〖音楽を辞めた少年は、少女達と共に夢を視る〗   作:Y×2

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もうちょっとで1万UAを超えそうなので、心がるんってしてます。
はい。

今回はPastel❁Palettesにちょこっと触れた物語になっております。

主は、パスパレの事は殆ど分かっておりませんが故、次話までにパスパレの事を色々調べておきます。

感想&評価、お待ちしております( ´△`)








第十二話 〖完璧だから…〗

Poppin'Partyの一件があってから、2週間が経った。

 

美竹は相変わらずボイストレーニングに通っていて、時々学校の話やプライベートな話を少ししてくれるのだが、

 

「朧先生。今週の土曜日、AfterglowのライブがCiRCLEって所であるんですけど、見に来てくれませんか?」

 

 

と、お願いされた。

 

特に断ることも無かったので、美竹とCiRCLEの前で待ち合わせする事になったのだが……

 

 

 

「ら〜ん〜、いつから付き合ってたの〜?」

 

「蘭の事、大切にしてあげて下さい!」

 

「告白はどっち!?どっちからなの!?」

 

「はわわ…!蘭ちゃんが男の人と…!」

 

 

とまぁ、すんごいめんどくさい事になっている訳で…。

 

 

「いや…別に俺と蘭はそういう関係じゃなくてだな…?」

 

「いいんですよ〜隠さなくても〜。」

 

「モカ!ちょっと黙ってて!!」

 

さっきから蘭をからかいまくっているショートヘアーの銀髪灰眼の青葉 モカと呼ばれる少女は、独特な話し方で蘭を永遠と弄っている…。

 

それに便乗して、宇田川 巴と言う女の子もニヤニヤとしながら蘭をからかっている。

成程、普段はこの二人が面倒なんだな…。

 

それに比べて、羽沢 つぐみ、上原 ひまりと呼ばれる二人は純粋に信じ込んでいる見たいで、こちらはこちらで面倒なことになっている。

 

つまり総じて言えば、凄く面倒臭い時間となっているのだ。

 

「あー、もう!みんなうるさい!今日はライブなんだから、もっと緊張感持ちなよ!」

 

美竹が怒り口調で言っても、みんなはニコニコとしながら反省の色は見えない。

…美竹、頑張れ…と心の中で応援しつつ、朧は口を開く。

 

 

「改めて自己紹介するが、俺は篠崎 朧だ。今は非常勤講師と、ボイストレーナーをしている。今日は美竹に頼まれてライブを見に来た。宜しくな。」

 

「こちらこそ宜しくです〜。あ、蘭から朧先生の話をよく聞くんですよ〜。例えば〜…」

 

「ちょ、モカ!いい加減にしないとその口縫うよ!!」

 

 

ガバッとモカの口を手で覆い隠す美竹。

隠されても、モゴモゴと何かを言っている青葉…何を言ってるのかめちゃくちゃ気になるけど、今はそっとしておこう。

 

 

「みんな、ライブまであと1時間ぐらいだから、少しだけ音を合わせとこ!」

 

その空気を断ち切るかの様に、Afterglowのリーダーである上原が先陣を切ってCiRCLEへと入っていく。

 

助かった…いつまで続くんだと思ってたからな…。

 

 

…2週間ぶりのCiRCLE。あの時いたバンドは出てないのだろうか…と近くに置いてあったパンフレットを手に取る。

 

 

「…結構出てるんだな〜。お、ここにAfterglowが入ってるのか。いい位置だな。…ん?このバンドは…。」

 

1つのお洒落な名前に目を引かれる。

 

「Pastel❁Palettes。みんなはパスパレって略してますよ。」

 

背後から覗き込む様な形で、宇田川が教えてくれる。

 

「変わった名前だな。どんなバンドなんだ?」

 

「そうですね…私よりみんな可愛くて、華やかなバンドですよ。」

 

「自分を下卑した言い方は良くないぞ?魅力はそれぞれ違うんだから。」

 

「す、すみません…つい。私ってほら、男っぽいとかよく言われるんで…」

 

「…ま、確かに言われそうだな。美形だし、身長高いし。」

 

「ですよね〜…!」

 

苦笑を浮かべる宇田川を、朧はじーっと見つめる。

 

「な、なんですか…?」

 

何も言わずに、畳んでいた膝を伸ばして立ち上がる。

巴は少し驚いた。

 

巴が身長高いとはいえ、朧は180cmを超えている。

 

「俺から見れば、宇田川も可愛いもんだよ。」

 

にっと微笑みを浮かべると、そのままCiRCLEへと入っていった。

 

「か……可愛い…」

 

可愛いなどと殆ど言われない巴にとって、それは顔をリンゴのように真っ赤にするには充分であった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…もうすぐ始まるね。」

 

少し緊張した声色で、ひまりは自分達の番が来るのを待っていた。

 

「そ〜だね〜。」

 

「もう…モカは相変わらず緊張感ないなぁ…。」

 

「これでも緊張してるんだよ〜?」

 

「そう見えないんだけど…」

 

「ま、モカがいつもこんな感じなのは今に始まった事じゃないし、こういう時にモカの性格は頼り甲斐があるよ。」

 

鏡で衣装を確認しながら、巴はモカを見て微笑む。

他のみんなも小さく笑いを浮かべながら、自分達の衣装の最終チェックと、楽器の調整を行っていた。

 

が、一人姿が見えない。

 

蘭だ。

 

みんな蘭が居ない事には気づいていた。

しかし、さっきみたく彼氏ネタを思い浮かべるメンバーなど居なかった。

 

蘭が変化したのは、間違いなく朧のボイストレーニングを受けてからだった。

 

リハーサルで聞いた歌声は、前より一層磨きがかかり、会場全体に綺麗に響き渡っていた。

 

それだけではない。ちゃんとみんなの音を聞きながら、感情を上手く乗せて歌っている。

みんながそう思っていた。

 

今蘭が居ないのは、きっと先生の元で最終調整を行っているからと、全員が理解していた。

今回のライブでは、一回り成長したAfterglowを見せることが出来ると、誰もが思っている。

 

後は、蘭を待つだけだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「そこが少しズレたが、後は言う事なしだ。」

 

「はい!じゃああと1回…」

 

「ダメだ。もうライブ15分前なんだから、クールダウンしろ。」

 

「で、でも…」

 

「そう不安になるな。逆に考えろ。今のとこしかミスが無かったんだ。3曲の中で、ミスが二つ三つなら上出来だ。」

 

「……。」

 

蘭は悔しそうに俯く。

確かに、今までの私ならもう少しミスが多かったかも知れない。

 

けれど、ボイストレーニングを受けていくにつれて、自分が成長していくのが分かっていた。

 

もっと…──もっと上手く……。

 

 

「…蘭、完璧を求めるな。完璧なモノほど…──……だ。」

 

蘭は、その言葉を聞いて目を見開いた。

まさか、朧からそんな言葉が出るとは予想だにしていなかったからだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「みんな、今日は来てくれてありがとう。私達は、Afterglowって言います。それでは聞いてください。一曲目、"ScarletSky"。」

 

 

…始まった。

 

朧は特別に、舞台袖からAfterglowを見ていた。

出だしは好調。

練習の甲斐があってか、蘭のボーカルにみんなが上手く乗っかっていった。

 

今回のライブは、Afterglowを少なからず有名にするだろう。

歌声の変化は、観客もきっと気づいているはず。

 

更にファンが増えてくれれば、俺も嬉しいし、Afterglowのメンバー全員が自信を持つことが出来る。

まさに一石三鳥だ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

特に何事も起こることは無く、Afterglowは出番を終えて舞台袖へと帰ってくる。

 

「お疲れさん!めちゃくちゃ良かったぜ!」

 

親指を立てて大きく笑顔を見せる朧に、皆も嬉しそうに笑顔を返した。

 

 

…さてと、用は済んだし、メンバーになんか奢ってやって帰るか。

 

そうして踵を返し舞台袖から降りようとした時、次の出番のバンドであろう五人とすれ違う。

 

その中に

 

 

 

 

 

…ん?

 

朧は気配を感じた。

自分と同じ【天の才を持つ者】の気配を。

 

 

 

 

 

 

 

 

「皆さん、こんにちは。今日は来てくれてありがとう!私達、Pastel❁Palettesって言います!今日は宜しくお願いします。それでは聞いてください、パスパレボリューションず☆!」

 

 

朧は数分その演奏を聞いた後、再び背を向けて舞台袖を降りる。

 

 

 

…ギター担当の水色の髪の毛をした女の子、あの子は天才だな。

独特のリズム、ブレないギター、それに緊張を感じない自由な演奏。

 

 

超一級品だ。だけど……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

…完璧なモノほど、つまらない。




ここまで読んでくださりありがとうございます。

自分は別にPastel❁Palettesが嫌いって訳じゃないですよ!?
単純に次への布石なので安心して下さい。

なんか話を重ねるごとに長文になってますけど、それはお許し下さい。

新作のバンドリ小説を書くなら、どの様なものが良いですか?

  • シリアス系
  • ほのぼの日常系
  • 恋愛系( 全員√ を書きます )
  • ハーレム系
  • 努力&覚醒系

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