私は羽丘女子学園に通う高校一年、美竹 蘭。
高校ではAfterglowってバンドを組んでて、そこでボーカル&ギターを担当してる。
Afterglowのみんなは昔からの幼馴染で、中学の文化祭をキッカケに幼馴染と一緒に居られるツールで結成されたの。
私自身、Afterglowのみんなと居る時間はとても楽しい。けれど、その分華道も頑張らなきゃいけない。
私の家は100年以上の歴史がある華道の一家で、その事で一時期父さんとモメたりしてた。
けど今は父さんに華道を頑張るならバンドを続けていもいいと許可を貰って、私はバンドを続けてる。
みんな凄く情熱的で、一人一人が楽しくありのままで演奏する事をモットーに今までしてきたけど、私はボーカルとしてもう一段階レベルアップして、みんなを引っ張っていきたいと思った。
華道との両立でたまに練習に顔が出せない時があるから、広告で見かけたこのボーカルトレーニングはチャンスだと思って連絡してみたら、若い男の人が電話に出てきて私にこう言った。
「へぇ〜!経験者なのか。それは教えるのが楽しみだよ!」と。
こんな軽そうな人が本当に教えられるのか心配だったけど、取り敢えず一回行ってみて合わなかったら行かなきゃいい。
…そう思っていた。
「…予定より早く来ちゃったな。」
腕時計を眺めると、まだ20分程時間があった。
なんせ、初めて受けるボーカルトレーニングに緊張していていつもより早く歩いてたみたいだった。
「まぁいっか。」
インターホンに指を伸ばしたその時、ふとどこからか歌声が聞こえる様な気がした。
ハッと頭を上げ、キョロキョロと辺りを見回し音の元を探した。
どうやらそれはこの家の中から聞こえているようであった。
「…あんまりこういうのは良くないと思うけど。」
蘭はその声が気になり、玄関のドアに耳を少しだけ当ててみた。
聞こえてきたのは、バラード調の曲と今にも消えてしまいそうな切なく儚い歌声。
蘭は思わずそれに聴き入ってしまった。
蘭がボーカルを務めるAfterglowは、ロックやポップなどほカッコよくアップテンポな曲を得意としていた。
正直、バラードの様なしんみりとした歌は得意では無かった。
しかし、その気持ちなど何処へやら。
蘭は初めて心の底から、《バラードを歌ってみたい》と思ってしまったのだ。
ギターの奏でる音と歌声が完璧にマッチすると、ここまで人を惹き付けてしまうのか。
自分がもし、このレベルに達する事が出来た時。Afterglowは更に進化する。そう感じ取った。
そして蘭は一人静かに決意する。
この人に教えを受けよう。
この人の技術を盗まなければならない。
今後こんな人は現れないだろう。
このチャンスは逃せない。
私…いや、Afterglowの為に。
蘭は、ふと思い出したかのように腕時計に視線を落とすと目を見開いた。
いつの間にか5分も経っていたのだ。
聴き入っていたのは確かだが、5分もドアに耳を付けて聞いていたことを考えると、ふつふつと恥ずかしさが込み上げてきて顔を仄かに紅くする。
「何やってんのよ私…!」
ふるふると首を左右に振り、パシンと軽く両頬を叩き気合を入れる。
「よし…。」
先程とは別人の様にキリッと表情を整えると、少し震える指でインターホンを押した。
「はーい。」
と、中から返事が聞こえ鍵が開き、扉が開かれる。
中から出てきたのは、想像通り若くパッとしない人だったが、蘭はもうそんな偏見など消し去り、目の前に居るのは自分が目標とする人である事をしっかりと認識する。
「い、いらっしゃい!ボーカルトレーナーの篠崎 朧です。宜しく。」
そしてこちらも簡潔に名前を述べる。
「美竹 蘭です。宜しくお願いします。」
前回に引き続き短いです。
今後は割と長くしていくつもりなので宜しくお願いします。
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