鋼鉄の魂   作:雑草弁士

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『エピソード-030 司令官引継ぎ』

「これが今回の分だな。」

 

 ヒューバート中尉が、司令室でキースに銀行振り込みの明細書を渡す。キースは複雑な顔でそれを受け取った。

 

「……無茶してないか?ヒューバート。この金額明細を見るに、今回の戦闘ボーナスとかをほとんど全額こっちによこしてるじゃないか。」

「渡してるのは戦闘ボーナスだけだ。普通の給料はちゃんと自分で使ってるさ。そうでないと、生活すらできないからな。それにこの『SOTS』は良心的だからな。メックの維持費なんかは全部部隊が出してくれてるだろ?修理費とか予備部品の代金までもさ。

 それだけじゃない。俺の借金まで部隊で立て替えてくれて、ある時払いの利息なしでいいって言われたときは、地獄から天国かと思ったんだぜ?」

 

 そう、ヒューバート中尉は借金持ちだ。以前フリーの傭兵だったときの最後の仕事で、彼が当時乗っていた30tメック、ヴァルキリーは敵に鹵獲されてしまい、恒星連邦による身代金交渉で返されてきたのだ。

 その身代金の代金を、ヒューバート中尉は恒星連邦から請求されていたのである。だがフリーの傭兵としてカツカツの暮らしをしていたヒューバート中尉では、当時の貯蓄をすべて吐き出しても払える額ではなく、その残金すべてが恒星連邦政府への借金になっていたのだ。

 キースはヒューバート中尉を傭兵部隊『SOTS』で雇用する際に、部隊の予備費を一部取り崩してその借金を立て替え払いした。これでヒューバート中尉は、借金を恒星連邦ではなく傭兵部隊『SOTS』に返せば良いことになる。しかも彼が言った通り、ある時払いの利息なしで、だ。地獄から天国、と言う表現は決して誇張ではない。

 キースはほがらかに笑う。

 

「ははは、お前をうちの部隊で雇えるのならば、安い買い物だと思っただけだよ。あのときうちの部隊は、切実に士官を欲していてな。お前ほどの士官を逃がすわけには、絶対にいかなかったんだよ。

 もっとも、士官含め信頼できる隊員を欲しているのは、今も同じなんだけどな。」

「予備メックが増えたもんな。メック戦士がいない今のままじゃ、維持費ばかりかかって稼ぎにならないからなあ。」

「贅沢な悩みなんだがな。」

「違いない、ははは。」

 

 笑うヒューバートに、キースは急にまじめな顔になって言う。

 

「ユニオン級降下船3隻を鹵獲した報奨金で、メックの補修部品を注文できた。商用降下船による通商が再開されれば、その部品もやって来る。そうなれば遠からず不稼働メックのうち6~7割が復帰できるんだよな。

 来年6月になればレオ・ファーニバル教官が推薦してくれた、メックを持たない『ロビンソン戦闘士官学校』卒業生が若干名参加してくれる見通しも立っているし……。」

「俺たちの後輩、か。ファーニバル教官の推薦なら、間違いは無いだろう。しかし後半年以上か……。長いな。」

「だけど焦って信頼できないメック戦士を雇うのは馬鹿らしいしなあ。それよりかは、手元で人材を育てた方がマシかもしれないな。歩兵部隊や助整兵、戦車兵の中に、メック戦士の素質がある者がまた出てくれないものかね。」

 

 現在火力小隊にいるロタール・エルンスト軍曹とカーリン・オングストローム伍長は、実際そうやって歩兵部隊と助整兵の中から発掘された人材である。だが彼らは何というのか、生まれつきの才能を持った人間でもあった。

 僅かなシミュレーター経験だけで才を開花させ、並程度とは言えどそれなりの腕前になるなど、普通は考えられない。それほどの才能を持つ者がそうそう湧いて出るはずも無かった。

 おもむろにキースは、執務机の中から書類を引っ張り出す。

 

「さて、お仕事と行くか。あと2週間もしないうちに、恒星連邦政府が手配した追加の戦力が、この惑星にやって来る。そうなれば、俺たちは首都にある宇宙港ドリスポートに4隻の降下船を移して、この基地を明け渡すことになる。

 基地司令も、やって来る大隊……『ハミルトン大鎚騎士団』の司令官、オスカー・ハミルトン少佐に引継ぎになるしな。」

「そうなるって、はっきりしたのか?」

「ああ。昨日公爵閣下から連絡があった。俺たちには申し訳ないけれど、契約期間の最後1ヶ月間は降下船を施設代わりに使うことにしてくれ、だそうだ。もっとも降下船を施設代わりに使うのは、やって来る部隊もいっしょなんだけどな。

 この基地は、大隊が駐屯するには狭いからなあ。基地付属宇宙港に降ろした降下船を、足りない分の基地施設代わりに使うんだとさ。

 さて、引継ぎのために書類をしっかり作っておかないとな。」

「ではお手伝いいたします。キース大尉。」

「ああ、頼んだ。ヒューバート中尉。」

 

 キースは猛然と書類に取り組みはじめる。ヒューバート中尉も、それを手伝って黙々と仕事に励んだ。

 

 

 

 キースはいつものジャスティン・コールマン一等兵を運転手にして、ジャンプポイントに設置されている補給ステーションとの通信を行うための、深宇宙通信施設に出向いていた。キースの感覚からすれば、この通信施設と駐屯軍基地の間に通信回線を繋げることぐらい簡単にできそうに思うのだが、この惑星の技術者レベルではなかなかそうは行かないらしい。

 ちなみに駐屯軍基地と惑星公爵邸宅間には映像通信の回線が敷かれているのだが、それが活用できる様になったのは、サイモン老が回線を発見して手入れしてからである。それまでは、その存在すら知られていなかったりした。

 まあその様なわけで、深宇宙通信施設をキースたちが利用しようと思うなら、こうやって出向いて来るのが一番手っ取り早いのだった。キースは心の中で、溜息を吐く。

 

(はぁ……。文明の衰退は著しいなあ……。このあいだ、この惑星の一般的なレベルの技術者が機械修理をやる場面を見る機会があったけど、「通信機器に雑音が混じったときは、ここをある角度で素手をもって、素早く叩きます。ただ、その叩く角度と速度は我が家の秘伝ですので、お教えするのはご勘弁ください。」って、大真面目に言ってたもんなあ。つまり本格的に壊れたら、修理や部品交換じゃなくて全取っ換えしかないってことだろう?

 うちで雇い入れた助整兵は、サイモン爺さんはじめ、『SOTS』の整備兵が必死になって教育したからマシだけど。うちの部隊が惑星から出る時ついて来たがってるけど、この惑星に残ったらエリート中のエリートになれるんじゃねーの?あの助整兵たち。

 と言うか、この間捕まえたスパイなんかは、コンピュータのデータを盗んだりできるんだよな、この惑星の出身なのに。クリタ家は凄い高度な教育を受けさせたんだなあ。いや、単に操作手順を丸暗記しただけだったりして……。)

「大尉、到着しました。」

「……ご苦労、ジャスティン一等兵。」

 

 キースはジープを降りると、深宇宙通信施設へと入って行く。ジャスティン一等兵が、忠実にその後に続いた。施設の警備員が声をかけて来る。

 

「ああ、駐屯軍の大尉さんかい。一応規則だから、身分証明書を提示してくれ。」

「ああ。これで良いか?」

「おう、すまんね。」

 

 警備員に身分証明書を見せてゲートを通ると、キースは奥の部屋へと進む。そこでは数多くの職員が、先祖代々伝えられた手順に従って各種機器を操作していた。キースは事務用カウンターから、その職員のうち1人に声をかける。

 

「傭兵部隊『SOTS』のキース・ハワード大尉だが、うちの航宙艦、マーチャント級クレメント号からの通信が来ている時分だと思って出向いて来たのだが……。」

「はい、少し待ってください。確認してみますので。……ああ、メッセージが1通来てますね。」

 

 メッセージと聞いて、キースは少し落胆する。マーチャント級航宙艦クレメント号のアーダルベルト・ディックハウト艦長には、『SOTS』に新たに加わった降下船を運ぶ必要性から、別の航宙艦とも専属契約を結べないかと、その伝手を使い方々に打診してもらっていたのだ。

 だがその打診が上手く行っていれば、契約を結べそうな航宙艦に関する多くの情報を、データ通信で送りつけて来るであろう。単なるメッセージと言う事は、上手く行かなかったのではないかと思っても不思議ではない。

 

「メッセージをプリントアウトしますね。0.5DHビルになります。」

「ああ、頼んだ。」

 

 DHビルとは、恒星連邦を支配する継承王家であるダヴィオン家の発行している通貨だ。恒星連邦内でなら普通に通用するが、恒星連邦の領域外ではその価値は保証されているとは言い難い。それはともかくとして、キースは封筒に入れられたメッセージのプリントアウトを受け取る。キースは封筒を開けて、それに目を通した。

 

『ゲンザイ、ユウボウナコウチュウカントコウショウチュウ。イマスコシ、ジカンヲイタダキタシ。アーダルベルト。』

(……「現在、有望な航宙艦と交渉中。今少し、時間を頂きたし。アーダルベルト。」か。……なるほど、まだ希望はあるか。)

 

 キースは事務用カウンターの上にある書類立てから、1枚のメッセージ送信用紙を取ると、それにメッセージを記入していく。

 

(ええと、「最悪で、連盟標準時の3026年1月までに間に合うならば、助かる。よろしくお願いする。キース。」と。送信先は、補給ステーションで充電中のマーチャント級航宙艦クレメント号……。うん、これでいいな。)

 

 手が空いている職員を呼ぶとキースは、メッセージ送信用紙を頼む。受信メッセージのプリントアウトと違い、送信は10DHビルかかった。けっこう高かった。

 

 

 

 轟音と共に、ミュール級降下船が駐屯軍基地付属宇宙港に降り立つ。この降下船は、ユニオン級降下船に比して1.5倍弱ほどの大きさを持つ、長球型の民間用降下船だ。この船種は主に、商用降下船として用いられることが多い。

 今回この降下船が運んできた荷は、基本的に軍用の物ばかりである。目玉商品は、キースたちが注文したバトルメックの修理部品や予備部品と、気圏戦闘機の予備部品だ。だがそれ以外にも、大量の軍需物資がこの降下船からは降ろされて行く。

 一方でキースたちは、自分たちの降下船であるレパード級ヴァリアント号、ユニオン級ゾディアック号、同級エンデバー号、フォートレス級ディファイアント号に、バトルメックの修理作業台などの大物の荷物を、基地の整備棟から運び出して積み込んでいた。まるで引っ越し作業の様だ。いや、「様だ」ではなく、実際に引っ越し作業なのだ。キースは本来は戦闘指揮に使われる指揮車輛を用い、そこから引っ越し作業を監督していた。

 

「予備メック及び不稼働メックはゾディアック号、エンデバー号、ディファイアント号にそれぞれ分けて積み込んだな?アーリン中尉。」

『ええ、今さっき不稼働メックのヴァルキリーをエンデバー号に積んだので最後です。実動しているバトルメック、気圏戦闘機と機甲部隊の戦車やその他の車輛はまだ積み込まないんでしたね?』

「ああ。それらは『ハミルトン大鎚騎士団』に基地を引き渡した後、発進直前に積み込む。気圏戦闘機は積み込まずに、宇宙港ドリスポートまで自力で飛んでもらうことになるだろう。基地引き渡しまでは、俺たちが主体となって惑星防衛の任にあたらなければならないからな。いつでも発進可能な状態を、それまでは保っておかねばならん。」

 

 ミュール級降下船から降ろされた荷の約1/3が、基地施設に搬入されずにそのままヴァリアント号、ゾディアック号、エンデバー号、ディファイアント号に積み込まれる。これらがキースたち『SOTS』が注文していた、バトルメックや気圏戦闘機の部品などの様だ。

 そして残り2/3は、あらかじめ『ハミルトン大鎚騎士団』のために用意された物資であるらしい。それらの荷は、基地の倉庫などに運び込まれて行く。ユニオン級エンデバー号の中で、船内の荷積み作業を監督していたアーリン中尉は、ちょっとした疑問についてキースに尋ねた。

 

『ところでキース大尉。私たちは『ハミルトン大鎚騎士団』司令官、オスカー・ハミルトン少佐の指揮下に入ることになるんですよね?』

「基本的にはそうなるな。ただ俺たちは『ハミルトン大鎚騎士団』到着後、1ヶ月もすればこの惑星から撤退する身だ。駐屯場所も駐屯軍基地と、首都の宇宙港ドリスポートとに分かれることになる。相手からすれば、使いづらい駒だろうな。

 だからと言ってまったく接触を取らないと言うわけにも行くまい。おそらくは、上っ面だけの付き合いになるんじゃないか、と思っているがね。新たな敵でも来ない限りは。」

『敵が来た場合は?』

 

 キースは不敵な笑みを浮かべる。

 

「その場合、ハミルトン少佐の人柄しだいだな。期限ぎりぎりまで良い様に俺たちを使おうと言う気なら、こちらもそれ相応の物を貰うことにしよう。具体的には補給物資とか報奨金とかを独占する形で。そういったことを可能にする手段も、サイモン曹長の伝手でいくつか存在する。

 無論きちんと協力して事にあたるならば、何の問題も無いがな。」

『後者だと良いんですけどね。』

「そうだな。さて、仕事を続けよう。……ジャスティン一等兵、その車の荷はエンデバー号に持って行け。」

 

 整備棟から大荷物を運び出してくるトレーラートラックに、キースは指示を出した。

 

 

 

 ここに来た時に持ち込んだ私物などを運び出し、若干殺風景になった司令室で、キースはサイモン老の報告を受けていた。

 

「……と言うわけで、伝手を辿って調べてもらったオスカー・ハミルトン少佐の人柄は、まあ善人とは言いませんがさりとて悪漢ではありませんのう。言ってしまえば、普通の人ですわい。

 多少美味しいところ取りをしたい気持ちもあるでしょうが、かと言って他者を虐げてまでとは思わん人物ですわ。恨みを買うのは嫌だ、と言ったところでしょうの。」

「む。そうなると、どう付き合って良いのか悩むところだな。」

「お互いを刺激せずに、とりあえずなあなあの付き合いでかまわんでしょうのう。こちらもあちらも、互いに恨みを買いたくないのは同じですわ。今回は互いにとってイレギュラーな事態ですしの。」

「イレギュラーな事態でなかったら、サイモン曹長に調査なんぞ頼んでいないけどな。」

 

 そう、今回の件は互いの部隊にとってイレギュラーな事態だ。『SOTS』にとっては、自分たちの駐屯契約が切れないうちに恒星連邦が新たな駐屯軍を送り込んで来たと言う形になる。

 まあ増援は基本的にありがたいのだが、急遽決まったこと過ぎて色々と彼方此方に混乱が見られる。また相手側からすれば、援軍に赴く予定がそのまま駐屯任務にすり替わったことになるのだ。

 

「まあ、こちら側は基地を明け渡して降下船住まいになるんですしの。それを当然と胸を張れるほど面の皮が分厚い御仁ではなさそうですわ。」

「向こうも半数は基地施設から溢れて、降下船住まいだけどな。貧乏くじを引いたと思うかも知れんな。ふう。」

 

 溜息を吐いて、キースは話題を変える。

 

「ところでサイモン曹長。自由執事及び総務人員の雇用と選任に関して意見を聞きたかったんだが。流石に部隊が大きくなってくると、自由執事や総務がいなければ困ることが多い。宿舎の割り当てまで俺が手配するのはどうかと思うと、しばらく前にネイサン軍曹に意見されてしまったよ。」

「自由執事ともなると、そこそこ充分な能力も必要ですが何よりも優先されるのは人格と人間性ですのう。」

「ああ。下手な者を選んで、部隊の財産を着服されたり横流しされたりしたら、たまらん。総務についても同じことだ。能力は欲しいが、それよりも信頼のおける人物であることが第一だ。まあ、まずは自由執事だな。誰か、いないか?」

 

 サイモン老は、しばし考える。そして彼は、ぽん!と手を打つとにっこりと笑った。

 

 

 

 3隻のユニオン級降下船が、駐屯軍基地付属宇宙港に着陸していた。これらのユニオン級は、『SOTS』の降下船ではない。これらは『ハミルトン大鎚騎士団』所属の降下船である。今、キースは基地司令室で、オスカー・ハミルトン少佐及びその配下である2名の大尉と対面していた。

 

「……お初にお目にかかります。自分が傭兵中隊『鋼鉄の魂』、略称『SOTS』司令官兼、当基地の司令でもあるキース・ハワード大尉であります。」

「うむ、私が『ハミルトン大鎚騎士団』大隊長のオスカー・ハミルトン少佐だ。後ろの者たちは大隊の第2中隊中隊長パウエル・クーパー大尉と、第3中隊中隊長ウィルフレッド・フィッシャー大尉だ。」

「パウエル・クーパー大尉です。」

「ウィルフレッド・フィッシャー大尉です。」

「1ヶ月の間ですが、よろしくお願いします。」

 

 キースは無難に挨拶をし、右手を差し出した。ハミルトン少佐はその手を握る。彼はにこやかに微笑んだ。

 

「いや、我々が援軍に来るまでもなく、自分たちの中隊以外は素人の乗るメックと戦車部隊を率いて、ドラコ連合の増強1個大隊を一蹴したと聞いたときは驚いたが……。なるほど、実際に対面してみると、その凄さが感じられるな。」

「いえ、一蹴とまでは……。戦闘終結時には、こちらも継戦能力が切れかかっておりましたし。」

「いやいや、謙遜するな。君が率いた素人たちにも戦車部隊にも、犠牲者は出なかったと聞くぞ?」

 

 ふとキースが気付くと、ハミルトン少佐の額には汗が滲んでいる。後ろにいるクーパー大尉とフィッシャー大尉も、何やら笑いが強張っていた。どうやらキースに気圧されているらしい。

 

(……やっぱり俺は怖いのか?怖いよな、身長2mを超すムキムキの筋肉達磨だし。はぁ……。)

 

 心の中だけで溜息を吐くと、キースは軍服――正確には、そう見える衣類――のポケットから鍵束を取り出す。

 

「これがこの司令室及び司令官執務机の引き出しの鍵であります。お受け取り下さい。本日ただ今よりここが、少佐のお部屋になります。……着任を歓迎します。恒星連邦ドリステラⅢ駐屯軍新司令官、オスカー・ハミルトン少佐。」

「うむ、ありがとう。今までご苦労だった、キース・ハワード大尉。」

「はっ!ありがとうございます。引継ぎ書類は執務机の一番上の引き出しに全て収めてあります。ご確認ください。」

 

 ハミルトン少佐は、司令室の司令官執務机に着座すると、キースに向かって問う。

 

「これから何か予定はあるのかね?」

「はい。我々傭兵部隊『SOTS』は当基地を貴部隊に明け渡した後、速やかに惑星首都ドリステル宇宙港ドリスポートに降下船群を移動させ、今後はその降下船群を施設代わりにして活動することになっております。自分はこれからその移動の指揮を取ります。」

「そうか。仕事があるのでは、引き止めるのも何だな。ではまた会おう、ハワード大尉。」

「はっ!それでは失礼します。」

 

 キースは司令室を退出すると、まだ自分のマローダーを置いてある、基地バトルメック格納庫へと向かう。閉まる司令室のドアの向こうから、大きく息を吐く音と、呟きと言うにはやや大きな声が聞こえてきた。

 

「ぶはーーーっ!あ、あれで本当に16歳かよ……。なんて迫力だい。」

「舐められない様にプレッシャーかけようなんてしなくて、良かった……。」

(やっぱり俺って、怖いんだ……。とほほ……。ま、まあ舐められなくて良かったと思うことにしよう。)

 

 3025年12月3日、この日キースは恒星連邦ドリステラⅢ駐屯軍司令官職を離任した。




主人公は、駐屯軍の司令官職を後任に引き渡し、一時的にその下に入る事になりました。ですが彼の異様な迫力が功を奏し、無茶な事は押し付けられないで済みそうですね。
ところで主人公が探していた「自由執事」ですが、これは部隊の財産管理をする大事な人材です。下手な者に任せたら、横領が発生しかねないので、完全に信頼できる人物でなければなりません。サイモン老は、何やら人材の心当たりがあるようですが……。
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