鱸のポワレ短編集   作:鱸のポワレ

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二つの短編です。この二つには何の繋がりもありません。


優しい悪魔/私が百合に目覚めた日

僕が見ていたのは闇だった。

辺り一面闇。

どこを見渡しても真っ暗だ。

そんな僕を現実へと引き戻したのは、奇しくも光だった。

太陽といのは憎たらしい。まるで悪魔のようだ。俺を気持ちいい夢から引き剥がすこと何万何千回目だろうか。

今日もまた、太陽に被害を受けた僕は、起きて数分で外へと向かった。

この行動も何千回繰り返したかわからない。

僕は街を抜けスラムに向かう。なんとも薄汚い場所だろうかと何度も思う。そこにいる人の心すら汚してしまいそうだ。実際、僕を見て笑いかけて来たりするものはここにはいなかった。

僕は細い道を歩き、進んで行く。

もうすぐで、目的の場所だ。あと数分もしないだろう。

今日は、どんな顔をして待っているのか考えるだけでワクワクする。

その後も細い道を歩き、ようやく一つの穴につく。なんとも汚れた穴だった。

中に入るといつものように彼女は、三角座りをしていた。

今日の顔はムッとした、まるで不機嫌ですと言っているような顔だった。

 

「やあ」

 

僕は、静かに話しかけるが返事はない。

 

「ここに置くよ」

 

銅貨が三十枚入った袋を机に置く。

 

「なんでいつも、そんなことをするの」

 

彼女は、ようやく口を開いた。不機嫌だと確信できるその言葉は、僕を愉快にさせた。

 

「僕は君の天使だからね」

 

笑顔で答える。

 

「あなたは天使じゃない悪魔よ。毎日銅貨を置いていくから、私の父さんは働かない奴になってしまった。いいえ、あなたにされたの」

「銅貨をあげてるのに悪魔は酷いよ」

 

彼女はその言葉に対し、何も返してはこなかった。

悪魔か。僕は太陽と同じ悪魔になれただろうか。

自分では天使だと思っている悪魔なんて、タチの悪い悪魔だ。薄汚れた悪魔だ。

 

 

「私、あなたに今日も会えて嬉しいですわ」

「ええ、わたしも愛してます」

 

聖カーナス女学園の名物百合カップルが今日も、イチャイチャしながら廊下を歩いていた。

女学園ということもあって、百合カップルというのは少なくないこの学校。

でも私には、正直百合の良さがわからなかった。

何度か告白された事はあるが、全て断った。私は異性しか恋愛対象と見れなかった。

そんな私だが、気になる娘はいた。一個下の娘で人懐っこくて可愛い娘だ。

 

「お姉様、おはようございます」

 

噂をすればというやつだろうか。その娘は、階段を降りてやってきた。

 

「ええ、おはよう」

「ところでお姉様。ニヤニヤと何を考えていたのですか?」

「いえ。何でもないのよ」

「そうですか」

 

まさか言えないだろう、貴方のことを考えてたのよなんて。

 

「きゃっ!」

 

その娘が、階段から落ちて転びそうになり、咄嗟に私は手を出す。

私の腕の中で涙目になる。

 

「お姉様、ありがとうございます」

 

なんて可愛いのだろうか。つい、叫び声が漏れてしまった。

 

「百合ってとてつもない!!」

 




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