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あれからまた、数年が過ぎた。
俺は大学生、千冬は日本代表、束は指名手配犯になった。
2人からは、家族と混同するからと苗字呼びから名前呼びを強要された。
鬼気迫るようすからうなずく事しかできなかった。
まずは束が指名手配犯になった経緯から話そう。
束からは、たまにきて愚痴や悩みを聞いていた。
研究所の職員がすぐに何でも聞いてくるらしく一から十まで懇切丁寧に説明しているのにまた、説明を求めて来る。それも何度も。鬱陶しいと思い一から百まで書いた説明書を書き職員全員に配布したそうだ。そして、書類をいちいち書き説明会して結果の報告、上司がなかな動かないことに腹を立てていた。予算どうの部下の育成がどうの。自分がしたい研究が全く進まないと嘆いていた。
頑張ったねと声をかけながらなで「いっそのこと投げ出したら?」と口が滑った。
やってしまった。
次の日のニュースに篠ノ之博士が行方不明という見出しが飛び出してきた。
すぐに、連絡をしたところハイテンションかつ元気にワンコールで出たので生存確認のため顔に定期的の連絡か顔を見せにこいとため息交じりに伝えた。
そのためか世界各所の名所の写真と共にメールが送られてきたり、食事をたかりに来たりする。母が「やっと流星にも女の子の影が」と喜んでいて、束も束で母にあいさつしていた。
やめてくれ...
『上司や上層部の動かし方』というマニュアル本を研究所職員に残していったといっていたらしい。
これが後に篠ノ之束著の200万部をこえるハウツー本となるのであった。
千冬とは特訓に付き合ったり、たまに一夏くんとの三人で俺もちで食事をしたりする。
この数年の変化をあげるなら、一夏くんとの関りが増えた事だろうか。
あの一件からなつかれて千冬がバイトや日本代表の練習の時に面倒をみて、学校の宿題がわからないときに教えたり、家事スキルを授けたりした。教えることがとても楽しく思えた。なんたって、スポンジのように何でも覚えていく。今ではかわいい弟分である。
束がした逃走の教唆犯に当てはまらないかが心配で仕方ない毎日を送っている。
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ドイツなう。
俺は、一夏くんと愉快な仲間たちとともにドイツはベルリンに来ている。
モンド・グロッソに日本代表で出場する千冬の応援で来ており、中学生だけの海外は、危ないと思い保護者としてついてきている。ISが世界に知れ渡り、詳しい説明が日本語でしかないことにより広く浸透しているとはいえ、公用語であった英語ほうの会話が多い。さらに看板やメニュー、表示がドイツ語なので中学生のサポートしながら
試合までの時間を観光でつぶした。
会場につくと親族というだけで席が確保されていたいた。いぶかしく思い理由をきくと護衛をスムーズにするためらしい。
試合が進むにつれ会場のボルテージが上がっていく。
そんな中、一夏くんがトイレに行くといい観客席からでていった。
少しすると、メールが来た。束からだ。
メール内容を見てほかの子たちにトイレに行くといい会場を飛び出した。
内容は一夏くんが誘拐されたと。
千里眼を使い一夏くんの姿をとらえる。そのまま犯人たちの追跡を開始した。
一夏くんに何かあったら千冬に八つ裂きにされる。
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銃音がしきりに鳴り響く。襲撃者は一人、赤弓を携えた男だ。
頭、胸、致命傷になるだろう部位に打ち込まれる弾丸、しかし血しぶきは出ない。
何処から取り出したかわからない矢により誘拐犯たちは次々と意識を刈り取られていく。
男の目的は一つかわいい弟分の救出だ。
進行方向をふさぐように一機のISが立ちはだかる。
「おいおい、男どもはだらしないね。こんなガキ相手にやられるとわ。」
「そこをどいてくれないか?弟分がまってるんだ。」
「お前、私を倒せるとおもっているの?」
かくして両者は激突した。刺客がISの武装を容赦なく打ち込んでいく、小型追尾ミサイル、レーザーガン ガトリング。
男も刺客に対して弓矢で応戦する。
矢の攻撃でISのシールドバリアを削っていく。絶対防御があるにも関わらず矢が被弾するごとに軋み、傷つき
衝撃が伝わる。
対して男は猛攻を受けてなお、少々かすり傷とのやけどしか追ってなかった。
「ちっ...どうなってやがんだ、その体」
「企業秘密だ。」
「あ”ぁ!? ん?クソ退却かよ。」
「逃がすと思うか?」
「いいや逃げるね。あばよ。」
カランカンと音がすると光が男を襲った。
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あ”ぁー疲れた。お気に入りのシャツとズボンがボロボロである。
でも一夏くんを無事救出できてよかった。
束に連絡をいれ、一夏くんをかかえる。
発砲音と爆発音を聞きつけドイツ軍がきていた。
気絶している誘拐犯たちをドイツ軍に任せ会場まで送ってもらった。
会場に帰ると千冬が待っていた。表彰式を欠席したらしい。
千冬が俺を押しのけ一夏くんに抱き着いた。
抱き着いた千冬は瞳に涙をため込み、一夏くんは安心してか泣いていた。
俺は、スマートフォンでひっそり2人の抱き合う姿をカメラにおさめた。
その写真を添付して束に連絡のおかげで家族の絆が守られたと送信した。
後日、束が千冬のタブーを俺が送った写真でからかったことで、情報提供者である俺の
スマートフォンが粉砕された。
解せぬ...
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