鱸のポワレ短編集   作:鱸のポワレ

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総理

二千三百五十年アメリカとロシアの間で第三次世界大戦が勃発。アメリカ側で参戦した日本はなんとか、勝利はしたものの人口の約四割を失った。経済が回らなくなりテロが多発。日本は、どん底へと落ちて行った。

 

「長渕総理、本日も東京でテロが発生しました」

「そうか……」

 

私、長渕ひろしは二千三百五十年、日本立て直しを期待されて総理に就任した。しかし、何一つとして成功せずに次の選挙を迎えようとしていた。

 

「私が東京に行こう」

「何をおっしゃりますか総理。それは危険です」

「危険なのは承知の上だ。早急にヘリを用意しろ」

「はい」

 

私の秘書である木崎は、渋々といった形で引き下がった。しかし、彼も信用はできない。過激派組織との繋がりがあるとの情報も入っている。彼も私の死を望んでいるだろう。

 

「ヘリの用意ができました」

「うむ。すぐに参ろう」

 

私と木崎はヘリに乗り込み東京へ向かった。

 

「総理。東京に入ります。今や世界でも有数の危険な都市ですのでお気をつけを」

「ああ」

 

木崎の上っ面だけの言葉に上っ面だけの返事を返す。

 

「テロの現場に着きました。着陸します」

 

テロの現場は世田谷区。数十年前とは変わり荒れ果てている。

現場からは、銃声や悲鳴が次々と聞こえてくる。

私は本当にこの二年間何をしてきたのだろうか……。

私達は着陸をして飛行機を出た。それに気づいた人々が罵声を叫び出す。

 

「おい!クソ総理。テメェのせいで妻はじさつしちまった。俺の人生も真っ暗だよ。死んで償え」

「そうだそうだ」

「早く辞めろ」

「今すぐ謝罪しろ」

 

なぜこんなことになってしまったのか、私は残念でならなかった。

あらかじめ用意をしていたマイクを手に取り私は喋り出す。

 

「現総理の長渕です。日本がこのような事態になってしまい誠に残念です。ですから、次の選挙で勝利をした暁には皆様の平和を約束します」

「うるせえ。大人しく辞めろ」

「票稼ぎしてんじゃねえ」

 

チッ、うるせえな。ただの国民風情が。

 

「黙って俺にいれてりゃいいんだよ、ゴミどもが。だいたいな……」

 

しゃべっている途中に激痛が頭に走る。気づいたら私は倒れていた。

 

「総理。あなたは終わりです」

「き、ざき…きさ、ま」

 

木崎が銃を向けていた。

奴が撃ったのか。クソっ。

 

「よくやったぞ木崎ー」

「お前が総理をやれー」

「とどめも頼むぜ」

 

クソどもが喜び出す。

木崎が再び銃を向け発砲してくる。

 

「うぁああ!!」

 

少しずつ意識してが薄れていき、最後は真っ暗になった。

 

 

それから数ヶ月後、総理大臣選挙。

突如、参加した木崎の人気は収まることを知らず総理大臣となった。

 




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