これも神の悪戯か。はたまた悪魔のお手伝いなのか。
何にせよありがとうございます!
めちゃくちゃ励みになっているので、これからも篠崎 朧とこの作品をよろしくお願いします。
感想&評価、お待ちしております( ´△`)
「さ、俺も市ヶ谷に認めて貰ったし…本格的に練習するか!」
コクリとPoppin'Partyの全員が頷く。
一時はどうなると思ったが、全員が同じ気持ちになってくれて良かった…。
俺のせいでバンド辞めるとか決められたら、死ぬしかなかった。マジで…。
過ぎたことは良しとして、ここからはボイストレーナー、及びバンドのコーチとしてしっかりと教えていこう。
「じゃあ、一人づつ課題を言っていくぞ。まず、戸山。楽しく弾くのはバッチリだが、その気持ちにまだ技量が伴ってない。歌もあるから大変だと思うが、次はしっかり自分の音を聞いてみろ。」
「分かりました!」
「次は牛込。とても安定した演奏だ。けど、少し音が引っ込み思案だぞ。もっと自分を前に出しても大丈夫だ。それでやっと音がみんなに届くから、騙されたと思ってやってみろ。」
「はいっ…!」
「山吹は、一番みんなの音をよく聞けている。リズムの取り方も申し分ない。が、その分音が単調になってるぞ。真面目過ぎってところかな?次は少し遊んでみるといい。」
「わ、分かりました。」
「おたえ。いい腕をしている。流石6年やってるだけあるな。微妙な音のズレは自分でも気づいているだろうから、そこだけ気を付ければ大丈夫だ。」
「はい!って、なんで私だけ名前呼びなんですか?」
「その方が呼びやすいからだ。次、市ヶ谷。」
「は、はいっ。」
「…自分が思うように、楽しくやれ!以上!」
「え…そ、それだけですか?」
「それが一番難しいんだぞ?」
ニコリと市ヶ谷に笑みを向けた後、五人の方へと身体を向ける。
「今言ったことは市ヶ谷以外、正直難しくない事だ。けれど、その基本がどれだけ重要かってことは、次の演奏で分かる。もう一度言うが、俺の言ったことを騙されたと思って実行してみろ。」
掛け声は俺がやってやろう。と五人に告げると、朧は手拍子の準備をする。
…楽しく…──自分の音を聞いて…──もっと自分を前に…──同じ所はミスせずに…──単調にならずに…──
それぞれの思惑が飛び交う中、3回目の演奏が始まろうとしていた。
…ここだな。
「1.2. 1.2.3.4!」
数字に合わせ手拍子を鳴らし合図を送る。
それと同時に五人も息を合わせ楽器を構え、最後のタイミングで演奏が始まる。
「(…!す、凄い…!最初より音がちゃんと纏まって聞こえる…!)」
出だしの音から全く違うものになっている事に五人は気付く。
香澄の歌は楽しさが少し抑えられた反面、ちゃんと音に集中出来ているので、音程のブレがだいぶ改善されている。
りみのベースも、自分の音を聞いて欲しいと言わんばかりに強調してくるが、それがかえっていい効果を生み出しており、リズムに乗せて身体を動かしたくなる程だ。
沙綾のドラムは真面目から一転、少しアレンジを加えつつのお洒落かつ大胆な演奏になっている。
おたえは先程ミスした所を完璧に改善し、他の音に消えないようにギターを奏でている。
これも流石の一言に尽きる。
そして、有咲。
見違えた。最初演奏した時の100倍はいい音を奏でている。
これはお世辞ではなく本音だ。
こんな音を出せるなら、最初から出せよと言いたいところだか、俺の責任が10割なのでそこは口が裂けても言わない。
五人とも、いい顔をしている。
香澄の言っていた、キラキラって言うのはこういう事なんだなと、朧も納得させられた。
Poppin'Partyの一人一人が、自分の音と向き合い、そしてメンバーと心を通わせる事によって生まれるその音は、この五人の他には誰にも出せない音だ。
妬けるぜちくしょう。俺もこんなメンバーに出会って見たかったぜ…。
と、心の中で厨二臭いことを思いながらも、朧は終始笑顔で演奏を聴いていた。
楽しい時間はあっという間に過ぎると言うが、本当にあっという間だった。
気づいた時には演奏が終わっており、朧も、五人のメンバーもキョトンとした顔をしていた。
「もう…終わったの?」
りみが最初に口を開く。他の四人も同じような事を思っていたであろう反応を見せた。
「…凄い。今までで一番キラキラしてたよ!私達!」
香澄が嬉しそうに両腕を上げ、有咲へと抱き着く。
「ちょ、香澄……!は、恥ずかしいからやめろって…!」
と言いつつ、満更でもない顔をしている有咲を見て、他のメンバーはニヤニヤとその光景を見つめていた。
「ちょ…お前らニヤニヤするな!てか香澄早く離れろって!!」
やっと香澄が離れたかと思うと、次は朧が有咲の前に立つ。
「な、なんですか…。」
流石に身構える有咲であったが、朧がとった行動は誰も予想が付かなかった。
ぽふ、と大きな手を有咲の頭に乗せ、そして
「キラキラしてたぞ。最高の演奏だった。」
小さく微笑みそう述べると、スッとすぐに手を引く。
…ずっと触れられるのは流石に嫌だろうからな。
ボフンッ、という擬音が有咲の頭の上に見えたかと思うと、パタリとソファーに倒れて有咲は目を回してしまった。
「あ、有咲!?」
香澄が慌てて有咲に近付き肩を揺らす。
「えっ!?ちょ、市ヶ谷!?そんなに嫌だったの!?」
わたわたと慌てている朧を他所目に、香澄と有咲を省いた三人はヒソヒソ話をしていた。
アレはずるいだの、先生って無自覚たらしだの、そりゃそうなるわだの、意味不明な事を言ってないで助けて…!!
と、朧は涙目になりながら有咲が起きるまで待っていた。
因みに、有咲が起きた瞬間にめちゃくちゃ土下座した。
「…あの演奏。聞こえましたか、湊さん。」
「えぇ、聞こえたわ。Poppin'Partyのみんなも利用していたのね。けれど…いつもとは全然違う気がしたけれど。」
「なんか、すっごい楽しそうでしたね〜!あこ、思わず身体がノッちゃいましたよ!」
「私も…なんだか温かい気持ちになりました…。」
「練習し始めて1時間ちょっとなのに、最初と違って音変わったね〜…。ね?友希那。」
別室で練習していたRoseliaは、たまたま聞こえていた演奏に耳を傾けていた。
五人は疑問だった。最初の方はボロボロだった音が、今は完全に修復されていた事。しかも、僅かな時間で。
「…誰かが指導している、としか思えないわね。」
「じゃあ、あこ達も教えて貰いましょうよ!今ならまだ居ると思いますよ!」
「ダメよ。他人の手を借りては、Roseliaの音じゃ無くなるもの。それに、仮に教える人がいたとしても今行っても迷惑なだけだわ。私達は、私達の練習をしっかりすればいい。」
「う〜…分かりました。」
しょんぼりと肩を落とすあこを、側に居た燐子が慰める。
「(私達の練習は確かに質が高いとは思ってるけど、最近伸び代が少なくなって来ているのが何となく分かる。友希那…。)」
今井 リサは、何となく嫌な雰囲気がしていた。
昔もこんな事があった。お互いの意見が食い違って、一時期みんなで演奏出来なかったこと。
その時は友希那が本音を言ってくれたから、また音を取り戻すことが出来たけれど…正直、私達はまだ高校生。
自分達でやるには限界があると、リサは薄々気づいていた。
〖 FUTURE WORLD FES.〗
それが今の私達の目標。
…今のままで本当にいいのか。
リサの考える事など、誰も知る由もない。
そして、友希那と朧の間に、大きな因縁がある事も…誰も知らない。
最近長文になってきましたが気にしないでください。
更新頻度は1〜3日を目安にしてます。
適当な時に適当に読んでくれると嬉しいです。
新作のバンドリ小説を書くなら、どの様なものが良いですか?
-
シリアス系
-
ほのぼの日常系
-
恋愛系( 全員√ を書きます )
-
ハーレム系
-
努力&覚醒系