【MHXX】キリンちゃんとイチャつくだけの話   作:屍モドキ
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 闇夜に光る赤色の眼光は、ただ一つの獲物を見据えていた。
 睨む先には大和も思える巨体。
 柄を握りしめ、より深い深呼吸を数度したあと、息を完全に殺して暗殺とも思える狩りが、再び始まる。



三十話 ケモミミを生やしてみたら燃えてきた

 暗い夜の森の中、私は地面に這いつくばってヘビィボウガンのスコープの覗き込んでいた。レンズの先に見えているのは今回依頼されたモンスターが腹を満たすために来ている場所だ。そこに大タル爆弾を設置してひたすらじっとモンスターが訪れるのを待っている。

 

 好機を伺い、油断して隙を見せたときが息を刈り取るその時だ。その時が来るのを極限まで集中した頭のなかで復唱しながら殺意を殺し、引き金を持ち直す。

 

 そうこうしていたら草むらを掻き分けながら一匹の大型モンスターが姿を見せた。

 

「目標捕捉」

 

 まだだ、まだ好機じゃない。

 もっと美味しい瞬間を見せるとき、その時こそ奇襲を仕掛ける絶好の機会だ。

 

 モンスターは左右を確認し、外敵が居ないことを確信してその前に伸びている口を腐敗した木に寄せて、バリバリと貪り始めた。

 

 好機。

 

「攻撃開始」

 

 引き金を引き、近くの爆弾を爆破させる。爆弾は爆ぜ、モンスターは爆破に巻き込まれて仰け反る。装填している弾を通常弾から残裂弾に切り替えて、立ち上がってぐはぁ、と息を吐いて深く息を吸いながらリロードする。ブレイブスタイルで使用できるブレイブリロード、火力を出すためにこれを選んだが使い勝手は人による。私は使いやすかった。接近戦に近い距離になることが多いのでこのスタイルの回避力には大分お世話になっている。

 

「装填完了。構え・・・・・・発射」

 

 続け様に残裂弾を四発撃ちこみ、すぐにリロード。

 

「発射」

 

 着弾した弾丸がすべて弾けたところで何故か体に力がみなぎり心なしか足取りが軽くなる。横に避けて距離を保ちながら走り出し、モンスターの斜め後ろあたりまできたらスライディングしながらしゃがみ撃ちの態勢に入りつつ、リロードをしながら銃口をモンスターの方向に向ける。

 

「準備完了、射撃開始」

 

 引き金を連続して引く。振り向き様に鋭い弾丸乎嵐がモンスターの体を撃ち抜いていく。モンスターは後退したが、避けようとしたところを狙い撃ち、転倒した。その機を逃さず移動し、しゃがんで連射する。今度は弱点である背中を狙って。

 

『グゥゥ・・・・・・!』

 

 モンスターの呻く声が暗い森に鳴り響く。起き上がったモンスターは明確な敵意と殺意を私に向け、私を屠らんとする勢いで突進してきた。それをイナシで対処して距離を離す。

 銃口を再度構えて、あくまで冷静に目の前のモンスターと対峙する。

 

『オォォォォォッ!!!』

 

 狩猟の時間だ。

 

 ・・・・・・・・・

 ・・・・・・

 ・・・

 

 さて、飯も炊けたおかずも出来た。

 シロも掃除があらかた終わったようなので二人で席に着き朝食を摂る。

 

「ごちそう様、じゃあ行ってくるから留守番宜しく」

「わかりました、行ってらっしゃいませっ!」

 

 今日は朝礼があるのでいつもより早い登校だ。急がねば。

 

 

 ◇

 

 

 さて、マスターも学校へ行かれたのでまだ終わっていない掃除をしましょう。

 一階の掃除は終わったので二階に行きます。まずは自分のお部屋を、身の回りが終ってから他のところに手を付ける。信条です。自分のお部屋の掃除が終わったので順にご両親のお部屋、お姉さんのお部屋、最後にマスターのお部屋とやっていきます。

 

「さてマスターのお部屋~。ん? なんでしょうか」

 

 マスターのお部屋に入って掃除をしていると、何やらベッドに膨らみがある。人一人ほどの大きさで、微かに布を擦らせながら一部分が上下している。朝来た時までこんなものは無かったはずです。掛け布団を掴んで剥ぐと中から褐色の女の子、もといクロが出てきました。

 

「何をやってるんですかアナタはぁーーーッ!!!」

「ハッ・・・・・・」

 

 怒鳴り声で目を覚まし、横になった状態から半身を起こして寝ぼけ眼で辺りを見回してシロを捕らえると、なんだ、といった風な態度でまた床に就こうとする。

 それをみたシロは眉間をぴくりと引きらせて、容赦なく布団を捲りあげる。しかしそこに真っ黒な少女の姿はなく虚を突かれて驚くもすぐに布団を手放して部屋を回し見て一瞬見切れた黒い影に向かって走り出し、飛び込んで捕まえる。

 

「捕まえましたよ!」

「やーらーれーたー」

 

 なんで朝からこんな茶番をしなければいけないのか、嘆息しながらクロに説教をしたあと二人で主の部屋の掃除をした。

 

 一段落して。

 

「それで、何しに来たんですか?」

 

 テーブルに向かい合うようにして座り、カップに注いだお茶で口を湿らせてから、シロは目の前に呆けた顔で鎮座する褐色の少女に訊いた。

 クロは以前の白疾風一式ではなくなっていて、頭と腰、脚が通常のナルガXのガンナー装備に変わっていて、網の面積がほぼなくなっており、変わりに肌の露出が際立っていた。頭部はナルガXガンナー頭部なので末広がりな艶のある黒の長髪にカチューシャのようなところに二本の小さな牙が交差するように縫い付けられていて、頭頂部の横から猫の耳のように毛が跳ねている。

 

「腕ならしが済んだから、コッチでの用事を済ませようと来た」

「コッチでの用事って、もしかして」

「ご主人との子作り」

「やっぱり・・・・・・」

 

 この少女は懲りもせずまた来たようだ。

 何故そこまでして主との子に拘るのか、分からない。

 自分だって主に対して好意はあるし、一緒に過ごしたいと思っている。

 しかしこの恋慕にも似た感情の上にまだ達していないので、踏ん切りとかはついていない。

 そうして一人で悶々と考えているとクロはベッドから降りて、そそくさと一階に降りて行ったので慌てて追いかける。

 

「待ってください!」

「汚したら悪いから」

 

 降りたクロはポーチから一本のキノコを取り出してきた。

 

「何ですかそれ?」

「獣茸」

「ケモノダケ」

「うん、そう」

 

 全く聞き覚えのない茸だ。見た感じとしては椎茸に獣の耳が生えているような形をしていて随分と胡散臭い。

 

「はい」

「あ、どうも」

 

 思わず受け取ってしまったが食べられるのだろうか。匂いを嗅いでみると土臭さの中に茸独特の香りと混じって獣臭さを醸し出していることに驚いた。

 

「なんですかこれ」

「獣茸」

「それは分かりましたからっ!」

「そう」

 

 なんだこの不審過ぎる茸は。今まで見たことが無いしギルドが出していた情報にも商人の噂話ですらも聞いたことがない。

 

「これ毒とかありますか?」

「実質的な害は、ないと思う」

「んん・・・・・・」

 

 曖昧な返答に顔を顰める。

 しかし見れば見るほど不気味なキノコだ。

 かさの表面はは頂点から広がるようにガサガサと波打っており、まさに動物の毛皮のようで、そこに耳も生えているので本当に獣に似ていると言える。そしてご丁寧に尻尾は未発達で成長が止まっている茎がそれを担っており、無駄に偽装度が高い。

 

「食べたことはあるんですか?」

「私自身はない。でも適当なモンスターに与えてみたけど、特にこれと言った変化はなかったし、オルタロスがエキス吸ってるのを見たりしたから、栄養はあると思う」

「そうですか・・・・・・」

 

 ふむ、毒に対する危機感とかは野生のほうが高いし、何よりあの蟻虫が巣に持ち帰っている所をみるとやはり毒物の類は心配がないようだ。

 なら頂いてもいいんのではないだろうか、と思うが何分貰う相手がこの人だ。

 一番心配しているのはこの事項だ。

 

「では、一応貰っておきます」

「私も食べてみたいからもう少し滞在する」

「お好きにどーぞ」

「わーい」

 

 しかし、どうやって調理しようかな。

 

 

 

 ◇

 

 

 

 学校。

 

 昼休み、学生は各々のグループで集まったり一人でくつろいだりまたは空いた時間に遊戯や勉学に励む者もいる。そんな時間に透は知人と集まって昼食の弁当を口に運んでいた。

 そこで他愛もない会話で賑わっていた。

 

「獣っ娘っていいよな」

「急にどうした」

 

 口を開いたのは内藤。常習犯ではないだろうか。内藤は弁当を食べながらそんなことを真剣な顔そのもので呟いた。

 

「確かに良いな」

「佐藤」

「それで臭ったりしてたら尚良い」

「安藤」

「八重歯が少し見えてるのも良い」

「伊藤」

「少し垣間見える本能的欲求を見せてくれたら尚更良い」

「加藤、お前もか」

 

 かく言う自分も賛同したい気持ちはあるので否定はしない。

 

「まぁ、わかるけども」

「おぉ、いつもツッコミにまわってあまり個人的な意見を言わない村崎が賛同したぞ!」

「担ぐな」

 

 わっせわっせと紙吹雪を散らしているのを傍から眺めたところでお茶を口に含む。

 今日も元気一杯だなこいつら。

 

 ケモミミかぁ、一種の夢だよな。

 帰ったらシロになんかの動物の耳が生えてるとか、ないか。

 

 

 村崎家。

 

「ど、どうするんですかコレぇーっ!?」

 

 シロの絶叫が響き渡った。

 姿見の前で自分の体を隅から隅までまじまじと見る。

 いつもと変わらないオリジナルのキリン装備。

 だがいつもと変わっている所があった。

 頭、頭頂部。

 耳の少し上のところから髪の色と同じ色をした、馬の耳のようなものがひょこっと生えている。

 しかも直接つながっている感覚があり、触ってみるとあやふやだが自分の耳に触れている感触がする。

 次に腰。

 後ろのあたり、腰装備の下から長い筆のような白い尻尾が垂れ下がっていて、体の揺れに合わせてゆらゆらと揺れている。

 こちらも感覚があって付け根を擦ってみると少々慣れない変な気持ちがして気持ち悪い。

 

「どうするんんですかコレ!?」

「なるほど。これは動物が食べても、効果が無かったのは、頷ける」

「そんな適当な・・・・・・」

 

 振り向いて講義の念を向けるとその先で黒い猫の耳と尻尾を生やしたクロがさながら猫のように四つん這いで伸びをして明楽間と答えた。

 

「マスターが帰ってきたら大変です・・・・・・」

「ご主人に、見てもらいたい気持ちは、ある。」

「恐らく一大事ですよ」

「そうかな?」

 

 何故こうも楽観的にいられるのか不思議に思うけど今はこのキノコによる効果を無くすのが先だ。

 何か食べて体に異変が起きるのはよくあることなのでそれは置いておこう。

 じゃあ時間経過でどうにかなるだろうか? 大体のものは数分も経てば効果が消えていたので今回のこれもそのやり方でなんとかなかもしれない。

 

「とりあえず、治るか分かりませんが時間をおいて様子をみましょう」

「アイサー」

 

 出来れば主が帰るまでに治っていることが望ましいけど、不安だなぁ・・・・・・。

 

 

 ・・・・・・・・・

 ・・・・・・

 ・・・

 

 

 帰宅。

 

「ただいまー」

「え、ちょ、あっ。お、おかえりなさいませぇ~っ!」

「?」

 

 なんだろう、シロがいつもより大分慌てているが、何かあったのだろうか。

 玄関から上がってリビングに入ると、慌てた様子のシロが台所の方へうずくまっていた。

 しかし何か様子がおかしい。見たところの恰好はオリジナルキリン装備だが腰の毛束が一本多い。

 

「大丈夫かシ、ロ・・・・・・」

「お、おかえりなさいませ・・・・・・」

 

 恐る恐る振り向く彼女を見て一瞬固まる。

 いつもと変わらないキリン装備のシロ。

 しかし決定的に違う点がある。

 耳の10cm上あたりから生えている円錐状の筒を斜めに切ったような白い毛に包まれたウマ科の耳。

 左右に少しの間をおいてゆらゆらと床に擦らせながら揺れる、腰から伸びる白い筆のような馬の尻尾。

 

 馬型の古龍の装備を着た彼女が馬の擬人化みたいに人の体に馬の耳と尻尾を生やしていた。

 

「・・・・・・」

「あの、マスター。マスター?」

「あ、あぁ、うん。ちょっと驚いてた」

「大丈夫ですか、て、私が言える立場じゃないですね・・・・・・」

 

 あははと笑うシロ。俺は真顔だけど内面滅茶苦茶焦っている。以前にも似たような状況があって、そのときはシロの尻尾を弄り倒して大変なことになったと思う。

 正直理性を半ば失いかけていたので記憶が一部あやふやなところがあるが、恐らくそんなだった気がする。

 

「えっと、耳生えちゃいました・・・・・・」

「ウン」

 

 そんな気恥ずかしそうに笑うシロに台風直撃のような衝撃を受ける俺は無機質にうなずくだけで動くうことも瞬きすらもままならなかった。俯き気味で照れくさそうににへっと笑みを浮かべながら、頬をかいている。しかしその行動の反面耳と尻尾は素直らしく、先ほどよりも動作が機敏になっている気がする。

 

「・・・・・・いいな」

「え?」

「いやなんでもない」

「そうですか」

「ご主人の声がする」

「うおぉっ!?」

「きゃぁ!?」

 

 突然背後からぬるっと現れたクロに驚いて前に飛び退き、そのままシロに抱き着いてしまった。急な出来事で不可抗力と言うほかないが流石に許容し難い距離である。急いで離れて条件反射の速度で頭を下げた。振り向くとネコ科の耳と尻尾を生やしてナルガXガンナーに胴と腕を白疾風にしたクロが音もなく立っていた。

 

「ご、ごめん・・・・・・!」

「い、いえそんな別に、大したことでは!」

「そんなことよりご主人・・・・・・」

「く、クロ!?」

 

 お互い顔を真っ赤にして謝罪をするというなんとも滑稽なことになっていて、それを我関せずという顔で眺めるクロは先ほどの事などなかったように俺にぴたりと密着してきた。するりと伸びる細い腕が絡み、露出した腹部や股の付け根が制服の上から吸い付くようにくっつき、何時かの記憶が蘇ってきてしまい、血圧が上昇する。

 

「ご主人、興奮してる」

「なっ・・・・・・」

「気持ちいいこと、しよ?」

「すごいデジャヴ・・・・・・」

「ますたぁー!」

 

 横からシロが突っ込んできてそのまま二人にサンドイッチ。

 前に似たような状況になった記憶がある。

 ケモミミ生やした二人の美少女にゼロ距離で挟まれて、むぎゅむぎゅと潰れる柔らかいそれらに血流だトップギアで爆走し、ついに限界突破してしまった。

 

「かふっ」

「あっ」

「マスター!?」

 

 お前ら、夢は見つけたぞ。

 

 

 

 気が付くとソファーで寝かされていたようで、外はすっかり暗くなっていた。

 少し寝て冷静になった頭でまわりを見るとシロが横で眠っていた。

 耳はまだ生えていてピコピコ動いてる。

 寝起きでぼけーっとしている頭で何も考えずウマ科の耳を摘まんでくにくにと弄ってみるとシロがむずがゆそうな顔をして身動ぎをしたあとふ、と目を覚まして俺を見る。

 

「ごめん、起こしちゃったか」

「いえ、おはようございます」

 

 ふへ、とした表情で笑うシロはなんだかいつもよりも笑顔に明るさがるように思えた。

 

「ねぇ、シロ。その耳触っていい?」

「耳って、こっちの耳ですか?」

「うん、その上の方の馬の耳」

「いいですけど、結構敏感なので、優しくお願いしますね?」

「あ、はい」

 

 どうぞ、と目を閉じて頭を差し出すシロの馬耳を、力を入れないようにそっと優しく触れて、曲げた人差し指で支え、親指の腹で軽く擦るように触る。

 

「んっ」

「」

 

 さわさわとゆっくり、力まないことを意識して撫でる。

 無意識に反対の腕も伸びてもう片方のケモミミにも触れて、ケモミミだけでなくゆっくり髪を手櫛で梳いてみたり、頬を撫でたり、髪をかき分けて額に手を当てたりしていると。

 

「んうっ」

「おぉ?」

 

 シロが突然ぎゅむ、と抱き着いてきて、ソファーに横座って上体を起こしている俺の腹部に顔を埋めてきた。

 

「・・・・・・ッ!!」

「すぅー、はふぅ・・・・・・」

 

 いきなり抱き着かれ、あわや深呼吸までされて服越しの対流で熱が移動して吸った時の冷たさや息を吐いたときの湿っている熱のこもった息が意識の立っている肌で感じられた。

 

「あの、シロ・・・・・・?」

「んむ、まふはーの匂い、しゅきでふ」

「シロ?」

 

 服で埋もれて言葉が若干聞き取りづらいがあまり腹のあたりでもごもごされるとこそばゆい。

 けどどうしようもないのでそっと抱きしめてみる。

 

「ん~~♪」

「これでいいのかね・・・・・・」

 

 上から見えるのはちょっと跳ね毛の目立つミルク色の長髪に青い角飾り、髪色と同じ色をした馬耳と下の方で大きく揺れる長い尻尾。

 その間は開いた背中が見えており、ゆっくりと上下している。

 それからしばらくそのような密着状態でいると、シロの体に異変が起き始めた。

 

「ん?」

「んむぅ~・・・・・・んえ?」

 

 頭のケモミミが徐々に小さくなっていき、それに連れて腰の尻尾も小さくなっていく。

 変化が始まってからものの数秒で、栓を外した風船のように萎んでいき、遂には跡形もなく消えてなくなった。

 

「消えた・・・・・・」

「なお、った・・・・・・?」

 

 突如として出現したケモミミは前触れもなく消えてしまい、この驚愕の感情は一体どうすればいいのか分からず二人で呆然と時間が流れていった。

 

「ん、ケモミミ消えた?」

「あ、クロ」

 

 ソファーの裏からナチュラルにひょこっと顔を覗かせるクロ。

 まだケモミミは消えておらず猫耳がぴこぴこ動いている。

 

「シロ、どうやって消したの?」

「えっと、マスターに、こう、ぎゅっとしてもらって、ました・・・・・・」

「ほほー」

 

 それを聞いたとたんにクロの目がきらりと光った。と思った途端。

 俺は視界が回転してまたソファーに寝そべっていた。そしてその上にクロが馬乗りになっていて、身動きが取れないように肩を掴まれていた。

 

「く、クロ、離してくれ」

「ヤダ、私もこの耳取りたいから、ご主人、少しだけ我慢、して?」

「・・・・・・はい」

 

 何されるかと考えたが思いのほか過激なことはなく、その態勢のままクロはおずおずと体を丸めて胸に手を置きゆっくり手を回して頭を胸に摺り寄せる。

 

「ご主人、悪いけどぎゅっとして」

「あ、うん」

 

 クロに言われた通り、俺の上に重なるクロを抱き締めてやると、クロは一瞬ピクッと肩を跳ねさせて少し全身が力んだと思ったらじわー、と入れた力を抜いていき服を掴む手にだけ、変に力が入っているのがわかる。

 

「クロ?」

「な、なに?」

「緊張してる?」

「し、しいし、っしてないゆ」

「噛んでるから」

 

 よく見てみると褐色の肌で分かりづらいが頬が若干赤くなっていて、体温も割と高い。

 今まで言動や行動が読みづらく、接し方や距離が分かりづらかったが、今目の前で恥じらいを見せる彼女には今までの不思議な雰囲気はなく、どこか初心な女性、といった印象を受けた。

 

「クロ」

「結構可愛いね」

「~~~っ!?」

「マスター!?」

 

 誰が見ても話からぐらいで顔を真っ赤にしたクロは猫耳と尻尾をぴんと立てて硬直し動かなくなった。

 そのままきゅうと倒れてくるのを寝そべりながら受け止めてやると、意識のないクロの体からケモミミと尻尾がまた縮こまるようにして消滅し、いつもの彼女の姿に戻った。

 クロをそのまま寝かしておいて二人でご飯を食べていると、クロが起きてきて、俺の顔を見るなりいつもの誘惑の表情ではなく余裕なんてない顔で赤面し「も、もう帰るね!」と早足にリビングから出て行ってドアを閉めていった。

 気になったので急いで追ってドアを開けると、そこに彼女の姿は無くいつもの廊下があるのみだった。

 

 

 

「不思議なもんだなぁ」

「多分向こうの世界に帰りましたね」

「わかるの?」

「今朝もこんな感じだったので」

「そっかぁ・・・・・・」

 




 何かありましたっけ。
 暴走しかしませんでしたよ、はは。
 
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 誤字脱字等ございましたらご報告ください。
 
 では。


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