色々と書きたい小説が多くて。
タイトルからして、作り方は皆様大体察しているんじゃないですかね?
カゴを背負って、私は森の中を歩いていた。右手には火ばさみ、茶色トンボの尻尾に結わえた糸を左手首に緩く巻き付けて、あてもなくフラフラ移動する。
「お?」
クヌギの木ばかりが生えている場所に来た時、茶色トンボが渋い声で歌を歌いだした。私は足を止めて、茶色トンボが見ている方角を確認する。北ね、よし。
しっかりと見極めてから、私は再び歩き出す。この茶色トンボは、私が探しているアイテムを見つけ出す能力に長けているのだ。こうやって特定の方角を見つめながら歌いだしたら、二百メートル以内に良い物がある可能性が高いので、期待してもいいだろう。
数分後辿り着いたのは、垂涎ものの場所だった。ガッツポーズをしたあと、早速火ばさみで落ちているアイテムを拾い出す。あるのは殻が金や銀に輝くカタツムリや、四色のクローバー。コレらはコレクターが多いのでいい値段で売れてくれる。あー、もっとないかな。
「あ!」
目につくもの全てをカゴに入れてから、更にあるモノを見つけて声を上げた。緑色の水玉模様のネズミを見つけたのだ。コイツは瓶に入れて上手に育てると、青の縞模様が入った種を産む。それを水の中に沈めればたちまち芽を出して緑の花を咲かせるのだけれど、これが食べても良し飾っても良しの優秀な花なのだ。見つけた以上、絶対に捕まえないと。
こっそり近づくと、気づいていないのか木の穴から動かない。捕まえられると確信して、火ばさみをネズミに向けて伸ばした時だった。
突然、ネズミが走り出す。するとどうだ。ネズミが進む方向にいつの間にか道ができていて、あっという間にネズミの姿が見えなくなった。
「え? あ、あ、待て!」
急いで追いかけると、ネズミは道の先で立ち止まりコッチを見ている。そして、私が追いかけて来ているのを確認すると、また道を作って逃げ出すのだ。
それを何回繰り返しだだろう。
「クッ……チュー太のクセに生意気な……」
息切れはしないけれど、流石にイライラしてきたわ。なんか馬鹿にされているというか。遂に我慢の限界がきて思いっきり叫ぶ。
「きえー! いい加減にしなさいよ!!」
* * *
叫ぶと同時に景色が変わった。ん……ここは私の部屋の天井じゃあ?
「……アレ?」
気がつけばベッドにいて、枕を握りしめていた。ということは今までのは夢? どうりで突拍子もない展開になるわけだ。
ベッドから起きないまま辺りをキョロキョロしていたら、鳥かごにしがみついたチョコとトリュフが私のコトを凝視していた。見世物小屋の動物を見ているような顔で私を見てくるから、少し恥ずかしくなってくる。この様子じゃ、夢の中で散々に言っていた文句も全部聞かれているんだろうな。変な事……言ってないわよね。
「お早うチョコ、トリュフ。変な夢見てただけだから、病気とかじゃないわよ」
起き上がって笑ってみるも、二人は変わらない瞳でジッと見つめ続けている。うーむ、まさかモンスターと人形に珍獣を見るような目を向けられるとは思わなかったわ。
朝から少し落ち込んでいると、バタンと勢いよくドアを開けてエンスが部屋に入ってきた。もう私が起きているのが解ると、目を真ん丸にする。そんなに驚くようなこと?
「シルキちゃんが起きてるニャン、珍しいニャン!」
「あー。今日はね、何か変な夢見たせいで何時もより早く目が醒めたのよ。お陰でチョコにも変な目で見られてるし」
「変な夢ってアイツのせいかニャン?」
指をさす机の上には、夢魔のオルゴールが載っている。そういえば昨日、試しにと鳴らしてみたんだっけ。
「でも、何もなくて良かったニャン。起こしに行く途中で叫び声が聞こえたから、ボク、シルキちゃんが寝相悪くて落っこちたのかと思ったニャン」
うげ、エンスにも聞かれていたのね。恥ずかしい。
「とりあえず、ご飯できたから食べるニャン。美味しいの食べれば、気分もよくなるニャン」
「そーねー」
* * *
その後、何時ものようにカウンターでぼんやりしながらお客さんを待っていたのだが、やはりまだ面白くない気分が残っていて顔に出ていたのか、エンスに指摘をされた。
「一体どんな夢を見たんだニャン」
「んー……私ももう詳細な内容は覚えていないんだけれどね。起きる直前にネズミを追いかけてたのはしっかりと記憶に残っているわ」
「え、シルキちゃん猫になってたのかニャン?」
「いや、なんか凄くお金になるネズミだったのよ。それで捕まえようとしてたんだけれど、ネズミが走るとその先に道が出来て逃げられるっていうか」
「ニャーン?」
「うーん、どう説明すればいいかしらね。なんか空間が広がるっていうか、そのネズミが動くと壁があってもその壁がもっと奥にいくというか。ん?」
動くことによって空間が広がる? もしそんな魔導具ができるなら、村長の依頼の打開策になるんじゃ。
「どうしたんだニャン」
黙り込んだ私に、エンスが心配そうな声を上げる。少しして、思いついたアイデアの素晴らしさについ本音を漏らしてしまう。
「私って実は天才じゃないかしら」
「え、シルキちゃん大丈夫かニャン」
途端にエンスの瞳が、心配して損したと言わんばかりの胡乱げなモノに変わる。
「いーじゃない、自画自賛したって。悩んでいた問題点の解決策が浮かんだら、自分を褒めてやりたくなるわよ。さて、と」
メモ用紙は見つけたから、後はペンがその辺に無いかしらと視線を彷徨わせていると、部屋の中で虫取りに勤しんでいたチョコとトリュフが、気づいてペンを持ってきてくれた。
「ありがとう。じゃ、お客さんがいない内にアイデアを上手くまとめて」
「お早うシルキちゃん。ユニコーンの水薬と雷帝の抱擁、後はミントキャンディと傷薬が欲しいんだけど」
「お客さん、来ちゃったニャンよ」
「ぐぇぇぇぇ」
「え、な、何か取り込み中だったかい?」
「あえ、大丈夫です。少々お待ちくださいね」
出鼻は挫かれたものの、お客さんが来たからと言ってアイデアそのものが吹っ飛ぶわけじゃないから問題はない。暇な時間にざっと書き上げて、文字を消したり付け加えたりしていれば、お昼ぐらいには上手いこと形になってくれた。ついでに残った時間で手紙も書き上げて、ほうき便の魔女さんに配達も頼んだので準備は万端。
よし、明日早速作ってみよう!