帰宅後、シロに出迎えられ、現実を突き付けられた気分になった。
もしかしたら夢かなにかで、帰ったらいないのではないのか。
そもそもただの俺の妄想ではないのか。
そんなことを考えていた時期が僕にもありました。()
「マスタ~♪」
シロが嬉しそうに腕にくっついてくる。
「シロ、放して、家事ができない」
「あ、はい、すみません・・・・・・」
「わかればよろしい」
朝できなかった部屋の掃除と、洗濯をする。
洗濯機に衣類を放り込み、回している間に掃除機で各部屋を掃除して回る。
ざっとしているがこれだけでも大分違ってくる。
一日しないだけでもホコリは溜まるからね、マジで。
さて、掃除は終わったな。あとは洗濯物だ。
『ピーーー』
「ヒッ!?」
洗濯が終わったらしく、電子音が聞こえた。
シロは聞きなれない音にビクビクしている。
「ますたぁ~・・・・・・」
涙目だ。嘘だろ、ゲームでデカいモンスターと対峙してるじゃん・・・・・・いつも平然としてるじゃん・・・・・・。
けど、可愛いなぁ。
おっとイカン、のろけてた。
さて、洗濯も終わったし、飯作ろ。
シロには邪魔しないように釘を刺し、ささっと作る。
冷蔵庫の中身を確認して、献立を考える。
(シロは箸は使えるのかな、ちょっと試してみよう)
シロが大人しく座っているのを確認し、調理を始める。てかアイツモンハン図鑑読んでる。気になったのかな・・・・・・。
・・・・・・
・・・
「できたぞー」
「わぁ・・・・・・!」
献立はごはん、肉野菜炒め、味噌汁にサラダ。
シンプルにしてみたが、受けは良かった。
そもそもコイツ何でも食いそうだけど・・・言ったら流石に怒られるかな。
「どーぞ、召し上がれ」
「いただきます!」
シロに箸を渡し、俺も席に着いて飯を食う
「あの、マスター」
「なんだ?」
「コレ、凄く扱いづらいです・・・・・・」
「まぁ、ちょっと使ってみてくれ。俺が教えるからさ」
「はい・・・・・・頑張ります!」
「うん」
夕飯を食べながら、シロに箸の使い方を教えていた
どうしたことか、ものの数分でシロは箸を使いこなすようになった。
異常に早い。普通はもっと時間がかかるものじゃないのか?
俺の疑問と驚きなど気づかないというように、シロは器用に箸を動かし、夕飯を平らげた。
「ごちそうさまでした!」
「ご、ごちそう様」
やっぱりシロは普通の人間じゃないのか?
いや、決定付けるにはまだ要素が。
ん~・・・・・・。
「シロ、皿洗い手伝ってくれ」
「はいっ」
食った後の片付けはちゃんとせねば
水を出して食器全部を濡らす。洗剤をスポンジに付けて汚れの少ないモノから洗っていく。
シロは俺の隣でずっと食器洗いの風景を眺めていた。
全ての食器を洗ったので次は水で流していく。
「シロ、流した食器をコレで拭いてってくれない?」
「分かりました!」
俺が洗ってシロが拭く、数分で洗い物は終わった。
さて、一息つくか・・・・・・。
「なぁ、シロ」
「何でしょうか?」
「どうやって現実に来たの?」
「マスターに会いたいという思いで来ました!」
「そんなもので来れるの・・・・・・?」
「よくわかりませんが、マスターにお会いできて私は嬉しいです!」
「おう、恥ずかしいからあまり言うな」
俺が淹れた緑茶を飲みつつ、シロとそんな会話をしていたら、風呂の沸く音がした。
「お、もう沸いたか。シロ、先に風呂入ってきなよ」
「お風呂・・・・・・」
「どうした?」
「扱い方が・・・・・・」
「あぁー」
やべ、どうしよどう、教えたらいいんだ・・・・・・。
・・・・・・
・・・
「お湯、流すぞ・・・・・・」
「は、はい」
シャワーデッキからお湯を出し、シロの髪を濡らしていく。
脱衣の時に本人に聞いてみたがこの髪はカツラでもウィッグでもなく地毛らしい。
白の長髪に赤い目、それで俺と同じか少し小さいくらいの体躯をしていて、正直ドキドキして落ち着かない。
何か、話題は、えーとなんだぁ・・・・・・?
「な、なぁ」
「なんでしょうか?」
「お湯、熱く、ないか?」
「大丈夫ですよぉー」
「そっか、ならいいんだ」
「・・・・・・」
会話途切れた。
俺に話術というスキルは存在しなかったようだ。悲しいなぁ・・・・・・。
それより、シロを洗ってやらねば。
「シャンプーはこれね」
「はい」
「じっとしてろよー」
「はいぃぃぃ」
シャンプーを手にのばし、わしゃわしゃと爪を立てないように気を付けながら髪を洗ってやる。
ゲームのデザイン通りの髪形で癖っ毛が結構目立っていたので毛先まで丁寧に洗う。
その間シロは大人しくしていた。そのうえどこか心地よさそうにしていた。
髪は終わったにでシャワーで流す。
「流していくけど、目ぇ開けたら沁みるぞ」
「はいぃー・・・・・・!」
目をぎゅーっときつく閉じてぷるぷると震えている姿はなんとも言えない可愛らしさが出ていた。
よし、今のうちに流してしまおう。
髪に付いていた泡を落とし、もういいよ、と伝える。
シロはぷはっ、と息を出して一息ついていた。
「じゃあ、次は体洗うんだけど、その」
「うー・・・・・・」
「準備はするから、自分で洗ってくれないか?」
「わ、わかりました」
タオルを濡らし、ボディソープを付け泡立てる。
それをシロに渡し、自分は後ろを向きじっとしておく。
シロが体を洗っている間、何も考えないように必死に努めた。
理性が何度か飛びそうになったがなんとか持ちこたえることができた。
シャワーの音が聞こえる、もう流してるのか、良かった・・・・・・。
「もう大丈夫ですよー」
「お、おう・・・・・・」
お互いぎこちなくなりながらなんとか交代する。
シロには浴槽に浸かってもらった。横からの視線が厳しいが我慢しよう・・・・・・。
俺は全身をさっさと洗い終わり、先に風呂場から出ようとしたが、シロに止められた。
「あの、もう少しいてください」
「う、うん・・・・・・」
流石に寒いので俺も湯船に浸かることにした。
浴槽からお湯が溢れ、そこまで大きくない浴槽に人二人が入る。
会話は無かった、というより何か言いだせる状況ではなかった。
つらい、居心地が全然よろしくない、シロはどうしてるのだろう? そう思って横にいる顔を覗き込もうとしたら目があった。お互いばっと顔をそらした。
気まずい、一人であれこれ考えていたらシロから切り出してきた。
「あの、マスター」
「な、な、何?」
「私はマスターに会えてとても嬉しいです」
「うん」
「マスターはま私に会えて嬉しかったですか?」
「・・・・・・あぁ、嬉しかったよ」
「そっか、そうですか、ふふ・・・・・・」
シロは真面目な顔から一転、ふにゃ、とはにかんだ。
ゲーム画面越しで何度も見てきた。が、話したことなんてないし、まずそんなことはありえなかった。
ゲームじゃあ全然表情は変わらなかったから間近で見てドギマギする。
「ちょっとのぼせてきたな・・・・・・」
「そうですか?」
「俺上がるね」
「あ、なら私も・・・・・・」
「あとから出てくれ!」
「は、はい」
危ない、あれ以上いたら倒れるわ・・・・・・。
・・・・・・・・・
・・・・・・
・・・
二人とも風呂から上がり、寝間着に着替えた。
シロには俺のものを着せている。少しサイズが大きいようで、ぶかぶかで袖から手が出ていなかったりしている。
「マスターのおっきいです!」
「おぉ」
嬉しそうだなおい。しかし問題は寝床だ。
俺はどこでもいいけどシロはどこで寝させようか
「シロ、寝床はどうする?」
「その、マスターと一緒に寝たいです・・・・・・」
わぁーおこの破壊力よ。
上目使いで顔を赤らめながら可愛い娘にこんなこと言われて誰が断れるか。
俺はシロの意見に負け、俺の部屋で一緒に寝ることになった。
「狭くない?」
「大丈夫ですよ」
「そっか」
シロに来客用の枕を渡し、一つのベッドで二人が寝る。
狭いから結構くっつかないと落ちてしまう。
そんなわけでかなり密着した状態なわけで、理性が危ない。
なにより、寝れない・・・・・・明日から寝床は絶対に変える。
俺はそう決心して何とか眠りについた。