キリンちゃんとイチャつくだけの話【完結】   作:屍モドキ

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七話 性能確認

 

 日曜日。

 

 俺とシロは朝食と掃除を済ませ、一階のリビングで寛いでいる。

 俺はモンハンXXを、シロはテレビを観ていた

「シロは居てもデータは無くなってないんだね」

「というと?」

「シロがこっちに来たらデータも消えてるのかと思ってたから」

「ん~、よく分かりません」

「まぁ、深く考えたらダメなんだろう」

「そうですかね?」

「うん」

 最近ばたばたしていて忙しかったので、こういうのんびりとした時間があってもいいのではないか。

 誰に言うでもなく一人考えながら、クエストを回す。

「ねぇ、シロ」

「なんですか?」

「シロはスキルって使えるの?」

「? 一応使えますよ」

 昨日のバスで感じたけど、やはりハンターなのか、よく分からないことが多いけどゲームに関連はしている様子だ。

「よし、実験してみよう」

「はい?」

 

 

 ややあって。

「まずスキルを自発的に発動できるかの検証だ」

「はい」

 シロのデータは剣士、チャージアックスがメイン武器だったので、盾斧の必須スキルをまず思い浮かべてみる。

 発動していたスキルは斬れ味+2 、業物、見切り+2、砲術師、ガード性能+1。

 武器は『角王盾斧ジオブロス』、安価で作りやすく、火力も盾斧の中ではトップクラスの優れものだ。

「取り敢えず装備しないとな」

「着替えますね」

「うん」

 シロは俺の部屋に行って先ほどまで着ていた私服から初めてあった装備品に着替えてきた。

「やっぱりそれのほうが落ち着くなぁ」

「そうですか?」

「なんか、変わらない安心感がある」

 ゲームで何度も目にした格好なので、定着したイメージがあるのかもしれない。

「武器は出せるか?」

「やってみます」

 シロが腰に着けたハート形のポーチから小さな両刃の斧のようなストラップを取り出し、上に放る。

 するとストラップが大きなゴツゴツした質感の剣と盾になった。

「出せました!」

「武器の出し方すっごいSFチックだな」

 ストラップが本物になるって。

「じゃあ次はスキルだな」

 極力最小限に、しかしよくわかるものでないと確かめられない。まぁさっきの武器の取り出しを見ればほぼ確定で使えると思うけどね。

「武器はしまっていいよ」

「はい」

 武器を収納させ、待機させる。

「スキルは自分でいじれる?」

「やってみます」

「まず砲術師を砥石使用高速化に変更」

「はい」

 胸部と腰部から灰色の珠を計四個取り出し、ポーチから黄色い珠を取り出して交換する。

「何処に填めてるの? それ」

「首元のココとベルトのココです」

「あ、うん」

 装飾品の装着位置とか意識したことなかったけど、やっぱり一個一個つける場所違うのかな?

「あとはお守りだな、外せるか?」

「ん~・・・・・・はい、取れました」

 そう言い、腰の後ろあたりからお守りを取り外し、ポーチに詰めた。

「連撃のお守りに変えてみて」

「はい」

 またポーチからさっきとは色の異なるお守りを取り出し、腰に結ぶ。

「さっきから気になったんだけどそのポーチの中どうなってるの?」

「いっぱい物が入ってますよ」

「四次元ポケットみたいだな」

「?」

「それはいい。あ、脚の珠を達人から連撃の珠に変えといて、俺ちょっと準備してくる」

「? はい」

 そう言って、台所でキャベツとまな板と包丁を準備する。

「シロ、こっちに来て」

「はい~」

 キャベツを洗い、まな板の上に乗せて半分に切る。

「今から手本見せるから、俺がやったあとに真似てやってみて」

「はい」

 シロに見えるように考慮しながら構えて、キャベツを千切りにしていく。

 1分と経たないうちにキャベツはフサフサの千切りになった。

「おぉ~」

 シロがパチパチと拍手をする。

 コトリと包丁を置いて、まな板から一歩離れる。

「じゃあ、次はシロがやってみて」

「頑張ります!」

 ふんす、とやる気に溢れるシロ。

「体の向きは斜めにして、包丁は真っ直ぐ、反対の手はそんなに伸ばさないで曲げる」

 一つ一つ教えていく。

 シロは真剣な顔をしているが何処か恥ずかしそうにしたいた。

「よし、切ってみて」

「は、はい」

 

 ざくり、ざく、ざく、ざ、ざ、ざ、ザザザザザザザ!

 

「うおぉお!?」

「出来ました!」

 さっき俺がやった動きをそのまま再現したか、それ以上に上手く千切りを終わらしてしまった。

「凄いな、断面がすごく滑らかに切れてる・・・・・・」

「えへへ~」

 嬉しそうに笑っている。スキルを使ったとはいえ少しは手こずるかと思ったが、刃物の扱いに慣れているのか恐ろしく速かった。

 刻んだキャベツを容器に移して冷蔵庫に入れ、片付ける。まな板を洗い、包丁も洗って、砥石を取り出す。

「シロ、研いでみて」

「ん、わかりました」

 シロが包丁を取り、砥石台に刃が全て当たるように構える。

 ズッ、と一回、大きく研いで反対を向け、また一回研ぐ。

「研げました!」

「はやっ!?」

「砥石使用高速化つけてますから」

 ゲームでは一回だけで完了していたが、現実では両面研ぐようだ。速いのは変わらないけど。

 しかし問題は切れ味、どれほど良くなったか。

 キラリと刃が光を受け輝く。

「すげ・・・・・・」

「どうですか?」

「あぁ、ちゃんと綺麗に研げてるよ・・・・・・」

「やった!」

 

 今日の夕飯はフライにしようかな。

 

・・・・・・・・・

・・・・・・

・・・

 

 昼はアジフライにしました。

 おいしそうに食べるシロの顔を見てたらごはんが食べ終わてた。

 

 ピロン。

 

 俺のスマホからメールの受信音がなった。

「っ!?」

「あ、メールだよ。怖いものじゃないから、ね?」

「は、はぃ・・・・・・」

 メールなんて滅多にこないから一瞬なんの音か忘れてた。

「誰からだ?」

 画面を開いて内容を確認する。

「親じゃない、加藤?」

 クラスメイトから某無料メールアプリで手短な内容のメールが来ていた。

「明日覚えとけ?」

 はて、何かしたっけ?

 

 隣でシロがまじまじとスマホの画面を見ていた。


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