静まり返る玄関前。話しかけようにも何を話せば良いか全く分からない。
「 …どうぞぉ 」
結局そのまま家へと招き入れた。絶対に頼りない人だなぁ…と思われたと一人で落ち込みながら四人を二階へと案内し、お茶と軽い菓子を準備する。
ありがとうございますとそれぞれがお礼を告げ、いよいよ本題へと入る。
「 …リサからは事情を少し聞いた。それを踏まえて、謝らせて欲しい。俺の無責任な発言でこんな事になるなんて思っていなかった 」
深々と頭を下げる朧に、慌てた様な表情を浮かべるメンバー達。
「 それは仕方ないですよ…!10年以上前の事なんですから 」
リサがフォローを入れつつ、言葉を紡ぐ。
「 それに…アタシ達も友希那を止められませんでした。友希那の抱える物に怖くなって… 」
「 Roseliaを活動休止にする程だからな…相当恨まれてるなこりゃ 」
苦笑を零しながら、どうしたものかと朧は眉を八の字に下げる。こうなった以上、自分も出来うる限りの協力をする。ただ何をすれば力になれるか…演奏を教えた所で、それが湊 友希那の心に届くかは分からない。寧ろ俺が教えた音楽なら尚更だ。
「 友希那さん…先生に指導を受けたら、Roseliaの音色じゃなくなるって言ってました。でもあこは思うんです!練習を受けた上で、Roseliaの音にすればいいんじゃないかって。何言ってるか分からないかも知れないですけど… 」
Roseliaの音に……そうか、その手があるか!!
「 君達が今までやってきた曲の楽譜はあるか?なるべく多くで頼む 」
唐突にそう尋ねる朧に、皆は頭に疑問符を浮かべつつも今持っているスコアや楽譜を取り出して朧へ渡した。
「 成程、高校生にしてはかなり難易度の高いものばかりだ。だが、まだまだ改良の余地はある。更に難易度が上がるかも知れない…それでも良いなら、お前達の音を残したまま曲の質を格段に上げられる 」
「 本当ですか…? 」
紗夜はまだ少し疑っている様子だったので、試しにRoseliaの曲から適当にワンフレーズを選んでギターを奏でた。
そのギターを聞いた紗夜は、今まで疑いを向けていた事を酷く後悔した。
同じギターと言う立場として、ここまで次元の違う人は見た事が無い…日菜が興味を持つのも頷ける。この人に教わるのならば本望だ…そう思える程。
紗夜はいても立ってもいられず、椅子から立ち上がると朧に謝罪を述べた。
「 済みませんでした!少しでも疑った私は馬鹿でした… 」
何事かと朧は驚くが、すぐ笑みを浮かべて声をかける。
「 疑うのは当たり前だ。百聞は一見にしかずと言うように、結局は自分の目と耳で感じなければ真実は分からない。疑いが晴れたのなら良かった 」
そんな会話をしていると、リサの携帯に一つのメールが入る。内容を確認したリサは、意図せず驚愕の声を漏らしてしまった。
「 そ…んな… 」
リサの表情から察するに、良い内容のメールだとは思えない。嫌な予感を覚えつつも、意を決して内容を問い掛けてみる朧。そして返ってきた返事は耳を疑うものであった。
「 友希那は..新しいバンドを組んで、ガールズバンドに宣戦布告するって…… 」
「 はっ…!? ならRoseliaはどうなるんだ! 」
「 Roseliaは実質活動休止…今頃YouT○beにも動画出るらしいよ 」
Roseliaを活動休止してまで何を成し遂げたいかのか分からない。確かに俺に恨みはあるだろうが、Roseliaと天秤にかければ間違いなくRoseliaを選ぶだろ普通。俺が思っている以上に重症なのかも知れない…て言うか、新しいバンドだと? そんなの組んでいつRoseliaに戻ってくるつもりなんだ。
幾ら考えても思考は纏まらず、ただ顰めっ面を浮かべる事しか出来ない朧。ふと、先程リサが述べていた ″ YouT○be ″ の動画を思い出し、それを見ようと提案する。
本当は4人とも不安で仕方ないだろう…だが、全員が頷いた。ちゃんと覚悟を持っているようだ。
「 …この動画をご覧の皆さん、こんにちは。湊 友希那です。唐突な報告になりますが、私は新しいバンドのボーカルとして活動する事にしました。Roseliaはその間活動休止となりますが、ご了承ください 」
「 この度、私が立ち上げたバンド ″ F・U・D ″ は出来うる限りの範囲で対バンをしていきたいと思っております。男女は関係無く行う予定です。…対バンには投票制度を設けており、どのバンドが一番良かったかをお客様に選んで頂くことになります。勿論、対バン断っていただいても構いません」
分かりやすい挑発だ。対バンと言っても、普通は複数の出演者が和気あいあいと共演して讃え合う事が多い。確かに競う形の対バンもあるが、これは宣戦布告と言ってもいいものだ。ま、やるメリットがあるとは余り考えられないが…こういった挑発はバンドマンには効きやすい。断っていいと言われて断るバンドなんていないだろう。プライドが高い奴らが多いからな。
にしてもこの女性。恐らくはマネージャーだろうが、何処かで…
「 対バンはこちらからお願いするものもあれば、其方から予約する事も可能です。開催地はBIGフロンティアTokyo 、月に二回を予定しています。出演出来るバンドは7チーム迄とさせていただきます」
BIGフロンティアTokyo…キャパが5万を超えている大規模なステージだ。そんな所を月に二回も使うとなれば、相当な資金がいるだろう。だが…それだけのステージに誰でも立てると言うのなら、恐らく全国から予約が殺到すると予想がつく。
「 この事務所、最近かなり右肩上がりで有名です。何でも、この女性マネージャーが担当したバンドは全て名を馳せると聞きますから 」
紗夜の言葉に俺含め全員が驚いた表情を浮かべた。
しかし、よりによってこのタイミングで湊 友希那を引き抜くとは…前々から狙っていた?まぁ湊 友希那を狙う事務所なんて幾らでもあるが。
「 とにかく、お前達が変わらないと前には進めない。俺もその責任の一端を担いだ以上、出来ることは全てやる。そして向こうから対バンの申し込みをさせる程になってやろう…湊 友希那を取り戻す為にも 」
四人は静かに頷いた。各々が抱える不安、悩み、悲しみを俺は全て理解は出来ない。
だが、音楽でなら分かり合える。湊 友希那…過去との因縁に決着を付けよう。
久々に本気で音楽と向き合う時が来た。
新作のバンドリ小説を書くなら、どの様なものが良いですか?
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シリアス系
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ほのぼの日常系
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恋愛系( 全員√ を書きます )
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ハーレム系
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努力&覚醒系