〖音楽を辞めた少年は、少女達と共に夢を視る〗   作:Y×2

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もうちょっとで2万UA到達です。
いつも見て下さる方ありがとうございます!

先週、週間ランキングも第三位と、自分には勿体無いような結果を得られているので本当に嬉しいです!

今回の話もほのぼの系なので、ごゆっくり見ていってください。
それではどうぞ。

感想&評価お待ちしております( ´△`)





第十七話 〖…マジかよ〗

 「…あ、来た。」

 

 「お待たせ。待たせたか?」

 

 「いや、私も来たところです。今日はわざわざ買い物付き合ってくれてありがとうございます。」

 

 「うん。ほぼほぼ脅迫みたいなものだったけどな。」

 

 今日は祝日の為、学校は休み。

 家でゆっくりゴロゴロしようかな〜と思っていた矢先、蘭から連絡があった。

 

 『先生、今日買い物に付き合ってくれませんか。付き合ってくれないなら変態って事言いふらします。で、場所は……』

 

 最初に逃げ場を無くしてくるスタイルか。悪くない。悪くないけどそういうのは趣味じゃないし、嫌いだけど好きじゃない。

 

 

 …けれど、一応教え子だ。脅迫されていなくとも、断ってはいなかっただろう。

 

 「じゃ、行きましょうか先生。」

 

 素っ気なく目的地へと歩き出す蘭。

 …やっぱりあの不可抗力にも関わらず変態とレッテルを貼られた事件があったから軽蔑されてんのかな…。

 俺だって必死だったんだぞ!人の胸触って冷静で居られる奴なんかいねぇだろ!咄嗟に出た言葉が最悪だっただけだ!

 

 …あの言葉さえ無ければなぁ……。

 

 はぁ……と溜息を吐き肩を落としながら、蘭の後ろについて朧も歩き出す。

 

 

 

 一方、蘭はこれまでに無いほどドキドキしていた。

 素っ気なくなってしまっているのは単純に照れ隠しであり、実は朧を買い物に誘おうと決断したのは蘭ではなかった。

 

 

 

 今から二日前程度、蘭はいつも通りに学校でAfterglowのみんなとバンド練習をしていた。

 

 「ねぇ蘭〜。先生とは上手くいってるの〜?」

 

 相も変わらず蘭を弄り倒しているモカだが、蘭はそのネタには飽きたのか適当に返事を返す。

 

 「普通。」

 

 「へぇ〜?じゃあお出かけとかしないの〜?」

 

 「お…お出かけ……?」

 

 何を言ってるか分からないと言うように、小首を傾げる。

 

 「いつも先生のトレーニング受けてるんでしょ〜?じゃあ、お出かけの一つや二つあるかと思って〜。」

 

 「そ、そんなのないよ!私は只の生徒だし、先生とで……で、デートとかダメに決まってるでしょ…。」

 

 「私はお出かけって言ったんだけど〜…?」

 

 「う……うっさい!!早く練習続けるよ!!」

 

 

 その後の練習は言うまでもなくボロボロだった。

 頭の片隅に朧の姿がチラついては、集中など出来ない。

 

 

 

 

 「…モカのせいだからね!!」

 

 ぐにぐにとモカの頬を引っ張りながら怒りを顕にする蘭。

 

 「あっはは…まぁまぁ、落ち着いて蘭。モカがこんな感じなのは今に始まった事じゃないだろ?」

 

 「ひょうひょう〜(そうそう〜)。」

 

 「朧先生を出した事がダメなんだよ…!」

 

 全く…と、モカの柔らかい頬から手を離し溜息を吐く。

 

 「だって〜、蘭が朧先生の話する時すっごく楽しそうだし〜。ちょっと妬けちゃうな〜?」

 

 「確かに…」

 

 そう言われてみれば…とつぐみは顎に手を置く。

 

 「た、確かに先生のトレーニングは楽しいけど……そ、それよりもみんなで演奏してる時の方が……」

 

 語尾にいくに連れてどんどん音量が下がっていく。

 しかし聞き取るには充分であり、それを聞いたメンバーは顔を合わせると、一斉に蘭へと抱きつく。

 

 「もう!蘭ちゃん可愛い!」

 

 「いつもこれぐらい素直ならね〜!」

 

 特につぐみとひまりは、激しく蘭の頬に頬擦りしながら嬉しそうに抱きついている。

 

 「ちょ、みんな暑いから離れて……!」

 

 

 

 …みんなが離れた時には、蘭はかなり疲弊していた。

 

 

 

 「もう…こういうのは疲れるからやめてよ……」

 

 「満更でもなさそうだったけどな?」

 

 「う、うるさい…。」

 

 「あ、蘭〜。お出かけするならここがお勧めだって〜。」

 

 モカが携帯画面を蘭に見せる。そこにはオススメのデートスポットや、お出かけの情報が多数載っているサイトであった。

 

 「…なんで出かける前提なの?」

 

 「いやぁ、明後日って祝日でしょ〜?だから、その時に先生と出かけたら良いかなって。」

 

 「出かけないし!その日はみんなでバンドの練習を…」

 

 「ともちんはあこちゃんと出かける予定だし、私もバイトあるし〜。」

 

 「私も珈琲店のお手伝いしなきゃだから…」

 

 「私は空いてるけど、私と蘭だけじゃ練習できないし…ね?」

 

 なんでこう都合の悪い時に限ってみんな空いてないの…!?

 と、タイミングの悪さに頭を悩ませる。

 

 「最近、日菜さんが先生の家を出入りしてるじゃん〜?だから、蘭もあっという間に抜かされちゃかもよ〜?」

 

 「いや、日菜さんは天才だし私が敵う訳…」

 

 「あ、それ先生が一番嫌いなことだよ!才能がないから妥協する奴は嫌いだって!」

 

 「うっ…。」

 

 ひまりの言う通りだ。先生なら絶対にそう言いそう…。

 

 「丁度いい機会だし、先生とお出かけして色々話を聞くって言うのはどうかな?今まで話してくれたことの無い話とかしてくれるかもよ!」

 

 つぐみがそう提案すると、蘭は考える。

 確かに自分のプライベートを話したことは何度かあるけど、先生のプライベートを聞いたことは殆ど無い。

 

 「楽器屋さんに行って一緒に見てもらうのもありかもな。今使ってる蘭のギターにあった色々な物を選んでくれそうだし!」

 

 「成程……」

 

 そう思うと、悪くないかな…と思い始めた蘭。

 ただどうやって誘うかが問題だ…。

 

 「誘い方に迷ってるね〜?なら、この方法で絶対にいけるよ〜?」

 

 「え、そんな方法あるの…?」

 

 「ちょっと耳かして?」

 

 モカは蘭にごにょごにょと何かを告げると、蘭は驚いた様に目を見開く。

 

 「ちょ、それ脅迫じゃん…!そんな誘い方したら先生に悪いでしょ…!」

 

 「けど、他に誘い方ある〜?」

 

 ぬぐぐ…と悩んだ挙句………

 

 

 

 

 今に至る訳である。

 

 

 「…しっかし、折角の休日を俺となんかで過ごして良かったのか?Afterglowのみんなは?」

 

 「今日はみんな用事があるんです。なんで暇そうな先生なら行けるかなと思って。」

 

 「失礼だな!?いやまぁ…暇だったけど今日は…。」

 

 「ならいいじゃないですか。さっさと行きましょう。」

 

 ツカツカと先に歩いていく蘭を早足で追いかける。

 

 ……自分と蘭に向けられた四つの視線には気付かずに。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「おぉ〜…こりゃでけぇな…!」

 

 電車やバスを乗り継いで蘭に案内された場所は、大きなショッピングモールであった。

 朧はこういう所にあまり足を運ばないので、その規模の大きさに目を輝かせていた。

 

 蘭も、いつも行っているショッピングモールよりも一回り上回る大きさに顔を上げている。

 

 「えっと……まずここから回って……。」

 

 蘭は、モカから送られてきたオススメルートを携帯で確認する。

 

 「蘭、何を見てるんだ?」

 

 「へっ!?あ、いや…何でも無いです!ほら、行きましょう!」

 

 急いで携帯を隠すと、1つ目のオススメスポットへ歩き出す。

 

 「……?変だな…蘭の奴。」

 

 ポリポリと頭を掻きながら蘭に並んで歩きながら、ショッピングモールの店々を眺める。

 

 …こんなに大規模な所に来るのは、6歳のピアノのコンクール会場以来だ。

 プライベートとなると、初めてだな…。なんか楽しくなってきたぞ…!!

 

 

 ウキウキしている朧とは裏腹に、蘭はずっとドキドキしていた。

 何を話せばいいのだろう。服はダサくないよね…。髪の毛は……などと、頭をそういう事ばかりが支配していた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「…ねぇ、今どうなってる?」

 

 「ちょ、モカ…!押すなって!見えちゃうだろ?」

 

 「モカちゃんも見たいんだけど〜。」

 

 「はぁ〜…見てるこっちがドキドキしちゃう…!」

 

 

 ひまり、巴、モカ、つぐみの四人は何故かショッピングモールで二人を尾行していた。

 

 理由は単純であり、朧と蘭がどういう感じでデーt…お出かけするか見たかったのだ。

 

 巴の用事やつぐみのお手伝いは尾行する口実であり、四人が裏で手を組んでここまでこじつけたのだ。

 

 

 「ほんと悪いよなぁ〜モカは…。」

 

 「ん〜?これはチャンスだと思ったんだよ〜。だって蘭は〜…」

 

 「ちょ、巴ちゃん!モカちゃん!」

 

 つぐみが二人を慌てて呼ぶと、朧と蘭の方に指をさす。

 

 

 

 

 二人は、柄の悪そうな3人組に絡まれていた。

 

 

 

 

 「…マジかよ。」

 

 巴は無意識に上記を述べていた。




ここまで見て下さりありがとうございます!

次も朧&蘭の話になりますので、お付き合い下さい_(:3 」∠)_

新作のバンドリ小説を書くなら、どの様なものが良いですか?

  • シリアス系
  • ほのぼの日常系
  • 恋愛系( 全員√ を書きます )
  • ハーレム系
  • 努力&覚醒系

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