日間ランキング3位に入ってました、怖い。
これからも頑張って書いていきたいと思っておりますので、どうかご贔屓に。
感想&評価、お待ちしております( ´△`)
今回から行頭一字下げを使ってます。ご了承下さい。
猪突猛進でパスパレの事務所に突撃し、何故か練習風景を見ていいとOKを貰えた朧は、今始まろうとしている演奏に耳を傾けていた。
今の俺の教え方に足りないものや個性の出し方。
そして、【社会が管理下に置くバンドの音】を、知りたいと思っていた。
「それじゃ、最初はいつも通り…パスパレボリューションず☆からね!」
丸山 彩がそう言うと、メンバーは頷きそれぞれ準備に入る。
天才、氷川 日菜は今まさに始まろうとしている演奏の掛け声に気付いていなかった。
今頭の中を支配しているのは、何処から来ているか分からない重圧《プレッシャー》と、早い鼓動、浅くなる呼吸だ。
ドラムの大和 麻弥がスティックで1.2.3!と合図をする。
ハッと顔を上げた日菜は、急いで準備に入るも少し出だしに遅れてしまった。
他のメンバーは驚いた。今まで数える程しかミスをしなかった日菜が、何度も弾いている曲で、しかも大勢の前で演奏している訳でも無いのに出だしに遅れるなど、信じられなかったのだ。
『何してるんだろ私…!』
日菜は何とか持ち直すが、音がいつもより固くテンポも悪い。
自分でも分かっているのに、まるで自分の身体を誰かに押さえ付けられているかの様に重いまま。
『…日菜ちゃん、どうしたんだろう。いつもあんなに笑顔で自由に演奏してるのに…今は顔が笑ってないし、ギターに必死になってる…。もしかして……緊張?あの日菜ちゃんが…?』
メンバーは、大型ミラー越しに日菜を見ていた。
みんなはいつも通り楽しく演奏しているが、やはり日菜だけは何処か様子がおかしい。
朧よりも、日菜がどういう存在かはメンバー全員理解している。
いつも擬音ばかりで表現するから何言っているか分からない時もあるけど、日菜ちゃんはいつも自由でマイペースで、ちょっと鈍感な所もあるけど、演奏は楽しそうで、るんっとしていた。
だから、緊張なんてした所を見たことがないメンバーは、その動揺に釣られて思う様に演奏出来ず、結局そのまま演奏が終わってしまった。
気まずい空気がレッスン場を包む。
朧は、なんか悪い事をしたかと思考を巡らせた。
いきなり押し掛けた事は少し悪かったと思っていたが、間違いなく普段から奏でる音はこんなものじゃないと分かっていた。
…特に氷川 日菜。舞台で奏でていた音よりも酷いものだった。
緊張、か。
確信は無かったが、恐らくそうだろうと予想していた。
緊張していた理由は分からないが…。
そんな空気を断ち切る様に、リーダーの彩が口を開く。
「こ、こんな日もあるよ!調子って上がったり下がったりだから、今日は下がってる日なんだよ!だから、あんまり気にしないで次に行こ…!」
「そ、そうですね…!昨日の敵は今日の友って言いますし…!」
「イヴさん、絶対意味分かってないっスよね…。」
「うふふ、そうね。彩ちゃんの言う通り、こんな日もあるわ。次はそれぞれ問題あったと思う所を修正すれば…」
「…ごめん、ちょっと頭冷やしてくるね。」
笑顔を無理に浮かべ、日菜はそのままレッスン場を出ていってしまった。
「ご、ごめんなさい朧さん…!日菜ちゃんいつもあんな感じじゃないんですけど…!」
「いや、俺の方こそなんかごめん…。やっぱこの空間に一人だけ男が居るのが嫌だったのかも知れないな…」
朧は申し訳なさそうに俯く。しかし、それをフォローするように千聖が朧へ話しかける。
「いえ、そんな事を気にするような子じゃないんです。もしかしたら、家でまた何かあったのかも…。」
「けど、最近紗夜さんとは仲良いって聞くッスよ…?」
「じゃあ…何があったんですかね……。私、ちょっと行ってきます!」
イヴは小走りでレッスン場から出ると、メンバーもつられて出ていってしまった。
一人取り残された朧は小さな罪悪感に苛まれながら、取り敢えず自分も向かおうと席を立った。
自分が原因なら謝罪しなければならない。
そう思い、皆が向かったであろう方向へと歩いていった。
日菜は一人、外の景色が一望出来る広いフロアで水を飲みながら椅子に座っていた。
…分からない。何故自分がこうなっているのか。
いつも感覚と才能に身を任せて弾いていた。
今まで緊張した場面なんて、お姉ちゃんと話す事ぐらいだったのに…。
それが今日、普通の練習で…しかも、一人見学者が居るだけで緊張してしまった。
…あの人が原因?
確たる証拠なんて無いし、それを言い訳にするのも嫌だった。
でも、あの人が居るだけでいつも感じていたるんっとした感じが来なかった。
「あ、日菜ちゃん!やっと見つけた…!」
日菜を見つけた彩は、急いで駆け寄る。
「もう…いきなり出ていったらビックリするでしょ?みんな心配してるんだから…!」
ゼェゼェと息を切らしながら、袖で汗を拭う。
「ごめんね…今日、なんか変なんだ私…。いつもの私じゃないって言うか…」
「そんな日もあるよ。確かに日菜ちゃんは天才だけど、一人の人間なんだから…!」
彩は日菜の手を握りながら微笑み、上記を述べた。
「…よく分かんないけど、やっぱり彩ちゃんって面白いね…!なんか元気出てきちゃった…!」
日菜は表情を明るくし椅子から立ち上がると、彩の手を握り返した。
「あ、日菜さーん!彩さんも…こんな所に居たんスか…!」
遅れて他の4人も到着する。
「大丈夫ですか日菜さん…?」
「うん、ありがとうイヴちゃん!それにみんなも…迷惑かけてごめんね…!」
ううん、とメンバーは首を横に振る。
「さ、戻りましょう。さっきの人もきっと待っている事だろうし。」
千聖がそう言いレッスン場へ戻ろうとした瞬間、
「…あ、こんな所に居たのか!」
遅れて朧も到着した。
その瞬間、日菜は再びドクン…と鼓動を早くした。
そしてそれと同時に、何故か朧に嫌悪感を覚え始めたのだ。
理由は分からない…だけど、あの人が気に入らない…。
何故…なんで……なんでなんで…………!!!
「ごめんな〜…俺が来たせいで変に動揺させちまってなら悪い事したよ…。」
朧は頭を掻きながら頭を少し下げ謝罪を述べる。
それに対してメンバーは、そんなことない、頭を上げて下さいと慌ててフォローに入る。
…一人を除いては。
「…謝らないで下さい。馬鹿にしてるんですか。」
その一言に、時間が凍りついた。
「な……何言ってるの日菜ちゃん…!!それは失礼過ぎるよ…!」
唐突にそんな事を言い出した日菜に、思わず彩は日菜の肩を掴み大きな声で叱りつけた。
「俺が来たからって…そんな事ないし…自意識過剰でしょ…。ちょっと音楽関係絡んでるからって自分の方が上の立場だと思いながら、見下して見てたんでしょ。演奏が下手だなって…!!」
朧は、日菜の言っていることが分からなかった。
純粋にパスパレの個性と、その技術を見に来ただけなのに何故そこまで言われるのか。
怒りよりも、困惑が頭の中を巡っていた。
「日菜ちゃん!!」
「…っ!!!」
千聖が日菜を止めようとした瞬間に、日菜は彩の手を振り払い再びどこかへ走って行ってしまった。
「日菜さん!!」
「日菜ちゃん!!」
麻弥と彩が急いで後を追いかけていく。
残ったメンバーは、この気まずい雰囲気をどうしようかと考えていた。
千聖は昔から役者をやっていた為、頭の回転は早い。
だが、こうもフォロー出来ない状況は久しぶりである為、何も言うことが出来なかった。
「あの…朧さん……」
その空気を断ち切ろうとイヴが言葉を発するも、次の言葉が出てこない。
「…っはは、なんかごめんな。俺のせいでこんな気まずくなって…。」
朧は苦笑を浮かべる。そして出口の方へと歩みを進めていく。
「…っ!私達、3週間後にライブがあるんです…!見に来て下さい!日菜ちゃんには秘密にしておきます…。だから、日菜ちゃんを嫌いにならないであげて下さい!!」
千聖は、朧の背中に誠心誠意頭を下げる。そして、イヴも同じく頭を下げた。
「…嫌いにはなってないよ。ライブも見に行くと約束する。」
振り返った朧は微笑みを浮かべていた。しかし、その笑みを見た二人は、背筋をなぞられる様な寒気に襲われた。
「期待…しているからね?」
日菜と朧の溝の原因。それは…────
《 同 族 嫌 悪 》
ここまで見てくださりありがとうございます。
二人の溝は果たして埋まるのか…。
朧はどうやって埋めるのか。
書いている自分も楽しみです(*^^)
いつも多くの人に見てもらって本当に感謝しております!
次回も宜しくお願いします。
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