一時限目から四限目まで体育になっているので女子は早速別教室に移動、男子も教室で更衣をする。
「なぁ村崎、シロさんの着替えってあんのか?」
「一応ある」
学校指定のものではないがシロの体操服は確かにある。
だがそれは俺が今この場で公言するのはなにか違うと思った。
だから黙っておくことにした。
全員が体操服に着替えてグラウンドの集合する。
男女それぞれで固まって整列し、地面に座る。
シロは女子のグループの最後尾の方で女子生徒に促されて一緒に居た。こちらに気が付くとにぱ、と笑って手を振ってきたのでこちらもそれに返す。
「仲いいなぁ、えぇ?」
「茶化すな」
「熱いねぇ」
「ヒューッ!」
「うるせ」
囃し立てる
「よーし揃ってるな~」
「きりーつ、気を付けー、れーい」
「「「お願いしまーす」」」
「え、えと。お願います」
数分してやっと出てきた筋肉教師こと飯田先生がジャージの袖を巻くって出てきた。手には出席簿や体力テスト用の用紙を抱えている。
「それでは前回説明したように、本日は体力テストを行う! それにともなって今回は特別にある人に来てもらった」
そう言って飯田先生はシロの方を見る。シロは俺の方を見てきたので目視でいっていいよ、と促し、シロは前に出てその姿を見せる。
「おぉ……」
「マジかよ、おいマジかよ」
「誰だよあんなの着せたの、いや最高だけども」
生徒の前に出たシロは、ブルマを身に着けていた。
紺色の女性用下着にも近しいその履物は昭和の女子学生の間では一般的だったがこのごろには破廉恥だという声もあって殆ど出回らなくなって久しい。それを今彼女が履いて生徒の前に出ている。
なんの羞恥プレイだ。
「皆さん、お久しぶりです。今回この授業にお呼び頂き、皆さんと一緒に体育? をすることになりました。今日一日宜しくお願いしますっ!」
朗らかな笑顔で締めくくるシロに男子だけでなく女子も見惚れて呆ける。
だがその間も一瞬のようで、すぐに目に光を取り戻した野郎ども淑女諸君は後ろに連れるにるれて立ち上がっていくスタンディングオペーションというやつで拍手喝采でシロを歓迎してくれた。
「そんなことなら仕方ねぇなぁ!!」
「分かんないことあったら言ってね!」
「是非とも頼ってくれて構わねぇぜ!」
「可愛い通りこした何かだよマジで」
なんともテンションの高いクラスメイトである。
やる気と活気に満ちたスタートで、体力テストは始まったのだった。
「準備体操をしとけよー」といって先生はグラウンドに白線を引きに行った。その間で体操をしていたがちらほらシロを見る目があり、それに気づかないシロでもないので小さく笑顔を浮かべては大なり小なり大ごとになる生徒が多数。
終わるころにはまだ始まってもないのに肩で息をするものが大半だった。
「ではまずは、50m走をしてもらう・・・・・・て、お前ら大丈夫か」
目の前には既に燃え尽きている生徒が複数名。
俺は無事だった。いつもあれ以上のを家で四六時中喰らっているのでまだいける。
「先生、俺ぁまだいけますよ・・・・・・」
「虫の息じゃないか加藤。大丈夫なのか」
なんでかは知らないが格好つけてでてきた加藤が名乗り出る。いけるのか。
お調子者で大袈裟なところがあるので今回も大体そんな感じなのだろう。
すぐに平静を取り戻して脚部の全体を伸ばし、スタート位置に着いた。
「フッ、行きますよ!」
加藤は体を屈めて両手を白線の上に置き、両足の先を段階的にずらして後方に向けて地に踏ん張り、見事なクラウチングスタートの態勢を取る。先生の合図で屈めた腰を引き上げて脚を伸ばし、次の合図で走り出した。
「おぉ」
「速いですね」
瞬く間に加藤は小さくなり、がゴール地点で突き抜け勢いを殺しながら歩いている。
先生がゴールと同時にタイムを測り、その記録を声高らかに言い渡した。
「六秒八七!」
「よっしゃぁ!」
タイムを着た加藤は大きくガッツポーズをして走りながらこちらに戻ってきた。どれだけ元気がるんだアイツは。恐ろしいほどのアウトドア派な友人に戦慄すら覚え、なお尊敬する。
加藤はいつの間にやら正気に戻ったクラスメイトと組み合っていた。
「要は全力で走ればいい。大体分かった?」
「はい、やってみます!」
次走ります! と言ってスタートラインに立つシロに視線が集まる。
加藤の真似をして見様見真似のクラウンチングスタートの形を取る。ふわりとした白髪が頬を撫で、背に伝う。真似ただけのはずのその体躯はしなやかでそうあるべきのようで、誰もが息をのみ見惚れる。
騒いでいたクラスメイトも静まり風の凪ぐ音だけが聞こえてきたところで先生の合図が響き、その次の合図でシロが走り出した。
「ッ!!」
前傾姿勢で弾丸の如く走り出したシロは腕も降らず足をあらん限り前に出し、踵が付いたと思えばすでに後方へ流し、目にも留まらない速さて加速し、50mを一瞬で走り抜いた。
「はっや・・・・・・」
ゴールラインを抜けてその勢いのまま走り抜けるシロは暫く真っ直ぐ進み、糸が切れたように速度が落ちて膝に手を付いて肩で息をしていた。
「だ、大丈夫か?」
「分からん」
少しして顔を上げたシロは遠めでも分かるほどの煌めく笑顔でこちらを見ていた。
「トオルくーん! 見てましたー!?」
うん、恐ろしく元気だ。
こちらに呼びかけながら小さく飛び跳ねている。あれだけ元気なら大丈夫だろう。
「あぁ、シロさん。タイムなんだが」
「あ、はい。幾つでしたか?」
驚いながらもどこか納得している教師は冷や汗を一筋垂らしてその記録を言い渡す。
「五秒、九二」
あまりの速さにその場に居た生徒全員が絶句する。
どよめきが出てどうなるか、と危惧したがその心配も必要なく、次には拍手喝采であった。
「シロさんすげー!!」
「五秒って世界記録じゃない!?」
「ヤベーイ! ハエーイ!」
その歓声にシロは気圧されつつもにこにこと笑みを浮かべていた。
だがこちらに気付いたシロがすぐに走り寄ってきて「どうでした?」と聞いてくるものだから、頭を撫でながら褒める。
「凄かったよ」
「ん、はいっ」
シロを褒めちぎっていると、突然誰かの声が遠くから聞こえた。
「なんだ、楽しそうなコトしてるじゃないか」
その声に気が付き、全員が振り向くと木陰から人影が飛び出してその姿を現す。
そこにはクロが居た。
シロは咄嗟に俺を背にしてクロと対面して睨む。クロはそれに特にアクションを起こすことなくひっらひらと寄ってくる。
「クロ?」
「やぁご主人、久しいね」
「言うほどか?」
「何か御用でしょうか」
「別に」
眠たげな半目の眼でにこにこしながら駆け寄る褐色肌で黒い忍のような妙に露出の多い装備を纏う彼女の向き合う。サブで作った彼女はガンナー特化にしており、今装備しているものもガンナーのものだ。
「それで、これは何をやっているんだい?」
「あぁ、体力テストだよ」
ほう、と興味がるのか表情の乏しい顔に微量の笑みを浮かべてクロは背に担いでいたライトボウガンを、その小ささにどれだけの要領があるかも分からないと言うのになんでも入ってしまうポーチにまるっと仕舞う。
「私も、参加させては貰えないかな」
「なに?」
手足を解してスタートラインに手を付くクロ。
それを見てすかさず記録お測ろうとする教師を一目見て、先生が手を下ろした合図を見たクロは白にも開けないほどの加速で飛び出した。
「「「!?」」」
一息でクロはゴールラインを通過して先生がタイマーを止め、言い渡されたその記録に慄く。
「五秒七八・・・・・・」
完走したクロは振り向いてほくそ笑んだ。
いや蔑むような卑しい笑み、様はドヤ顔だった。
器用だな。
「ねぇ、白いの。私と、勝負しない?」
不敵な笑み。
ナルガ装備のクロは余裕綽々に挑発をする。
「いいですよ。やってげますよ」
それに乗っかるシロ。
その目にはいつかの闘志が見えていた。
「マジで」
クロちゃん出てきちゃったよ。
どうなるんだろう。
感想評価お願いします。
最近自分の書き方が分かんなくなってきたけどこれ大丈夫ですかね?
キャラ崩壊とか怖いです。
誤字脱字等あれば報告願います。