鋼鉄の魂   作:雑草弁士

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『エピソード-091 動けない味方と動き出した敵』

 連盟標準時で3028年6月29日、キース達が今現在の拠点にしている山中の盆地を確保して、2日目の事である。

 

「……それで、『第20ベンジャミン正規軍』と『第7アン・ティン軍団』が先を争う様にして出撃したんだな?」

 

「はい、アレクセイ軍曹の第4偵察兵分隊が『第20ベンジャミン正規軍』の動向を、ベネデッタ軍曹の第5偵察兵分隊が『第7アン・ティン軍団』の動向を追跡してチェックしています。

 そして『第20ベンジャミン正規軍』は本拠地であるミストラ城から緊急出撃、『第7アン・ティン軍団』も宇宙港バナスラポートに停泊していた自部隊の降下船から次々に緊急発進を」

 

「なるほど、それで俺の休憩中に指揮を預かっていたアーリン少佐が、奴らの行く手に先んじて、偵察中の気圏戦闘機を向かわせたのか。うん、アーリン少佐の判断を、俺も支持する」

 

 寝ていたところを緊急の報告と言う事で叩き起こされたキースだったが、副官のジャスティン大尉に文句のひとつも言わず頷く。キースは急ぎトランクスとTシャツ一枚になるとガウンをはおる。そして机上の端末から部隊に緊急の招集をかけると司令執務室を出て、フォートレス級ディファイアント号の廊下を小走りにメックベイに急いだ。

 ちなみにキースの身体に合う冷却パイロットスーツは、未だに手に入っていない。流石に『SOTS』もこのぐらいの規模になると、1個中隊あたり1~2人は冷却パイロットスーツを手に入れている者も居る事は居る。だがやはり、キースの巨体に見合う冷却パイロットスーツを手に入れる事は、かなりの難事だ。財産的には全然無理では無いのだが、ブツそのものが存在しないのはどうしようも無い。

 

 キースが自分のバトルメック、95tのS型バンシーにたどり着いたとき、彼の小隊メンバーもその場に駆け付けたところだった。マテュー大尉とアンドリュー准尉はキース同様に半裸にガウンをはおっている。だがエリーザ准尉は先日ようやくの事で手に入れた、冷却パイロットスーツを着用していた。

 

「隊長、緊急事態か?」

 

「アンドリュー准尉、おそらく間違いない。敵部隊が緊急発進した。下手をすると、『マンスフィールド劫火連隊』の残存部隊が発見された可能性が高い。各自メックで待機、後の命令はコクピットで受けてくれ」

 

「「「了解!」」」

 

 一同は、急ぎ各自の機体へと乗り込む。キースは現在アーリン少佐が指揮を執っている、オーバーロード級サンダーチャイルド号のブリッジへと通信回線を繋いだ。

 

「こちら部隊司令、キース・ハワード大佐。アーリン少佐は居るか?」

 

『こちら降下船サンダーチャイルド号船長、レオニード中尉。アーリン少佐は、現在自分のバトルマスターに走ってるところです。少佐は自分かキース大佐が指揮に復帰するまで、自分に指揮権を預けました。大佐、指揮権をお返ししてよろしいでしょうか?』

 

「うむ、了解だ。では報告してくれ。俺が知ってるのは、敵の2個連隊が緊急発進した事と、アーリン少佐がその敵の行く手に偵察機を飛ばしたって事だ。その後の展開を報告するんだ」

 

 レオニード船長は問われたことに対し、即座に回答する。

 

『はっ。アーリン少佐はメックベイに走る前に、気圏戦闘機隊(ダート)中隊機、ダート5と6の分隊(エレメント)を敵が向かっていると思しき方角へと飛ばさせました。それでつい先ほど、AL-0272のNo.1101地点の峡谷内に、『マンスフィールド劫火連隊』の残存部隊が隠れ潜んでいるのが確認取れました』

 

「そうか。……メックの標準的な移動速度なら、敵が向こうに到達するのは現地時間で明日の正午過ぎ、連盟標準時だと05:30頃か。向こうと連絡は取れるか?」

 

『ダート5のスパローホークが通信を試みてます』

 

「そうか。繋がったら、ダート5とこちらの降下船ディファイアント号のシステムを介して、俺のS型バンシーまで通信回線を構築してくれ。それと他に緊急事態が発生したら、即座に報告を」

 

『了解です』

 

 キースはしばしそのまま待機した。やがてレオニード船長の声が聞こえてくる。

 

『キース大佐! 向こうの連隊副官と通信が繋がりました! 今、回線を切り替えます!』

 

『……あー、こちら『マンスフィールド劫火連隊』の連隊副官、ブルース・ファリントン大尉です。聞こえますか?』

 

「聞こえる。こちらは恒星連邦より依頼を受け、『マンスフィールド劫火連隊』の撤退支援任務にあたっている混成傭兵連隊『鋼鉄の魂』、略称『SOTS』の部隊司令、キース・ハワード大佐だ」

 

『はっ! ほ、本当に!? た、助かるのか!? あ、い、いえ、失礼いたしました! 本来ならこちらの部隊司令であるオーガスト・マンスフィールド大佐が直接お話しするべきなのでしょうが……。いえ、今呼びにいかせているので、あと20~30分もすれば』

 

 キースは相手の言葉を遮って言う。

 

「すまないが、あまり待てん。敵の連隊、『第20ベンジャミン正規軍』『第7アン・ティン軍団』が根拠地より緊急出撃した。目的は、間違いなくそちらだ。我々がそちらを発見できたのも、奴らが緊急出撃した方角に気圏戦闘機を飛ばしたからだ」

 

『ええっ!?』

 

「おそらくそちらの近くに、敵の偵察兵が潜んでいるんだろうな」

 

 と、その時通信の向こう側でドタバタと音が聞こえたかと思うと、あちらの連隊副官ブルース大尉ではない中年、もしくは初老程度の男の声が響いた。

 

『あー、今代わりもうした。こちら『マンスフィールド劫火連隊』連隊長のオーガスト・マンスフィールド大佐じゃ』

 

「マンスフィールド大佐……。こちらは混成傭兵連隊『鋼鉄の魂』、略称『SOTS』の連隊長、キース・ハワード大佐です。こちらの任務は、そちらの隊の撤退支援です。それで今現在、大きな問題が。敵の2個連隊がそちらの隠れ場所を突き止めて、出撃した模様です」

 

『む、まずいの……。こちらの偵察兵からは連絡が無かったところを見ると、もしや始末されたか? ハワード大佐、こちらは今しがた、メック戦士2名の長時間かかった手術が終わったばかりでな。今すぐに動かすと、命にかかわる。敵の到着予想時刻はどのぐらいじゃの?』

 

「現地時刻で明日の正午過ぎ、連盟標準時で05:30かと。ただし標準的なメックの移動速度で計算しているので、敵が高機動メックを中心にした部隊を抜き出して進発させた場合は……」

 

 通信装置から、マンスフィールド大佐の苦り切った声が響く。

 

『……まずい、の。軍医の見立てでは、明日の正午ごろには一応機動病院車(MASH)でなら運べるじゃろうと言う話なんじゃが。やつらのメックそれ自体は予備メック戦士が動かせば運べるが……。じゃが手術したメック戦士2人は、今はどうしても動かせん』

 

「く……」

 

『最悪の場合、奴らと軍医には降伏させて、本隊はここから逃走するしか無い、か……。なれど、おそらくは敵の偵察兵がこちらを監視しておるのじゃろうて。脚駆動装置にダメージを受けて移動速度が鈍っているメックも複数ある。今からでは結局のところ、逃げても敵に捕捉されてしまうのが落ち、じゃのう。

 なれば、乾坤一擲、死中に活を求めて最後の一戦を挑む方がマシ、かも知れん』

 

 キースは頭の中に、『マンスフィールド劫火連隊』が隠れ潜んでいる峡谷付近の地図を描く。そして幾つかの方策を検討する。

 

(くっそ、リアム大尉は無茶するなって言ってたけどさ。早速に無茶しないといけない場面になって来たじゃないかよ。これは敵部隊2つが、それぞれどう動くかにかかってるな……)

 

 そして彼は可能な限り気を落ち着けて、通信の向こうのマンスフィールド大佐に語った。

 

「まだ自棄(ヤケ)になるのは早いです。まだ時間はあります。最後まで足掻きましょう」

 

『う、うむ。そうじゃの』

 

「それではいったん通信を終了します。こちらでも情報を収集し、作戦案を練りますので。新たに判明した事があれば、またお伝えしますよ」

 

『うむ、それではまた後程に』

 

「はい。それでは」

 

 マンスフィールド大佐との通信は切れた。キースは急ぎ、気圏戦闘機部隊(ダート)(エッジ)中隊や各偵察兵分隊に指示を出し、敵である『第20ベンジャミン正規軍』『第7アン・ティン軍団』の動きについての情報を収集させる。情報が集まるに従い、キースの頭の中に浮かんだ思い付きが、少々賭けの要素は強いが作戦案としてまとまりつつあった。

 

 

 

 

 

 

 多数の降下船が空を飛翔する。これらは『SOTS』の降下船群だ。キースはその中の1隻、フォートレス級ディファイアント号のメックベイに収容された1機のバトルメック、95tのS型バンシーから全部隊に指示を出している。

 そこへディファイアント号のブリッジから、キース機に報告が入る。マンフレート船長は、彼の所を中継点として集まった情報を、キースに伝えた。

 

『キース大佐、『第20ベンジャミン正規軍』の方は残念ながら真正面から目的のAL-0272、No.1101地点の峡谷へ向かっています。進軍ルートは、5通り予想したうちの1番目、完璧にまっとうな普通の進軍路です。』

 

「そうか……。残念だ」

 

『ですが『第7アン・ティン軍団』の方は、ちょっとばかり奇をてらった模様ですな。今しがた、本道を外れて狭隘な峡谷に踏み込みました。この峡谷を踏破すれば、『マンスフィールド劫火連隊』が隠れてる峡谷の背後側に出る事ができます。

 何事もなければ、敵は最終的には非常に有利な立ち位置から『マンスフィールド劫火連隊』を攻撃できますよ。……ええ、何事もなければ。進軍ルートは、こちらも5通り予想したうちの3番目ですね』

 

「それは有難い。では計画通りに、地上待機させていた第1、第2偵察兵分隊を目標地点にフェレット偵察ヘリコプターで送るんだ。あとは先に下した指示通りに」

 

『了解です』

 

 やがて『SOTS』の降下船群は、そこそこの広さを持つ平野へと着陸する。キースは命令を下し、『SOTS』のバトルメックと機甲部隊、歩兵戦力を降下船から降ろした。ここから先は降下船を着陸させるのに不適切な、狭隘(きょうあい)峻険(しゅんけん)な地形が続く。

 

(さて、ここから先は地べたを歩いて、『マンスフィールド劫火連隊』との合流を目指して進まなきゃならないなあ。『第20ベンジャミン正規軍』が『マンスフィールド劫火連隊』と戦端を開く前に、『第20ベンジャミン正規軍』に『SOTS(ウチ)』が攻撃をかけられるといいんだけどさ)

 

 そして『SOTS』降下船群は、搭載していた部隊を降ろすと再度飛び立つ。ただし最初に確保していた拠点には戻らない。降下船の着陸地点として目をつけていた残りの地点のうち、『マンスフィールド劫火連隊』が今現在隠れ潜んでいる場所から最も近い地点に移動することにしたのだ。

 同時に『マンスフィールド劫火連隊』の降下船群も、遠い今現在の隠れ場所から位置を移動して、『SOTS』降下船群と合流する事になっている。『マンスフィールド劫火連隊』連隊長マンスフィールド大佐は当初、降下船を飛行させてその位置を変更する事に不安を持っていた。降下船の推進剤が、ジャンプポイントに到達するための分量を割り込む可能性があったからである。

 だがキース達『SOTS』の降下船は、推進剤にかなり余裕があった。であるので、必要とあらば『マンスフィールド劫火連隊』の降下船に一時的に推進剤を融通する事を約束したのである。まあ、そうなると恒星連邦の領域に帰還した際に、宇宙空間でタンカーとランデブーして、推進剤の補給を受けないといけなくなるのだが。

 

 キースは『SOTS』の全部隊に通信を送る。

 

「さて……。では我々は、『マンスフィールド劫火連隊』との合流を目指し、進軍する事になる。ただ、おそらくは合流直前で敵のメック連隊『第20ベンジャミン正規軍』と衝突することになる。単純な火力の量では、気圏戦闘機隊と機甲部隊の支援がある『SOTS(ウチ)』の方が圧倒しているが、油断は禁物だ! 注意してあたれ!

 もう1つの敵メック連隊、『第7アン・ティン軍団』についても『マンスフィールド劫火連隊』を狙って進軍しているが……。こちらに関しては、足止め策を用意している。2個連隊といっぺんに衝突する事態にはならん」

 

 ここでキースはあえて断定的に言ったが、この足止め策が上手く行くかどうかは賭けの要素がある。上手く行かなかった場合は、『マンスフィールド劫火連隊』の幾ばくかなりとも連れて逃げ出さねばならないだろう。

 

 キース達『SOTS』は、粛々と進軍を開始する。行く手には傷ついた友軍が、助けを待っているのだ。

 

 

 

 

 

 

 キースのS型バンシーに、第4偵察兵分隊からの報告が入る。

 

『こちら第4偵察兵分隊、アレクセイ軍曹。敵『第20ベンジャミン正規軍』は進軍速度を上げています。雰囲気が、ちょっとばかり不自然です』

 

「なるほどな。『SOTS』が追いつく前に、『マンスフィールド劫火連隊』を叩き潰すつもりの様だな。了解した、こちらも進軍速度を上げるとしよう。引き続き、敵部隊を追跡して状況報告してくれ」

 

 頭の中で会敵予想ポイントを少しばかり修正したキースは、全軍に命じてそのスピードを上げる。『マンスフィールド劫火連隊』残存部隊が蹂躙される前に、なんとか『第20ベンジャミン正規軍』に追いつかねばならない。

 そんな中、今度は第1偵察兵分隊からの通信が入った。こちらは第2偵察兵分隊と共に、『第7アン・ティン軍団』の足止め策を行うために出動させた隊だ。

 

『こちら第1偵察兵分隊、エルンスト少尉待遇曹長。現在我々は、敵進軍路の前方にある岩山に陣取っています。爆薬は既に仕掛け終わりました。ネイサン曹長のチーム、第2偵察兵分隊も既に作業完了したと報告を受け取っています』

 

「ご苦労。では早速起爆してくれ。『第7アン・ティン軍団』は重量級メックが多く火力や耐久力が高いが、代わりにジャンプジェットを積んだ機体は数少ないと第5偵察兵分隊のベネデッタ軍曹から報告を受けているからな」

 

『了解です。では起爆いたします』

 

 そして通信の向こうから、轟音が響く。

 

『こちらエルンスト少尉待遇曹長。成功です。峡谷の両側の岩山に仕掛けた爆薬により、崖が崩落。峡谷を完全にふさぎました。ジャンプジェットを搭載していないメックでは、通ることは不可能ですね。通常規模の崖崩れならばメックの手で岩を除ける事も出来たんでしょうが……。この規模では、通れる様になるまで数週間の専門技術者による工事が必要でしょう』

 

「よくやってくれた。これで『第7アン・ティン軍団』は、今まで辿って来た道を逆戻りして峡谷から出て、今度は表道を大回りして来なければならない。大きく時間稼ぎができたぞ。それではそちらは撤収してくれ」

 

 そう言っている間に、その『第7アン・ティン軍団』を追尾している第5偵察兵分隊のベネデッタ軍曹から、通信の接続要求が来る。キースは急ぎ通信を繋いだ。

 

『こちらベネデッタ軍曹、第5偵察兵分隊です。峡谷を進軍していた『第7アン・ティン軍団』ですが、エルンスト少尉待遇曹長とネイサン曹長のチームが起こした崖崩れで、道が埋まって立ち往生しています。

 あっ、今しがた敵は来た道を逆戻りし始めました。ただ、焦った様子が見受けられます。進軍ペースはちょっと、いえ、かなり無理をして可能な限りの最速で移動していますね』

 

「ベネデッタ軍曹、そちらのチームは引き続き『第7アン・ティン軍団』を追跡してくれ。だが無理をして発見される事の無い様にな? 万一発見されたら、追跡は中断して何が何でも逃げて来い」

 

『了解です』

 

 通信が終わると、キースは少々考え込む。賭けはあたった。これでしばらく『第7アン・ティン軍団』は気にしないで良い。だが『第20ベンジャミン正規軍』とはまっとうに戦わねばならない模様だ。

 キースは全軍に行軍速度を上げる事を命じると、ジャスティン大尉の指揮車両に『マンスフィールド劫火連隊』との連絡を絶やさない様にあらためて通達。そして自身は頭の中に描いた会敵予想地点の地図上で、何度も戦いをシミュレートするのだった。

 

 

 

 

 

 

 とうとう『SOTS』は、『第20ベンジャミン正規軍』に追いつく事に成功する。山が多く、水地がほぼ無い平地の少ない地形で、大軍同士がぶつかり合うには難しい土地だ。『第20ベンジャミン正規軍』側は、既に陣形を整えて展開を終えている。どうやら『マンスフィールド劫火連隊』残存部隊と戦う前に、『SOTS』を打ち破らねばならんと決心した模様だ。

 

(さて、敵さんは手堅い陣形を整えてるなー。だがアレクセイ軍曹の第4偵察兵分隊の報告では、2割から3割は『マンスフィールド劫火連隊』との戦いによる損傷が残っている模様だとの事。ミストラ城という理想的な修理環境があっても、完全状態には持っていけてなかったみたいだな)

 

 キースはこちらも陣形を整えて、静々(しゅくしゅく)と部隊を前進させる。あと少しで双方の前衛が長距離ミサイルの遠距離射程に入る、というところで事態は動いた。

 

ヒュウウゥゥ……、ドガッ!!

ヒュウウゥゥ……、ドゴオォン!!

 

 キースはあらかじめ気圏戦闘機隊(エッジ)中隊の機体の一部を高高度偵察に飛ばし、敵陣の様子を掴んでいたのだ。そしてボールドウィン・アクロイド軍曹のスナイパー砲車両と、サイモン老の機動ロングトム砲に、あらかじめ砲撃地点と砲撃開始時刻を伝えて砲撃を行わせたのである。

 スナイパー砲の目標となったのは、高度のある山地を確保していたカタパルトと、その両脇に居たデルヴィッシュ、トレビュシェットだ。一方ロングトム砲に狙われたのは、別の山地で『SOTS』を狙っていたK型アーチャーと、その両脇にいたこれもK型アーチャー、K型クルセイダーである。

 その後も連続して、『SOTS』側の間接砲撃が敵陣の要所を狙って叩いて行く。更には『SOTS』降下船群から発進した、気圏戦闘機隊(アロー)(ビートル)(カバラ)(ダート)(エッジ)(フィアー)の各隊が来援する。

 

「よし! A、B、Cのメック大隊は前進! その背後に機甲部隊が続き、メック部隊を支援せよ! 降下猟兵隊のLAM機はエアメック形態で敵後背に回り込み、いやがらせ攻撃を繰り返せ! ただし全員、味方の間接砲撃にはあたるなよ!?

 気圏戦闘機隊は今回基本的に地上戦力の支援専念を! スナイパー砲ボールドウィン軍曹は、前もって指示した地点に繰り返し砲撃を! サイモン大尉のロングトム砲はAL-0263のNo.1331地点、No.1338地点、No.1512地点に撃った後、敵司令部のあるNo.2236地点に2発、そして砲撃を避けて移動すると思われるNo.2238地点に2発撃ちこむんだ!」

 

ヒュウウゥゥ……、ドガッ!!

ヒュウウゥゥ……、ドゴオォン!!

 

ヒュウウゥゥ……、ドガッ!!

ヒュウウゥゥ……、ドゴオォン!!

 

ヒュウウゥゥ……、ドガッ!!

ヒュウウゥゥ……、ドゴオォン!!

 

 連続して、間接砲撃の砲弾が戦場に落着する。敵メックは籠っていた優位地形を捨てて高地を下りてくるか、あるいは山地に(こだわ)ってその場で砲弾の雨に叩かれて倒れ伏す。それでも敵は、流石にドラコ連合の正規軍だ。致命的ではないものの、相手も『SOTS』のバトルメックに相応の損傷を与えていた。

 

ヒュウウゥゥ……、ドゴオォン!!

 

「連隊指揮中隊、前進! 勝負を決めるぞ!!」

 

 サイモン老のロングトム砲が、敵司令部に着弾した。敵の動きが一気に浮足立つ。キースは予備戦力となっていた、連隊指揮中隊を投入する。

 マテュー大尉のアトラスが先頭に立ち、エリーザ准尉のストーカーがそれに護られつつ前進する。粒子ビームの乱射でそれらを支援しつつ、アンドリュー准尉のオウサムが歩き出し、それと並んでキースのS型バンシーも粒子ビーム砲2門と大口径オートキャノンを撃ちながら進む。

 キース直卒の指揮小隊に続き、火力小隊の『機兵狩人小隊』が前進し、偵察小隊が纏わりついて来る敵機の散発的な攻撃を露払いする。

 

 この場での戦闘は、勝敗の決着が付きつつあった。




 続編、投稿いたしました。今回主人公キースは、2つある敵連隊の片方を奇策で足止めし、もう片方は正攻法で叩いています。まあ奇策で足止めされた方も、正攻法ではなく奇をてらった戦術に出ようとしたのが、付け込まれる隙になったのですが。
 この足止めされた1個連隊が、まっとうにもう1個連隊と連携を取って進軍してたら、いかに主人公と言えども『マンスフィールド劫火連隊』の残存部隊を救うのは難しいなんてもんじゃありませんでした。せいぜいが部隊司令とその直属の1個中隊を救えれば御の字とかのレベルです。でも敵の失策に付け込む事で、希望が見えてきました。
 でもって、実のところ『SOTS』の戦闘力は単純計算でメック1個連隊分を超えています。気圏戦闘機が多数、大隊クラスの戦力はありますし。防御力はともかく単純に火力ではメックに匹敵する戦車、機甲部隊の支援射撃もあるので。しかも前回の戦いでは新兵だった連中も、既に一皮むけて熟練に化けてますからね。
 しかし連隊規模になると、間接砲の数が微妙に足りませんねえ。機動ロングトム砲が1輌とスナイパー砲車両が1輌だと。もう少し間接砲を増やすには、降下船1~2隻と航宙艦が1隻欲しいですねえ……。
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