Tales of Trust -信じることを知るRPG-   作:keim

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第一部 "破門"編
プロローグ


目の前にあることも

今まで教わってきたことも

世界の何もかもが

本当に何もかも嘘だったとしても

最後の最後まで君を信じるよ。

 

Tales of Trust -信じることを知るRPG-

 

--------

 

かつてこの地は 邪神率いる悪魔達に蹂躙された。

草木は枯れ 大地は燃え 海は死に絶え

空は淀んだ。

人々は死に絶えるのを待つほかなかった。

 

絶望のなか 紅き少女が立ち上がった。

少女はその身を削り 神に祈りを捧げた。

 

その祈りを 女神アシリアが聞き届けた。

女神は人々を哀れみ この地に降り立った。

女神は悪魔達を地の果てに追いやり

邪神を封じ 荒れ果てた世界を再生した。

そして力を使い果たし 長き眠りについた。

 

女神は眠りにつく前に こう言い残した。

 

「我は再び目覚める。

その時が訪れるまで 教えを守り続けよ」

 

女神の教えと 預言者の言葉を守り続けよ。

いつか来る救済の日まで。

 

<アシリア教 女神のこと>

 

--------

 

この世界に生まれた人は皆そう教えられる。

 

"女神様の教えを守りなさい"

"女神様を信じなさい"

"女神様はいつでも私たちを見ている"

"悪いことはしちゃいけない"

 

それを当然のように受け止め生きていく。

女神アシリアを信仰し、女神の教えを守る。

そうすれば女神が救済してくれる。

 

女神に使える聖職者になることが、最も良いこととされる。

特に"巡礼者"に皆なりたがる。

厳しい試験を潜り抜けた聖騎士と聖女の二人。

彼らは女神の教えを各地に説いて回り、人々を魔物から守り、怪我や病を癒す。

巡礼者は英雄だ。

 

逆に、女神に逆らって破門されてはいけない。

教えを破ったものたちは、体に破門者の証を刻印される。

破門者達は女神の敵。

破門者は救済され得ない存在。

彼らは邪神に使えるもの。

彼らは処刑されねばならない。

 

……それが当然の摂理だと思って生きてきた。

何も疑いを持たなかった。

女神が絶対正義で揺るがないのだと。

 

じゃあ……この目の前の光景は一体、何?

 

円形の殺風景な部屋。

そこに閉じ込められた20人。

先程まで和気藹々と話していたのに。

……今は殺しあっている。

生き延びるために。

皆の憧れの"巡礼者になるため"に。

 

聖女見習いの少女は、ローブの裾を固く握りしめた。

これが女神の望むことなのか。

信者たちが血で血を洗うことを女神は望むのか。

本当に?

 

足元がぐらつくような感覚がした。

今まで信じてきたものが壊れていく。

何が本当で何が嘘なのか。

何もわからない。

 

「ぼけっとするなよ。

……死ぬぞ」

 

パートナーの聖騎士候補の少年に手を引かれて少女は我にかえった。

 

「うん。……ごめんなさい」

 

 

 

 

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