〖音楽を辞めた少年は、少女達と共に夢を視る〗   作:Y×2

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続・一章
第二十五話 『ここから』


 朧はこれまで四つのバンドに指導を行った。Afterglow、Pastel❁Palettes、Poppin'Party、ハロー、ハッピーワールド。

 

 残ったバンドはあと一つ。孤高とも言えるハイレベルバンド、『Roselia』。

 

 だがこれ迄はなりゆきで偶然教えた様なもの。Roseliaとは接点も何もないのでこれから教える事は無いだろう。

 

 そんな事を考えながら、朧はPoppin'Partyの面々から貰ったLIVEのパンフレットを眺めていた。

 そのパンフレットの出演バンドの中にRoseliaと表記されている事に気付いた朧は、一度どれ程の実力かを見に行く事に決める。

 

 かつて孤高の歌姫(ディーヴァ)と呼ばれてた湊 友希那。湊…何処かで聞いたような名前だな。

 しかし覚えていないと言う事は大した事ではないだろうと割り切り、朧はパンフレットを机へと置いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ステージ当日、Roseliaはいつも通りに控え室で準備を進めていた。

 

「今日は練習の成果を出すまでよ。皆んな分かってるかしら」

 

 湊 友希那は他のメンバーへそう声を掛ける。

 

「ええ、勿論です」

 

「分かってます!あこ、今日もカッコよく決めちゃいますよ〜!」

 

「は、はい…頑張ります…」

 

「OK!(…友希那の隣にいる為に、今日も頑張らなきゃ)」

 

 それぞれの意気込みを述べたメンバー。友希那は全員に軽く目配せると背を向けて歩き出す。

 

「行くわよ」

 

 

 

 

 

 観客席はかなりの人で埋めつくされていた。朧は早めに到着していたので割と見晴らしのいい場所を確保した。

 

 凄い数の客だな。おおよそRoselia目当ての客層だろう。しかしこれだけの人数を集めるとは高校生にしてはかなりのバンドだ。

 朧は内心期待しながらRoseliaの出番を待つ。Roseliaは大トリなので、それまでに出演するバンドを静かに見守る。

 皆んな楽しそうな顔をしている。演奏技術はハッキリ言って素人だが、それでも楽しむ事が一番だ。笑顔は伝染するし、楽しさも伝染する。本人達が楽しんでなければ始まらない。

 

 朧は退屈する事なく大トリまでを見届けると、遂に本命のバンドが姿を表した。

 

 えっ、この子達は前にPoppin’Partyに指導する時に見かけた…この子達だったのか!これは思ってもない収穫だ。

 

期待に胸膨らませながらステージを眺める朧。

 

「…Roseliaです。聞いて下さい、BLACK SHOUT」

 

 バンドのボーカルであろう子が手短に挨拶を述べると、直ぐに演奏が始まった。

 

 やはり凄い。朧の初印象はそれだった。高校生にしてこの演奏技術と表現力。今まで教えてきたどのバンドよりも遥かに優れている。

 一人一人が妥協せず努力をしている音の鼓動が、朧の身体に打ち込まれていく。

 特にボーカルは凄まじい才能を持っていた。本気で何かを目指しているとひしひし伝わってくる。

 勿論努力も怠ってはいないだろう。このままいけば間違いなくメジャーデビューを果たせると思う。

 

 たが、足りない。個々の努力は問題無いが、全員が「個」として動いてしまっている。

 実力が高い故に纏まって聞こえるが、本来はそうじゃない。高みを目指すのはいいが目指し方を間違えちゃいけない。個で成り立つバンドは存在しないのだから。

 少し落胆しつつも、Roseliaのステージを最後まで見終わると軽く拍手を送りさっさと会場から脱出する。元々人混みが嫌いなので長居は無用だ。

 

「…はぁ〜あ、勿体無いな。もっとお互いを理解し合えればFuture World fes.だって夢じゃないのに」

 

 Roseliaには二人曲者がいる。一人はボーカルの湊 友希那。あの子は多分ストイックの化身だ。俺はああいう子を何人も見てきたが、湊 友希那は類まれなる努力する才能を持っている。それに歌の才能も加われば間違いなくトップクラスのボーカルとしてやっていけるが音色が硬すぎる。Roseliaを見て、では無く自分を見て、と言う独り善がりな歌声だった。

 

 もう一人は青緑色の髪の毛をしたギタリスト。名前は…え〜、氷川 紗夜。氷川…もしかして姉妹!?

 

 パンフレットの名前を見て驚愕の表情を浮かべた。パンフレットには写真が無かったので同姓同名とは珍しいなと思っていただけだったが、今顔を思い浮かべたら確かに日菜とよく似ていた。

 

 日菜はバンドの話はよくしてくれたが、姉妹がいるなんて話は聞いた事がない。…何か理由があるのか。

 

 それはともかく、あの氷川 紗夜もまた頑固な音色だ。まるで機械の様なギター。ミスしないという点では完璧だが耳の肥えた客には一発で理解出来るだろう。自分らしさのない音色は、他の音色に呑み込んで主張するか呑まれてただ消えるだけ。

 

 バンドの花形とも言われるギター。だがあの様な弾き方ではコードは伝わっても雰囲気が固くなってしまう。本来はもっと楽しむべきだ。だが、かなり難しいだろう。あそこまで頑固だと溶かすには時間がかかる。しかも近しい人で無ければ無理だろうな。

 あとの三人は音楽の理を少なからずキャッチ出来ていた。自分達が楽しみながら演奏する、これ大事、ゼッタイ。

 

「Roselia…出来れば腐らないで欲しいバンドだな」

 

 朧は一人ぼやきやがら自宅への帰路に着いた。

 

 

 

 

 

 

「…ねぇ、気付いた?」

 

 リサが唐突に皆へ問い掛ける。

 

「少し前に練習覗いてた人来てたよね」

 

「あこも気づいたよ!」

 

「私も…気付きました…」

 

 二人は同意する様に首を縦に振る。

 

「そうですか?私は気付きませんでしたけど。というか、人探しをする暇があったらちゃんと音楽に集中して下さい」

 

 紗夜に注意を受けたメンバーはしゅんとしながらそれぞれ謝罪を述べる。

 

「……」

 

 私も気付いていた。歌っている時に観客へアピールするのは当たり前だから、人の顔もよく見ている。

 その中で、私への視線が明らかに違う人が居た。

 まるで何かを訴えかける様な…こんなもんかと言われた様だった。

 

 友希那は一人その男の事で思考を巡らせていた。

 何故か分からない悔しさが胸に痛みを与える。こんな経験今迄になかった。

 周りの人達には何も思わないのに、何故あの男だけ…。

 

 しかし考えても仕方がないと、友希那は直ぐに切り替えて全員に声を掛ける。

 

「今日も反省するべき点が沢山あるわ。後で反省会よ」

 

 慣れた様にはーい(わかりました)と返事をするメンバー。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 Roseliaと朧、二つの歯車が相対するまでそこまで時間は無かった。

新作のバンドリ小説を書くなら、どの様なものが良いですか?

  • シリアス系
  • ほのぼの日常系
  • 恋愛系( 全員√ を書きます )
  • ハーレム系
  • 努力&覚醒系
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