GGOで凸砂する   作:MKeepr
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装備変えて偽装は大事

誤字修正しました。


世紀末侍と✝️ターバンダークウィンド✝️の観戦

 荒野を駆ける男性アバター、その後ろをバイクに乗った複数人が追い掛け回している。土煙をあげ走るバイクの速度に遮蔽物の無い荒野で、AGI特化ではない男性アバターは遂に逃げることをあきらめ迎撃態勢を取る。

 

「ヒャッハー! ドロップ品と種もみを寄越せ―!」

 

「ヒャッハー! 水を出しやがれ―!」

 

 それはモヒカンであった。皮鎧風の防具に肩パッド、剃りこんだ頭の頂点に輝く金髪のロングモヒカン、世はまさに世紀末だった。

 ちなみにバイクと手に持っている棍棒はモヒカンたちが探してきたフィールドアイテムだ。

 

「くそ! だれがお前達に渡すものか!」

 

 ピュヒュンと放たれた光学兵器の軌跡はモヒカンの少し前の空間に生まれた膜に阻まれ霧散する。

 すぐさま光学銃もバイクに乗ったままのモヒカンのショットガンで叩き落とされてしまった

 

「なんでモヒカンなのにハイテク装備してるんだよ!」

 

 思わず慟哭する村人。

 外見がモヒカンであってもGGOプレイヤー、光学防御フィールドは標準装備である。

 もうだめか、そう思ったとき、ショットガンを持ったモヒカンの乗るバイクが爆発した。

 

「な、なんだ!?」

 

「ヒィィイィヤッハアアァァァァ!」

 

 荒野の先から変なのが走ってきた。あの速度はAGI型か、いいや手に持っている武器が大きい、STR型か、いいえ、凸侍です。

 

「なんだてめっ」

 

 獲物を前に舌なめずりしていた、いやロールプレイをしていたら世紀末救世主みたいなのが襲ってきたの図である。

 再び変なのから銃撃が飛んでくる。.50BMGがバイクの機関部を貫き、乗っているモヒカンもろとも爆散させる。

 

「ヒャッハー! 野郎共敵だー!」

 

「「「ヒャハー!」」」

 

 モヒカン達も応戦するが、あくまで光学兵器メタ装備でヒャッハーロールプレイをしている影響で銃はショットガンだけだ。対物ライフルという射程が倍以上ある遠隔武器に勝てるわけがない。接近しなければどうしようもないのでモヒカン達が距離を詰める。

 

「ヒャッハー! 近づけばこっちのもんだー!」

 

 そこで本来なら距離を離そうとするはずのスナイパーが猛スピードで突っ込んできた。

 ここでモヒカンに嫌な予感が走った。おんなじようなことをしている変態がBoBで暴れていなかったか、と。

 幸か不幸かモヒカン大正解であった。

 

「へ、変態だッーー!」

 

 村人が思わず叫んだ。

 ショットガンのように荒ぶるバレットラインから確実に命中させてくるのでより変態感が増している。

 村人はもはや伏せて流れ弾が当たらないことを祈るしかない。

 モヒカン達はとても楽しそうに悲鳴をあげながら死んでいく。モヒカンロールプレイをやっているなら強い奴に一方的にやられるのも一つの楽しみなのだ。

 十分も経たず、7人もいたモヒカンが全滅し戦闘は終了した。助けてくれた優しい変態にお礼を言おうと村人もとい光学銃使いが顔をあげると、いい笑顔をし変態もとい凸侍がいた。

 

「水を寄越せ……一つや二つではない、全部だ」

 

「ファーー!」

 

 世紀末救世主ではなく世紀末シアターであった。ヒャッハーから変態に状況が悪化したことに気付いた光学銃使いはがっくりと項垂れた。

 

 

 

 

 

 

 

 光学銃使いから350クレジット分のドロップ品を巻き上げると急ぎグロッケンに帰還した凸侍は顔がわからないようフードポンチョとスカーフを巻き酒場に急いだ。

 人でごった返す酒場の一角、大股開きで席を確保していたターバン男に軽く手を挙げ礼をしてから隣に座った。

 

「……遅かったな」

 

「悪いね、ちょいと人助けしてたのさ」

 

「……何の暗喩だ?」

 

「暗喩じゃねーし事実だし。とりあえずなんか飲むか」

 

 コンソールで注文するとバニーガールのNPCが飲み物をテーブルの前に二人のいつも飲む成分調整安全牛乳(総督府保証書付き)と、バイオグリーンティーが置かれる。

 

「いやー、レンちゃんの活躍が見たいだなんてダークウィンドも丸くなったなあ?」

 

「単純に今のAGI型の中堅層の戦いとチーム戦を見たいだけだ」

 

「チーム戦は確かに見たいなあ」

 

 背後で『ハグウ!? 何故だか対物銃を卒倒レベルに改造した奴の気配が! ウガッガッガッ』『ライデーン落ち着け! 凸砂の変態は今日の大会は出てないぞ!』等と乱闘が起きてるのはお構い無しである。

 

 大会に酒場は大盛り上がりである。地味に二人ともこういう盛り上がりには参加したことがない。単純にBoBで出る側だったからだが。

 

「総発砲数の下一桁か、じゃあ俺は0で」

 

「……なら俺は1だ」

 

「さすが1位」

 

 二人ともニッコニコウキウキである。

 

「レンの相棒、狙撃銃使いか、なかなかの」

 

「ボフゥッ」

 

「オイゴルァ!?」

 

 レンの仲間のエムを見た瞬間凸侍が牛乳を吹き出しテーブルの対面付近で観戦している奴に直撃した。

 

「す、すまん詫びになんかおごるよ」

 

「合成オレンジカクテルで」

 

 凸侍が注文するとただちにNPCがカクテルを持ってきた。オレンジの名に恥じるくどいほど真っ青なカクテルであった。

 

「で、何にそんな驚いたんだ?」

 

 カーキ色の防弾ベストを着たPMC風の男はカクテルを片手にテーブルに腰掛けた。目立たないように座る二人を初心者と思ったのか気さくに話しかけてくる。

 ちなみに二人とも普段の格好だとバレそうなので初ログイン時に着ていた初期装備である。

 

「ちょっと見知った顔がいて……」

 

 正確には知り合いと知り合いがブッキングである。世間は意外と狭い。

 

「ああ、こういう大会の中継を見るの初めてか。フィールドで会ったりしたやつらが出てると驚くよな」

 

 区切るようにカクテルを飲み干し、男は名刺を取り出した。

 

「ちょっとした傭兵ロールって奴でね、それに書いてあるアドレスに連絡くれれば金次第で探索の手伝いからPKまでなんでも請け負うぜ」

 

 BoB本選にも出場したんだぜ! と二人が名刺を覗き込めば確かに第二回、第三回BoB本線出場と書いてあった。名前はブルーノ。

 

「それじゃご贔屓によろしくな! カクテル美味かったぜ」

 

 ブルーノが爽やかに去った後、闇風はぼそりと呟いた。

 

「……思えば、前回都市部で見た覚えがある」

 

「奇遇だな、撃ち殺した覚えがあるわ……」

 

 凸侍が机に突っ伏しながら答えた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「おおーああいう風にロープで降りるの憧れるわーやってみたい」

 

「…………ある程度だと壁は走り降りるものだからな」

 

「AGI型あるある過ぎる」

 

 

 気を取り直して観戦を再開する二人であった。何か起きる度に酒場内で知っているのかライデーンが発生し解説してくれるので観戦初心者にも安心の酒場である。

 

 

 

 

「あの盾……硬いな」

 

「正面からの突破は大火力で基部破壊するしか無いんじゃないか? 折り畳み式だしそこそこ脆いだろ」

 

「そういえばあれの一枚を片手に盾に持って反対の手でサブマシンガン撃ってくるAGI型に襲われたぞ今日」

 

「どう対処したんだ?」

 

「撃ったら盾で受け止めようとしたらしいんだけど盾ごと腕が欠損した。盾自体は無事だったけどな」

 

 .50BMG喰らったの初めてだったんたろうなあと凸侍は呟いた。

 

 

 

 

 

 

「おっドラグノフとはいい趣味してるぅ! 勧誘しなきゃ……」

 

「貴重な女性プレイヤーを魔境に引き込むのはやめた方がいい」

 

「魔境じゃないですーというかあげた銃使われないの悲し…………」

 

「喜べ盾に使われたぞというか壊れてなさそうなんだが」

 

「あれで5キロある鉄の塊だからな。なんかドピンクになってマジカル★トンファーって見た目だけど」

 

「…………おい引き金ひいた反動でぶん殴ったぞ」

 

「どういうことだってばよ」

 

 画面ではレンがぶん殴りエムが狙撃をし、優勝を決めたファンファーレが流れている。

 総発砲数49,811発であった。

 困惑しつつもレンの優勝を祝う二人であった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あー、1にしておけば良かった弾代が浮いたのに」

 

「上限7.62までだぞ」

 

「なん……だと、……? やめろその笑顔と賞品抱えて残酷な事実を言うんじゃない」

 突然の闇風に賞品交換の人が腰を抜かすことになった。




ジンクスを打ち破るレンちゃん
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