キリンちゃんとイチャつくだけの話【完結】   作:屍モドキ

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二話 朝食

 お互い起き上がり、向かい合うように座る。

 俺はまだ信じられないと言った心境で、シロを眺めていた。

(ホントにゲームから出てきたのか? いやでもそんなの絶対嘘・・・・・・俺女友達とかほとんどいないし、女装? それこそ絶対ありえない、じゃあホントに誰だ・・・・・・?)

 

「あの、マスター・・・・・・?」

 

 シロが不安そうに俺の顔を覗き込んできた。

 

「ッ!?」

 

 き、急にくんな・・・・・・びっくりしたぁ・・・・・・。

 とにかく平静であろうと心掛け、シロに顔を向ける。

 

「どうした?」

「お腹が空きました・・・・・・」

 

 シロがそう言ったと同時にシロのお腹からぐぅ、と可愛らしい音がなった。

 

「・・・・・・とりあえず、朝飯にするか」

「はぃ・・・・・・」

 

 恥ずかしさで顔を赤らめながらシロは頷いた。

 

 俺とシロは一階に降りてきた。

 我が家は二階建ての家で、俺の部屋は二階にある。

 最近、両親は家を空けることが多いので、家事は基本一人でやっている。

 なので今のこの状況はなにかと都合が良い。

 シロの言い訳を考える時間があるのが・・・・・・。

 さて、何を作ろうか、俺は別にいいとして、問題はシロだ。

 

「シロ。君は何か食べられないものはあるか?」

「加熱処理されてれば何でも食べれますよ!」

 

 おおう、モノスゴイ豪快だな・・・そういやハンターだったな、忘れてた・・・・・・。

 

「そ、そうか・・・・・・じゃあ適当に作るわ」

「あっ! お手伝いします!」

 

 シロは息巻いてそう言った。

 が。

 

「手伝うと言っても、コッチの調理器具の使い方とかわかるの?」

「えーと、わかりません・・・・・・」

 

 予想通り。あの世界はどこか古い感じがあるからな、ムービーの料理もそうだった。

 シロの気持ちは嬉しいが何か壊されては困る。おとなしくしていてもらおう。

 

「朝食は俺が作るかな、シロは椅子に座って待っててくれ」

「はい・・・」

 

 シロは俯いて申し訳なさそうにしていた。

 さて、確認はしていないがシロは箸は使えないと仮定して、箸を使わず食べられるものを作らねば。

 

 そんなことを考えつつ冷蔵庫をガチャ、と開く。

 中には一通りの食材は揃っていた。その中から卵とベーコン、マーガリンを取り出す。

 食パンをトースターに入れタイマーをセット、その間にフライパンを熱してベーコンと卵を焼いていく。

 フライパンにお湯を回し入れて、数秒待ち、目玉焼きが出来上がる。

 トーストが焼き上がり、マーガリンを塗って皿に盛る。

 

「よし、完成っと」

「おぉ~」

 

 エプロンを外して座ると、シロがキラキラした目で料理を見ていた。

 なんだか痒い気分だな。

 

「さ、食べるよ」

「い、いただきます!」

 

 シロにフォークを渡し、食べ始める。

「おいひぃれふ!」

 シロがもごもごと朝食の感想を言う。

 

「食べながら話すな。あとこぼれてるから。ほら、お茶。落ち着いて食べな。」

「ふぁい・・・・・・」

 

 シロはもくもくと咀嚼を再開した。

 

 もともとそんなに量もなかったので、あっという間に朝食を食べ終えた。

 

「ご馳走様」

「ごちそう様でした~」

 

 さて、学校に行かねば。

 

 あ、シロはどうしよう。

 

「あぁぁ、どうしよう・・・・・・」

「?」

 

 焦る俺、キョトンとするシロ、時間はどんどん過ぎてゆく。

 

 

 

 


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