お互い起き上がり、向かい合うように座る。
俺はまだ信じられないと言った心境で、シロを眺めていた。
(ホントにゲームから出てきたのか? いやでもそんなの絶対嘘・・・・・・俺女友達とかほとんどいないし、女装? それこそ絶対ありえない、じゃあホントに誰だ・・・・・・?)
「あの、マスター・・・・・・?」
シロが不安そうに俺の顔を覗き込んできた。
「ッ!?」
き、急にくんな・・・・・・びっくりしたぁ・・・・・・。
とにかく平静であろうと心掛け、シロに顔を向ける。
「どうした?」
「お腹が空きました・・・・・・」
シロがそう言ったと同時にシロのお腹からぐぅ、と可愛らしい音がなった。
「・・・・・・とりあえず、朝飯にするか」
「はぃ・・・・・・」
恥ずかしさで顔を赤らめながらシロは頷いた。
俺とシロは一階に降りてきた。
我が家は二階建ての家で、俺の部屋は二階にある。
最近、両親は家を空けることが多いので、家事は基本一人でやっている。
なので今のこの状況はなにかと都合が良い。
シロの言い訳を考える時間があるのが・・・・・・。
さて、何を作ろうか、俺は別にいいとして、問題はシロだ。
「シロ。君は何か食べられないものはあるか?」
「加熱処理されてれば何でも食べれますよ!」
おおう、モノスゴイ豪快だな・・・そういやハンターだったな、忘れてた・・・・・・。
「そ、そうか・・・・・・じゃあ適当に作るわ」
「あっ! お手伝いします!」
シロは息巻いてそう言った。
が。
「手伝うと言っても、コッチの調理器具の使い方とかわかるの?」
「えーと、わかりません・・・・・・」
予想通り。あの世界はどこか古い感じがあるからな、ムービーの料理もそうだった。
シロの気持ちは嬉しいが何か壊されては困る。おとなしくしていてもらおう。
「朝食は俺が作るかな、シロは椅子に座って待っててくれ」
「はい・・・」
シロは俯いて申し訳なさそうにしていた。
さて、確認はしていないがシロは箸は使えないと仮定して、箸を使わず食べられるものを作らねば。
そんなことを考えつつ冷蔵庫をガチャ、と開く。
中には一通りの食材は揃っていた。その中から卵とベーコン、マーガリンを取り出す。
食パンをトースターに入れタイマーをセット、その間にフライパンを熱してベーコンと卵を焼いていく。
フライパンにお湯を回し入れて、数秒待ち、目玉焼きが出来上がる。
トーストが焼き上がり、マーガリンを塗って皿に盛る。
「よし、完成っと」
「おぉ~」
エプロンを外して座ると、シロがキラキラした目で料理を見ていた。
なんだか痒い気分だな。
「さ、食べるよ」
「い、いただきます!」
シロにフォークを渡し、食べ始める。
「おいひぃれふ!」
シロがもごもごと朝食の感想を言う。
「食べながら話すな。あとこぼれてるから。ほら、お茶。落ち着いて食べな。」
「ふぁい・・・・・・」
シロはもくもくと咀嚼を再開した。
もともとそんなに量もなかったので、あっという間に朝食を食べ終えた。
「ご馳走様」
「ごちそう様でした~」
さて、学校に行かねば。
あ、シロはどうしよう。
「あぁぁ、どうしよう・・・・・・」
「?」
焦る俺、キョトンとするシロ、時間はどんどん過ぎてゆく。