キリンちゃんとイチャつくだけの話【完結】   作:屍モドキ

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二十三話 対決! 剣士とガンナー!

「あー、雨だ・・・・・・」

 

 昼休み、そんな言葉が口から漏れた。

 降らないでほしいと祈ってはいたがそんな祈りも関係ないと言うふうに空は曇り、だんだん薄暗くなって雨が振りだした。

 

「帰りにコンビニ寄って傘買うべきか・・・・・・ん?」

 

 窓から外を眺めていると見慣れた白い恰好をした少女が見えた。

 シロだ。

 シロが複合キリン装備で傘も差さず一目散に走ってきているのが見えた。

 

「シロ、何やってんだ・・・・・・?」

「え? シロさん?」

 

 呟いた一言に加藤が気付いて窓を見る。

 加藤も走ってきているシロを見つけて驚愕する。

 

「うわ、ホントにシロさんだ!」

 

 加藤の驚いた言葉にクラスの大半が反応し、皆同じように窓から眺める。

 

「シロさんだと?」

「マジだ」

「傘も差さずずにどうしたんだろ」

「家で何かあったのかな?」

 

 その言葉を聞いて少し焦った。

 ウチがどうかしたのだろうか。

 強盗でも入られたか? ならシロだけでどうにかしそうだし、それとも火事だろうか? 火も煙も見えないしサイレンだって鳴ってない。

 じゃあ何だろうか?

 遠目で見ていてもどこか焦っているような顔をしているのが分かった。

 

「俺、ちょっと行ってくる」

「あ、おう。気ぃつけろよ!」

 

 落ち着かない気持ちで階段を降りてグラウンドに出る。

 

「シロ!」

「トオルくーん!」

 

 シロは傘を握って走ってきた。

 何で差さないのだろうか、と思っていると、突然発砲音が響いた。

 

「ぐッ!」

「はあっ!?」

 

 シロはとっさに取り出した小型の盾を持って振り向き、跳んできた弾丸を弾いた。

 すかさず持っていた傘を手放して腰のポーチに右手を突っ込み、小さなナイフを摘まみだして弾の跳んできた方向へ投擲する。

 ナイフは敷地の壁に並んで生えている樹木へと飛んで行き、少し遠いところで高い金属音を鳴らして跳ばされたナイフと黒い人影が生い茂る樹木から落ちてきた。

 

「あれは・・・・・・」

「トオルくん、下がってください!」

「いや、シロ、あの()見覚えが」

「私がトオル君をお守りします!」

「ねぇ聞いて」

 

「・・・・・・・・・・・・」

 

 落下して音もなく地面に着地した人物は暗い褐色の肌をしていてナルガ装備を・・・・・・、いや違う。

 あれは『白疾風(しろはやて)』一式だ。

 モンハンダブルクロスには(ふた)()モンスターと言われる特殊個体のモンスターが存在し、どれも並外れた能力を持っているのっが特徴。その中で今褐色の少女が身に纏っている装備は斬撃を飛ばしてくる白疾風ナルガクルガと呼ばれるモンスターだ。

 そのモンスターの装備を身に(まと)った少女が表情を変えずこちらを睨み、担いでいたライトボウガンをすかさず構える。

 

「貴女は何者なんですか?」

「目標確認、排除する」

「おい待てって」

 

 褐色の少女はボウガンの引き金を引き、発射された弾をシロが盾で弾く。ノックバックして出来た隙をついて褐色の少女がシロに接近し、シロは一本の直剣を片手に持って斬りつける。

 が、それは寸前で避けられて少女はまた距離を取った。

 

「一旦落ち着いて」

「急に攻撃してきてなんなんですかっ!」

「アナタが邪魔だから」

「待って」

「絶対倒します!」

「撃ち抜く」

「待てぇぇえええ!!!」

 

 褐色の少女が速射による早撃ちで撃った三発の弾丸をシロが接近しながら剣で弾き、少女が通常より飛距離の長い前転でシロの背後に移動し、二人とも即座に振り向きながら互いに持っている獲物の先お互いの数寸先に向けて静止する。

 

「っ!」

「・・・・・・・・・」

 

 白と黒の二人の少女がピタリと止まり、互いに剣先と銃口を向けて動かない。

 二人の間で息度となくイメージによる鍔迫(つばぜ)り合いが続いていた。

 

 動けばやられる、しかし動かねばやれない。

 

 火花が散るような幻覚さえ見えてしまいそうなほど、二人の間は緊迫していた。

 

 

 ◇

 

 

「なんじゃこりゃ・・・・・・」

 

 何故うちの学校のグラウンドで格ゲー張りのアクションシーンなんてやってるんでしょうかねぇ。

 ほらみろギャラリーが集まってきやがった。

 窓から身を乗り出して二人の様子を(うかが)ったり、はたまた写真を撮ったりしている。

 

 そろそろこの状況の収拾がつかなくなるので止めさせよう。

 言葉で言っても分からないと言うのなら実力行使しかない。

 ならばアレを取ってこよう。

 出来るだけ大きなアレを。

 

 

 ◆

 

 

「どうして私を狙うのですか・・・・・・?」

「アナタが邪魔だから」

「意味がわかりません!」

「知らなくていい」

 

 今から逝くのだから。

 

 そう言おうとして引き金にかけていた指を引こうとした時。

 

「マカチョップ」

「あだっ!?」

「ぎゅっ!?」

 

 突然鋭い痛みが頭頂部を刺した。

 新手か? と考えてすぐ隣に立っていた人物を睨むと、そこには透が二冊の分厚い本を持って立っていた。

 

「ご主人・・・・・・?」

「痛いですよトオル君ん~~・・・・・・」

「当たり前だろ角でやったんでから。それよりお前ら、ちょっと来い」

「はいっ」

「了解」

 

 片方の本を重たそうに肩に担いだ透は二人に着いてくるように言う。

 雨の降る昼下がりの対決は一人の少年によって幕を閉じた。

 

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