自分自身でも信じられないぐらい驚いてますが、これからもどうぞよろしくお願いします( ´△`)
「…さて、これからどうしよっかな〜…。」
朧は早く来過ぎた為、時間を持て余していた。
一瞬弾き語りでもしようかと悩んだが、前に聞かれてたと言うこともあり、決断に踏み切れなかった。
だって、あんな厨二臭い歌詞の歌……流石にくどいか。
とは言え、また聞かれたりしたら恥ずかしさで死にそうになるので、今回は自重だ。
…Poppin'Party。ここに来る前に少し調べたが、まだまだ新しいガールズバンドらしい。
けど、SPACEのあの人に認めて貰えたのならば、成長するという事は間違いないと思う。
あの人と言うのは、SPACEのオーナーである"都築 詩船《つづき しぶね》"だ。
その人とは少し面識があり、俺もライブを見せてもらったことがある。
少し怖そうに見えるけど、根はとても優しくおおらかな人だ。
…SPACEが閉店した時は少し寂しかったけど、詩船さんなりの考えがあったのだろう。
と、朧は昔の記憶を思い返していた。
あの時、詩船さんにかけられた言葉を今でも忘れない。
────…あんた、何を躊躇ってるんだい?こっちで一緒に楽しもうじゃないか。
「…あの言葉が無かったら、今頃俺は音楽すらしてなかっただろうな。」
自身の掌を見つめながら、その手をきゅっと握る。
もうあの頃の俺じゃない。今は教える事に時間を費やすと決めたんだ。
過去の感傷や記憶を思い返していると、いつの間にか約束の時刻が迫っていた。
「…まーた悪い癖だ。あんまり気負い過ぎんなよ、俺。」
パシッと両頬を叩き気合を入れると、彼女達が来るのを部屋の中で待った。
そして5分弱経ったその時、部屋のドアがノックされる。
「失礼しまーす!先生、来るの早いですね〜!」
先陣を切って勢いよくドアを開けて入ってきたのは、戸山 香澄だった。
「ちょっと早く来すぎたけどな。ほら、とっとと準備しろよ?」
香澄は、はーいと元気に挨拶を返すと荷物を置き、テキパキと準備を進めていく。
他のみんなも朧に軽く挨拶を済ませると自分の作業へと入っていく。
「………。」
…なにやら視線を感じる。その視線の先に目をやると、キーボード担当であろう女の子がこちらをじっと見ていた。
「…えと、どうしたのかな?」
「いえ…別に…。」
女の子はそっけなく返事を返すと、自分の持つキーボードに視線を落とし調整を始めた。
市ヶ谷 有咲。Poppin'Partyのキーボード担当であり、暴走する戸山を抑制する係をしているのを結構な頻度で目撃する。
あと、あまり学校に来ないが成績優秀であり、中学の頃は学年一の成績で卒業して、この学校の入学者代表に選ばれていたのも、記憶に新しい。
で、問題はさっきの視線なのだが…まぁ察するに、疑いの目だろう。
こんな人が教えられるのかな?みたいな目だった。
身長しか取得がなくて、どうせ女の子に音楽を教えた見返りとして身体を求めるような狼男なんでしょ。
モテたいのが見え見えなんだよ。
などと訴えかけて来るような目線だった。
ヤバい、自分で言ってて泣きそう。心が285°ひん曲がりそう。
朧が一人で自意識過剰に自虐しているとは誰も知る由もなく、彼女達は軽く会話をしながら作業していた。
「今思い出しただけでも凄かったね、あのギター…!」
「うん。思わず呼吸をするのを忘れるぐらいだったもん。実際はしてたけど、この比喩表現を使う時が来るとは思ってもみなかったよ。」
「あれぐらい弾けるんだったら、ベースもきっと上手いよね!」
「ドラムは聞いてないから分からないけど…期待はしてるかな。」
香澄、たえ、りみ、沙綾の4人が盛り上がっている中、一人…有咲だけは、まだ朧を信用しきってはいなかった。
みんな盛り上がっちゃって。そんな技量持ってるなら、非常勤講師じゃなくて音楽の道行けばよかったのに…。
有咲は納得出来なかった。Poppin'Partyの中に、一人別の人が混ざるということに違和感しか無かったのだ。
そして有咲は、なにかの覚悟を決めると、朧の元へツカツカと歩いていく。
そして、
「篠崎先生。」
「…ん?」
「私が今日の練習で納得いかなかったら、もう来ないで下さい。」
「なっ……。」
唐突に突きつけられた言葉に、朧は一瞬声を失う。
「ちょ、ちょっと有咲!それは流石に失礼過ぎじゃ…!」
「私は本気だよ、香澄。」
それだけ言い残すと、有咲はとっととキーボードの方へと歩いていってしまった。
「ご、ごめんなさい先生!有咲、今日は気が立ってるみたいで…!いつもは優しい子なんですけど…。」
「そ、そうなんです!だから…!」
慌てて沙綾や、りみフォローに入る。
その時、朧は…────
…いいね…!!
と、心の中で熱い炎を灯していた。
これほど堂々と挑戦状を叩きつけられたのは初めてだ。
俺が本格的に音楽に打ち込んでいた時、大人から子供まで、みんな口を揃えてこう言った。
「才能がある」 「天賦の才」 「音楽に愛された人間」 「朧に勝てる人なんていない」 「朧には敵わない」「才能があるから」 「才能」 「才能」 「才能」
才能才能才能才能才能才能才能才能才能才能才能才能才能才能才能才能才能才能才能才能才能才能才能才能才能才能才能才能才能才能才能才能才能才能才能才能才能才能才能才能才能才能────
────…うるせぇ。
才能があったのは確かだ。だが、才能の影に隠れた努力を認めてくれる人なんていなかった。
血の滲むような努力。
自分の才能に見合った努力をしなければ、どんどん腐っていく恐怖。
みんな分かっていなかった。
努力し続けるということが、俺の才能だと言うことに。
俺に誰も何も言ってくれなかった。
この子なら大丈夫。何でもできるから。任せておけばいい。
相変わらず上手いね! 文句無し!パーフェクト!
そう。誰も俺の音楽に反抗してくれなかった。
意見を述べてくれなかった。
そして何も分からなくなってしまった。
けれど今、一人の女の子が俺に挑戦状を叩きつけたのだ。
俺の実力を知らないとは言え、嬉しかった。
気分が高揚して、胸の中が熱くなった。
堪らない…!楽しい…!
なら応えよう。その挑戦状に……!!!
「…市ヶ谷。俺は命を賭けてでも、お前を納得させてやる。」
その時の朧の瞳は、遠い昔に失った少年の様な瞳をしていた。
今回は少し長いです。
朧の少年時代の話は、間章としてどこかに書きたいと思います。
新作のバンドリ小説を書くなら、どの様なものが良いですか?
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