〖音楽を辞めた少年は、少女達と共に夢を視る〗   作:Y×2

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今更ですが、3万UAを超えました!ありがとうございます!
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感想&評価、お待ちしております( ´△`)










第二十二話 〖嵐の前の静けさ〗

 「さ、今日は"ハピネスっ!ハピィーマジカル!"の練習だったわよね?早速準備しましょ!」

 

 こころがそうメンバーに告げると、皆は演奏の準備に入る。

 

 そして、ドラム担当の松原 香音がスティックでスタートの合図をすると共に演奏が始まった。

 

 

 「これは……。」

 

 やはり今までに無いタイプだ。まずDJが居ること自体かなり珍しいのだが、それだけではない。

 

 これは個人の意見だが、正直このバンドの演奏技術はさほど高くない。

 しかし、それを無いものにするような"表現力"と、何よりも"楽しんでいる"と言うことがこちらに伝わってくる。

 この二つの技術は、プロのバンドなら殆どが持っている。

 しかし、高校生の段階でさっき述べた二つをこなすには至難の業だ。

 …しかし、ハロハピに関してはプロと張り合えるレベルだ。これは断言出来る。

 それがこなせているのは、もちろん全員の力があってこそのもの。が、それを大きく引っ張っているのが、ボーカルである弦巻だ。

 

 いい意味でも悪い意味でも純粋が故に、誰よりも音楽を楽しんでいる。

 歌の技術はある程度完成されているし、楽しむという一点においては、今まで見てきたバンドの中で1番だと思う。

 

 また一つ勉強になったな…。

 と言っても、俺でもこればかりは真似出来ない。

 

 俺はもう、音楽の悪い所を知ってしまっているから。

 音楽は楽しい。けれど、あれだけ楽しく演奏出来ることは、もう無いだろう。

 

 頭の中で音楽の分析をしている間に、一曲目の演奏がいつの間にか終わっていた。

 

 「…どうだったかしら!」

 

 にぱっ!と大きく笑みを浮かべてこちらに感想を求める様に視線を向けるこころ。

 

 「…正直、驚いたよ。高校生なのにここまで出来るなんて…凄いな。」

 

 「あら、ありがとう!それはみんなのお陰だわ!」

 

 「こころ…いつもにも増して楽しそうだったね。何かあったのかい?」

 

 ギターを弾いていた瀬田 薫が、サラリと前髪を払いながらこころにそう訊ねる。

 

 「だってお客さんがいるんだもの!やっぱり人前で歌うのは楽しいわ!」

 

 「お客さんって言っても一人だけどね…。ていうかこころ、次のライブでやる曲もやっておいた方がいいんじゃないかな〜?」

 

 …奥沢も大変だ。いちいちキャラを作らないといけないんだから…。

 ……後で悩みでも聞いてやろう。多分丸一日は潰れるだろうな。

 

 「あ、そうだったわね!じゃあその練習をしましょ!あ、たろう。もし良かったら、たろうの感想も欲しいわ!」

 

 「え、お……俺?」

 

 「確かに、第三者の意見というものも大切だからねぇ…。」

 

 「はぐみも感想聞きたい!どんな風に聞こえてるか気になるもん!」

 

 

 …だいたい理解してきたぞ。このバンドでマトモなのは二人しかいないんだな。

 そりゃ苦労するわけだ…。

 

 「俺の意見でよければいいけど…。」

 

 「決定ね!早速練習に入りましょ!」

 

 メンバーそれぞれが、次のライブでやるであろう譜面を取り出す。

 それをぼんやりと眺めていると、ミッシェル…もとい奥沢が、てててっとこちらに歩いて来て、各楽器の譜面を朧へと渡す。

 

 「…なんで俺に譜面を?」

 

 「先生の噂、一年から三年まで結構有名なんですよ?ギターが超絶上手い先生がいて、色んな楽器を弾けるって。」

 

 「え"っ。マジ!?」

 

 思わず変な声が出た。まさかそこまで広まっているなどと思っても見なかった…。流石は女子校といったところか…。

 

 「なんで、もし良かったら変な所があれば教えて貰えたらな〜と思いまして…あ、迷惑なら全然大丈夫なんで。」

 

 「いや、大丈夫だ。それよりも、奥沢…頑張れよ。」

 

 ぽん、とミッシェルの肩に手を置く。

 

 「あはは〜…ホント、毎回大変ですよ…。けど、それが楽しい時もあるんで…。」

 

 着ぐるみ越しに苦笑を浮かべ、奥沢はDJブースへと戻っていった。

 

 

 朧は手渡された譜面に目を配る。

 曲自体はさほど難しいものではない。一番難しいのは、やはり奥沢だろう。

 その場のフィーリングによって音の調節をするDJは、音の大小だけじゃなく、色々な技術を要するものだ。

 最近は大小だけで操作する奴もいると聞くが、それは最早DJではない。

 

 そんな高度な技術が必要なDJを引き受けつつ、あの三人の相手…考えるだけで疲弊しそうだ…。

 

 「こころちゃん、準備出来たよ。」

 

 「こっちもOKだよ〜。」

 

 「はぐみも大丈夫!」

 

 準備を終えたメンバーが口々に完了の言葉を述べていば、それを聞いたこころは早速練習を開始する。

 

 ハロハピ練習中の雰囲気は、緊張感と言う言葉より程遠いものだった。

 基本的に奥沢と松原が率先的に気になる場所を指摘し、そこを残りの三人が訂正していくという流れがテンプレートのようだ。

 

 「…松原、2フレーズ前の所、少しテンポが乱れてたな。苦手か?」

 

 「よ、よく分かりましたね…。はい、ちょっと苦手な所で…。」

 

 「なら、そこはクロスしてる右腕をもう少し伸ばしてみるといいぞ。ちょっとこじんまりとしてるからやりにくいんだと思う。」

 

 「は、はい!やってみます…!」

 

 朧も気になった所は見逃さずに指摘する。その事に、あの子が食いつかないはずも無く…

 

 

 「たろう、凄いわね!たろうもドラムをやっているのかしら?」

 

 「えっ。あ、あぁ…昔ちょっとな…あはは……。」

 

 「良かったわね花音!教えて貰えるのは羨ましいわ!」

 

 「そ、そうだね、こころちゃん…。」

 

 松原も、なんとか俺の素性を隠してくれている……ほんと、申し訳なさで心が痛い…。

 

 …せめてもの罪滅ぼしだ。今日だけは、この三人を俺が率先して請け負おう!

 

 「えと〜、一応ギターとベースを昔やってたから教えられるし、ボーカルも習ってたことがあるから、ある程度教えられるぞ…。」

 

 「「「ほんとに(かい)!!」」」

 

 うわぉ、やっぱりガッツリ食い付いた…大きな魚が三匹も…。

 

 「あ、あぁ…。だから、そのままいつも通りに練習しててくれ。おかしな点があったら言うからさ?」

 

 「分かったわ!はぐみ、かおる、それにミッシェルにかのん!今日は楽しい一日になりそうね!」

 

 …あの二人ははぐみと薫って言うのか。ここに来ていきなり練習始まったから名前を聞く時が無かった…知れてよかったぜ。

 

 「そ、そうだね…。て言ってももう昼過ぎだけど…。」

 

 奥沢、もといミッシェルが時計を見て苦笑を浮かべる。

 

 「まぁ、まだ時間はある。教えられる範囲で頑張るから、宜しくな。」

 

 ……朧はこの時油断していた。ハロー、ハッピーワールド!が、どれほどの強敵とも知らずに。

 

 ここから、地獄の様な時間が始まるのであった。




ども、Y×2です。
少し更新が遅れましたが、なんとか書き終えました。

次話は、朧が経験した事の無い苦労をする回です。
果たしてハロー、ハッピーワールド!にちゃんと教えることは出来るのか…乞うご期待。

新作のバンドリ小説を書くなら、どの様なものが良いですか?

  • シリアス系
  • ほのぼの日常系
  • 恋愛系( 全員√ を書きます )
  • ハーレム系
  • 努力&覚醒系
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