GGOで凸砂する   作:MKeepr

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3話目なので前回前々回から話がつながっております。ご注意ください。

主人公一瞬だけ出ます。

文章が変なところあったので修正しました。
誤字修正いたしました報告ありがとうございます!


第二回SJ:特に理由のあるレンのぶっとい物がピトフーイを襲うー!

「来た……来た来た来た来た!!」

 

「おっおい!」

 

 双眼鏡から眼球がこぼれそうなほどの笑みを浮かべ、エムを蹴り跳ね飛ばしてバレットM107A3を奪い取ると意気揚々とその場に伏せて狙撃態勢を取った。太った関取のような覆面男が、やれやれとでも言った風に蹴られて転がったエムに手持ちのサベージ110BAを渡した。

 

「すまない、感謝する」

 

「じゃあ俺は裏の警戒でもしますかね」

 

 関取男はM4を取り出し背後の警戒を始めた。

 エムはシールドを展開し地面に置く。以前固定されていなかった影響で端に当たった際に盾自体がずれ動いてしまった教訓から、しっかりと地面に杭を打ち込み固定する。

 

「あの三人は不明だが、1200から迎撃する」

 

「りょうかーい」

 

 とても嬉しそうな雰囲気で、恋に浮かされ愛に痺れたような表情で、ピトフーイは今か今かと畑の先のレンに焦がれるのだった。

 

 

 

「……現在1600、盾を展開」

 

「もう?」

 

 レンが双眼鏡を覗くと確かにエムの盾が展開されている。エムらしくない行動だ、とレンは思った。わざわざ存在を晒す必要がない。万一7.62級の狙撃銃を警戒しているとしてもそれなら1000から盾を展開すればいい。そういえば、と以前のピトフーイとの会話が思い出される。

『対物ライフル売ってもらおう思ったんだけど断られちゃった』と言っていなかったか、ならば手に入れていない保証はない。

 

「ヤーさん、作戦変更。1400から盾を撃てる?」

 

 通信機から返答が返ってくる。

 

「初弾はライン無しで撃てるだろう」

 

「ウッソ俺だとたぶん無理なんだけど?」

 

「……DEX上げろ」

 

 相手がこちらを発見していなければ発生する初弾のライン無し射撃。システムアシストを受けつつバレットラインを表示させない物だ。まずエムの盾を破壊しなければ話にならない。いや、話になる手段はあるのだが、それはレンの本意ではない。思いついた時は悪魔的発想過ぎてフカ次郎に引かれたレベルだ。そしてそれはレンの力で成すものではない故に取るべき手段ではないと全員が承知していた。

 故に、ピトさん決戦仕様作戦を決行するのである。

 

「フカ、ヤーさんが二発撃ったら、決戦仕様行くよ! あとトーさんは渡しておいた奴被って!!」

 

「ガッテン承知の助!」

 

「うわぁこの外見でこれはうわぁ」

 

 黒いフルフェイスヘルメットにピンクのポンチョ。これは変態であった。フカ次郎のポンチョは可愛らしいのにどうしてこうなったと言わざるをえない。とりあえずと言わんばかりにトーさんはヤーさんの脇、1400m地点でコンソールを開き待機する。レンとフカは前進をじりじりつづけ、1300m地点までやってきた。

 

「今!」

 

 爆発音に近い発砲音が炸裂する。ライン無しで放たれた射撃がエムの盾中央に直撃し爆発が発生する。銃座のため切り取られた上部部分から爆発の衝撃が侵入しエムのスカウト帽子を吹き飛ばしライフルスコープを損壊させる。もう一撃のダメ押しが、今度はラインありで射撃される。狙いがややそれ盾の左側面に着弾、それと同時にヤーさんのヘルメット側面が弾け飛んだ。ピトフーイのカウンタースナイプが掠ったのだ。すぐさまそこで側転し、銃を放り捨てた。地面にしっかりと固定された盾は左側面の装甲板を根こそぎもぎ取られ、見るも無残な姿をさらしている。弾け飛んだ装甲の一つがエムの左足に突き刺さり欠損判定をもたらすほどだ。立って居たなら確実に即死していただろう。転がった男を追撃しようとするピトフーイの視界がピンクに染まる。

 フカ次郎が放ったグレネードが炸裂しピンクの煙をまき散らしたのだ。遮蔽の無い空間は視界を遮蔽する空間へと早変わりし、めくら撃ちをおこなったが【dead】が点灯することはなかった。

 まだスモークは1000m近く離れた位置で発生した物だ。しかし、定期的に前に放たれるそれは接近しているであろうLFTYの姿を隠し、ついでに酒場からも姿を隠す。

 

「援護する!」

 

 MG3を抱え走ってきた覆面仲間の一人がすぐさま地面に伏せ、煙に向け制圧射撃を開始する。煙というだけで遮蔽として機能しない以上、ラッキーヒットと動きの抑圧を狙うなら機関銃が一番であった。ポポポポン、と煙の中から一直線になる様にグレネードが着弾し、PM4の50m手前までの道を構築した。

 伏せ撃ちではなくしゃがみ撃ちに移行し、なお制圧射撃を続ける男と、スコープを破損したサベージ110BAを置いてM14EBRを構えるエム。ピトフーイもすでにKTR09を構え油断なく、そして笑みを湛えて待っていた。

 スモークが揺れた。まるでショットガンのようなバレットラインの直後、MG3の射手が炸裂し吹き飛ばされる。煙の中から一瞬飛び出したフルフェイスメットにピンクポンチョを着た男はすぐさまエムの狙撃とピトフーイの射撃を躱し煙の中に戻っていく。この瞬間、一瞬のことで何が起きたか分からなかった酒場でライデーンが一瞬で顔を赤くして、アミュスフィアの安全装置起動によりログアウトした。

 トーさんが煙の中に戻った瞬間煙から飛び出してきたレンがエムを射殺した。爆炎と衝撃を頭部に受けていたせいで体力の減っていたエムを殺すには腰の50BMGでは過剰だったか、とも思いながら反動を生かした加速でピトフーイに接敵する。

 ピトフーイのショットガンが炸裂するが、レンは体を捻ってバレットラインを腰のP90弾薬に当てダメージを減らす。広範囲に拡散するそれはストッピングパワーが低くレンの体力を4割削るだけにとどまった。

 

「ピトさんぶっ殺す!!」

 

「アッハッハッハッハ!!」

 

 命を助けるための殺し合いがスタートした。

 

 

 

 二人の戦闘を邪魔しないため、煙から再び飛び出してきたピンクポンチョは二人を一瞥することもなく、正しくショットガンのバレットラインを避けながらさっきと違う両手のMP7から弾をばら撒き小柄の男を撃ち殺すと、小太りの男と痩せた男の射撃を易々と躱し照準を絞られない様動く。

 反撃に動きながら弾をばらまくが、相手も強豪。ラインをしっかり読み、最低限の回避で命中するものは手に持った物で弾いた。

 それは吹き飛ばしたエムの装甲板。ひん曲がった接続パーツを持ち手のようにして盾として利用しているのだ装甲板相手にMP7での貫通は不可能であり、破壊力で無理やり盾を弾き飛ばすこともできない。

 

「おいまじかよ速すぎだろ!」

 

 的であるトーさんの動きに悪態をつきながらこれ以上接近させまいと攻撃を続ける。

 しかしその弾がトーさんに当たることは無く、膠着状況のそこに、“トーさんにしか見えない”バレットラインが放物線を描いて二つ現れる

 

「もう少し右、そちらは固定、左手はそのまま…………撃て」

 

 煙から出ていたヤーさんが双眼鏡で1400m地点から観測射撃を行いフカ次郎が指示に従って弾を放つ。目の前の強敵に注目せざるを得なかった二人の頭上へ落下してきた、半径5mを焼く二つの弾が炸裂し二人を焼きつくし粉々にするのであった。

 

 

 

 PM4がほぼ壊滅状況に追い込まれる中、レンとピトフーイの殺し合いは紙一重であった。P90の薙ぎ払いを寸で躱し逆にピトフーイのレン対策ショットガンは逆に接近されすぎたことによって発射方向を変えられ、P90の射撃で手首欠損と共に弾き飛ばす。技量が変態的になったレンにピトフーイは歓喜した。死をみた。レンの背後に甘美な死を。だが、とピトが笑ったのをレンは見逃さない。右手で何かを仕掛けてくる。それより早くぶっ殺す!! と足が動く。

 

(待ちな、嬢ちゃん。はやれば死ぬもんだぜ)

 

(そうだよレンちゃん! インビジブルだ!)

 

 腰のカーネルさんと手に持ったピーちゃんの言葉を、レンは信じた。

 突っ込むレンの姿が一瞬止まる。狙撃に対してはほぼ意味をなさない後方へのインビジブル。その瞬間を、ピトフーイの高速の一閃が薙ぎ払った。

レンの腹部、ベルトとピンクの衣装が切られ、僅かにダメージエフェクトを散らす腹が露出するが、そんなことお構いなしである。

 防弾性の高い服を着つつ耐久お化けなピトフーイを殺すにはこれしかない、とレンはP90のマガジンに残った全弾を使いピトフーイの右手に握られた光剣ごと手首を千切り飛ばし、そのままP90を放り捨て腰のナイフを抜く。

 

「ピトさん、女の約束です。本気の勝負で私が勝ったら、リアルで会うって言う約束」

 

 レンの愛くるしい笑顔に、そしてこれから行われるであろう行為のギャップに、ピトフーイは噴き出してしまった。

 

「守ってくださいね!」

 

 金打。は、レンが全力で振り抜いたナイフの一撃がピトフーイの口を突き抜け延髄と小脳の部分にまで突き刺さり捻りこむことでピトフーイのHPを全損させることでなされたのだった。

 そして行われるサテライトスキャンの時間、結果、残っているのは2チームだけだった。LFTY、そしてSHINCだ。

 

「ピトさんぶっ殺せました……! ありがとうございます!」

 

 泣きそうな顔をしながらお礼を言うレンに男二人は照れ臭そうにメットを掻くかそっぽを向いた。

 

「ハハハ、レンちゃんの望む結果になってよかったぜ。じゃあ契約はここまでってことでこれを渡しておこう」

 

「……人が死ぬのは、悲しいことだからな」

 

 二人の中で、うざい青髪のライバルが思い出された。二度と会えない煽り野郎の顔が。

 

 トーさんがストレージから何かを取り出してレンに渡していく。それは一応で持ってきたP90の弾倉とグレネード弾だ。倉庫の役割終わりの大放出である。レンとフカ次郎がいそいそとそれを受け取るのを確認してから少し離れる。

 

「トーさん、ヤーさん、私の無理なお願い聞いてくれて本当にありがとうございました!」

 

「またどっかで合おうなー二人ともーシーユー」

 

「それじゃぁこれで……オラァ!!」

 

 トーさんがストレージから取り出したるはデカグレネード凄い強力なプラズマグレネードである。具体的に言うと今レン達が立って居る位置は殺傷圏内である。思ってたのと違うグレネードにレンとフカ次郎は顔をひきつらせながらも笑って逃げだした。

 そうして二人が離れたのを見るやそのドでかいグレネードでヤーさんの頭を殴打した瞬間、大爆発が起きた。

 その場には弾け飛んだ二人の死体がゆっくりと人型を成し、綺麗になって【dead】を点灯させた。

 

 

 

「おいライデーンが戻ってこないぞどうしたんだ」

 

「おっまた死銃事件か?」

 

「それよりやはりレンちゃん攻めじゃないですか」

 

「うんうんピトフーイの口にでっかい物ぶち込んだな」

 

「しかし、SHINCとどっちが勝つかね……」

 

「まあ距離が離れてるから接敵は10分より先だろう。楽しみだぜ」

 

「あの男二人なんで死んだんだ?」

 

「酒場帰ってきたら聞けばいいだろ?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 酒場に戻ってきたフルフェイス二人が尋常じゃない速度で酒場から逃走することになるまであと8分。




ピトさんが死んだ!! 

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