凸侍、由々しき問題に直面する。
銃剣が装着できないのである。正確にはAW50の銃剣の条件が厳しく凸侍が求める長さを達成できないのである。
長さは銃剣製作の最大値で行きたいのだが、銃剣を装着する際は一つの数値があるのだ。
それは銃身荷重ペナルティ。一定数値以上の銃剣を装着すると銃身が変形してしまうという設定で命中率が低下するというもので、なんとこの状態だと弾道予測円の外に玉が飛ぶことがあるかなり重いペナルティである。
凸侍が使っていたスプリングフィールドなど旧式の銃やショットガンなどでは上限が高く実質有ってないようなペナルティなのだが、このAW50、スプリングフィールドに使っていた銃剣の重量の3分の1程度のものしか装着できないのだ。具体的にいうと大型ナイフくらいである。原因は既についているマズルブレーキ。形状は変更できるのだが外せない固定アタッチメントである。
ステータスの向上と軽量化でようやく以前の物より性能は落ちるものの防弾プレートを装備できるようになったのだ。AW50は軽量化のためストックをM4系に変えたせいで既に本来のシルエットから逸脱し、マニアが見たら憤死ものの状態になっている。
ここで凸侍、発想の転換である。
「逆に考えるんだ。銃剣が重いなら重くない銃剣をつければいいんだ」
全く転換できていない。銃剣を着けるのをやめるという選択肢は無かったのか。
そうして金をはたいて買ったのは、筒だった。軽く、アタッチメントとしてペナルティが入らない重量に収まっている。特殊弾約8発分の値段は安いのか特殊弾が馬鹿みたいに高いのか、そんなのは今の凸侍の眼中にはない。
意気揚々と銃剣と同じように装着し、グリップに握り込み式のスイッチを設置する。このスイッチ、レーザーポインタなどと連動するためのカスタムスイッチなのだが、銃に装備できてオンオフができるならば何でも使えるのだ。
ブオオン、と赤い刀身が形成される。1m近い長さのそれは光剣と呼ばれる部類のアイテムだ。なんかもう侍ではない。凸ジェ⚫️イである。
黒いマントを装着し頭にガスマスクでも被れば暗黒面に飲まれたジェダ⚫️ムーブが出来そうではあるが、光剣を銃剣術のノリで振り回す様は凸ジ⚫️ダイどころかビーム蛮族である。またはΖガン⚫️ム。
しかし、ここに現状のパーフェクト凸侍が完成した。第二回BoBとそのあとの生放送でゼクシードにボロクソに言われた対物ライフルポン付けからちゃんと対物ライフルを凸砂として使う装備構成に持って行けたわけである。
見る人が見たらこう言うだろう。変態構成だと。
調子に乗ったパーフェクト凸侍、今日はモブ狩りじゃあと言わんばかりに砂漠へと繰り出した。AGIが高いとこういうときの移動が早くすませられるので便利なのである。ノリはモブ狩りであるが殺るのはモブではなくプレイヤーである。
「ヒャハー獲物だー!」
「うわあああ変態だ! 変態が出たぞ!?」
もはやただの蛮族と化した凸侍が三人組のに襲いかかる。サーモンピンクの砂漠をアンブッシュもなにもない突撃だ。でかい銃を抱えてすごいスピードで走ってくる様ははっきり言って怖い。
砂漠ゆえの足場の悪さをものともせず、足だけキモいペースでシャカシャカバレットラインをかわして爆発のような発砲音ごとに蛮族に襲われた命が散っていく。無慈悲!
その間凸侍はとってもいい笑顔である。襲われてる方は阿鼻叫喚である。
砂漠であることも相まって世紀末のヒャハー感が半端ない。
サーモンピンクに染まった砂漠へ蛮族に襲われた村人のドロップ品が散った。
「とったどーーーー!」
三人を爆散させランダムドロップ品を拾うと、銃を掲げ銃剣を形成して勝ちどきをあげる。まさに蛮族。それに合わせ背後で爆発がおき完全に凸砂戦隊バルバロス(1人)となっていた。
「ん? 爆発?」
どこかのヤツが仕掛けたモブ狩り用の爆弾だろうか、と凸侍は思った。さすがにモブ狩り後は襲うがモブ狩り中を邪魔するのは失礼だ。掲示板に我々のモブガリとか書かれて因縁つけられるのは嫌である。
ちなみに凸侍がプレイヤーキルをしたあとされた側が相手を特定しようとすると速攻で凸侍がやったとバレる。凸砂人口の少なさがうかがえる。
「おっと!! 狩りの邪魔失礼!!」
それはさておき適当に脇に向け手を上げて大声で謝ったとたんクラウチングスタートの姿勢をとってダッシュする。
走り出しの衝撃で起きた砂煙の跡、逃走する凸侍がいた脇10mの所で伏せていた小柄なピンクは呟いた。
「楽しそう……私もやってみようかな……」
この後正体不明のプレイヤーキラーが砂漠に現れるようになるのはしばらくしてからだった。
真似しようとしてもしかしSTRが足りない!
よしんぼ足りたとしたもパツキンのハートマム軍曹が助走をつけてクソ虫!!って拳骨してくるレベル。
普通の構成のモブ狩りの人たちが発見できないんだから襲われないかぎりピンクを凸侍が発見できるわけがない。