〖音楽を辞めた少年は、少女達と共に夢を視る〗   作:Y×2

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どうも,Y×2です。
めちゃんこ更新が遅れたのは、色々と忙しかったのと、いいネタが中々浮かばなかったのが理由でございます。

もっと更新頻度はあげたいと思っていますので、どうか温かい目で見守っていて下さい(汗)



感想&評価、お待ちしております( ´△`)









第二十三話 〖語彙力ゥ!!〗

 さて、俺こと…篠崎 朧は、今ハロー、ハッピーワールド!に曲に対する意見と修正箇所を言ってほしいと頼まれた為、皆に教えている最中なのだが…。

 

 「たろう!ここのフレーズなのだけれど、もっとみんながハッピーになれる様な歌い方はないかしら?」

 

 「うん、こころはそのままでいいと思うよ。それ以上ハッピーになったら多分歌にならないから…。」

 

 「そう?分かったわ!」

 

 「先生、私はここを薔薇の花が散り行く姿を儚そうに華を見る乙女の様な感じで弾きたいんだが…」

 

 「うん、そこまで具体性があるイメージなら大丈夫かなぁ。それよりもまず音の精度を上げた方がいいと思う…。」

 

 「あぁ、分かったよ…!」

 

 「せんせー!はぐみ、ここが苦手だから聞いて欲しいの!」

 

 「はいはい、ちょっと待っててくれ…!」

 

 とにかく忙しい。確かに教えると言ったのは俺だが、この三人は抽象的な事しか言わないから、理解するのに時間がかかる。

 時間をかけて理解している事を褒めて欲しい位だ…。

 

 奥沢や松原にも教えたいのだが、中々手が空かない…。

 ちくしょう…俺がもう一人いれば…いや、それは気持ち悪いからナシだな。

 

 「…先生、大丈夫ですか?」

 

 それを見兼ねた奥沢が、心配そうに朧に耳打ちする。

 

 「…まだ大丈夫だ。しかし、毎日あの三人と過ごしてる奥沢と松原は凄いな…。俺なら爆発してしまいそうになる…。」

 

 「ホントですよ…。でももう慣れたんで…。私もそっち手伝いましょうか?」

 

 「ダメだ。今日は俺が教えると約束したし、名前を偽ってかつ、お前と松原に素性を隠してもらってるんだ。せめてもの罪滅ぼしだよ。」

 

 「いや、そんな大袈裟な…。でも、先生DJ教えられるんですか?先生の技量を疑ってるわけじゃないですけど…。」

 

 「…ま、他の楽器よりかは知識か疎いさ。けれど、教えられない事はない。取り敢えず今は待っててくれ。向こうの三人の音を固めてから、松原と奥沢に集中して教えるからな。」

 

 「分かりました…頑張って下さい。」

 

 「あぁ、ありがとう。」

 

 …とは言ったものの、自分自身の中にもあの三人の音がどうすれば本人達の理想に近付くのか、まだ見えてこない…。

 トレーナーとして、そこはハッキリさせてあげたい所ではあるが…ここまで苦戦するとは思っていなかった。

 

 21年生きてきた中で、一番の強敵だと言っても過言じゃない。

 しかし、こんな事で諦めていてはボーカルトレーナーとして失格だ。

 

 まず、分からない事を分解していこう。今俺が分からない事は、この三人が理想とする音だ。

 で、三人は抽象的に理想の音を俺に伝えようとしてくる。

 

 つまり、その抽象的な表現さえ分かってしまえば…理想の音を導き出せる。

 

 …する事は固まった。後は数をこなせばいい。

 

 「こころ、ここのフレーズはもっとハッピーな方がいいんだよな?」

 

 「えぇ!もっと笑顔になれるように歌いたの!」

 

 「分かった、じゃあここはこうしよう。」

 

 すると朧は唐突に、その身長には見合わない、まるでアイドルがする振り付けを踊り始めた。

 普通の人が見ればドン引きする様な振り付けだ。実際奥沢の笑顔が引き攣っていたのを、俺は一生忘れないだろう。

 

 朧がしている事は単純。その抽象的な表現を、" 身体で表現 "しているだけ。

 しかし、こういう方法こそこういう天才肌達には良く効くことを朧は思い出した。

 

 そう、言葉で伝えるより…感覚で伝える方が分かりやすい奴等もいるという事だ。

 

 「…どうだ、こころ。」

 

 やりきった…!!絶対黒歴史認定される様な行動を、俺はやりきった…!

 これで伝わらなければ万事休すだ。奥の手はまだ使いたくない…ていうか、女の子には使いたくない。頼む…伝わってくれ…!!

 

 「…いいわね!そんな感じでやってみるわ!」

 

 よしっ!!と、朧は心の中で大きなガッツポーズを決めた。

 

 「い…今ので通じるんだね…美咲ちゃん…。」

 

 「私も驚いてますよ…。私ならあんな事する度胸ないですし…流石は先生と言ったところなんでしょうかね……。」

 

 二人は苦笑を浮かべながらも、良かったと安堵の溜息を零す。

 

 そこからの朧は凄まじいものであった。

 

 厄介トリオが質問するたび、それに合った動きをしながら指導するという、普通では考えられないやり方で三人をなんとか教え続けた。

 

 三人を教え続ける朧はふと窓の方を見つめると、目を丸くする。

 夕焼けの光が,窓から差し込んでいたのだ。

 

 時間にして実に4時間弱、朧は三人+‪αの指導をしていたのだ。

 

 「あら、もうこんな時間なのね!じゃあ最後にみんなで演奏しましょ!私、今なら一番ハッピーに歌える気がするわ!」

 

 「それは同感だよこころ…。先生のご指導により…私の儚さに、より儚さが増した感じがするんだ…。」

 

 「はぐみも!今だったらすっごく楽しく弾けそう!」

 

 の…乗り切った…。正直教えている時はアドレナリンが分泌されてて疲れなんて感じなかったが…今になってどっと疲れがのしかかって来た……。

 あ、足もズキズキする…そりゃそうか。あんだけ動けばな…。

 

 「お疲れ様です先生…大丈夫ですか?」

 

 「あ…あぁ、ありがとう奥沢。正直死にそうだ。」

 

 「あはは~…無理もないですよ…。あの三人相手に本当によく耐えましたね…。」

 

 あぁ…なんか今は奥沢にバブみを感じる…。癒しだ癒し…。

 

 「せ、先生…これ、お水です…。」

 

 「松原…ありがとな。」

 

 「い、いえ…!私の方こそありがとうございました…!みんなの相手しながら、私のドラムまで教えて貰って…。」

 

 「いいんだよ。俺が引き受けた事だし…。それに、松原は俺を気遣って余り質問しなかったろ?奥沢もだが。」

 

 「そりゃあ聞き辛いですよ…。」

 「先生とても頑張ってましたから…。」

 

 奥沢と松原は同時に苦笑する。

 

 「…特別に、今度時間あれば分からないところを教えよう。不公平なのは俺の性に合わないし。」

 

 「そんな…大丈夫ですよ!充分教えて貰いましたし…!」

 

 「ははっ、松原は優しいな…。けど、いいんだぜ?俺は先生だ。利用してやるっていうぐらいの気持ちが無きゃな?」

 

 「利用だなんて…迷惑が掛かりますから…」

 

 「俺は迷惑じゃない。松原、今日教えたこと以外にもまだまだ沢山教えたいことがあるんだ…。頼む。」

 

 「…分かりました、先生。」

 

 花音は観念したように小さく微笑を浮かべた。

 

 「勿論、奥沢もな?」

 

 「分かってますよ。ていうか、身近でDJ教えられるの先生しかいないですし?」

 

 奥沢は松原と違ってだいぶ乗り気の様だ。

 今まで独学だった分、他人に教えて貰う楽しさというものを短い時間だったが分かって貰えたみたいだ…良かった。

 

 「…さ、みんな!改めて聞かせてくれ。今まで教えた事を思い出しながら、楽しく、明るく、ハッピーに演奏してくれ!」

 

 おー!と元気のいい返事を五人が返す。

 

 「さー、練習の成果を出すわよ!ハピネスっ!ハピィーマジカルっ♪」

 

 こころが曲名を告げると、全員が一斉に楽器を構える。そして、花音がスティックで合図を出す。

 

 演奏が始まるや否や、メンバー全員が気付いた。最初に演奏した時とは全く音の質に。

 

 弦巻のボーカルを筆頭に、音は一つに纏まり、楽しさや幸せさがより鮮明に表へと出ている。

 

 何より、今演奏している皆がとても楽しそうに演奏している。

 

 基礎を身に付けた上で、更にそこへハロハピの個性を乗せた。

 只それだけの事なのだが、基礎がどれだけ大切か。

 

 ハロハピの面々は演奏しながらその事に気付かされていた。

 

 凄いわ…!みんな楽しそうに演奏している!こんなのを見たら、私…もっとハッピーになるわ!

 

 弦巻の感情も昂りつつあり、良いタイミングでサビへと入る。

 

 …完璧だ。自分で言うのもなんだが、短時間でよくここまで成長したと思う。

 演奏技術は大したことない。なら技術を上げればいいと安直な考えではあったが、まさかここまで化けるとは…。

 

 正直見くびっていた……あの子達の可能性を。

 それを感じられなかったのは、単純に俺の技量不足。まだまだだな…。

 

 黒部は小さく溜息を吐き、コツッと自分の頭を軽く叩いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「たろう!どうだったかしら?」

 

 朧は拍手を送る。

 

 「良かったよ、本当に良かった。今のを本当のライブで見せたいぐらいだ。少し勿体無い気持ちになるな…。」

 

 「私もそう思ったよ…。今の儚さをここで終わらせてしまうのは余りに惜しいと…。」

 

 「私も…です。今までで一番いい演奏が出来ました…!ライブでも、これぐらい叩きたい!」

 

 「珍しく花音先輩が熱くなってる…。」

 

 …なーんて。私も正直、恥ずかしいぐらいノリノリで演奏してたけど。

 

 「はぐみも、今までで一番楽しく弾けた!これをライブで出来たら、絶対楽しいと思うの!」

 

 各々が感想を語る中、朧は立ち上がり5人の前に立つ。

 

 「みんな、その気持ちを大切にして欲しい。もっと弾きたい、もっと叩きたい、歌いたい。そういうハングリー的な部分を忘れてはいけないよ。それは成長するにあたって、一番大切な要素だからさ。」

 

 コクリ、と5人は頷く。

 黒部の言うことが間違いでないということを、今の演奏でしっかりと理解したからだ。

 

 「たろう、本当にありがとう!たろうが居なかったたら、私達は成長出来ていなかったわ!」

 

 「よせよ。俺が迷惑掛けたから、そのお詫びみたいなもんなんだから。でも、良かった。そう言ってくれると嬉しいよ!」

 

 ニッコリと満面の笑みを浮かべる朧。

 そう、感謝される事は本当に嬉しい事だ。先生として、人として何かを成せた。

 ちゃんとお詫びになっていたなら良かった…。

 

 「ねぇたろう。もし良ければだけど、また私達に演奏を教えてくれないかしら!たろうの教え方はわかり易いし、楽しいんだもの!ね、みんな!」

 

 4人は笑顔を浮かべながら、大きく頷いた。

 

 …参ったな、泣きそうだ。ひょんな事で出会ったこの子達に、ここまで信頼されては、その問に無理だ、などと返す事など出来ない。

 …ま、無理と言うつもりもない。

 

 「……あぁ、勿論だ!」

 

 その答えを聞くと、ハロハピのメンバー全員がパァッと表情を明るくする。

 

 大変なのは分かってる。でも、教える事は止められない

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 こんな笑顔を見せられてしまっては。




どうも、Y×2です。

あけましておめでとうございます!

更新遅れた事は本当に申し訳ないと思ってます…。

色々事情があって年を越しての更新となりましたが、何とか書き切る事が出来ました。良かった…。

もっと更新頻度を上げたいところなんですが、今年の三月までは忙しい期間が続くので遅い更新になります。
それでもまだ見てくれる人がいたら、本当に感謝しています。

心から、ありがとうございます。

では、次の話で会いましょう!

新作のバンドリ小説を書くなら、どの様なものが良いですか?

  • シリアス系
  • ほのぼの日常系
  • 恋愛系( 全員√ を書きます )
  • ハーレム系
  • 努力&覚醒系
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