キリンちゃんとイチャつくだけの話【完結】   作:屍モドキ

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 何してたんだっけ・・・・・・。
 食って寝てしてたら日が過ぎるのでまた急いで書きます。

 



三十四話 運動したいための口実

「「「ありがとうございましたー」」」

 

 昼休みのチャイムが鳴り、各教室から生徒達一斉の挨拶が聞こえてくる。クラスでもそれぞれの生徒が教科書などを片付け机を動かしたり食堂や購買へ走っていく。自分も教本を片付けて飯にしようとした矢先、先ほどの授業を受け持っていた先生が「あっ」と言って俺の名前を呼んだ。

 

「村崎、体育の飯田先生が呼んでたぞ」

「あ、分かりました」

 

 要件を伝えた先生は「それじゃ」と教材を小脇に抱えて職員室へと踵を返す。それだけ伝えられた俺は一瞬クラス名とから視線を感じ、何事もないのだと悟ったクラスメイトはすぐに自分達の昼食にありついて雑談に花を咲かせる。

 

「村崎、中田先生なんて言ってたんだ?」

「飯田先生が呼んでたって」

「あの筋肉教師がか?」

「らしい」

 

 自分もよくつるむグループの輪に入って弁当に手を付ける。先ほどの通り先生に呼び出しされているので手早く食事を済ませて職員室に向かう。

 

 

 

 職員室。

 

 

 

「失礼します。村崎です」

「おぉ来たか」

 

 忙しない書類の擦れる音やキーボードを叩く音が木霊し、化粧の匂いが微かに漂う。教員用のデスクが所狭しとひしめき多数の教員が仕事をしたり昼食を摂ったりとしている中、体育教師のところに向かう。

 

 飯田先生。

 この学校で保険体育を担当しておりその体躯は背広で肩幅も広く、少し焼けた肌は健康的な褐色をしていて引き締まって盛り上がった全身の筋肉をより強調している。常時ジャージを着用していてスポーツ刈り。古典的な運動好きのような見た目で熱血的。スポーツの事となると熱中して手に負えないこともしばしば。

 

 個人的に職員室というのは居心地が悪い。別段不真面目というわけでもないが、教員からは良い印象を持たれているわけではないので奇異の視線が少し痛い。なので早々に話を区切って教室に帰りたい一心だった。

 

「それで、用ってなんですか?」

「あぁ実はな・・・・・・」

 

 

 

 ・・・・・・・・・

 ・・・・・・

 ・・・

 

 

 

 村崎家。

 

 今朝方主が学校へ行かれて時間が経ち、今は昼過ぎほど。自分は昼食を済ませて家事を熟し、寛ぐ時間が出来た。

 

「暇ですね」

 

 いつも読んでいた分厚い攻略(どんき)本を昨日で全て読み終わってしまい、時間を潰すものが無くなってしまった。

 

 暇なので寝るというのもなんだか気が引ける。せめて起きて何か出来ることはないだろうか。

 

 手持ち無沙汰になり、何となくテレビを点けると画面ではストレッチ運動の番組をしていた。

 

「ふむ」

 

 試しに今画面でやっているポーズを取ってみる。

 

「くぅ、思ったより、辛い・・・・・・!」

 

 画面に映るポーズを真似てみるが中々うまくいかない。無理に似せようとして腰から悲痛の叫びが聞こえてきたので敢え無く断念し、固定させようとしたポーズを中断してぐた、と床に倒れ伏す。

 

「あいたたた・・・・・・」

 

 周期的に熱い痛みを放つ腰を摩って按摩する。

 

「こういうじっとするようなものより動くことの方が私には合ってます・・・・・・」

 

 立ち上がって体をほぐす。全身の関節から子気味良くぱき、こき、と子気味良い音が鳴ってじんわりと血流の流れを感じる。

 

「はっ」

 

 その場で逆立ちをしてみる。少しふらついた後ぴたりと止まって安定する。そのまま数歩歩いてみてからくるりと回り、肘を屈めて飛び上がって半回転。ふわりと足から着地する。

 

「ふぅ、まだいける!」

 

 体がまだ動けることを確信して調子が戻り、暫くやり過ぎない程度に体操に近い何かに勤しんでいた。

 

 

 

 ◇

 

 

 学校も終わって飯田先生の話を思い出しながらどうしようかと悩み歩いていたら家に着いた。自宅なので入らないわけにもいかない。しかし気持ちは重かった。

 

「ただいま」

 

 一声発しながら入る。けれど言葉を返す人は居らず人影も見当たらない。

 

「ん?」 

 

 家に上がってみるがシロが来る様子もない。居ないのか? まさかそんなはずは。

 不安が少しづつ募るのを感じる。背中に冷や汗が垂れ肝が冷える。じっとりとした手汗を握りしめて足音を殺してリビングに入る。

 

「シロ・・・・・・?」  

「ふぇ、マスター? あ、ちょっと待ってくださ、あうぁっ!?」

 

 そこにはキリン装備で妙な倒立をしていたシロがいた。帰ってきたことに気が付かない程熱中していたのか俺を見た途端に慌ててしまい集中が切れたようで微動だにしていなかった体幹が崩れてどてんと倒れてしまった。

 

 そのせいでミニスカの様になっている腰装備から純白の三角形が見え隠れしているのを見てしまい、慌てて顔を反らす。それに気づいたシロも上体を起こしてすぐさま股を閉じる。

 

「お、お見苦しいものを見せました・・・・・・」

「そんなこと全然、いやそうじゃなくて」

 

 バカなことを口走る自分の口を押えて邪念を抑える。

 それよりも大の字で転がる彼女をしゃがんで見下ろし引き上げる。

 

「大丈夫?」

「なんとか」

 

 立ち上がったシロにこの状況の経緯を聞いてみる。

 

「で、何してたの?」

「マスターの部屋にあった本が読み終わって暇になったので、ちょっと運動でもと思い立ちまして」

「なるほど」

 

 なるほど、そういうことだったのか。

 思えば外出もあまりなく、家で過ごす事が殆んどの生活で運動不足を気にするのも頷ける。

 

「シロ、一ついいと思える話があるんだけど」

「なんですか?」

 

 首を傾げる彼女に今日学校で言われた言葉を掛ける。

 

「今度、学校に行かないか?」

 

「へ?」

 

 

 

 

 

 

 

 




 短いっ。
 シロちゃん全然動いてないやんとリアルの方で言われたのでそれを果たしたいがために。
 次回シロちゃんはっちゃける。

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 では次に。

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