〖音楽を辞めた少年は、少女達と共に夢を視る〗   作:Y×2

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第五話 〖覚悟〗

「さて蘭。更に上のランクに目指すにあたって、一番大切なものは何だと思う?」

 

篠崎 朧は唐突にそんな事を蘭に訊ねた。

 

「そうですね…。努力…ですか?」

 

美竹 蘭は少し考えた後、自信なさげに答える。

 

 

「無難なところ言ったな〜。まぁ間違っちゃいないが、努力する為には何が必要だ?」

 

「モチベーション…とか?」

 

「間違ってはないな。正解はハングリー精神だよ。」

 

 

「ハングリー精神…?」

 

「そう、これは全てに通ずる事だ。上手くなろうと思う事は誰でも出来る。けど、それを実行し更に高みを目指し、何事にも満足しないという気持ちだ。」

 

朧は確かに音楽の才能を持っていた。

しかし、才能をもつ者など世界中何処にでもいる。

その中でも頭一つ抜けている人は、努力の中に秘めたハングリー精神が他の才ある者達とは違うのだ。

 

言うなれば、朧はハングリーの塊であり、ハングリーの天才なのだ。

だから幼くして数々の楽器をマスターし、全て妥協すること無くそれを成し遂げる事が出来た。

 

「さっき褒めた時、俺は喜べと言ったな。確かに褒められたら喜ぶべきだ。けど、喜んでもいいが満足していいという訳じゃない。」

 

蘭は静かにその話を真剣な表情で聞いている。

 

「俺は何かを成し遂げた時、その時だけ満足していた。でも満足するのは一瞬で、またすぐに他の事に手を出した。なんつーか…麻薬なんだよ、満足は。俺は満足を得るためにひたすら頑張った。で、今に至る訳よ。」

 

 

成程。この人は自分が想像していた100倍努力しているんだと、蘭は自分の努力がどれだけ小さかったかを理解した。

 

別に今までの努力を否定するわけじゃない。けれど、この人の歌や音を聴くと、まるでちっぽけに感じてしまうのだ。

 

「蘭はまだ16歳だろ?才能で言えば俺よりあると思う。違うのは、もっと知りたいという気持ちだけだ。」

 

「なんか先生がそれを言うと嫌味に聞こえるんですけど…。」

 

「いやいや、俺は才能ない人とか下手くそな人にはちゃんと言うぜ?才能ないとが下手とか普通にな。」

 

「それはそれで可哀想な気が…」

 

「バカ。それだけな訳ないだろ?その後に絶対こう聞くんだよ。"上手くなる覚悟はあるか"ってな。覚悟のない奴何しても無理だ。」

 

「覚悟…。」

 

 

私も色々覚悟はしてきた。

バンドを続けるための覚悟をしたから、華道も頑張ってる。

 

だけど、歌に対する覚悟と言われると曖昧だ。

湊さんみたいに、歌に全てをかけてる人になれるかと聞かれると…迷ってしまう。

 

「難しく考えなくて大丈夫だ。頭を柔らかくしてみろ。割と些細な理由で覚悟は決まるもんだ。」

 

…そうだ。湊さんも、自分の歌に自信があるから覚悟が決まってるんだ。

血の滲むような努力の先にある、目標に向かって…。

 

なら、私の覚悟は…

 

「…私は、Afterglowのみんなの為なら頑張れます。」

 

いい目をしている。この子は本当に友達思いでいい子だ。

そういう子ほど伸び代がある。

 

 

「…二言はないと見た。なら本格的にボーカルの技術を叩き込むぞ。覚悟は出来てるか?」

 

「はい!」

 

私は、歌にかける覚悟は持ち合わせてない。

けれど、バンドの為なら覚悟を決められる。

 

みんなの為に、私は歌の覚悟を決めた。




読んで頂き、ありがとうございます。

次はだいぶ長くなると思いますので、よろしくお願いします。

新作のバンドリ小説を書くなら、どの様なものが良いですか?

  • シリアス系
  • ほのぼの日常系
  • 恋愛系( 全員√ を書きます )
  • ハーレム系
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