キリンちゃんとイチャつくだけの話【完結】   作:屍モドキ

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十五話 誘惑?

 いつも通りの朝。

「んぅ・・・・・・」

「・・・・・・」

 起きたら隣でシロが寝ている。と言うのはもうよくあることなので驚きはしない。心臓に悪いのは確かなんだが。腕に絡むな腕に。あ、バカおいやめ、ああああああ。

 

「いただきまふ・・・・・・・・・」

「いただきます」

 朝食を作って席につき、合掌して食べる。シロはまだ眠たそうにしているがそれでもご飯はしっかり口に運んでいるので中々面白い。

 

「じゃあ、いってきます」

「いってらっしゃいませ、マスター!」

 すっかり目が覚めたシロにたっぷりハグされて見送られる。さて、今日も何とか耐えきった。

 

 

 学校。

 

 

「村崎お前今シロさんとどこまでいってんの?」

「何だよ急に」

 学校の昼休み。内藤と昼食を食べていたら、いきなり内藤がアバウトな質問を振ってきた。内藤とはよくゲームをするので珠に昼食を食べることがある。

「どこまで、と言われてもなぁ」

「なんかこう、あるだろ? チューしたとか、ヤったとか、出来たとか」

「あるかそんなこと。あってたまるか」

 こいつは何を言っているのだ。

「百歩譲ってチューはやってたとしてもヤってできちゃったはまずいだろ普通!」

「じゃあチューはしたんだ?」

「してない」

「アイエェェ」

「何だよ」

 どこぞのニンジャのような台詞を吐きながら加藤が驚いている。

「チェリーのまんまじゃああんまり良くないぞ」

「うるさいなぁ……」

 余計なお世話だこんにゃろう。

「ごちそうさま、俺は寝る」

「おう、オヤスミー」

 

 

 

 自宅。

 

 

 

 家ではリラックスできるのかと言われたら最近はそうもいってない。家庭内に身内以外の異性がいるという状況というのは当たり前だが落ち着かない。シロがウチに来て暫くするがやはりどこかまだ慣れない。主に俺の心境とかが。

 そんなことを考えながら玄関の扉を開くと、パタパタと音を立てながらシロが出迎えてくれた。

「マスター、おかえりなさいっ!」

「ん、ただいま」

 出迎え、と言うか勢いで抱擁してくるのは何故だろう。彼女が嬉しそうなので良しとするべきなのか、止めさせるべきなのか、止めさせてメリットがない。よし、放置で。

「んふ~♪」

「嬉しそうだね」

 にこにこしながら抱き締めるシロの背中を擦りながら興奮する彼女を宥める。柔らかい感触は無視の方向で。昼の話で大分意識してしまっているので無心でいなければ理性がもたない。

「シロ、俺着替えてくるから」

「ん~…、はいっ。では私はお夕飯作ってますね!」

 最後少し強く抱き締めてぱっ、と放してくれたシロはそのまま台所に向かっていった。

 当初から料理の手伝いをさせて、今では簡単なものなら一人で作れるようになった。感慨深いなぁ……。

「はぁー」

 自室で着替え、下に降りるとシロは『グルニャン』シリーズに身を包んでいた。

「あ、マスター。もうすぐ出来ますよ!」

「いや、それはいいんだけど、何故にグルニャン?」

 足は足袋のような見た目をした、ニーソと言えるほどの長さがある履き物で腰は後ろと左右に切り込みのあるミニスカートで腰巻きをしていて小さな猫の尻尾が生えている。

 

 腕には袖抜きのようなものの上から猫の肉球のようなミトンを着けて、服は半袖のシャツ、と思わしきものの上に白いチョッキと赤いスカーフを巻いている。

 

 頭部は下半分がメッシュで色が変わっており、所謂ボブカットと言えるのか? そんな髪形で襟足から三つ編みが垂れていて頭頂部には猫耳が生えている。

 

 装飾は片耳にスプーンの刺さった小さなコック帽に緑ぶちの淡い赤色の髪止め長めのもみ上げに猫の髭のような感じで取り付けられたヘアピンがあるくらい。

 

 そして全身クリーム色に茶色のラインが入っており、各所に猫の肉球のようなマークが入っている。

 

 そんな格好をしたシロが夕飯を作っているので、ちょっと気になったので声をかけた。

「スキルがどこまで日常生活に応用出来るのか気になって」

「実験的にグルニャンの『グルメ』スキルを使う、と?」

「はい!」

「しかし何故にグルニャン?」

「キリン装備での複合スキルの発動が難しかったので」

「なるほどね、だからグルニャンと言うわけか」

「そうですっ!」

 凄く良い笑顔で答えるシロ。耳はピコピコ動き、尻尾は忙しなく揺れている。

 

「・・・・・・ソレ触っていい?」

「はい? いいですよ?」

 本人の許可が降りたので早速猫耳と尻尾に触れる。手触りは滑らかでただの獣の毛皮を纏ったというわけではないようで毛並みがきちんと整っていた。

「すっごい柔らかい・・・・・・」

 

「ひゃんっ」

 ん?

 

 くにくに。

「ぅあぁう・・・」

 

 いじいじ。

「はぅあっ!?」

 

 しゅこしゅこ。

「や、ぁん、だめぇ・・・・・・!」

 

 んー・・・・・・?

 

 揺れる尻尾を優しく掴み、あれだこれだと色んな触り方をしてみて気が付いた。そうしたらシロが一つ一つの動作に敏感に反応して体を痙攣させる。

 あ、ヤバイ、なんか、エロい。

 

 もっと触りたい。

 

「ゃ、あんっ、マスター、今はだめ、ですってぇ・・・・・・!」

 悶えるシロの言葉は耳に届かず、無言で尻尾を攻める。

「あの、今、お料理、してましゅからぁあああ!?」

 時に優しく触れるか触れないかの狭間で。

「だめ、ホントに、もう、だめ、あ、ひぅんっ!」

 時に強く握って強引に擦り。

 

 先っぽを擦り。

 

 根元をいじり。

 

 下から逆撫でしたり素早く擦ったりしてみたり。

 

 

「~~~~~~~~~~~~~~~ッ!!?」

 

 

 途中から口を押さえて声を止めていたシロが最後ビクン、と大きく体を跳ねさせて硬直したかと思えばその後すぐに力が抜け落ちその場にふにゃあ、と崩れ落ちてしまった。

 

「あ、シロ、大丈夫ー・・・・・・?」

「はぁー・・・・・・はぁー・・・・・・」

 顔を赤く染めて虚な目をして荒く息をする。まだ体の痙攣が治まっておらず、時折体をひきつらせている。

 虚な目は焦点が定まっておらず虚空を捉えていた。

「や、やっちゃった・・・・・・・・・」

 伸びてしまったシロをソファーに運び、途中、と言うか殆ど手を付けてない調理現場に行って、夕飯を作り上げた。

「起きたら謝らないとなぁ・・・・・・」

 

 

・・・・・・・・・

・・・・・・

・・・

 

 

「ん・・・・・・」

「あ、起きた?」

 あの後シロをソファーに運び、パパっと夕食を作ってシロに付き添っていた。

「ご飯出来てるけど、食べる・・・・・・?」

「あ、はい、じゃあいただきます」

 

 静かな夕食。

 賢者モードってこんなに長かったっけ。言葉が出ない。会話ができない。

 ええい自分の責任じゃないか。ちゃんと自分で謝罪の言葉を言わなければ。

「あの、シロ!」

「は、はい!」

 喉が渇く。脂汗が止まらない。目線が定まらない。不安で落ち着かない。

 

 落ち着け。落ち着け。落ち着け。

「シロ、さっきはごめん。調子に乗ってやり過ぎた。反省してる」

「あ、あれは、その・・・・・・」

 シロは先程の出来事を思い出して顔を真っ赤にさせていた。

「まだ不満があるなら言ってくれ。俺にできることなら何でもする」

「ですから、あれは・・・・・・」

「だから、ごめんなさい・・・・・・!」 

「マスター!聞いてください!」

 シロは声を荒げて言葉を遮った。

「えっと、何か気に障ることしちゃった・・・・・・?」

「そうではなくて、その・・・・・・」

 もじもじと言葉を濁しながらもシロは伝えた。

「実は、今日マスターのお部屋でこういう本を見つけまして」

 

 差し出された本はピンクと肌色成分が多い大人向けのエ本だった。

 

 それを見て俺は一瞬思考回路が止まった。

「何、それ」

「わ、わ、私が聞きたいですっ!」

 羞恥心を露わにしながらシロは言い放った。

「これ見てなんだか不安になってしまって、それでこの本に描いてあるようなことをすればマスターが私にもっと興味を示してくれるのかなって思って、それで・・・・・・」

「あー、シロ、待って。落ち着いて」

 なんだか話がこんがらがってきた。

 あの本はなんだ? 俺はゲームの参考書か攻略本(どんき)かちょっとしたライトノベル程度しか書籍類に金を使わない人間だ。

 なのに俺の部屋からエ本が出てきた? 

 それにあにあの表紙。エッ・・・・・・んん、素晴ら・・・・・・そうじゃない、何がと言わないけど出すぎじゃないのか。もっとこう、ハッ、いかん。話が逸れそうになった。

「シロ、それ多分俺のじゃない」

「へ?」

 間の抜けたような声を出して止まる目の前の少女。

「ちょっと確認してみる」

 そういってポケットからスマホを取り出し、某無料会話アプリで確認を取る。

 会話先はクラスの少ない友人らのグループ。

 

『この本俺の家に置いて行ったの誰だ?』

『俺』

 俺の通知にいち早く返信したのは首謀者である内藤だった。あの野郎。

『テメェかこの野郎』

『最高だったろう?』

 うるせぇ。

『おかげでシロが真似したじゃねーか』

『マ?』

 マ? じゃねぇよ家庭内が大変なんだよ。

『明日覚えとけこん畜生』

『感想おせーてー』

 

「野郎ゼッテー許さん」

「あ、あの、マスター?」

 おどおどしながらシロが状況を聞いてきたので気持ちを荒げないように注意しながら大体のことを伝えた。

「あー、この本やっぱり俺のじゃなくて友達のだった」

「そうだったんですか」

「この前家に遊びに来たときに持ってきたんだと思う」

「ほへぇ」

「明日何とかしとく、今日は本当に悪かった・・・・・・」

「えと、あ、あの、こちらこそ疑ってごめんなさいっ!」

 二人がテーブルを挟んで頭を下げ謝る。

 とんだ早とちりで起きた今日の出来事、初心な彼女が起こした大胆な行為に釣られてしまってその気になった、と言うか変な興奮の仕方をしていたと思う。

「くふっ、あははは!」

「へぁ? あのマスター?」

 思わず笑ってしまった俺に困惑するシロ。

「勘違いが妙なところまできて二人ともおかしなことしちゃって、なんか、おかしくて・・・・・・!」

「そう、ですか?」

「なんか笑えちゃった」

「んー・・・なんか解せないです・・・・・・」

 不服です。と言わんばかりにむすっとした顔のシロを宥めながらちょっと遅めの夕飯を食べ終えた。

 

 

 

「はぁー・・・・・・。酷い一日だった」

 風呂から上がり、明日の学校の準備を済ましてゲームを起動させる。

 夜中にRPGをすると止め時がわからなくなってしまいそのまま朝になっていた。何てことがあるので平日の夜はアクションやパズル系が殆どだ。

 かち、かち、と静かにボタンを叩き、今日の出来事を思い出す。

 内藤と話して、シロの尻尾いじって、そのあと誤解の種が出てきてお互いがちがちになっていた。

「ひっでぇーなこりゃー・・・・・・」

 ゲームのプレイスキルに対してでも、今日の自分の行いに対しても言えたことだった。

 もう笑えてくるほどに酷かった。

「くふふ・・・・・・」

 一人部屋で思い出し笑いをしてたらドアをノックする音がした。

「マスター、起きてますかー?」

 十中八九シロだ。てかこの時間にシロ以外が来たら怖い。

「起きてるよ、どうしたの?」

 ドアを開けると、枕を抱いて照れながら俯き加減にこちらの顔を覗くシロが立っていた。

「入る?」

「は、はいっ」

 ベッドにでも座りなよ、と促してシロはベッドに、俺は椅子に腰かけた。

「・・・・・・」

「・・・・・・」

 お互い目は合わさず、ただ沈黙していた。

 気を紛らわそうとゲームに手を伸ばすと、シロが口を開いた。

「あの、マスター!」

「な、なに?」

「お夕飯のとき仰った『何でもする』って、まだ有効ですかっ!?」

「」

 何かと思ったら、まさかそれかァーッ!

 確かに言った。絶対言った。間違いなく言ったけど。

 今持ってくるかね!? こちとらやっと落ち着いたってのに!!

「えーっと、ちょっと待って」

「あ、でもマスターが嫌ならいいんですよ・・・・・・?」 

 少し申し訳なさそうに言っているが本心はどうなのだろう。

 俺としては減るものなんて無いしそもそも俺の責任だから何かしてやりたいと思っているのでなんでも甘んじて受け入れようと思ている。仕方ない。やるしかない。

「うん、いいよ。なんでもするよ」

「っ!」

 シロは嬉しさでいっぱいの表情を浮かべ、では、と言いながらこちらに近づいてきた。

「今度、お買い物に連れて行ってくださいっ!」

「うん? いいよ」

「やたっ!」

 わいのわいのと喜ぶシロを見てなんだか朗らかな気持ちになった。

「ありがとうございますマスター!」

「いいよお礼とか、そもそも俺の不注意なわけで」

「いえ、そんな。私が早とちりしたせいで」

 あ、これ以上は泥沼な気がする。

「シロ、この話はもうやめておこう。終わらない」

「そ、そうですね。ではもう寝ましょうか」

「うん」

 そう言って二人でベッドに入る。

「おやすみなさぁ~い・・・・・・」

「おやすみ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「待て」

「え?」

 なんと自然な流れで一緒に寝てるのだろうか。自分でも驚いた。

「なんで一緒なんだよっ!?」

「ダメ、ですか? マスター・・・・・・」

 ぐ、やめろ、そんな目で俺を見るな・・・・・・!

 

 結局俺が折れてその日は初めから添い寝することになった。

 

 

 

 次の日。

 

「内藤テメェぶっ殺す!」

「ぶっ殺すって思った時、すでに行動は終わっているんだよッ!!」

 朝からハイテンションだった。

 

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