朝露乃之は勇者である   作:バロックス(駄犬

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いつもの如く、原作をふらっと見ていて妄想が止まらない。どうも、バロックスです。最近手が止まってたのでリハビリがてらに気に入った作品の執筆してます!


※一話冒頭があまりにもクソ文章だと感じたから書き直しちまったよッッ


第1章~勇気~
第1話~市橋桐香は不機嫌である~


                           

 夕暮れに染まる大地に、一人の少女が立っていた。

 

「・・・・・・」

 

 無言でその手に持つ木刀は力なく地面へと落ち、少女は足元に転がる勇者候補生を一瞥してから、自身の姿を見る。 

 

 少女は傷ついていた。 

 全身に疵を創り、顔は自身の血と殴り伏した者たちの返り血が混ざったもので、衣服に付着した物も自分の血なのか判断がつかない。

 

「うぅ・・うう・・・・」

 

 倒れ伏している一人がうめき声をあげたのを少女は聞き逃すことなく、音の鳴る方へと近づいては、

 

「―――-ヒッ」

 

 両の掌で柔肌の如き首を掴み、締め上げる。

 

「・・あぐッ、げっ、・・・がぎ、っ」

 

 首の肉と一緒に気管が容赦なく狭まっていくのをその掌に感じる。

 顔から血のめぐりが消え、口から泡を吹きながら、振り解こうとする両の手がやがて限界を迎え、ぷらんと垂れ下がった。

 

 目の焦点も完全に上を向いて、意識を手放した少女をそこの地面へ投げつけ、

 

 

「―――-あはっ」

 

 

 妖しく、首を絞めた少女は嗤う。 目元から流れている血は、まるで泣いているようであった。

 

 

 

「あぁ、何てことだ・・・ッッ」

 

 

 声色からして男だろう。喧騒を聞きつけた白装束の者たちがその惨状を目の当たりにして、驚愕する。

 

 

「勇者候補生を早く安全な場所へ――――、そこの巫女! 動くなッッ」

 

 

 数人の男が立ち尽している少女を囲み始める。 棒状の筒を持っている男が少女目がけて棒を振りかざすが少女は一切の抵抗をすることなく、

 

「この――――」

 

 

 殴られる。

 

「巫女の分際でッッ」

 

 

 肩から始まり、細い二の腕を、大の男の力で。

 

 膝裏を責め、態勢を崩し地面へと倒れた後も。

 

 頭部、背、脚、ありとあらゆる角度から男たちは少女を殴打する。

 

 

 だが薄れゆく意識と共に少女が感じたのは痛みではなく、

 

 

・・・・許さない。

 

 果てしない憎悪だった。

 

 男たちに抱えられ、医務室へと運ばれていく血だらけの勇者候補生を少女はその目に焼き付け、殺意にも似た感情の炎を燃やす。

 

 

・・・・お前たち勇者を、絶対に。

 

 

 

 

―――-それが彼女の・・・・市橋 桐香という巫女の全ての始まりだった。

 

 

 

  

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

                                 

 

――――時は神世紀290年、四国。 人類は突如現れた天災、バーテックスと戦い始めた旧世紀時代から200年以上が経過。                                    

 

 

~徳島県鳴門市~

 

 

 

 

 

 

 

 春の時期とは、何かが始まる季節である。 それは人類が災厄、バーテックスに襲われるようになり紀年法が神世紀という呼び名になっても変わりはしない。

 

 

 

 日本庭園のような和の屋敷、というよりは神社の色合いを強く残した社が構えられている建物の入りに一人の少女が佇んでいた。

 

 

 

 身長は150くらいだろうか。 肩にかからないくらいの燃えるような赤い髪が特徴的で不機嫌そうにつり上がった瞳は真っ直ぐに大赦・西支部という文字が掛かれた手紙を見つめていた。

 

 

 

「お待ちしておりました市橋 桐香(いちはし きりか)様」

 

 

 

 白い着物と顔全体を覆い隠す仮面をつけた若い男が市橋という名の少女に頭を下げる。

 

 

 

「愛媛からの旅路、さぞお疲れになったことでしょう。 各種手続きや諸連絡を行うのは少し休憩して疲れを取ってからにしましょうか」

 

 

 

 男は長旅を気遣ってか、市橋桐香と呼ばれる少女は横に置いてあった彼女が持ち込んだであろうキャリーケースを運ぼうと、手を2、3度叩いて鳴らすとともに横から現れたもう一人の男に持たせようとした。

 

 

 

「お気遣いどうも。でもこれくらいの旅の距離はどうと言うことはないから・・・自分の荷物くらい自分で持てるわよ」

 

 

 

と、男がこちらの荷物に手を掛ける前に桐香がその荷物を掴んだ。 荷物を持とうとした男はもう一人の仮面の男に視線を向け、小さくを頷くのを確認したの後に頭を下げてからそそくさにその場から立ち去っていく。

 

 

 

「それと神官様、手続きも諸連絡も休憩してからだなんていいからすぐに終わらせましょう。 私、あまり気が短い方ではないというのもここにいる神官様たちも知っている筈だし?」

 

 

 

「え、ええ・・・・・まぁ」

 

 

 

 男のその一言に桐香は笑顔の下で言葉を作る。ここでも同じなのか、と。

 

 

 

「それよりも、色々と手続きが終わったら見せて貰いたいところがあるのよ」

 

 

 

「は、はぁ・・・・もしかして・・・・」

 

 

 

決まってるじゃない、と彼女は続けて言い放った。

 

 

 

「訓練場。 もう来てるんでしょ? ここに勇者が」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「なかなか綺麗にされてるじゃない」

 

 

 

 各種手続きを済ませた桐香がやって来たのは大赦内でも大広間となっていた一室。光に反射して輝く木の板、外の景色が大きく見渡すことが出来る吹き抜けがあり少し視線を上げれば大きな額縁に納められた大きな筆文字で『克己心』と殴り書きされている。

 

 

 

 

 

「ここで・・・勇者たちが」

 

 

 

 

 

人類の敵であるバーテックスたちを倒す為にこの世界の守護神である”神樹様”から選ばれた”勇者”という存在が御役目を果たすために日々鍛錬に励む場所。 

 

 

 

勇者とバーテックスの戦いを遡れば、勇者がどれだけのいるのかと言われればそれはかなりの数である。 一体、この場所で何人の勇者たちが集まり訓練をしていたのか、桐香は手入れが行き届いた汚れない板目に手を触れて考えた。

 

 

 

・・・今日はもう訓練は終わってるってあの神官も言ってたし、明日また出直そうかな。

 

 

 

 ここに留まっていても彼女が期待していた勇者が現れないと思い、その場を後にしようとした時である。

 

 

 

「・・・・あ」

 

 

 

 小さく、か細い声が聞こえたと同時に訓練場の床に何かが落ちたような甲高い音が響いた。桐香が何事か、と音のする方へ振り返ってみると。

 

 

 

・・・女の子?

 

 

 

 背丈は150くらいだろうか、頭に頭巾を巻いているがその間から見えるブロンドの髪が特徴的である。 

 肌も白くて、どうして大赦に外人が?と思った市橋だったが。

 

 

 

「ひっ・・・あ、あのっ・・・き、気にしないでくださいぃぃ・・・ただの掃除しに来た者な、なので・・・」

 

 

 

「日本人!?」

 

 

 

と、たどたどしい少女の日本語に思わず声を上げてしまった桐香。

そして相手の少女もこちらの声に驚いて、さきほど落としてしまった箒を拾おうとして、

 

 

 

 

 

「ひっ!」

 

 

 

と、また床に落としたのだった。 

 

 

 

 

 

「あ、ああごめんごめん。 そんなに驚かないでよ。 私なんか気にしないで、続けて掃除しちゃってもいいからさ」

 

 

 

「は、はいぃ・・・・すみません・・・」

 

 

 

どうして謝られるのか理解が出来なかった桐香だが、さほど気にすることが無いようにする。それにしても、大赦の人たちは皆仮面をかぶって生活しているものだと思っていた。掃除をする役目を持った人も例外ではなくそうではないかと桐香は考えていたほどだ。

 

 

 

「え、ええっと・・・あなた、歳はいくつ?」

 

 

 

「じゅ、今年で十五です・・・はい」

 

 

 

「同じ年齢・・・だと?」

 

 

 

 これも勝手な決めつけだが、桐香は大赦の人間たちは皆大抵大人たちで確実に自分よりも年上なのだと思っていた。 自分と同じ、御役目を持つ者以外は。

 

 

 

「ぐひぅ」

 

 

 

・・・持ってきた空のバケツに足を突っ込んで転倒している、こんな子が御役目持ちなんて・・・・・ないない。

 

 

 

と、桐香は内心で続けたのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 それからというものの会話は途切れ、少女は桐香に構わず掃除を始めた。最初は窓拭き、次は箒掃除、濡れ雑巾で床を拭いたりとそつなく雑用をこなしていく。

かなり手馴れているのか、その手際の良さには桐香は素直に感心してしまっていた。まるで数十年その手の道を歩んできているベテランのようなそんな感じだ。

 

 

 

「・・・ねぇあなた」

 

 

 

 ただ無心で、しかし動作は淀みなく掃除を行うブロンド少女に桐香は聞く。またしても、小さく身を震わせてから、恐る恐るこちらを振り向く彼女に桐香は自身の聞き方はそんなに威圧的な物であったかと考えさせられる。

 

 だから、今度は出来る限り笑みを浮かべて敵意を感じさせないように気を遣った。

 

 

 

「ここは訓練場であってる? 勇者って何人いるのかしら」

 

 

 

 桐香の問いに少女はきょとんとした表情でこちらを見ている。まるでどうして知っているのか、という風にだ。

 

 

 

「訓練場です、ね。 私もここに最近来たから詳しくは知りませんが、まだ集まっていないらしくて・・・」

 

 

 

「そうなの?」

 

 

 

「話ではあと二人ほど・・・でも召集に少し遅れているらしくて・・・」

 

 

 

既にここにいる一人にはまだ会えてもいないわけだが、あと二人加わって三人の勇者がこの場所に集まるらしい。市橋も全体的な話をするにあたり、顔合わせは明日ということだけは聞いている。

 

 

 

・・・人類の危機だっていうのに召集時間に遅れそうだとか、いい気なものだ。

 

 

 

 少しだけ、頭に血が上りかけたのを必死になって桐香は抑える。これは彼女の性分でもあるが、分かっていてもこの衝動は抑えることが出来ない。

 

 

 

 

 

「あ、あのぅ・・・もしかして勇者のファン、ですか?」

 

 

 

 桐香と彼女の間に行われた会話の中で初めての相手からの問い。 本来驚くべきことではあった桐香だが、彼女のその言葉はいささか市橋の琴線に触れるものだった。

 

 

 

「ちがうっ!」

 

 

 

「ヒッ!」

 

 

 

 笑みが消え失せた桐香の否定の言葉は少女の身を震わせた。 目を瞑り、箒を両手で握って胸の辺りで抱きしめるように身をすくませる。

 

だが怒りのボルテージが上がった桐香にそんな事を気にする余裕などあるわけがなく、続けざまに言い放つ。

 

 

 

「誰が勇者のファンなんかになるもんか! あんな・・・っ、あんないるだけで不快な奴らなんか――――」

 

 

 

 桐香は言う。 息を吸い、高らかな声で。 

 

 

 

「大っ嫌いなんだよッ!!」

 

 

 

 それは大赦の中にいる人々も、果てはどこかにいるであろう勇者にも聞こえたらしい。

 

 

 




久々に作品を更新しようとしたら全く別の作品を書いていた・・・・何を言ってるのかさっぱり分からねーが、『乃木若葉は勇者である』を購入してからアプリまで始めたらいつの間にか筆が止まらなかったんだ。

どうも、バロックスです。 自由気ままに原作をいじるのが好きです。あまり世界観を壊さず、それでいて自分の作風を出した物語を作って皆さんに楽しんでいただければと思っております。

さてさて、この作品はとにかく心に風穴を開けてくる内容が多いデス。日常からの非日常、希望が見えてからの絶望。でもその絶望にも挫けず前を向いて必死に歩く少女たちの姿が印象的な作品でした。

作品の舞台が徳島となっていますが、全国各地に散っている勇者たちがとある理由で徳島に集まってきます。 三人です。例の如く少ないですね、戦力と言うのも毎回枯渇気味です。

一応乃木若葉の時代から数百年、鷲尾須美の話よりも前のお話という事で戦闘能力もある程度は弄っているものの鷲尾須美たちの世代よりは弱い設定にしてます。

そして神樹の恵を呪術的に科学的に解釈させる技術を進化させた事で戦闘関連では今までになかった設置系のシステムを登場させる予定です。


気になったことがあったら感想に乗せていただけると助かります。
では、また次回。






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