キリンちゃんとイチャつくだけの話【完結】   作:屍モドキ

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 間が空いて申し訳ありません。
 新作作ってました。


四十話 キリン娘に尽くされる

 筋肉痛が痛い。

 いやホントに痛い。

 普段何か運動をしているわけでもなく、家に帰れば最低限の家事と炊事をすればあとはだらけてゲームと言う危ない人手前の生活を送っていた代償として、今回の体力テストは全身にキた。

 

 まず寝起きがつらい。起きれなかったもん。

 体を起こそうとしてもお腹に力が入らず、無理をしようものなら腹筋に電流が走ったかのようにビリビリと痛みだして、動けないまま悶絶していた。

 

「朝ですよ~マスター」

「シロ、動けない。たすけて」

「マスター!?」

 

 痙攣に近い痛みでまともな会話すら許してはくれなかった俺は片言の言葉でシロに助けを求める。

 様子がおかしいと悟ったシロはパタパタと駆け寄ってきて俺の腕を掴み、「いきますよー」と一言添えて引き揚げるように起こしてくれる。

 

 ありがとうとお礼を言って無事にベッドから這い出れたものの、足腰にまで及ぶ筋肉痛は立つことがやっとのようで、シロに支えられて部屋を出た。

 

「大丈夫ですか?」

「うん、無理」

「ご飯出来てるので一緒に行きましょう?」

「うん・・・・・・」

 

 シロの純粋な優しさがちょっとつらい。

 俺はそんなに貧弱だったか。ちくせう。

 

 幸い今日は休日なので一日休養に費やそう。でないと休み明けに動けない。

 度々料理を落としそうになりながらなんとか朝食を食べ終え、油を刺そうが直らない軋む体を稼働させてソファーに飛び込む。

 

「あぁー・・・・・・」

 

 そしてすかさずゲーム機を取り出して仰向けでプレイに勤しむ。

 機種は二画面折り畳み式の携帯ゲーム機。大手メーカーの大人気だったゲームハードだが、今でも人気の作品が多く、未だに現役で使っている人も多い。

 

「もう少しで全クリだー・・・・・・あがっ」

 

 寝そべってゲーム機を持ち上げたら、手に力が入らずプラスチックと精密機械の塊が顔面に落下してきた。

 また同じように持ったと思っても、同じように顔に落ちてきて、携帯ゲームは諦めた。

 

「ダメだ、これ以上は顔が凹む」

「安静にしてましょうよ」

 

 洗い物をしてくれているシロにやんわりと正される。

 それもごもっともだが、何もしないと言うのはとてつもなく暇なのであまりしない。現に体は痛むが眠気はあまりないので何かしていたい。

 

「そうは言っても動けないけど眠くないし、暇潰しと言ったらこれぐらいしかないよ」

「んう~・・・・・・あ、そうだ! ちょっと待っててくださいね、マスター!」

「おう? うん」

 

 少し唸ってから、何か思い付いたのかぱぱっと食器洗いを済ましたシロが何かを探しに小走りで部屋を出ていった。

 しばらくして帰ってきたシロは右手に小さな棒状のものを握っていた。

 

「ありましたっ♪」

「なにそれ」

「耳掻きです」

「わぁ」

 

 焦げ茶色の細い棒状。先端は平べったく半ば反っていて引っ掛かりになっている。反対の端には綿毛があしらわれており、空気に揺れてなんとも。

 

「それどうするの?」

「んふふ~。マスターがお疲れのようなので、リラックスできるように私がマスターの耳掃除をさせていただきますっ!」

「そうきたか」

 

 ふんす、と鼻を鳴らしてぐっと可愛らしく拳を握る彼女。

 その様子をソファーの肘掛けから頭を大向けのまま垂らして眺める。

 

 脚を持たれてずさーと引き戻されて頭がソファーの座席部分に乗り、頭を持ち上げられ、自分の頭があった所にシロが座り、ふとももの上にそっと乗せられた。

 

「おぉ、なんか久しぶり・・・・・・いやそうじゃなくて、なんでまた」

 

 唐突な提案に若干困惑しながら訪ねると、これまた可愛らしい笑顔でしっかりと答えてくれる。

 

「昨日山田さんと話してたら、こうしてあげると殿方は喜んでくれると聞いたので」

「そっか」

 

 何吹き込んでるんですか山田さんほんと山田さん勘弁してください山田さん。

 部屋に逃げようにも朝から筋肉痛で身動きすら出来ない。

 

「少しじっとしててください。優しくしますから・・・・・・」

「耳掻きだよね?」

 

 得も言えない不安要素を抱きながらされるがままに身を任せる。動けないのなら諦めるしかないだろう。

 そうしていたら、シロはふとももに乗せた俺の頭を少し持ち上げて横に向け、俺自身も其方に体を傾ける。間も無く「入れますね」と断りを入れて耳掻きを俺の耳にゆっくり入れた。

 

「ん・・・・・・」

 

 まずは入り口付近をなじるように掻く。痛みはなく、力をいれていないようで少しこそばゆい。

 

「ふぅ、ではちょっと奥に入れますね」

「うん・・・・・・」

 

 耳の穴の縁で転がされていた感触が、今度は穴の壁を掻く感触に変わる。左右や上下を隈無くかりかりとつつかれる感触がやけに気持ちいい。

 

「どうですか?」

「ん、気持ちいいよ」

 

 穴の口の直ぐをつつかれていたのが、じわじわと奥に進んでいく。その感覚にぞわりと背筋を震わすが、それも過ぎれば快感に変わってしまう。

 今まで痒かったところを丁度良い強さで掻かれるのは中々に心地好い。

 

「あぁ~・・・・・・」

 

 なんともだらしない声が腹の底から零れる。全身から力が抜けて、ソファーに張り付いたようになる。指一本すら動かすことなくシロの太ももに頭を預けていた。

 

 そして大方耳の垢も取り終わったのか、耳の中から耳掻きが一度抜き取られる。

 しめの綿毛を鼓膜を突かないところまでいれられ、細かい汚れも根こそぎ掻き出され、軽い爽快感が耳の中を撫でた。

 

「はい、終わりましたっ」

「おー、気持ちよかったー」

「それじゃあ反対側もしましょう!」

「わかったー・・・・・・あぇ?」

 

 そう言われると、俺の身体は有無を言わさず肩と胴をがし、と掴まれてぐるんと手前に転がされた。目の前に映るのはシロの腹部。爬虫類のような体表の、キリンの皮で作られたボディコンのような装備が眼前に映る。見上げればシロが楽しそうな貌でに、と笑う。

 

「いや、もう、大丈夫なんで」

「ダメですよー、両方ともお掃除しないと汚れが偏っちゃいますから」

「うん、わかってる、あとは自分でするよ」

「それは許容できません」

「だったら反対側に身体向けるってのは・・・・・・」

「ちゃんとキレイにしてあげますね♪」

「おーぅ・・・・・・」

 

 交渉失敗。

 逃げることなど叶わず頭に手を添えられ、固定される。

 

「入れますよー」

「う、うん」

 

 耳の穴に耳搔きを入れられる感触すら敏感に感じてしまうほど、心臓は昂り全身が熱くなる。

 冷や汗か脂汗か、何かが背中を伝って濡らすが、そんなことを気にしていられるほどの余裕すらなく、節操もなくシロの引き締まった腹部を凝視した体制のまま硬直してしまった。

 

「痛くないですか?」

「う、ん」

「ではもう少し奥に入れますね」

「ん」

 

 片言の返事すらたどたどしくなり、感覚が研ぎ澄まされていく。

 髪に触れるシロの柔らかい手、側頭部と頬に当たる弾力のあるふともも、耳の中を突く耳搔きの木片・・・・・・。

 

「いづっ!?」

「ひゃあっ!? ご、ごめんなさい!」

 

 あまりに感覚が敏感になりすぎてしまい、耳搔きの当たる感触に激痛を覚えた。

 その痛みに身体を撥ねさせてしまい、思わずシロのお腹に腕を回してしまった。

 

「あ・・・・・・ごめん」

「いえ、私こそ。それより耳は大丈夫ですか?」

 

 耳の中。腕や脚を擦りむいたぐらいならまだ堪えれるが、耳の奥ともなればこの痛みは相当だった。シロから離れようとしてもさっきから強張んでいたせいもあって腕がシロから剥がれない。

 ぴと、とくっついて離れようとしない俺にシロは最初こそ戸惑っていたが、すぐに平常心を取り戻して優しく頭を撫で始めた。

 

「う?」

「大丈夫、大丈夫ですよマスター」

 

 ふわりとした滑らかな手が髪を撫でる度、強張んで動かなかったからだから余計な力が抜けて熱が冷めていく。痛みはまだあるけれど、それもじんわりと和らいでいって、薄まっていく。

 ふと目線だけを上に持ち上げると悲しそうな顔をしたシロがいた。

 

「ごめんなさいマスター、余計なコトをしたせいで、マスターのお耳を・・・・・・」

「いいよ気にしなくて。血が出てるわけでもないし、耳搔きしてればあることでしょ」

「ですけど・・・・・・」

 

 自分に非があると食い下がって謝るシロ。しかし態勢も相まって以前のような状況になりかねない。

 そういう辛気臭いのは真っ平御免被りたいので話を切り出す。

 

「それよりさ、このままで終わると中途半端に終わって後味悪いんだ。だからもうちょっとやってくれない?」

「それは・・・・・・」

「ね? お願い、シロ」

 

 こちらの提案に要領を得ない言葉で濁していたシロだったが、しばらく唸った後に諦めたように息を吐いてにこりと微笑む。

 

「わかりました、最後までやります」

「ん、お願いします」

 

 彼女の手が耳を撫でて硬い耳搔きがまたは入ってくる。

 今度は痛みはなく、片方の時と同じような気持ちよさがつついてくる。

 さっきの脱力が拍車をかけて、微睡みが身を浸していくような感覚に覆われ、瞼が重い。

 

 暫くして綿毛が入り、壁を撫でて出ていくと先ほど片側で感じたのと同じ爽快感がする。耳搔きも終わったことだし体を起こすとしたら、シロはまだ俺の頭を抑えたまま放さない。

 まだ奥にあるのか、それとも気になるのか、どうしたものかと思っていると突然、シロが耳の中にふぅ、と息を吹きかけてきた。

 

「んん!?」

「あ、すみません! つい・・・・・・」

 

 当然彼女の暖かい吐息に耳を撫でられて背筋がぞわ、と波打った。

 

「いや、大丈夫。それで、終わった?」

「はいっ、ちゃあんとキレイになりましたよ!」

 

 よいしょ、とシロに手を添えられて起きあがり「ありがとう」と言いながら彼女の頭を撫でる。

 気持ちよさそうに目を細めて撫でられる仕草はとても愛らしいものだった。

 

「またお願いしようかな」

「その時は私もお願いしていいですか?」

「うん、いいよ」

「ありがとうございます!」

 

 

 

  




 いやホント、遅れてすみませんでした。
 新作作ってたら一か月、手を付けていなかったわけではないのですが、話が纏まらず作り直しとかしてました。
 三話ほど連続でバトルと言うか競い合いの話を書いていたのでちょっと感覚が狂ってました。(精一杯の言い訳)
 
 次のネタがない。
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