スタイリッシュゥに銃撃戦が書けない……技量が欲しい
そして評価が一定数を超えると色が変わって次のが始まると初めて知った……たくさんのご評価ありがとうございます!
そして誤字を修正
誤字報告ありがとうございます
「……怪しいな」
スウェーデン軍の迷彩の上からウッドランド迷彩のポンチョを被ったチーム、MMTMのリーダー、デヴィットが呟いた。
木の陰と茂みの中から見える前方には駐車場に停められたハンヴィーが3台。
移動力の確保と一撃で全滅を避けるため3台はMMTMにとって好都合だった。ピトフーイを倒すためにもこれの確保は必須だ。
ただ―――デヴィットの経験からしてハンヴィーがあるこの駐車場のようなランドマークは警戒せざるを得ない。
脇の小屋から飛び出してくるか、それともすこし見上げる形になっている小高い森から撃ち降ろされるか。
ハンヴィーに接近する際、致命的なのは森からだ。
「ジェイク、援護射撃、同時にラックス、スモークグレネードを投擲、残りは俺に着いてこい」
「「「「「了解」」」」」
ジェイクが体を乗りだし、制圧射撃を開始しようとした瞬間、森の先で発砲炎が煌めいた。とっさに体を捻ったジェイクの肩にダメージエフェクトが発生する。同時にデヴィットからグレネードが発射され、ジェイクは意地と言わんばかりに腕だけで機関銃をささえ、弾をばら撒く。グレネードが森の手前に着弾し爆発した。連鎖的に爆発が発生し、そこにトラップがあったことを示していた。
「ちっ行くぞ!!」
投擲されたスモークグレネードに紛れ、森に向け回避行動をとりつつ前進を開始する。その間、視認できない銃撃が顔の横を掠めた。
「……ライン無し射撃だ! 訓練通りの動きで行け!」
前回SJで受けたライン無し射撃対策の不規則な回避運動を全員が取る。恐れることなく回避動作をしながら前進していく。
足や手に銃撃が掠ったりもしたが、STR-VIT型の面々故に頭に当たらない限り、対物ライフルでも持ち出されなければ即死することは無い。
そう、対物ライフル級の破壊力が無ければ。
少しの間、射撃に間が開いた。これ幸いにと距離を詰め、煙の中から飛び出すと木の陰から飛び出してきた頭を撃ち抜き【dead】を点灯させる。
直後に発砲、ケンタの足がボン、という小規模爆発と共に弾け飛んだ。デヴィットは驚愕した。撃たれたケンタも驚愕の表情のまま無い足でたたらを踏むこともできず倒れ、さらに爆発によって頭全体にダメージエフェクトを煌めかせながら【dead】が輝く。
「なん……だと……!?」
「くっ」
「さすがはここまで生き残った奴らだ!!」
「ごめん、ラプアマグナムだったら倒してたのに」
「良いんだ、むしろスマン」
シャーリーがそう謝罪するが、だれも責めはしない。狩りのシーズン、全員の成果がうなぎ上りであったのに、シャーリーだけ伸び悩んだ。思い当たる原因は簡単だ。銃弾を変更したせいで変な感覚を混ぜ込ませてしまったせいである。故に、元の7.26mm弾仕様に戻して練習しなおしていた。
ちなみにスマンの意味は違う。
顔を出した瞬間の狙撃を身を捻って肩の被弾で済ませられた。飛来したグレネードで接近時対策のワイヤートラップ類がほぼ全滅した可能性がある。接近される前に全滅させる必要があった。予想ではハンヴィーに飛びついていくかと思っていたが、予想が外れてしまった。
しかし相手もスモークグレネードで煙を発生させ、KKHCの視界を妨害してくる。
「全員、一斉射だ!」
煙で見えづらいとは言っても、完全に見えないわけではない以上狙うことはできる。そしてそれなら一斉に撃つ方が命中確率が高い、ライン無し射撃による一斉射は命中こそあるものの敵の高いHPを貫くことができなかった。さらにライン無し射撃を見た途端動きが変わり、さらに当てづらくなる。
「奥の手を使いましょう」
「PM4用に温存しておきたいが……」
「……やむを得ないな、まずはこいつらを倒さないと俺たちがやられる」
「酢飯弾を使う!!」
「その名前やめない!!?」
製作者のシャーリーは命名者をあとで殺すと再び決意した。流石に背後から接射で撃ち抜けば死ぬだろう。
KKHCの面々が新たなマガジンを取り出して装着する。入っている弾頭はシャーリー製作の7.62mm弾。全員が撃つためシャーリーが延々と弾頭を造り続ける作業をする羽目になった以外は最高の逸品である。ちなみにスマンと言った原因である。
撃とうと頭を出したリーダーが逆に撃ち抜かれる。
「リーダーが死んだァ!」
「この人でなし!!」
「なんか毎回リーダー最初に死んでない!!?」
そう言いながらもライン無し狙撃を再開。一発が敵の足に掠り、足を切り飛ばした。即座にメンバーが追撃をおこなって【dead】を点灯させる。これこそライン無し射撃でも相手を殺せる弾、酢飯弾である。敵に与えるダメージ量は対物ライフルにも匹敵し、四肢に当たった際のインパクトダメージは低いものの、結構な確率で欠損ペナルティを与えることができる。
「偽ライン!」
シャーリーの号令で1人が指に手をかけ、視界にバレットサークルを発生させながら敵を狙う。狙われたのはムキムキのサモン。ライン無し射撃対策の挙動を放棄して咄嗟に回避をしたところをシャーリーの狙撃が炸裂し胴体がダメージエフェクトで真っ赤になる。
本来胴体を撃ち抜くのは肉の味を落としたり、死にゆく命を逃してしまうなどの問題があるが、人間に食べる部位は無いのでノー問題である。実質撃つことが食べることなので美味しい。とひたすら弾頭製作をしていたシャーリーは悟りを開いていた。
同じく偽ラインで動きを乱したのラックスの胴体を爆発が蹂躙し【dead】を出現させる
相手もただではすまさず、偽ラインを出していた一人が撃ち抜かれる。
そこへ、前進してくる残り2名の後ろから大量のラインが発生した。回復剤を打ち込んだジェイクが支援射撃を開始したのだ。
毎分900発のこちらの狙撃銃と同じ7.62mmがまき散らされ、木の陰に隠れざるを得ない。
「クッソ! 俺たちが隙を作る! シャーリーは逃げて最期のチームを倒せ!」
ラインが途切れた瞬間木の陰から銃を構え弾を放つ。三人同時の攻撃はジェイクを掠めただけなものの、炸裂のダメージが3つ重なり、最初の回復しきらないダメージも合わせ体力を全損させた。
しかし目の前に色黒ボルドが既に迫っていた。どれもボルトアクションライフル故にリロードが間に合わずぶん殴ってでも応戦しようとするが、アサルトライフルの連射を前に次々と【dead】を点灯させていく。
「う……ううおおお!!」
視界端の仲間たちの体力が減っていくのを見たシャーリーは足を止めた。咆哮をあげながら振り返り銃を構え、三人を殺した下手人であるボルドを撃ち抜かんとした。
間違いなく、絶対に当たる距離で放たれた弾が外れた。見れば、デヴィットがボルドにタックルするようにして直撃を回避させていた。ストレートプルボルトですぐさまリロードを行うが、それより先、デヴィットの手から放たれた5.56弾がシャーリーの胴を何度も穿ち、体力が全損する。
「あーもう……戦略失敗しちゃったけど……楽しかった」
戻ったら失敗を見返そう、もっと連携を練習しよう。そう言いながら視界が暗くなり、シャーリーを最後にKKHCは全滅するのだった。
「おいおい、これ以上減っちまったら困るだろうが」
「いや、スイマセン」
ボルドと笑いあいながら森から出てくる。ハンヴィーを調べると、ドアを半分まで開けたところで作動するワイヤートラップが仕掛けられていた。アレを無視してハンヴィーに駆けこんでいたらおそらく引っかかっていただろう。強敵だったが、勝ったのはMMTMだ。
「さあ行くぞ! 狙うはPM4か? SHINCか? それともLFTYか? 次で弾薬全部使い切る勢いで行ってやろうぜ!」
笑顔で気合を入れ助手席に乗り込むデヴィットと二人は怖い物は無いと言ったように笑いながらエンジンをかける。
そうして南へ向けて走り出したハンヴィーの背後。それを狙う巨大な槍のような“対戦車ライフル”デグチャレフPTRD1941の射撃が一閃、ハンヴィーの装甲を後部から串刺しにするようにぶち抜き爆発炎上させた。
「悪いねMMTM、漁夫の利っていうものでございますわよ」
ストレージにデグチャレフを仕舞いなおしたSHINCは残る3チームの内1つ、丘陵地帯に居るZEMALに向け進行するため、罠を外すとトーマの運転するハンヴィーに乗って移動を開始した。
『炸裂弾つくってみたー』
『おおー』
『弾頭製作勢増えたね、狙撃手の会でも』
『凸侍さんがチャットグループ名を全GGO凸砂の会に変更しました』
『シャーリーが作ったんなら酢飯弾だな』
『えっ』
『語感よすぎじゃないですかね』
『ちょっと』
『酢飯弾いいですね』
『後で殺す』