道具屋さん、始めました   作:飛沫

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GWはカプコン展行ったりプラグマタしたりとカプコンまみれの日々でした。プラグマタのラストは、いい映画見ている感じでした。二人が助かって地球に行けるかもという淡い期待を、丁寧に丁寧にへし折られていくのは「あ"あ"あ"あ"あ"あ"」と頭抱えて絶望していましたが。
カプコンも好きですが、多分私はSEGA&ATLAS信者です。


シュイムーメデューサとは?

「何ちゃらメデューサ……?」

 

 私の言葉に、コピアさんはマカエルちゃんと同じような反応を示した。これは……駄目かもしれないわねぇ。

 

「んー、もうちょっと名前が分かればいいんだけれど。メデューサって何種類かいるから。でも粉末粉末……。うーん」

 

 思い出そうとしてくれるが、いかんせんヒントが少ない。仕方が無いので素材の詳細は諦めて、買い物に勤しむことにした。

 

「んー、賢者のインクも購入しておこうかしら。それと知恵の文具をもう一セット買って、今度こそ休日予想を……。あー、でも雷帝の咆哮の在庫も少ないのよね。そっちまで買うと予算が」

 

「ユニコーンの欠片とーウンディーネの端っぱは、あるだけ買うニャーン。シルキちゃん、魔石はどれくらい買うんだニャン」

 

「えっと、雷帝の咆哮用を考えると……」

 

 計算してお財布の中身と相談しながら優先順位をつけていると、何組かの冒険者グループがやってきて持ち込んだ素材の買取の交渉を始める。別の数字が耳に入ってくると、頭の中がゴッチャになりそうだったので、エンスと共にちょっと離れた所に移動して脳内会議を続けた。文具セットは今回見送りかな。あ、でも。

 

「……これが売れれば何とかならないかしら?」

 

 持ってきた底なしの袋から、ドリュアスの蜜を取り出す。養蜂場の人から、もし取り扱ってくれそうな店があったら紹介して欲しい、と頼まれていたのだ。今のところ販売経路が村の中と行商人さんだけで、村の人数はそこまで多いわけじゃないし、行商人さんも乳製品が目的だから、そこまで沢山買ってくれるわけじゃないからね。

 

「試してみればいいんだニャン」

 

「そうね。コピアさんすみません、ちょっとコレについて相談が」

 

 人波が捌けたのを確認して、コピアさんの元へ行こうとしたら、タイミング良く? ドアが開いた。また冒険者グループがやってきたのかと顔をそっちに向けると、いたのは見覚えのある三人組。あ、ドリュアスの件でお世話になった人だ。

 

「こんにちは、お久しぶりです」

 

「ああ、シルキさん。お元気そうで何よりです」

 

「この人たち、誰だニャン」

 

「そっか、エンスは軽く挨拶しただけで一緒にいなかったもんね。ステリアちゃんとダンジョンに潜った時に、護衛してもらった冒険者さんたちよ」

 

「あー!」

 

 そこでようやく思い出したようだ。一方、冒険者さんたちは落ち着いた様子で話しかけてくる。

 

「何か欲しい素材でもありました?」

 

「今日は、何時も使う素材の補充にきました。後はまあ、新商品が作れそうな素材があればそれを」

 

「あ、ドリュアスの頭花の方はどんな感じですか?」

 

「いい感じに美味しい蜂蜜ができてます。あ、今日持ってきてるんですよ。良かったら一口どうでしょう?」

 

 コルクの蓋を外せば、甘い匂いが辺りに充満する。冒険者さんたちも興味津々といった様子だ。

 

「シルキちゃん、それコピアさんに売りつける筈じゃないかニャン?」

 

「よく考えれば一本売ったところで金額はたかが知れているし、だったら他の人に噂してもらって、興味を持ってもらうにしてもらった方がよくない?」

 

 今は前よりずっと楽に、こっちまで来られるようになったしね。纏めて注文してもらった方がWin-Winってやつになるだろう。

 

「え、いいんですか?」

 

「どうぞどうぞ。好評なら、コピアさんに買取お願いできますし」

 

「では遠慮なく……甘い! 何か前舐めたドリュアスの蜜より、美味い気がする」

 

「どれどれ……。ん、いいなコレ。多分飲食扱ってる店も欲しがると思いますよ」

 

 うんうん、なかなか好感触。これならいけそうね。

 

「ちょっとちょっと、お客さん。困りますー」

 

「店内でのご飲食は禁止でーす」

 

 咎めるような口調でコピアさんとマカエルちゃんがやってくるが、二人とも顔がニヤニヤしている。

 

「見逃して下さいよー。お二人もどうですか、ドリュアスの頭花から採れた蜂蜜です」

 

「仕方がないわねー。……うん、これはいい品物ね。間違いなく売れるわよ。シルキちゃん、ウチに卸さない?」

 

「んー、お料理にもお菓子作りにも使えそうです」

 

 二人からも好感触だ。これはお店に置いてもらえる可能性が高いわね、後で詳しく詰めるとしよう。

 

「ところで皆さんは買い物ですか?」

 

「いやいや、買取をしてもらおうと思って」

 

 言いながら見せてきたのは木の芯に巻き付けられた糸……にしちゃ太いか。青い色の紐のような物。見たことないけれど、これも魔物の素材なんだろうな。

 

「シュイムーメデューサの毒針です。麻痺の効果があって、毒物作るにはうってつけなんすよ。昨日、何体か戦って余計に採れたんで」

 

「あ、それだ」

 

「はい?」

 

「コピアさん、マカエルちゃん。確かレイスさん、シュイムーメデューサって言ってました」

 

「あー、シュイムーかぁ」

 

「それで粉末……納得しました」

 

 私の言葉に、二人は得心がいったような顔で何度も頷く。知っている素材のようだけれど、相変わらず私にはどんな効果を持つものかちんぷんかんぷんだ。そもそもシュイムーメデューサって魔物が分からないからなぁ。

 

「あのー、どんな魔物なんです?」

 

「メデューサはご存知ですか?」

 

「ええ、物語とかにも出てますのでその範疇程度ですけど」

 

 確か、髪の毛が小さな蛇になってる女型の魔物よね。その姿や声は歴戦の戦士でも竦み上がらせるとか。戦い慣れた人間すら恐怖で動きを止めてしまうことから、物語だとコカトリスみたいな石化の瞳を持つとか、直視できないから盾を鏡のように磨いて挑むとかの設定が結構ある。

 

「シュイムーメデューサってのはそのメデューサの亜種で、水辺のフロアにいるんです。頭部が蛇じゃなくてクラゲの触手みたいになっていて―――あ、クラゲご存知ですか?」

 

「見たことないんで分からないんですけれど、スライムみたいなのですっけ?」

 

「んー、そうですね。上半身がスライムで、下半身がイカやタコみたいな透明な脚が付いてるって想像してもらえれば」

 

「あー」

 

 イカなら分かる。そんな感じかー。んで髪の毛が透明なイカの触手でウネウネと……結構グロテスクな見た目してない?

 

「触手に麻痺する毒針があって、捕まると少々面倒ですが、通常のメデューサよりは相手しやすいです。素材は、その毒針で麻痺毒を作るのが主ですかね」

 

「ほーん」

 

 あれ? じゃあ肝心の粉末は?

 

「粉末はねー、毒針を抜いた触手を天日干ししてから砕いた物よ。知ってる? クラゲって殆ど水分なの。だから、そこに水を垂らすと凄い勢いで吸い込んでくれるわけ」

 

「水そのものだけじゃなくて、湿気が強い所にも置いておくと、その水分すら吸い込んで膨らんだりするんですよ」

 

「へー、ここの人はどういう使い方をしてるんですか?」

 

「一般の人は除湿剤として、湿気の多い時期とかに部屋に置いたりしてるわね。冒険者は、毒の泉とかに投げ込んで毒の素材を手に入れたりするそうよ。シュイムーメデューサの粉末は水しか吸わないから、他の成分はその場に固まって残るの」

 

 ふーん、使い方によっては面白そうかも。文具セットは買えないけれど、多少お金は余るから……買ってみようかな。

 マカエルちゃんに値段を訊ねれば、そこまで高い品物でも無かったので、とりあえず一袋分買ってみることにした。半永久的に使えるものではないけれど、何回かは使えるらしい。

 そして、他のも合わせて会計をしていると、冒険者さんから面白い情報が。

 

「そういえばクラゲの種類には食べられるものもあって、美味しいんですよ。置いてある食堂は結構あるので、興味があったら是非口にしてみて下さい」

 

「ほほう。いいことを聞きました。行ってみよっか、エンス」

 

「ニャーン!」

 

 教えてもらったクラゲ料理は、見た目着色したウンディーネの切れ端みたいだったけれど、コリコリとした食感はユニコーンの水薬の外被を分厚くしたような感じで面白く、味も良かった。店員さんによると、クラゲは海にいっぱいいるそうな。……お父さんにお願いして、クラゲ送ってもらおうかなぁ。

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