今回からハロー、ハッピーワールド!編とさせていただくにあたって、注意事項を申し上げます。
注意事項というのは、主人公の朧は花咲川の非常勤講師として働いていますが、前の話でこころを見たのが初見だという矛盾です。
なので、朧はこころと殆ど面識が無く、噂程度でしか知らなかったというていで話を進めていきます。
これは、完全に主の見落としでしたので、くどいとは思いますが改めて謝罪致します。
という事で、第二十二話始まります。
感想&評価、お待ちしております( ´△`)
花咲川の異世界こと、弦巻こころ。
彼女の噂はかなり耳にしていた。
とんでもないお金持ちであり、身体能力は一般人よりも飛び抜けている。
そして何よりそのポジティブ過ぎる性格で、そう呼ばれるようになったらしい。
俺は弦巻とは違うクラスであり、非常勤講師と言うこともあり面識は全然無かったが、まさかこんな風に出会う事になるとは…。
朧は案内された部屋で治療を受けながら、だだっ広い空間を見渡していた。
そこら中に置かれた高級そうな絵や骨董品、それに巨大なシャンデリア。
お金持ちに相応しいものがズラリと並んでいる。ここを治療室に使うとか……。
…いやはや、ハロー、ハッピーワールド!の事は、前に色々サーチしたから軽く知っていたが、まさかここで出会うなんて思っても見なかった。
ハロハピの音楽は、唯一無二の個性を誇っている。
あれを他のバンドが真似をすると……いや、考えるだけ無駄か。俺でも真似できる気がしない。
しかし、今日はハロハピの面子が集まってると言っていたし、生で演奏を聴くチャンスかも知れない…。
……ダメ元で頼んでみるか。
「あの、ハロハピの皆さんと会うことって出来ますか?」
「はい、可能です。」
「ですよね〜…やっぱりダメ……えっ?」
「大丈夫ですよ。こころお嬢様も、また後でと仰っていらしたので。」
「そ、そうなんですか…ありがとうございます……。」
めちゃくちゃすんなり受け入れるじゃん!!返して!?俺の覚悟返してよ…!?
朧の治療を終えた黒服の人は、親切にも松葉杖を貸してくれた。
その後ハロハピのいる部屋へ案内して貰い、今その部屋の前に居る……のだが。
「……えぇ…。」
なんで部屋の中からDJが使うターンテーブルの音とか聞こえるんですかね……?
まさか家の中にあるのか?いや、有り得るな……ここに常識を求めたら負けだ…きっと。
ゴクリ、と生唾を飲み込み部屋のドアノブに手を掛ける。
「し…失礼しまーす…。」
ガチャリと慎重にドアを開けて、ひょっこり顔を覗かせる朧。
「あ、たろうじゃない!良く来てくれたわね!」
いつも通り明るい笑顔で近付いてくるこころに対し、他のメンバーの頭には、ハテナが浮かんでいるように見えた。
「こころ、その人は知り合いかい?」
こころに質問を投げかけたのは、高身長で紫色の長髪、そしていかにも女の子にモテそうな容姿をした女の子だった。
「えぇ、たろうって言うのよ!私の車で怪我をしたから、家で治療してもらっていたの!」
「えっ、大丈夫なの!?轢いたって事!?」
「いや、俺が前方不注意だったんだよ…!……って、君は…」
朧の事を心配そうに見つめる女の子に見覚えがあった。多分花咲川の生徒だったはず…。
「…えっ、もしかして…朧せん─…」
その単語を口にした瞬間、足を怪我していると思えない程のスピードでその子に近づくと、そっと口を手で覆い、小さく耳打ちする。
「確か奥沢…だったよな?今は訳あってたろうなんだ…。すまないが合わせてくれ…。」
何かを察した様に、奥沢 美咲はコクコクと頷く。
朧はそれを見てゆっくりと手を退けて、小さく"ごめんな"と謝罪を述べる。
「…えと、もしかして朧せんせ…──」
朧の身体がとんでもない速度で名を口にした女の子へと近付くと、再びその子の口をそっと抑え、再び小声で耳打ちする。
「君は〜…誰か知らないけど、俺の名を知ってると言うことは花咲川か…ッ!?今はたろうなんだ…いいか、たろうだ…!」
余りの気迫に女の子は涙目になりつつも、小さく頷く。
朧はそれを確認し、ゆっくりと手を離したあと" ほんとにごめん…"と謝罪した。
「たろう、凄いわね!怪我をしているのにそんなに早く動けるなんて!それよりも朧って誰かしら?」
「いやぁ〜!!全然知らないなぁ!うん、本当に知らない!」
今なら新人俳優賞取れるんではないかと言うほどの演技力で、何とか誤魔化す朧。
「そう?ならいいわ!」
相変わらず何でもすぐに信じ込むなぁ…。罪悪感が凄いけど、今更後には戻れないし…。
「コホン…えー、弦巻から紹介された通り、俺は山田 太郎って言うんだ。今日は訳あってここに偶然来たから、ついでにハロハピの演奏を聞いていこうかなって思ったんだ。迷惑なら帰るが…」
「全然迷惑じゃないわ!寧ろ歓迎するわよ?」
「ふふ、一人観客がいる練習なんて、いつもと違っていいじゃないか。」
「はぐみ、ちょっと緊張するけど頑張る!」
…良かった。取り敢えずは歓迎されたみたいだ。
「じゃあ早速始めましょ!美咲、ミッシェルを呼んできて頂戴?」
「あ〜、うん。」
そう言えば、このバンドは珍しくDJがいるバンドだったな。あのミッシェルとかいうぬいぐるみがDJしてるって話題が、割とSNSとかでも流れてきていた。…成程、中身は奥沢だったのか。
絶対夏場暑いだろうな…などど眉を顰めて、それぞれ準備に入るメンバーを眺める。
偶然とは言え、ハロハピの演奏を近くで聴けるチャンスなんて滅多にない。
ここで少しでも技術以外の何かを盗めれば、御の字だ。
「…あ!来たわねミッシェル!…そう言えば、ミッシェルにはこの人を紹介していなかったわね!この人は…」
「あ~…この人の事は美咲ちゃんから聞いてるから大丈夫だよ〜?」
…えっ、もしかしてこころは、中が奥沢だと気付いてないのか!?
どんだけ純粋なんだ…そりゃ俺が太郎って言っても信じるわな…!!
「あらそう?じゃあ早速始めましょ!みんな、準備はいいかしら?」
メンバーは軽く相槌をうち大丈夫だと合図を送る。
…聞け、俺。俺に足りないものを探せ。そして、音楽にとって1番不可欠な、"楽しい"という感性の塊…ハロー、ハッピーワールドの音から……学ぶんだ!
久々に更新しました~…。
いや、最近めちゃくちゃ忙しかったんです…ホントに。
しかし、次話は1週間以内に書けるよう頑張ります!
次回もよろしくお願いします!
新作のバンドリ小説を書くなら、どの様なものが良いですか?
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