誤字報告ありがとうございます!
この時期にロケットランチャーが未実装と判明したので修正しました。
「何だったんだあのでっかいの……」
マルチカム迷彩を着た屈強な男は、グロッケン総督府エリアの一階ホールで、ぼそりと呟いた。何が起きたのか、正直意味が分からなかった。
「相手の名前は……凸侍か」
六角形の待機エリアで、1分の準備期間を与えられていた男はぼそりと呟いた。フィールドは雨天の平原タイプ。STR-VIT型の男はマルチカム迷彩を施した防弾プレートを着用しその手にはM249、ミニミ軽機関銃の弾倉をセットする。装弾数100発は予選で使い切ることは無く、リロードの心配はない。
対して敵の凸侍は、ロールプレイ? 変態プレイ? で有名なプレイヤーだ。銃剣をくっつけた冒涜的なスプリングフィールド狙撃銃をAGI型に迫る速度で動き回りながら当ててくる変態である。そこそこ性能の高い防弾プレートも装備しており、それがサムライ、というか武士を思わせるプレイヤーだ。
だが、このミニミ軽機関銃の弾はほぼ防弾効果を無視する。拳銃弾を使用するタイプではなく、これはアサルトライフルの弾を使用するタイプだからだ。そして雨天の平原では頼みのAGI機動も厳しいものがあるだろう。
「フハハハハ! 凸侍破れたり!」
どっかの二刀流の侍が言いそうなことを言いながらフィールドに降り立った男。状況を確認しようとした瞬間自身の直ぐ脇が爆発するように水が弾け、スプリングフィールドと思えない馬鹿みたいに巨大な銃撃音がすぐ後に続いた。
咄嗟に伏せようとして、男は思いとどまり音の発信源の方へミニミをまき散らす。毎分725発の発射レートでまき散らされる弾幕をバレットラインを見ながら回避して突っ込んでくる凸侍の姿があった。
その容姿は男の予想した物と違う。スプリングフィールドでない馬鹿みたいにでかい銃と、防弾チョッキすら着てないただのレザーの服と金髪の頭を晒した凸侍がいい笑顔で突っ込んできてたのだ。具体的に言うと意味が分からな過ぎて地獄絵図である。
銃口からすっとバレットラインが出て、男がとっさに回避をするが、AGI型ではない故に回避も遅い。体の芯を外すよう避けた男の太ももを50.BMGが容易く食い破り、右脚を易々と切断しVIT型の潤沢な体力を接射のインパクトダメージでほぼ全損させ、足の欠損ペナルティで動けなくなった男の後頭部に銃床を叩きつけてポリゴンの集合体に霧散させた。
男が最後に聞こえたのは凸侍の呟きだった。
「サムラーイ」
予選準決勝、凸侍が当たったのはMP5A2のAGI極振り、つまり闇風と同タイプの敵だ。しかし、動きが闇風ほど頭おかしい動きをしていなかったため何とか倒せた。
その青年は消える寸前凸侍の呟きを聞いた。
「サムラーイ」
決勝戦はテンガロンハットのSIG550の男だったが、胴体ど真ん中をぶち抜かれるのであった。
凸侍は引き金を引く瞬間こう言った。
「ブシドー」
「なんだこのプレジデントサムライ」
護衛の仕事を請け負ったものの、暇だったので相方に予選のログを見せたらそんなことを言われた凸侍。不服である。
「知らないのかサイクロップスガトリングマン。これを言いながら撃つと弾道予測円が縮小するんだ」
「おいおいチャッ●・ノリスすごいなというかお前撃ち終わった後言ってるじゃないか」
「撃ちながら言うと言ったな、あれは嘘だ」
「「HAHAHAHAHA!!」」
光学銃を持ってたんまりドロップ品を抱えた依頼主たちの結構後方で、サイクロップスみたいなマスクした大男と金髪が笑いながら歩いていた。
どっちも持っている銃が馬鹿みたいにでかい。
「というか、お前スプリングフィールドの方が絶対強いだろ。この間の放送でも聞いたが装備が変になってるじゃないか」
「いやいやいやいや、そんなことねーし、対物銃の方が絶対強いしというか過重ペナルティ背負ってるお前に言われたかない」
「集団戦最強って言われてるんだよなぁ変態ビルド君」
「……そうだなぁそろそろその最強の出番かもなぁ」
「……ああ」
前方の護衛対象6人がそろそろ廃ビルのあるエリアに到達する。仕掛けてくるならここだろうと睨んでいる。
その予想は正しかったということを証明するように一発の豪快なスターターピストルの音が木霊した。
それによってバトルライフルを装備していた一人の頭が吹きとび、そのままポリゴンの塊に霧散する。
「おい、正しい使い方の奴が来たぞ」
「イヤ、マチガッテルのムコウダカラ、コノジュウはコレがタダシインデス」
護衛対象がやられたのにもかかわらずこの余裕。実は護衛対象の無事は依頼に入っていない。
二人は獰猛な笑みを浮かべる。マントを翻し、片や6本の電動式ガトリングガンの装備一式を背負った巨漢。片や身長に迫る巨大な狙撃銃を持った男。暴れるのは大好きである。
この護衛の目的は”二度と襲う気が起きないよう、襲ってきた敵を殲滅する”ことだ。
残った5人を狩るためか、続々と敵対者たちがやってくる。そして、巨漢の男、ベヒモスに気付き、顔を驚愕させた。
ベヒモスのまき散らすバカみたいな量の弾幕と、5人の銃撃。もっともたちが悪いことにこれの援護を受けながら防弾プレートだのなんだのを無視して即死させてくる頭おかしい凸砂のせいでダインのメンタルが折れる間もなく一人を残して全滅するのだった。
「残り一人だが、さすがに対物狙撃銃を持ってる奴が無謀な攻撃はしてこないだろう、死んでランダムドロップしたら困るし」
銃撃戦の結果2人に減った護衛対象は、ドロップ品と襲撃者のランダムドロップ品でもうパンパンである。過重ペナルティが入っている様で、ベヒモスと同じような速度でしかもう動けないらしい。
「俺達が一緒にこれ見よがしにいれば襲ってくることはそうそうないだろう」
「イイナー集団戦最強は憧れるなーおかわりで対物狙撃銃を持った奴も追加だ」
軽口を言う二人に、護衛対象の男が苦笑した。
「それはもう襲う気しませんね」
むしろこれからどこか襲いに行くのかという布陣に見えることだろう。
グロッケンまで帰り、報酬から弾薬費を抜いて、仲良く分けた二人はホクホク顔でそのまま別れるのだった。
ベヒモス
集団戦最強の男。先に仲間を潰されて上を取られると射角問題から死ぬフラグが立つ。
凸侍
変態ビルド扱いされる男。余裕あった積載力をすべて対物ライフルに持って行かれた男。
ベヒモスと仲間の弾幕の中動きがAIG型に迫る奴が対物ライフル接射で振り回してくる恐怖