「出掛けてたんだ、遅かったね・・・・・・」
「う、うん」
「そっかそっか、うん、おかえりぃ・・・・・・」
「うん、放して姉さん」
そう言いながらさも当然のように俺を抱きしめてくる。
俺の自意識過剰とかではなければ俺の姉はおそらくブラコンと言われる類の人間だ。
残念美人ってよく聞くけどステ値振り違えにも程があるだろ。
「もう少し、もう少しだけぇ、あと二時間んん・・・・・・」
「ちょっとじゃないよそれ」
外ならきちっとしていて凛々しいのに家ではこんなにぐだりとしているのでなんとも言えない。
「マスター!」
「透君、この子は誰?」
「もう遅いよ姉さん」
ずっと黙っていたシロが我慢ならなかったのか口を開けた。
それに気づいた姉さんが瞬時に俺から離れたが時すでに遅し、がっつり見られたよ。
「いろいろ話したいことがあるから、上がらして」
「私も聞きたいことが山ほどあるわ。透君」
なんで怒ってるのこの人。
「んぅ・・・・・・」
シロはシロで俺の服の袖を掴みながら姉さんを少し睨んでいる。
修羅場になりそうな気がする。
◇
「この
「初めまして、シロです・・・・・・」
少し不機嫌そうな顔でシロが姉さんに挨拶をする。
第一印象は良くないとはいえ、そこまで不機嫌になるものか?
「初めまして、透の姉の楓と申します」
良い笑顔で自己紹介を返しているが目が笑っていない。
片方は笑顔で片方は不貞腐れた顔。第一印象でここまで偏るかな。胃が痛くなってきた。
「ところで、どうしてこの娘がうちに居候することになってるの?」
さて、俺のはったりを噛ますか真実を話すか、嘘を吐いたところで即行で見破られそうなのはどうしようもないけど。
「はっきりとは言えない」
黙秘権を行使した。
「お姉ちゃんにも?」
「うん」
言わない、というより話がぶっ飛び過ぎてて説明がしづらい。
「けど隠したりはしない、いつもの生活風景を見ててくれたら多分どんなのかはわかってもらえると思う」
「・・・・・・・・・分かった、じゃあ詮索はしないね」
「ありがとう、姉さん」
張り詰めていた雰囲気が解け、柔らかい物腰に戻った姉から了承を頂いて安堵する。
「でも私が家にいる間は私も構ってくれないと不貞腐れるぞぉ~・・・・・・」
先程の凛々しさは跡形もなく消え去り、猫のようにするりと俺に絡んでくる。
「あっ! ダメです!」
「貴女はいつも透君とくっついてるんでしょう? いいじゃない」
「むぅ~!」
柔らかいものには意識を向けるな。別のことを考えるんだ俺。ゲームしたい。よし。
◆
私は村崎 楓。現在大学二年生。実家にほぼ毎日一人暮らしの弟に会うため定期的に家に帰っているが最近はなかなか帰る機会がなく、一か月ほど久しぶりに帰ってきたら弟が彼女(仮定)を作っていた。
初めて見たときは驚きと絶望に染まってしまったがよくよく話を聞けば居候と言うではないか。もっとダメだろう。しかし本人たちにやましいことは無いらしいし、まだ大丈夫だろう。一瞬離れさせようとも考えたが仮定とした通り完全にデキているというわけではないらしいので取り敢えず経過観察と言ったところか。
「ふぬ・・・・・・」
気になることも多い。透君をマスターと呼んだりするし、まず容姿が日本人とは全くと言っていいほど違う。西洋人とも東洋人とも取れない顔だちをしているのに話す日本語はとても流暢だ。日本育ちとも考えられるが、考えるのはまた今度にしよう、今日はもう頭を使うのは疲れた、透君をhshsして明日のエネルギーを補充しよう・・・・・・。