流星の射手になりました   作:Ajisai

5 / 6
感想、お気に入り登録ありがとうございます。



5

□

無限に広がる大宇宙。

 

昔から様々な人を魅了してきた未知の場所。

そう今をときめく天災科学者も魅了されたその一人である。

 

そんな大宇宙に大きな影が一つ。

あてもなく唯々旅をしているそれ。

だがその旅も終わりを迎えようとしていた。

 

その進行方向には、蒼い星が浮かんでいた。

 

 

□

うだるような暑さ。

ニュースでは連日の猛暑日について報道し地球温暖化による弊害とされ熱中症対策の声掛けをしている。

そんな、7月中旬のことである。

 

そんな世間が夏休みがせまり計画を立てるなか各国のトップたちは緊急の会談を開いていた。

主催者は、アメリカ大統領。

今から2日後に巨大隕石が地球を襲う。

その対策を考えるために呼び出したのだ。

 

会議は踊る。

 

核爆弾を使うという案がでた。

映画のように隕石に対して使用するという方法だ。

しかし、却下される。

ISの登場により主力が核兵器から移行した。

核兵器は抑止力になりえないそのため研究が凍結されており、ロケットに積み打ち上げる技術が確立されてなかった。

また、2日でロケットを用意または整備するのには時間がなさ過ぎた。

 

会議は踊る。

 

では、今主力であるISならば。

確かにISは今では軍事という面が強すぎるために忘れられがちだが、もとは宇宙で活動するためものである。

隕石なども想定されて作られている。だが、軍事の面が強い故、隕石を排除する武装を作っていない。

対IS用の武装ばかりである。また被害を最小限に抑えるには難しい。

それに、それを成し遂げる人材が必要である。

どの国も次のモンド・グロッソに向けての代表、代表候補を出し渋る。

では、引退選手は?

いるではないか、世界最強の称号を持ち『ブリュンヒルデ』の二つ名を持つ彼女が。

 

会議は踊る。

 

英雄という名の人柱を決め。

 

 

□

俺は、来週に向けての買い物に来ている。

期末試験を終えもうすぐ受験が始まる一夏くんたち中学生へのお疲れ様と頑張ろう会を含めている。

たまに息抜きする事も大切なので頑張っている彼らを応援の意味もある。

パーティーグッズを買っていく。欲しいものをそれと無く聞いていて正解だった。

流石に彼女とかテストの点数とかは努力で何とかしてほしい。

 

そう買い物をしていると電話がかかってきた。

千冬からだった。

話がしたいらしく今すぐ会えないか?と。

何か思い詰めてるようだったので買い物を切り上げた。

 

IS学園のある人工島からモノレールの一駅先に下宿先があり、そこで暮らしている。

教師生活1年目にして様々なIS学園独自に行事にたずさわった。

副担任につき先輩からの指導もあり忙しい毎日をおくりやっと慣れてきたところだ。

女子生徒に「男がどうしてここにいるのか」と難くせ付けられ勝負しろと言われアリーナでの試合をしたりした。

そんな波乱の一学期を終えようとしていた。

 

夜が更けてきたころ下宿先に千冬が来た。

缶ビールや酎ハイなどをこしらえて。

 

いつもより小さく見える姿に疑問を覚えながらも家に上げた。

お酒に合うおつまみを用意する。

 

話を聞いた。ぽつりぽつりと話す内容に耳を傾けた。

巨大な隕石が宇宙から地球に飛んできているらしくそれを処理しなければならない。しかし、危険がともなうために現役の代表たちが誰もやりたがらない。そこで現役を引退した世界最強である千冬に話がまわって来たらしい。

ISがあるとはいえ失敗できない。最悪死ぬかもしれない。白騎士の時は何も考えず突っ走れたが今はそうではない。

一夏くんが誘拐されて家族を守るために引退したのにその家族からも引き離されるかもしれない。

 

死ぬのが怖い。

 

過去に色々あったせいか千冬らしからぬ、弱気になっていた。

ナーバス気味の千冬を慰めながら聞き続けた。

いつもならまだ飲めそうなのに早めに酔いが回り寝てしまった。

世界の危機は、少女のかたには、重すぎる。

千冬が起きないようベッドに運び、電気を消して部屋を出た。

 

 

□

らんらんと輝く星空のもとバイクで目的地に向かっていた。

夏の夜でも厚着をしないとかじかんでハンドルを握ることも出来なくなる。

薄暗いライトに照らされた道をぬけていく。

初めて能力使った街を一望できる高台へ。

 

出来ることなら俺も死にたくない。

一度死んで転生したのだから誰よりも生に執着がある。

 

しかし、だからといって誰かをないがしろにしていい理由にならない。

この身体にやどる英雄の影響かもしれない。自分の考えでないかもしれない。

でも、誰かが傷つく姿は見たくないから。

 

高台近くで樹と持参した糸大弓を作っていく、普通の人間が引くこともかなわないように糸を張り詰める。

 

大弓を作っているとすでに夜はあけ、祝福するかのように日が昇っていた。

 

招かれざる来訪者の姿をとらえる。

 

大弓を構えゆっくり引く。

 

詠唱を始める。

 

「―――陽のいと聖なる主よ。あらゆる叡智、尊厳、力をあたえたもう輝きの主よ。」

 

この気持ちは偽物かもしれない。

 

「我が心を、我が考えを、我が成しうることをご照覧あれ」

 

この気持ちは借り物かもしれない。

 

「さあ、月と星を創りしものよ。我が行い、我が最期、我が成しうる聖なる献身(スプンタ・アールマティ)見よ。」

 

でも、けれども・・・

 

「この渾身の一射を放ちし後に―――」

 

守りたいと思ったから、助けたいと思ったから。

 

「―――我が強靭の五体、即座に砕け散る・・・・であろう!」

 

覚悟を決める。

 

「────流星一条(ステラ)!」

 

血が飛び散る。

 

俺は流星を見届けずに意識を手放した。

 

 

□

 

目が覚めた。

昨日は、流星の家に行きお酒を飲んで・・・どうやら眠ってしまったようだ。

ベッドに寝かされていることに気恥ずかしく思い、リビングに寝てるであろう彼を見に行く。

だが、いない。ソファーにも風呂場にもトイレにも家じゅう探したがいるはずの家主が見当たらない。

胸騒ぎがした。

 

玄関をあけた

夜が白んでいる。

すると山の方から一筋の流星が昇るのがみえた。

嫌な予感がした。

 

急いで山に向かった。

ついたのは、よく彼が行っていた高台。

その高台には、おびただしい量の血痕と赤く染まった折れた大弓があった。

 

 

それから数日彼の姿を見ていない。

 

巨大隕石は地上から放たれた何かで粉々になったらしい。

 

学園には、病気としているが、その言い訳も無理が出てくる。

彼の能力を聞いていた。

とっておきの一発、それは命と引き換えに放つ絶技。

 

私は、彼に甘えていた。

いつでも、どんな時でも助けてくれた。

今回も大丈夫であろうと高を括っていたのかもしれない。

大けがを負わず快活に笑う姿に安心していた。

 

授業を終え書類仕事をする。

寮を見回り、消灯時間を過ぎると寮母室に戻る。

あの日から毎日夜に酒を飲んでいる。

 

スマートフォンに電話がかかってきた。

束からだ。

 

 

「千冬か?今束から電話借りてるんだけど。」

 

もう聞く事の出来ないと思っていた声が聞こえてきた。

 

 

□

いやー死ぬかと思った。

 

気を失った後、束が早急に治療してくれなかったら死んでいた。

ドラゴンボールのメディカルポットのようなものに入れられ治療された。

束曰くどうして生きているかわからない状態だったらしい。

全身の骨は折れ、内臓がぐちゃぐちゃになっていたと。

 

俺自身なんで生きているか不思議である。

転生特典なのか束の謎技術なのか。

はたまた身体にやどっている英雄のおかげか。

 

どうして所謂ガッツ、食いしばり、アンダーシャツが発動したのか。

アーラシュの宝具を放つと死ぬその因果を断ち切る奇跡を起こしたのだ。

 

考えてもきりがないので考えないようにする。

 

生きているだけで丸儲けなのだから。

 

 

 

 

 




はい、閲覧ありがとうございます。

次で最終話にしようと思っています。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定
▲ページの一番上に飛ぶ  X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。