GGOで凸砂する   作:MKeepr
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凸砂が対物凸砂へと進化する話です

AGI誤字修正
誤字報告ありがとうございます。


凸砂は重い武器も持てて速度もでる最強のビルドだよ

 凸侍の朝は早い。大学生故の講義が昼からという時間的余裕を以てアミュスフィアを被り、SBCグロッケンに降り立つのである。朝早くからでは仲間内での時間あわせが面倒なのでは? と思うかもしれない。しかし心配はない。たとえ上手くても凸砂とかいうポジショニングが謎の奴と一緒にやりたがる奴はそういない。つまりほぼぼっちなので気にする必要が無いのである。

 ぼっちの心得、死してランダムドロップ回収してくれる者無し。凸砂というロマン構成の癖に質実剛健なプレイを心がけねばならぬのだ。凸砂と同列に扱われた隠密同心に土下座して謝るべきだろう。

 とりあえずといっては何だがもうすぐ第二回のBoBが開催される。うっかり死んで装備アボンという事態は避けたいため、エネミー狩りもあまりしたくはない、等という思考は凸侍には、無い。そんな思考があるなら凸砂なんてやらずにAGI特化か狙撃手をやっている。

 というわけではないが凸侍がやって来たグロッケン地下ダンジョン。ここは罠に引っ掛かると連れ込まれる高難易度エリアで、初心者の間に訳もわからず死んでグロッケンに送り返された奴も結構いる。罠自体はそこまで発見困難ではないので、実力者は逆にダンジョンを発見できず、初心者は訳もわからず蹂躙される部屋に転送される罠としか認識できないやらしい仕様である。

 なぜ凸侍が知っているかというと、DEXが低くて罠発見に失敗して飛ばされたからである。凸砂ビルドの無理っぷりが如実に出ている。

 

「今日も今日とて、やってやるか!」

 

 ゴツい見た目が多いGGOの中では比較的貧弱そうな外見の凸侍が低い声で気合いをいれた。

 名前らしく防弾プレートを装備し、銃を手にもつ。それはスプリングフィールドと呼ばれるライフルだ。木造風の曲銃床に無理やりレールシステムを導入し、アイアンサイト脇斜め45度にライフルスコープを備え、ボルトアクションはストレートプルに改造、コンペンセイターと銃剣を装着した好きな人が見たら発狂する冒涜的な凸砂仕様スプリングフィールドだ。この世界観でウッドストックは逆に高価なのではと疑問に思うかも知れないが、実は木の質感を再現したプラスチックストックらしい。根拠は銃の説明文。

 それはさておき、罠を起動し中にはいると、まずは機械の近接攻撃型エネミー達のお出ましだった。初心者はここでまず死ぬ。結構広い空間なので、AGIの速度を生かせば近接で殴られることもない。おそらく殴られると機械に拘束され、あの輝く光剣と同エネルギーブレードを突き刺してくるので、逃げ回りつつ確実に急所のエネルギーコアに当てることでそれを処理していく。

 複数回入って分かったが、ランダムダンジョンなのかパターンがかなり多いのか最初の洗礼もやって来ることは同じでもエネミーが毎回違う。前回凸侍が遭遇したのは人造生物が丸呑みにしてこようとする感じのものだった。

 ここを突破し、通路を進むと破損した配線やパイプが壁を伝う量がどんどんと増えていき、途中何かの動作を繰り返す黄色く塗られた工業用のロボットに襲われたり、近未来的な作業着を着た白骨死体などが散見されるようになった。

 パーティープレイだと調べられずスルーされることの多い設定的なオブジェクトたちからは様々なメッセージが出てきた。

 

『亜空間跳躍のエネルギー残量が』

 

『母なる星への帰還を願う』

 

『区画閉鎖、動力区画の汚染による人体異常』

 

『SBCストーンビレッジとの連絡途絶』

 

 

「なるほどなあ、おおよそここはグロッケンの元動力設備だったって感じか」

 

 凸侍が納得したように呟きながら最深部に到達する。

 巨大な円筒状の空間、その中央に決戦のバトルフィールドと言わんばかりの広場があり、周囲の外郭からはメンテナンス用であったのか多くの足場や機械アームの残骸が広場の方へ続いていた。上部には血管のように束ねられたパイプ群の中心に、明滅する何らかの装置が埋め込まれていた。

 

「うっわどう見てもあれなんかのギミックでしょ」

 

 そんな独り言をのたまいながら、足場を伝って広場に降り立つ。

 凸侍が思った通り、警報が広い空間を反響し、周囲の赤色灯が回転しながら点灯する。

 そうして真ん中の地面が割れ、競り上がってきたのはドデカイ人型のロボットだった。元は青や赤など、鮮やかに塗装されていたであろう各部には錆が浮かび、経年劣化したパイプがまるでマントのように垂れ下がっている。おそらくV字型だっただろうアンテナも半ばで折れてしまっておる。

 

『重要施設への侵入者を確認。直ちに排除します。管理者は緊急事態報告をブリッジへ伝達してください』

 

 グポーンとカメラアイが輝き、凸侍を見据える。

 

「お前その外見でモノアイはダメだろ!!」

 

 凸侍の叫びは無視され戦闘が始まった。

 結果だけを言えば、凸侍が勝った。ホーミングするものの速度の遅いミサイルや脚部付近にいると撒き散らされる機銃の掃射、またロボ自体が大質量を活かしたパンチや踏みつけを行ってきたのだ。普通の少人数パーティーなんかでは苦戦しただろう。

 が、この凸侍。凸砂である。STRとAGI偏重のため、高火力を(当たるかは別として)高機動で運用できる(理論上は)強ビルドだ。

高いSTR故の装備重量余裕で防弾プレートを装備しているお陰で機銃掃射に耐え、高いAGI故の回避力でミサイルと近接攻撃をホイホイ避けながらロボ胸部の錆びた装甲の隙間から覗く弱点のコアを高い威力のライフルで撃ち抜き続けたら勝ったのである。

 パーティープレイだとミサイルなんかは巻き込み事故の原因になる。ホーミングの割に弾速が遅いのはこれを狙っていたのだろう。

 相手の想定の外側をいく男凸侍であった。

 

『ガーディアン・マキナ沈黙、緊急シーケンス実行準備…………不可、不可、エラー。グロッケンは航行を中断。エネルギー供給不要の伝達。重要施設から現地区を除外、侵入警報を解除します』

 

 そうアナウンスが流れると共に崩れ落ちていたロボ、ガーディアン・マキナはポリゴンのひかりとなってはじけ、そこにドロップアイテムが残されていた。

 

「なんだこのでっかいの……AW50? 対物ライフル!?やべえこれで凸砂するしかねえな!!」

 

 そうしてテンションの上がりすぎた凸侍は昼過ぎの講義をサボったのだった。




凸侍
STR-AGI偏重型
突撃仕様のスプリングフィールドを使用。
ストレートプルボルト化されているため、速射スキルと相まってセミオート並みの勢いで射撃可能。
装備重量の余裕から防弾プレートを装備し、AGI特化型に準ずる速度を発揮できる。


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