指導を受ける事に決めたRoseliaは、その男の情報を集めて回った。幸いガールズバンド界隈で割と有名な存在だった為すぐに情報は集まった。
そして集めた情報を全員で共有する為、いつものファミレスで待ち合わせをし5人は席に着く。
「…さて、皆さんどうでしたか?」
先陣を切って紗夜が会話を始めた。
皆が持つ情報の中で共通するのは、背が高くて男。そして楽器の演奏が上手いと言うこと。
「私は実際弾いた所は見てないけど、一度に二つのバンドの音を聞いて指導するなんてまだ信じられないし目を疑ったもん。絶対凄い指導者に違いないよ!」
うきうきと話すリサは、今回の事でまた一歩進めると思っていた。分かっていたのに言い出せなかったのは、言ったところでどうしようも無いからだった。
練習の方法を変えるといっても、これ以上ストイックにしては日常に支障が出てしまうし、かと言って楽にやろうと思う友希那ではない。
こんな身近に凄い指導者がいた事は奇跡だった。
「日菜に聞いたところ、その腕は悔しいけど自分より上だと言っていました。…それ程優れた人材が何故今まで知られていなかったのでしょう」
「強い力があるのにわざと隠してる…なんかカッコイイ!」
「そ、そうかなぁ…」
燐子は苦笑を浮かべる。自分はあまり情報を集められなかったが、市ヶ谷 有咲から得た情報によれば" なんでもお化け " らしい。一人でバンドで扱う楽器を大体扱えると聞いた時には驚いた。
「とにかく、その人に指導を受ければ私達は更に進化出来る。名前はなんて言うのかしら」
「あ、私モカから聞いたよ!えっとね…」
少し間を開けた後、思い出した様に名前を述べた。
「篠崎 朧さんって人!」
その名前を聞いた湊 友希那は固まる。かつて父親から音楽を奪ったFuture World fesと稀代の天才、篠崎 朧。
必ず超えてみせると違った相手がまさか指導者だったなど、神はどれだけ馬鹿にすれば気が済むのか。
他のバンドは篠崎 朧に指導を受け私達を越えてきた。
これはある意味チャンスでもある。次のライブで他のバンドより凄いと言わせれば私達はその人よりも上だと証明出来るからだ。
「…みんな、やっぱり指導を受けるのはやめましょう。私達は私達で頂点を取る、そう最初に誓ったはずだから」
明るいムードが一点、友希那の言葉に全員が何故だと言う評価と表情を浮かべた。
そもそも自分から言い出した事だと言うのに。
「ちょ、友希那?何言ってるの、友希那から言い出したんだよ?」
「気が変わったの」
「それでは納得出来ません。納得出来る理由を言ってください」
怪訝な表情で友希那を見つめ、紗夜は腕を組む。その指導者に教えて貰えれば更に技術が上がる事は間違いないと言うのに、合理性に欠けた判断に不満なのは当たり前だ。
「その人のせいでお父さんが音楽を辞めたからよ」
「お父さんが?でもそれはFuture World fesのせいだって…」
「もう1つ理由があったの。お父さんがとあるライブハウスで演奏し終わった後、その人がこう声を掛けたらしいわ。音がつまらない。いや、可哀想だって。その後にステージで演奏したらしいけど、それを見た父さんはバンドを辞める決意をしたの。その人と同じ舞台に立つ度胸はない…って」
四人は言葉を失った。そんな理由は初めて聞いたし、思っていたよりかなり深刻な様子だった。
「…それも含めて私は私達の音楽で頂点を取ると決めたの。でも感じていたわ、このままではいけないと。だから見返す為にも使えるものは使おうと思った矢先これよ…。やっぱり、私達で頑張れと運命が言っているのだわ」
そのような理由を述べられては、返す言葉もない。だが、このまま練習をいつも通りに行えばまた停滞してしまうに違いない。
ミーティングはそのまま終わり、家に帰ったリサはベッドへ突っ伏し枕に顔を埋める。
きっと友希那は決意を曲げない。そういう顔をしていた。
だけど、もう止まる訳にはいかない。だったらすることは…
黒部はネットでその結果を眺め少し驚いていた。まさかここまで効果があるとは思ってもいなかったのだ。
流石に三位辺りに食い込んでくると思っていたけど、まさか最下位とは…俺の教え方が身を結んだか?いや、Roseliaが止まったままなんだ。
このまま止まり続けたままか。はたまた誰かが時を動かすか…。
そう考えていた時、家にチャイムの音が鳴り響く。今は午前9時の土曜日、普段なら日菜が来る時間帯だ。今日もまたレッスンだな、と腰を上げて玄関へと向かい扉を開けた。
「せーんせっ!」
「ぐぼはッ!?…おはよ日菜。……ん?」
そこに居たのはいつも通り笑顔で突進してくる日菜と……あと一人見た事のある顔だ。
「 …始めまして、今井リサといいます。突然で凄く申し訳ないんですけど、お願いがあってきました。…私にベースを教えて下さい」
新作のバンドリ小説を書くなら、どの様なものが良いですか?
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