世間の十月の印象とは何だろうか。
色々あるだろうが一先ずハロウィンだ。
前置きなんて面倒くさい。
そもそも楽しむも何も無いのでお菓子食べて終ろうと、去年までそう思っていた。
しかしシロが来たのでそうもいかず、適当に焼き菓子でも作ってあげよう。
それで完成お手製カップケーキ。
では与えにいこう。
「シロー」
「なんですかマスター?」
台所から彼女を呼ぶと二階から返事がして、今日はキリン装備を着たシロが降りてきた。
俺の傍まで走り寄ってきてなんだろうと子首を傾げるすがたはあざとさの化身でも憑いているのかと錯覚するほどだった。
「実は今日はハロウィンと言って、お化けや怪物の恰好をしていたずらされるかお菓子を渡すかの選択を迫るイベントがある日なんだ」
「そ、それは何とも強情なイベントですね」
大分偏見で話してしまったが今の時代そんな認識でいいだろう。
もう当のイベントの本質が消えかけて、商業目的なのか分からないお菓子の要求すら求めているのはどれくらいの人数が居るのか定かでない。
「ま、お菓子がもらえる日と言う認識でもいいか」
「そうなんですか」
「そんなわけではい、どうぞ」
「わぁ! いただきますっ!」
差し出したカップケーキを美味しそうに頬張るシロ。
プレーンからチョコチップ、抹茶やココアなど色々試してみたので二人で食した。
大方平らげてふぅ、と一息。淹れておいたカフェオレで口を潤していると、シロが質問を投げかけてきた。
「そういえば先ほど悪戯とお菓子の二択と仰っていましたが、何故そうなるんですか?」
「あぁ、色々諸説あるようだけども他所の国の
あくまで個人の推測の域なので正確性なんて欠片もないが。
「へぇ~、そうなんですか」
まぁお祭りごとなんて楽しく過ごせたらそれでいいだろう。
「ちなみにお菓子を貰ってから悪戯というのは可能ですか?」
「欲張りな質問だなオイ」
上目遣いに言っても許可しないぞ。
絶対だぞ。
・・・・・・。
「さっきも、言ったけど、子どものイタズラで済むなら・・・・・・」
「じゃ、じゃあ!」
ずずいと身を乗り出してえっとえっとと悩むシロ。
頼むから普通のこいよ・・・・・・。
「えっと、では後ろから失礼しますね!」
「お、おう」
そう言うとシロは俺の背後に回って俺の真後ろに立った。
何をするのかと思ったら「えいっ」と可愛らしい声と共にぎゅっと俺を抱きしめた。
「お、お、おお・・・・・・」
「えへへ、びっくりしました?」
脈が上がって顔が熱くなり、変な汗をかいているのがわかる。
全身が強張り過度に力み過ぎて身動きはおろか言葉もまともに発せないくらいだった。
「・・・・・・」
「ま、マスター?」
「な、なに?」
後ろからシロの声がする。
密着状態で色々当たってしまっているので意識しないようには心掛けているがやはり無意識が働いて余計なことが過って仕方ない。
「もう少しこのままでいたいです・・・・・・」
「わかった・・・・・・」
それから何とも言えない空気の中シロと密着したまま棒立ちで十数分費やした。
その後暫くハロウィンとは何だろうと哲学的な思考に陥った。
もうこれでいいや(自暴自棄)
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では。