月曜日、それは憂鬱な日。
多くの学生や社会人はこの曜日を恨んでいるに違いない。
しかし終わりがあれば始まりもある。一週間という七日の中で、一番の嫌われ者になったのがたまたま月曜日だったわけで。
「結論は?」
「学校だるいなってこと・・・・・・」
思えば先週末はシロがやってきたからバタバタしていてあまり休めていなかった気がする。
服買ったり、スキルとかみたり、色々やってたな。だがそれで体が休めれたと言うわけではなく、むしろ余計に疲れた。しかし収穫はあったので良しとしよう。
しかし何故にこの娘はスキンシップが多いのか、正直この土日一緒に過ごしている時間のほうが多い。
まぁそうせざるを得なかったと言うのもあるけど、それにしても気が付いたら密着していて理性を保つのが精一杯だった。別で寝ようと言っても頑なに断るので仕方なく、あくまで仕方なく一緒に寝ている。
「ごちそうさま」
「ごちそうさまでした~」
「じゃ、行ってきます」
「あ、待ってください」
「ん?」
「ぎゅうっ」
呼び止められ、何かと思ったらシロに抱き着かれた。
たっぷり数十秒、最後は少しだけ強く抱きしめられて解放された。
「・・・・・・え?」
「えへ、行ってらっしゃいませ!」
「い、行ってきます・・・・・・」
通学路
完全に不意打ちだった。
今後のシロの行動にどう対処しようかと考えていたらあの奇襲、結論すら出ていなかった考えが全部吹き飛んでしまった。
もうゴールしてもいいよね?
ダメだ、これフラグだ。
どうしよう・・・・・・。
「あ、もう学校か・・・」
気付いたら学校に到着していた。
物思いに耽っているっていると時間が過ぎるのは大分早い。
家の鍵は閉めた。家事はやりながらシロに教えておいたので大丈夫なはず。
どうでもいいことを考えれば胃の痛みも薄れてきた・・・・・・。
教室に入る。
いつもならあまり注目もされずSHRに入るのが、今日はいつもと違って入っていきなり質問攻めにあった。
「あ! やっときた!」
「おい村崎、お前彼女居たのかッ!?」
「土曜にデパートで一緒に居たあの娘誰!?」
「名前教えろ!」
「吐け! さぁ吐け!!」
「神砂嵐」
「今の誰だ」
ホントに誰だ。
「待って、一から説明して」
朝から慌ただしい、あぁ・・・唯一信じていた俺の安息の場所が・・・・・・。
・・・・・・・・・
・・・・・・
・・・
「で、今はウチにいるんだ・・・・・・」
「そうなのか・・・・・・」
「よし、遊びに行こう」
「え?」
「いいな、そうしよう」
「待って」
「放課後すぐ行こう」
「待てって」
「楽しみだなぁー!」
「話を聞けええええええ!!!」
放課後
「楽しみだなー」
「せやな」
「せやせや」
「なんなんだお前ら・・・・・・」
学校でもあまりいない知り合いであるこの数名が俺とシロがデパートで買い物をしているところを見つけ、写真を撮ってグループラインにアップしたようで、俺は朝から注目の的にされたわけだった。
てか盗撮だろ。チクショウ絶対いつかし返ししてやる。
思えばこいつらと遊ぶのはあまり、というかなかった気がする。記憶がない。
教室とかで駄弁ることはあっても休日等で遊ぶほどの関係を築いてこなかったというのもあって、新鮮だ。
気付けばもう家の前、不本意だけど後がうるさいしなぁ・・・仕方ない、と言うしかない。
「ただいまー・・・・・・」
「あ! お帰りなさ・・・い?」
「お邪魔しまーす!!」
「しまーす」
「まーす」
あぁ、よくわかっていない顔をしている。
「シロ、こっち来て」
「へ? あ、はいぃ」
奴らをリビングに置いてシロと自室で確認をとる。
「シロ、あいつらが帰るまで俺のことは透って呼べ、いいな?」
「あ、はい。わかりました。」
「あとスキル等モンハン関連の知識は一切出すな、あとあまりしゃべらないように」
「あの、質問いいですか・・・?」
「なんだ?」
「あの人たちはマスターのお友達ですか?」
「あー、うん、そんなところ。じゃあ、頼んだぞ」
「わかりました!」
少し不安が残るが、あいつらも少ししたら帰るだろ。てか帰らす。
「お待たせ・・・・・・」
「おう村崎!」
「早く彼女見せろー」
「そうだそうだー」
「俺たちには知る権利がある・・・!」
「なんなんだお前ら」
こいつらのノリに追いつけないのでスルーする。
「シロ、おいで」
「はぃ・・・」
「ほら、挨拶」
「初めまして、トオルくんからはシロって呼ばれてます」
初めて見る顔におどおどしているが、今のところは問題ないようだ。
正直すごく不安だ。何事もなければいいんだけど・・・・・・。
「へぇ~シロさんか~」
「かわいいじゃん」
「よいぞ・・・よいぞ・・・」
「キマシ・・・」
「ひうっ・・・・・・」
「あんまりいじめんな」
奴らがグイグイ来るのでシロが怯えている。
座っている位置はあいつらはテーブルの椅子、俺とシロはソファに座っているが、圧力というか、勢いというか、あまり積極的に絡んだりしてなかったので俺の中で彼らのキャラが崩壊しつつある。
「家での村崎ってどんな感じなんですか?」
「んと、すごく優しくしてもらってます・・・」
「優しく・・・・・・」
「村崎君から聞いたけど同棲してるってホント?」
「は、はい」
「ぶっちゃけもうヤった?」
「や、やる・・・?」
「おいコラやめろ」
まだ純粋なままの彼女だ。変な知識を吹き込んだら絶対許さん。
俺はとくに話すこともないので彼らの話を監視、もとい見守っている。
シロも質問の受け答えであたふたしているが、気恥ずかしそうにしつつも嬉しそうに答えていた。
・・・・・・見てるこっちが恥ずかしくなってきた。
「いや~いい話聞けたわ」
「初々しいねぇ」
「キマシタワー」
「上出来、それ以上か」
「へ・・・?」
「気にしない気にしない」
ネタを挟まないと死んじゃう病気なのかこいつらは。
全部に突っ込み入れてたらこっちの精神が持たない。
「じゃ、俺たち帰るわ」
「いや、ホントご馳走様」
「うぷ、砂糖吐きそう」
「口直ししねぇと糖分高で死にそう」
「だ、大丈夫ですか・・・?」
「「「お構いなく」」」
「早く帰れ」
・・・・・・
・・・
「元気な方々でしたね~・・・」
「学校でもあんな感じだけど今日はいつにもまして強かったな・・・」
「けど、楽しかったな」
「マスターが良かったのなら私もうれしいです」
「はは・・・・・・」
ぴと、とくっ付きながらシロが答える。
なんかすごい自然にきたけどすごくドキドキする。
ゆったり過ごせるようになるのはいつなのか・・・・・・。