ノーヴァ号だ。ノーヴァ号は情報を恒星連邦に届けると、すぐに現地に取って返したそうである。
ここで書類をアーリン少佐に手渡したヒューバート少佐が、怪訝そうな声で問う。
「今回の傭兵関係局からの依頼は、ドラコ領内で立ち往生してる『マンスフィールド劫火連隊』の撤退支援ですよね? でもこう言う場合『悪いメックの後に良いメックを投入』することを避けて、後々の身代金交換で捕虜やメックを取り返すのが普通じゃないんですかね?
救援に成功しないと、味方惑星が陥落する状況でもないですし」
「それはですな……」
リアム大尉は眉をしかめて言葉を
「その『マンスフィールド劫火連隊』ですが、彼らを支援しているパトロンが、国王派閥のそこそこ大物貴族である事が1つ。その方の顔を潰すわけにもいきませんでね。
もう1つは、こちらの入手した事前情報に誤りがあったのですよ。元から惑星に居た『第20ベンジャミン正規軍』の動きは掴んでいたのですが……。増援の『第7アン・ティン軍団』が、あれほど早く駆け付けられる位置に居た事は掴み損ねていたんです」
「なるほど、その負い目がある事と、パトロン貴族の後押しで今回の作戦が決定したわけですか……」
「今現在、早急に行動できてかつ手が空いている連隊規模の部隊は、この『SOTS』以外にはそう多くありません。その中で、最も信頼できる部隊は、やはり『SOTS』なのです」
やがてフェレット偵察ヘリコプターから、キースの居城であるヘルツォーク城が見えて来た。
*
翌日の3028年6月17日、ヘルツォーク城付属の宙港施設では『SOTS』付属の降下船群が、今まさに発進準備の最終チェックを行っていた。キースがジョナスより事前に連絡をもらっていた事もあり、『SOTS』は今回の任務を受けると、あらかじめ隊内の意思統一が為されていたのだ。
そのため今回の作戦の契約は、契約書に不備がないかを確認して即座に結ばれた。現地の風土病などのワクチン手配、バトルメックや気圏戦闘機、戦闘車両などの降下船への搭載も、あらかじめ完了している。
キースはフォートレス級ディファイアント号の司令執務室で、各降下船からの最終報告を受けていた。
『こちらレパード級ヴァリアント号、いつでも行けるよ、隊長』
『レパード級ゴダード号、準備よし』
『隊長、レパード級スペードフィッシュ号はいつでも飛べますよ』
『こちらはレパードCV級アーコン号。こちらもいつでも大丈夫です大佐』
他にもユニオン級のゾディアック号、エンデバー号、レパルス号、ミンドロ号、トライアンフ級トリンキュロー号、オーバーロード級のフィアレス号、サンダーチャイルド号から次々に連絡がやって来る。最後にキース自身が乗船しているディファイアント号のブリッジから報告が届いた。
『各降下船、出港準備整いました。無論、本船もいつでも出られます。部隊司令のGOサインが出れば、30分後の連盟標準時間09:00時から順番に発進いたします』
「ああ、それで頼む。そちらのタイミングで各船は順次発進してくれ」
『了解しました』
キースは
歩兵随伴支援独立小隊と訓練中隊が今回居残りとなるのは、今回の任務が撤退支援であり事実上の救出任務であるためだ。万が一の場合にある程度お客を乗せる事を考え、ユニオン級ミンドロ号をできるだけ空荷で持っていくため、それに乗せていたこれらの隊を居残りとしたのである。両方の隊は、練度も非常に低かった事もあるが。
そこへ卓上に据え付けていた端末が、インターホンモードで鳴る。キースは端末のスイッチを入れると誰何した。
「誰か?」
『連隊副官、ジャスティン・コールマン大尉です。ただいま戻りました。入室許可願います』
『連絡士官、リアム・オールドリッチ大尉です。入室を許可願います』
「許可する。2人とも入りたまえ」
2人は司令執務室へ入室して来ると、敬礼する。キースは答礼を返した。ジャスティン大尉は自分の机に戻ると、小脇に挟んでいた書類ケースから書類を出して分類を始める。一方のリアム大尉は、キースの傍らまで来ると話し掛けて来た。
「大佐、今回は任務を受けていただいて、本当にありがとうございます」
「いや、リアム大尉。その礼は、任務に成功するまで取っておくべきだ。正直、難しい任務になる可能性が高い」
「まあ、そうですね。ただ、『SOTS』なら……キース大佐なら、なんとかできると思いますよ。まあ、単なる勘なのですがね」
「だといいな、ははは。しかしリアム大尉も大変だな。タワスⅣに着いたばかりなのに、昨日の今日で我々といっしょに宇宙に出なければならんとは。時間があれば、タワスⅣを少し案内したんだがなあ」
「まあ、慣れていますよ。『上』に振り回されるのはね。……大佐、今回の任務であまり無理はなさらない様に。『上』の方も100%の達成率は無理だと考えています。できるだけ現場を引っ掻き回して、『マンスフィールド劫火連隊』がある程度形を保っている状態で脱出できれば、その程度で『上』も満足するでしょう」
急に真顔になったリアム大尉に、キースも頷く。
「そうか。心に留め置くとしよう」
「お願いします。『上』も『SOTS』をここで磨り潰すつもりはさらさら無いですからな。正直、大佐と『SOTS』には色々と期待が掛かっているんですよ」
「ふふ、有難いと同時に身が引き締まる思いだな、期待が重いと言うのは」
その後、2~3の話をしてリアム大尉は自分に割り当てられた船室へと戻って行った。今まで口を挟まずに居たジャスティン大尉が、心配そうな様子で言葉を発する。
「大佐……。無理はしないようにと言われても、やはり難しいんでしょうね」
「そう、だな。最低限『マンスフィールド劫火連隊』の部隊長と直属の隊だけでも救出すれば、面目は立つだろうが……。だが出来るならば、可能な限りの味方を救出したいものだなあ。文字通りの『友軍』だからな。まあ、現地で『マンスフィールド劫火連隊』の現状を知ることが、まず第一だ。
無理をしなければならない状況なら、進んで無理をした方が結果としては良い場合が多い。一番まずいのは、無理をしなければならん状況なのに『無理を避けようとして下手を打つ』事だな。それだけは避けなければならん」
そして出立の時刻がやって来る。キースを乗せたフォートレス級ディファイアント号以下『SOTS』降下船群は、居残り部隊や惑星軍の戦車隊が礼砲を撃つ中、上空へ向けて上昇して行った。
*
数日後の6月22日、タワス星系のジャンプポイント、天の北極方向ゼニス点で『SOTS』降下船群は、航宙艦マーチャント級クレメント号、ネビュラ号、パーシュアー号、インベーダー級イントレピッド号、ズーコフ号とランデブー、ドッキングする。そして航宙艦群は即座にジャンプシーケンスを開始した。
幾つかの星系を介して数度のジャンプを繰り返し、『SOTS』航宙艦群は目的地パリス星系のジャンプポイントである天の南極方向ナディール点に到着した。マーチャント級クレメント号のブリッジに出向いていたキースは、アーダルベルト艦長から報告を受ける。
「隊長、ジャンプポイントに先客が居るよ?」
「!! 何処の航宙艦だね? 艦長」
「現在照会中だよ。少し待っててくれ」
果たしてその航宙艦たちの正体は、あっさりと判明する。それらは『マンスフィールド劫火連隊』の航宙艦である、インベーダー級ガルーダ号、同級ボンチューン号、マーチャント級ノーヴァ号の3隻だった。相手の代表であるノーヴァ号トレヴァー・ヒースコート艦長から通信が入る。
『こちらは『マンスフィールド劫火連隊』所属航宙艦ノーヴァ号艦長、トレヴァー・ヒースコート。『SOTS』と恒星連邦には、救援要請に早速応えていただき、感謝に堪えません。伏してお願い申し上げます。どうか『マンスフィールド劫火連隊』メック部隊を救出してください……』
「こちら『SOTS』部隊司令、キース・ハワード大佐。この度は大変だったな。無論のこと、微力ながら全力を尽くすとも。早速だが、今現在の状況で判明している事を教えて欲しい」
『はっ。ではまず……』
ヒースコート艦長からの通信によると、6月20日の時点で『マンスフィールド劫火連隊』の偵察兵が深宇宙通信施設に接触し、残存兵力1個大隊強は未だ健在である事を伝えてきたそうだ。だがその現在位置は、彼らが逃亡中であることも合わせ、判明していない。
一方のドラコ連合側だが、元々の惑星守備隊『第20ベンジャミン正規軍』、増援部隊である『第7アン・ティン軍団』双方とも、おおまかな位置は掴めている。もっとも、あくまでおおまかな位置でしかないが。ドラコ側の部隊の動きからすると、『マンスフィールド劫火連隊』は今現在、敵に発見されてはいない模様だった。
そしてキースはヒースコート艦長からの情報とあらかじめ知らされている情報を元に、敵地の地図を頭の中に描く。彼は通信の向こうのヒースコート艦長を、力づけるように言った。
「ヒースコート艦長、先ほども言ったが我々も全力を尽くす。貴官は『マンスフィールド劫火連隊』の残存部隊が帰還してくる事を信じ、待っていてくれ。なんとか1兵でも多く、連れ帰って来るからな」
『ありがとうございます。部隊の皆の事、よろしくお願いいたします』
航宙艦ノーヴァ号との通信が終わった。キースは自艦の艦長であるアーダルベルト艦長に声を掛ける。
「艦長、それでは我々は惑星パリスⅡへ向かい、降下するよ」
「うむ、味方は半壊していて敵は2個連隊。注意に注意を重ねて行って来るんだよ? そして駄目だと思ったら、ヒースコート艦長らには悪いが、諦める事も大事だ」
「ああ、それは重々承知、肝に銘じておく。だがね? もしかしたら、上手く行きそうだ。現状の情報では、『第20ベンジャミン正規軍』と『第7アン・ティン軍団』の連携は、あまり上手くいっていないのが見て取れる。
もしかしたら、指揮官同士に何かしら確執なりなんなりがあるのかも知れない。まあ、追い詰められれば協力するんだろうがね。……それでは艦長、行って来るよ」
「うむ。……それではジャンプポイントへの無事のお帰りを、お待ちしております。いってらっしゃいませ、部隊司令」
敬礼と答礼で挨拶を締めくくり、キースは航宙艦クレメント号にドッキングしている降下船、フォートレス級ディファイアント号へと立ち去っていく。しばしして、『SOTS』所属の各航宙艦から降下船群が切り離される。キース達を乗せた『SOTS』降下船群は、惑星パリスⅡへと降下開始した。
*
惑星パリスⅡの衛星軌道上で閃光が
もっともこの場で戦力になるのは、『SOTS』所属の気圏戦闘機隊と、降下船そのものの火力だけが頼りだ。無理をすれば50tフェニックスホークLAMで構成されている降下猟兵隊も戦力になるかもしれないが、LAM機は変形機構に機体容量を取られている事もあり、真正面から航空戦力とぶつかり合うのは心もとない。
更には気圏戦闘機隊においても、機体重量がそこそこから充分にある
現に、降下殻に収まった自分のバトルメック、95tのS型バンシーに搭乗して待機しているキースの元に届く報告は、その大多数が敵機の撃墜報告であった。
『こちらビートル1、ヘルガ大尉。敵シロネ戦闘機を撃墜』
『アロー3ミケーレ中尉! シロネ戦闘機をアロー4コルネリア中尉機と共同撃墜!』
『こちらフィアー2、エルシー少尉! シロネ戦闘機をフィアー1グレイアム少尉機と共同撃墜するも、こちらも相打ちで機体損傷! 離脱と帰艦許可を!』
『こちらはアロー1、気圏戦闘機隊隊長マイク大尉っす! フィアー2は即刻離脱、帰艦するっす! フィアー1は単独での戦闘は避け、カバラ5、カバラ6の支援に回るっす!』
『フィアー1、了解!』
『隊長、こちらレパード級ヴァリアント号のカイル船長。敵機はあと残り2機だ。周囲を味方機に取り囲まれて逃げ道も無いし、あとは破れかぶれの逆襲に注意しつつあたれば……あっ!』
突然カイル艦長が、驚きの声を上げる。とは言っても、その声音からすれば緊急を要する事態では無さそうだ。
『隊長、こちらカイル船長。残り2機の敵機は降伏の信号弾を上げて抵抗を止めたよ』
「了解だ。アロー1、マイク大尉! 部下に命じて、そいつらを空荷で来たミンドロ号のハッチに誘導するんだ。ただし万が一の偽装降伏にそなえて、火砲の狙いは外すんじゃないぞ」
『こちらアロー1、了解っす! アロー5、アロー6は降伏した敵機の誘導を! アロー3、アロー4はその後ろから見張ってるっす!』
そしてキースは更に命令を下す。
「これより『SOTS』メック部隊は惑星上に強襲降下を行う! 目的は降下船群の着陸地点確保! 目標地点は事前ブリーフィングで説明した候補のうちで第2目標としたBポイント! 山間部に開けた盆地で、周辺を山麓に囲まれて発見され難い場所だ!
気圏戦闘機隊の
『『『『『『了解!』』』』』』
ディファイアント号ブリッジより、キースのS型バンシーに通信が入る。
『こちらブリッジのマンフレート船長。これよりバトルメックの射出、秒読みに入ります。また地上で会いましょう、部隊司令』
「うむ、では頼んだぞ船長」
『了解です。きっちり正確に射出しますよ。……60秒前……30……10、9、8、7、6、5、4、3、2、1、グッドラック!!』
そして激しいGと共に、キースのバトルメックは降下殻ごと大気圏上層部へと射出された。
*
樹木をメックで引っこ抜き、地面をドーザーブレードを着けた戦車で
レパード級、レパードCV級、トライアンフ級の航空機型降下船は、垂直離着陸するよりは滑走路を使って離着陸した方がずっと推進剤の節約になる。また気圏戦闘機も、滑走路があった方が運用し易いのは当然の事であった。
「キース大佐、偵察兵各員は既に『マンスフィールド劫火連隊』の捜索と、『第20ベンジャミン正規軍』、『第7アン・ティン軍団』の偵察に出発いたしました」
「ご苦労、ジャスティン大尉。整備と推進剤の補給が完了したら、気圏戦闘機隊D、E中隊の機体も偵察に出すように通達してくれ」
「はっ!」
ここは『SOTS』が強襲降下して占拠した、周辺を山麓に囲まれた小さな盆地である。幸いな事に、この地点には人の手が入っておらず、周辺には街どころか村落、集落すら存在しない。念のために強襲降下はしたものの、実際のところその必要性は無かったかもしれない。
キースは内心で思う。
(さて、とりあえずの拠点はできたが。発見されていないと楽観するわけにもいかないな。場合によってはすぐにこの場所も捨てられる様にしないと。移動先の候補は、現状4つ、か。
さて、できるだけ早目に『マンスフィールド劫火連隊』の位置を掴まないとなあ。『第20ベンジャミン正規軍』、『第7アン・ティン軍団』の情報も。可能なら、『マンスフィールド劫火連隊』の残存部隊を全員連れて、惑星を脱出しないと)
流石のキースと『SOTS』でも、2個連隊を相手に真っ向から戦えるとは思っていない。彼にできるのは戦線を引っ掻き回し、『マンスフィールド劫火連隊』に脱出の機会を作ってやる事ぐらいだ。そのためにも、正確な情報は必要なのである。
やがて12機の軽量級気圏戦闘機が、2機1組になってあちらこちらの方角へと飛翔して行く。D中隊とE中隊の機体である。それを眺め遣ると、キースは後ろに着陸している降下船、フォートレス級ディファイアント号の方へと歩き始めた。
本当に申し訳ありません。超亀更新になってしまいました。今後も更新は遅れに遅れるかと思いますが、それでも少しずつ書き進めるつもりではありますので、どうかよろしくお願いいたします。
さて今回はいよいよ主人公たち『SOTS』の出撃です。目的地はドラコ連合の領域内ぎりぎりにある、惑星パリスⅡ。そこにある軍事技術研究所を破壊しに行って、目的は達したものの下手を打って逃げ損ねた味方部隊『マンスフィールド劫火連隊』の撤退支援です。
敵は元々そこの惑星に居た1個連隊と、近場に居て急遽増援に来た1個連隊。そいつらが今どのぐらい消耗しているかは不明ですが、少なくとも『マンスフィールド劫火連隊』は半分まで撃ち減らされてます。いや、元々2個大隊規模で連隊を名乗ってたんですけどね。
2個大隊で比較的身軽で、その上である程度の攻撃力が見込める事、降下船と航宙艦を独自で保有している事、恒星連邦の大物貴族がパトロンに付いていて、信頼が置けた事などでこの任務に送り出されたんですが。惑星守備隊『第20ベンジャミン正規軍』については恒星連邦の情報部により調べがついてたけれど、『第7アン・ティン軍団』が容易に救援に来られる位置に居た事は、調べ損ねてたんですな。
見事軍事研究所を破壊して『さあ逃げよう!』というところで『第7アン・ティン軍団』が空から降って来まして。と言うわけで、責任はどっちかと言うと恒星連邦当局側に比重が。流石に見捨てたら後ろめたいです。
そんなわけで、『SOTS』にお鉢が回ってきました。