GGOで凸砂する   作:MKeepr

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大変遅くなりました!お久しぶりです。
タイトル通り続き物となっていますよろしくお願いいたします。
誤字報告ありがとうございます!


if/春うららかなある日の一日5

「さて、みんな集まったな」

 

 撤退に成功したガンマチームのクレハを皆で讃えNPCに呪詛を吐き出す奴らを無視しつつホームにほぼ全員が集まった。シノンと銃士Xはそれぞれ北と南で再び地雷を埋設したり動きがないかの偵察を買って出てくれた。

 長距離射撃できる奴らが揃ってアホなのでしかたのない処置である。

 

「皆、端末が鳴っていたのには気づいていたと思うが、情報が更新されていた。まず、NPCのデータ、さらに研究所の内部マップだ」

 

「おおー」

 

「さっきの着信音はこれだったのか」

 

「どういう条件なんだ?」

 

「恐らくは敵の姿をしっかり視認したのがトリガーじゃないか?」

 

「まずは確認をしよう」

 

「「「ういーー」」」

 

「あ、キリトちゃん一緒に見ましょう?」

 

「は、はーーい」

 

 キマシタワーが立ち和む男性陣である。事実を知るシノンはここにはいない。無線で聞いているが面白いので黙っている。

 

「アルファ・ドクとかなんだ? アルファ版のドクってことか?」

 

 端末に映された敵NPC一覧には全て初めにアルファと銘打たれている。

 それぞれアルファを省略すれば

 

《シグ社の高性能アサルトライフルMCXを装備した丸眼鏡の"ドク"》

 

《H&KのMG4を装備したロングヘアの優男"ベア"》

 

《セミオート対物ライフルアキュラシーインターナショナルAS50の"ルーク"》

 

《M60E4のマシンガナーにしてシシガネ級の重装備を施し顔も完全に覆われた"フィオ"》

 

《M4A1のアサルト使いで写真がいい笑顔の"ロイ"》

 

《同じくM4A1、注釈でグレネードランチャー付きとついた髭面"アベル"》

 

《凄い悪役っぽいニヒルな顔をしているナイツアーマメントSR25を装備した"ボブ"》

 

《M16A3を持ち敬礼する鼻筋の通った男"ブッチャー"》

 

《最期に写真にバツ印の書かれた憂い顔の"ザックス"》

 

 おそらく最後のザックスはペイルライダーに倒されたNPCでバツ印がついていることは容易に想像できた。

 全員に銘打たれているアルファという言葉、プログラムなのでこの命名は間違っていないだろうが、全員が納得できないことがある。

 

「「「アルファ版にしては性能良くない?」」」

 

 アルファ版と言われるととりあえず動くようになったぜという風情の筈なのにNPC同士の連携やらグレポンで大被害やら死ぬ前に組みついてきたりやりたい放題されている。これが完成度を上げてきたら末恐ろしいことになるのではないだろうか。

 その場で資料を見る全員が戦慄していた。

 

「ふ、このルークとやらと同社対決といこうじゃないか」

 

「……AI社に喧嘩売ってるプレイスタイルの奴が何を言っているんだ?」

 

 凸侍は装備にAI社の銃を見つけたのでテンションを上げているが、闇風の言う通りもしAI社の社員が居て応援するのならルークの方である。

 

「鹵獲できたら凸砂二丁スタイルでAI社も納得してくれるって」

 

 頭おかしいことを言っている凸侍に皆が首を横に振った。末期です。

 

「で、切り替えていこう、作戦はどうする?」

 

 敵、地形の二つの情報を得た。しかも敵の情報は字だけでなく経験も複合されている。スコードロンを率いているデヴィッドやダインが唸りながら作戦を考案する中、声が上がった。

 

「それだったら、私にいい考えがある」

 

 手を上げたのは光剣使いのキリトだ。なよなよした感じは何処へやら凛々しい声で作戦を告げる。

 語られた作戦内容に全員が聞き入るデヴィッドとダインが作戦立案に苦心していた"全員のひどい性能差"をある程度カバーできており二人も納得の表情だ。若干投げてるというのもある。

 

「そういえばキリトちゃんは剣系のMMO出身だったか」

 

「……苦労をかけてしまうなキリト」

 

「大丈夫キリトちゃん? すごい危ない気がするんだけれど」

 

 ダインや闇風、そしてクレハの心配そうな表情を見て、キリトは腰の光剣とファイブセブンを抜き二刀流もどきの構えを見せた。驚くほどに様になったそれは世界観としては場違いに見えてもとても凛々しく輝いていた。

 

「大丈夫。必ず私が守ってみせるわ」

 

 この時この場の全員の心が一つになった。

 

((やだこの女の子イケメン))

 

 

 

 

 

 数刻後、南の飛行機の廃棄地帯から連合チームの大攻勢が開始された。応戦するNPC達の正確な攻撃と防衛側の有利によりすぐにそこは膠着状態に陥る。

 そこで指揮を取るのはデヴィッドだ。膠着状態で決定打を与えられないこの状況で彼は余裕の笑みを浮かべていた。その場には五名ほど人数が欠けていた。

 

『塀の上、アサルトライフル、恐らくブッチャーね』

 

「トーチカの中もいるっ、気をつけて‼︎」

 

 シノンの報告と共に先頭を走るキリトが警告すると同時に光剣が振るわれる。

 トーチカより飛来した弾が両断され地面に突き刺さる。

 

「対物弾! ルークだ!」

 

 威力からそれが.50BMGと察しキリトが叫ぶ。

 セミオート故にすぐ様バレットラインが現れ弾が飛来するが機関銃ほどの雨あられでない為、凸侍の前にキリトが出て守りながら進む事が可能だった。

 ちなみにライン無しの初弾を防いだのはキリトの直感である。

 ついでにキリト達の先を全力疾走しているのは闇風だ。闇風は"爆破された"ゲートでは無く塀に向かっている。

 ルークとしては命中の難しい闇風をスルーして攻撃したのに剣で防がれるのは理不尽以外の何者でも無い。

 闇風に比べれば遅いキリトと過重ペナルティに若干足を突っ込んでそれと同等に速度が落ちている凸侍。

 NPC二人が射撃を行なっているが、遅いと言いつつも人間離れはしているスピードの凸侍の回避運動と要所要所でのキリトの光剣による斬りはらいにより未だダメージを与えられていない。

 そしてキリトが懸命に守る凸侍が米俵のように抱えているのはパンツ一丁の男である。引き締まったケツを敵の方に向け無残に担がれていた。抱えている方も抱えられている方も真顔である。

 このパンツ男、全装備を外したシシガネその人だ。決して捕虜とかでは無い。

 シシガネは.50BMGの直撃に数発耐える程の耐久型だ。しかし流石にプラズマグレネードの奔流やロケットランチャーの直撃は体力全損に持っていかれる危険がある。

 それらが使えないであろう複雑な基地内部なら無類の強さを発揮できるため、装備を全部しまい込み重さを限界まで抑え速度と筋力を両立した凸侍に担いでもらっているのだ。キリト、凸侍、闇風全員が当たらなければどうという事ないスタイルなので当たっても大丈夫の安定感が欲しかったのである。

 現実で見たなら自分の正気を疑うような光景だがゲームなのでセーフである。シシガネだけはハラスメント警告を受けるかもしれないのでグレーだが。

 戦車地帯を抜けもう壁が目前にまで迫ってきた時それは起きた。

 トーチカ内で爆発が発生した。それが一度、二度、三度、四度、五度続きdeadが内部で点灯した。この作戦前の監視中からずっと隠密していたシノンの狙撃だ。

 

『獲ったわよ、キリトちゃん』

 

 無線からシノンの声が届く。トーチカ内から狙撃をしていたルークだが、シノンが存在を隠している間も忌わしい事にしっかりシノンが手を出せない位置から狙撃を行なっていた。とはいえキリトを撃ち下ろしている関係上徐々に前に出るしか無い。

 そうして遂にチャンスが訪れたのだ。

 シノンの射線上に大型マズルブレーキの装着されたバレル先端部が顔を出したのである。そこへ凸侍から受け取った徹甲炸裂弾を発砲。マガジン内五発全弾を叩き込んだのだ。

 銃はバレルが破壊されて使いものにならなくなるのは確実なものの、炸裂の加害範囲はそこまで広く無いため敵の狙撃銃の破壊以上のことは賭けだったが、その賭けに勝ったようだ。

 ブッチャーも狙撃を警戒し塀の奥に引っ込んだので一行は塀に張り付くことに成功した。

 

「おっしゃ、取りつき成功。一旦降ろすぞシシガネ」

 

「つらい時間だった……」

 

 死んだ目でパンツ一丁のままなのでいまだ辛い時間だ。凸侍も闇風もキリトも見たくもない野郎の裸体を見せられてるので何とも言えない表情をした。

 

「よし、ぶち抜くぞ」

 

「ええ、やりましょう」

 

「……俺はおとりで入口にグレネードを投げ込んで来よう」

 

 凸侍がストレージから愛銃を取り出し、先端部のビーム銃剣コガラスマルG9を起動させる。キリトも同じくカゲミツG4を起動させコンクリート製の塀に突き刺す。

 時折火花を散らしながらも三角形の形に刻みこむ。それをSTRに優れるキリトと凸侍の二人がかりで一気に押し込めば塀に無理やり通り道を作り上げることに成功した。地図通り塀の中にも通路があるらしい。

 囮でグレネードを投げに言った方から大爆発の音が聞こえたが平気で闇風は戻ってきた。トラップも中に入る気が無いなら無問題である。

 

「おじゃましまーす」

 

 最初にキリトが中に入り次に凸侍とシシガネ、最後に闇風が内部に侵入する。

 塀の中の通路から扉を見つけ下の隙間から外の様子をうかがう。研究所内部に入る通路にはだれも居ないためクリアリングをしつつそのまま研究所内部に侵入した。

 

 

「地球破滅爆弾の所まで直線でつながってれば楽なんだがなぁ」

 

 全員人外速度で研究所の中を走り出す。ここからは凸侍と闇風を除けば遭遇戦だ。通路の曲がり角でから同じく走ってきたNPCと遭遇する。

 M4を持ったNPCのロイだ。写真では笑顔だったがこっちではそういう顔はしていない。

 狭い通路で遮蔽物もなく天井も三メートル程度しかないため、回避のしようがない凸侍はシシガネを投げた。

 

「いけぇシシガネ! 君に決めた!」

 

「おれはそういう類いのじゃない!!」

 

「いけぇ! ラッ○ー!」

 

「それ特殊防御力だから!!」

 

 投げ飛ばされ文句を言いながらもコンソールを操作しパンツ一丁からいつもの重装備になる。重量も増しドスンと着地したその頭はイノシシにも似たフェイスガードが取り付けられている。その手は二丁短機関銃ではなくより防御を重視し左手には小型の盾を装備していた。

 M4の小口径高速弾が着弾するが火花を散らすのみでその耐久に食いつくことは一切できない。他三人はシシガネの背後に隠れている。

 分が悪いと見たのかNPCが逃走を開始した。凸侍がそれの追撃に掛かる。

 NPCが不自然に跳ねたので、何かしらトラップがあると察し高AGIを生かし壁を走る。NPCは驚愕したような表情を見せながらも壁のスイッチを起動し、左右から隔壁が迫りでてくる。

 凸侍はとっさに撃つも隔壁の一部を大きく凹ませただけで通路の隔壁が閉鎖されてしまった。溶断してぶち抜くこともできるが、待ち伏せされている可能性が高いのでやらない。

 跳ねた所を見れば予想通り細いワイヤーが張られ先には指向性地雷が仕掛けられていた。少し離れて対物銃で撃ち抜けば鉄球の束を爆発と共に壁に埋め込んだ。

 

「ちぇっ逃げられた」

 

「……深追いは無しだ。予定通り全員散開、キリトは爆弾を、シシガネと凸侍は中を引っ掻き回せ、俺は南の皆の支援に」

 

「とりあえず作戦は成功だなかしら?」

 

「だなかしらってなんだ」

 

『ブフッ、私は南の支援に行くから、待ってるわよ』

 

「おちつけキリトちゃん」

 

 キリトの謎尾語のつけ方に一同笑いつつ、その場で分かれ別行動を開始する。凸侍はその辺の壁にコガラスマルG9を突き刺して無理やり通路を作っていた。

 ここからがNPC達の正気度を削る大惨事の幕開けであった。




シシガネ
耐久お化けのイノシシっぽい顔のプレイヤー。対物弾にも耐える装甲を持つ。
ただプラズマグレネードの誘爆は勘弁な! 今回は誘爆対策でプラズマグレネードは装備していない。
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